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CASE1 広瀬 海翔
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しおりを挟むそして気が付いたら、凄まじい歓声が聞こえてきた。
光のハレーション(?) のせいで目を開けても、周りが良く見えなくて、パシパシと何回か瞬いてようやく周りの景色が目に入って来る。
「は?」
俺は本気で何が起こったのか分からなかった。
だって、さっきまで職場だったゲイバー「マリアン」にいたんだ。なのに、どういうわけか、豪奢なシャンデリアが煌めく、やたらとキラキラした場所で、これまたキラキラとした男どもが目の前にいた。
特に俺の目の前にいる、銀髪に赤やらオレンジやら金色が入り混じったような瞳をした男なんて、耳とがってるし。やたらと美形だし。
隣にいる黒髪に金目の男の方が、ちょっと見てて落ち着くけど、こっちはこっちで厳つくて怖そうな男のくせにケモミミがついてる。
「ようこそいらっしゃいました、私の花嫁」
しかもこの耳のとんがった男は、麗しいその顔をほんのりと染めて、そんな事を言いやがった。
空耳じゃないよな、とは思ったんだけれど、隣でケモミミ男が同じように、キャロル、いや薫くんの手を取り、うっとりとした表情で「ようやく会えた、我が番」なんて言っている。
そして俺たちの後ろでも、似たような会話が成されているのか、「きゃー、そんな」とか「ここは、どこですか!」、「異世界召喚とかマジ?!」なんて声も聞こえてきた。
しかも、そんな混乱したような、嬉しがっているような声が幾つも聞こえる。
俺がちらりと背後を伺えば、結構広い場所のような気がするのに、二十人くらいの人がざわついてた。
一体どうなってんだと誰かに問い質したくてもーー俺は目の前の男から、執事服をきっちりと着こなした従業員(?)が差し出す銀盆に載せられたフルートグラスみたいな細長いグラスが渡されるし、俺たちのいる場所の周りにどんどん人が集まってくるしでーーできるような状況じゃない。
「さあ、祝いの酒です。お飲みください」
爽やかな笑顔を浮かべる男に、美人は得だよな、なんて思ったけど、グラスの中身は薄いピンク色の液体で、なんだかやたらと甘ったるい匂いがした。
「いや、俺、甘い酒はあんまり……」
そう言って断ろうとすれば、そこまで甘くはありませんし、美味しいですよ、とぐいぐいと迫ってくる。
隣では薫くんがケモミミに、俺が飲ませてやろうか、なんて言われて真っ赤になってるし。
あら、可愛い、と思ってしまったのは薫君には内緒だ。
俺がそんな事を思っていると、その場に集まっている大勢の人(?)たちにも酒が振る舞われたようで、「乾杯!!」という大合唱に、俺はついつい条件反射でグラスに口をつけてた。
いや、店でもよくお客さんが奢ってくれたりするしね。勢いで、皆で「かんぱーい」って飲むからさ。つい。
だから、グラスの中身を一気飲みしちゃったんだよ。フルートグラスだからいけると思って。
「ああ、やはり私の花嫁は素敵ですね」
飲み切ったグラスを取り上げられて、今度は手を握られた。
そして、こちらでお話をしましょうと、その場所からどこかに連れていかれそうになる。
でも、ちょっと待て。
どうして皆バラバラに連れて行こうとするんだ。
せめて薫君と誠仁君と一緒でもいいじゃないか。
たぶんあの時あの場に居た俺たちは一緒にいると思うんだよね。
あの女の子も一緒かどうかは、よく分からないけど。
「薫君と誠仁君も一緒に」
だから、せめてもの抵抗としてそう言ってみたのに、この男、見た目は細身のくせに、手も振りほどけないし、にこやかに微笑んでいるけれど、俺の言葉をわざと無視しているようにも見えた。
そう言えば、こいつ170ちょいある俺よりも身長高いし、いつの間にか腰に手まで回されている。
「薫くん! 誠二くん!」
「海翔さん!!」
声の聞こえ方からすると、やっぱり彼らとは引き離されているみたいだ。
「カイトサンと言うのですね。私はメーア。メーア・アーベントロートです」
「違う。海翔」
「カイト?」
「そう、海翔が名前」
こうなったら、さっさとどこかに落ち着いて、この男に話を聞かなければと思った俺は、変なイントネーションでカイトサンと言った男に訂正する。
「カイト。ふふ、私の花嫁は名前も可愛い」
「つーか、花嫁ってなんだよ。俺は男だからな、花嫁なんてなれねーよ」
腰に手を回されているから、男に引かれるまま進むしかなくて、しかもまた人の事を花嫁とか言うから、それもついでに訂正してみた。
「ふふふ、あなたはオメガですから花嫁になれますよ」
だが、男はまたもや訳の分からない事を言う。
オメガってなんのことだよ。
ーーーーーーーーーー
タイトルや副題など難しいですね。
なんかいいタイトルが思い浮かばなくて、変なタイトルになってしまったような気がします。
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