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3章 覚醒

40 魔獣討伐パーティを組む

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 「愛里、アリシア姫。よろしくな」
 俺は二人に話しかけた。二人が一緒なら心強い。姫様の強力な攻撃魔法と愛里の聖魔法(回復魔法)。俺は騎士……魔法をまとわせることが出来る、魔法騎士、というのかな? あともう一人か二人ほどパーティーに欲しい。
 ソラは連れて行きたい。

 「こちらこそ、よろしくお願いいたしますわ。カケル殿」
 姫が優雅にお辞儀をした。
「お兄ちゃんと、アリシア姫様と一緒なら頑張れそう。よろしくね」
ニコニコと微笑んでいた。愛里は聖女と確定したみたいだ。……だよな。最近の討伐に行って傷ついた、たくさんの人達を治していたし。
 
 「三人じゃ心細いから、あと二人ほどパーティーに入れたいけど心当たりありますか? アリシア姫」
 この国に詳しい人がいいし、姫様と愛里をなるべく大変な野宿させたくないのでお世話できる人がいいなと、アリシア姫に聞いてみた。
 「それでしたら……。私の護衛兼お世話係の者はどうでしょう? 腕も立ちますし、何かあった時に城の者と連絡できますわ」

 「あ、いいですね! 紹介していただけますか?」
姫様の護衛兼お世話係で、腕も立つならいい。屈強な戦士か?
 「側に控えているはず……。サラサ、来て」
「はい」
 スッと後ろから足音も立てずに現れたので驚いた。サラサと呼ばれて現れたのは近衛服を着た、茶色い髪の毛に茶色の髪の毛のキリリとした年上の女性だった。

 「サラサ・オブライエンと申します」
 胸に手を当ててお辞儀をした。騎士の礼だ。髪の毛を高い位置で一つにまとめている。
「サラサは私が幼い時から護衛をしてくれてるから、腕は確かよ」
 アリシア姫がサラサさんを紹介すると、愛里は微笑んだ。
 「心強いです。よろしくお願いしますね、サラサさん!」
 そう言って両手を握った。

 「こちらこそ、よろしくお願いいたします。聖女 愛里様」
突然手を握ったのも関わらず、愛里に動じることもなく笑顔で返した。
「勇者の子、カケル殿。そなたは近いうちに勇者と呼ばれるだろう。よろしく頼みます」
 近いうちに勇者と呼ばれる? 俺はなぜ? と思いながら、差し出された手を握った。
 「よろしくお願いします」

 「さて。旅の準備があるわね。出発は準備ができ次第ね」
「ええ」
 アリシア姫と愛里が微笑みあっている。俺はそれを、写真に撮りたいなと思いながら眺めていた。携帯は使えないのが残念だ。
 
 「あとは、街や地理に詳しい人物を探したい。街のギルドに行ってみたいな」
 サラサさんは貴族っぽいし、あんまり街の事を知らなさそう。……とはいえ俺と愛里は異世界人で、まだこの国は詳しいわけじゃないし。森の中とかやみくもに行っても迷うだけ。冒険に慣れた、地理に詳しい人物がパーティーに欲しい。

 「そうですね……。私が一緒に行きます」
 サラサさんが名乗り出てくれた。
「助かります」
 俺がギルドに一人で行っても小説などでよくある、見かけない顔の者は絡まれてボコボコにされてしまうかもしれない。サラサさんは見ただけでも腕が立ちそうだし、門前払いはされないだろう。
 いや。俺も見ただけで、腕が立つように見える騎士になってみせるけど!

 「では、明日……はどうでしょうか?」
 サラサさんが俺に聞いてきた。特に用事はないので大丈夫だろう。
「大丈夫です」
 頷き、サラサさんは姫の方に振り返った。
「私は大丈夫だから、お願いね? カケル殿、サラサ」
 愛里と姫は仲良く話をしている。気が合うようだ。
「はい。承知しました」
 サラサさんは姫にお辞儀をした。

 俺は頷いた。
いい人が探せるといいが……。

 
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