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6章 真の勇者
66 嫌な予感
しおりを挟む次の日。俺達は黒い沼を浄化するために、出かける用意をしていた。便利カバンがあるから、楽に何でも入れられる。元の世界に帰っても使いたいくらいだ。
「ホウトリング様、お世話になりました。ご飯、うまかったです! また来ます!」
俺はホウトリング様にお礼を言った。ずっと泊まっていたかったくらいだ。
「ホウトリング様。また会いに来ますね」
愛里も名残惜しいみたいだ。おじいちゃん好きだからな。
「おう! おう! 嬉しいのう……。また皆で来なさい。待っておるぞ! 姫様もな」「え……」
ホウトリング様は姫様の頭を撫でた。突然のことで姫様は驚いていた。
「ホウトリング様。姫様の髪の毛が乱れてしまいます!」
サラサさんがちょっと怒って、ホウトリング様に注意した。姫様は焦ってサラサさんの方へ顔を向けた。
「い、いいのです! ホウトリング様に頭を撫でられるなんて光栄ですわ!」
ちょっと照れながら、ツン! とした態度でサラサさんに答えた。ホウトリング様に頭を撫でられて嬉しそうだった。そんな姫様を微笑ましく皆で見守っていた。
バンッ!! ビリビリ――ッ!
「きゃあ! なに?」
「結界が!?」
愛里とサラサさんが叫び声をあげた。体へ感じた振動に不安を感じた。ホウトリング様が姫様の頭を撫でるのをやめて、入口の扉を開けた。
「なんじゃ!? 結界に無理やり入ってくるとは!」
バタバタとホウトリング様が走って、結界に無理やり入ってきた場所まで行ったので俺達も後についていった。
俺達はホウトリング様の家の真正面の入り口から入ってきたけど、進入してきた来たのは空から。ホウトリング様の腕の中に、鳥がいた。結界を無理に入ってきたので弾かれてケガをしていた。
「これは、ドクトリングのお知らせ鳥か!?」
ホウトリング様は、腕の中の鳥がドクトリング様の鳥と言った。おかしい。ドクトリング様の鳥ならば、結界を通れるはずだ。
「え!? ドクトリング様の鳥が、どうして結界に入れなかったのですか!?」
俺はホウトリング様に詰め寄った。ホウトリング様は腕の中の鳥を見て俺に答えた。 「ううむ。いつものお知らせ鳥ではないし、緊急で寄越してきたお知らせ鳥だったのじゃ……。それにしても」
ホウトリング様は、鳥の足に取り付けられていた小さな筒を取って、入っていた紙切れを取り出した。
「この鳥さん、ケガしてる。治しますね」
紙切れを取り出してホウトリング様は、野外に置いてあるテーブルにその鳥をそっと寝かせた。愛里がケガをしている鳥に聖・魔法でケガを治した。
「これでよし」
「くるるるる……!」
愛里はケガが治り、テーブルの上に立ち上がった鳥を撫でた。
「これはっ!?」
紙切れに書かれたものを読んだホウトリング様は、驚きの声を上げた。俺達は大声を出したホウトリング様に注目した。
「どうしました?」
俺は嫌な予感をした。いつもと違うお知らせ鳥。緊急で寄越された鳥。
「……お城へ。お城に魔物や魔獣、魔族が攻めてきたらしい……」
ホウトリング様は、ドクトリング様の鳥が寄越した紙切れに書かれたものを俺達に教えてくれた。
「なんだって!?」
俺達は急な魔族の攻撃の知らせに、体が固まった。
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