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15 勝負の終わり ※R-18
しおりを挟む抱いた髪からはいい香りがした。
なんの香りだろう、と熱に浮かされたような頭でそんなことを考えていた。
直真さんの部屋に入ると、すぐに寝室に連れてこられた。
少し怒っていたのもあったと思う。
機嫌はちょっと悪かったけれど、体を抱きしめると、その怒りは薄れたのがわかった。
仕返しなのか、しつこいくらいに指と舌が体を這いまわり、息が乱れるまで、下腹部には触れずに体を愛でた。
なんて、ひどいことをするんだろうと思うほどに焦らし、苦しさのあまり、頭をきつく抱いていた。
ちょうど胸のあたりに顔があり、舌がちろちろと突起を舐めあげるたび、下腹部がじんっとして、仕方ない。
「やっ…もぅっ…」
「少しでも理性があると、すぐに抵抗するからな」
「…っ!」
つぷ、と舌がようやく蜜壺に入れられた時には蜜がこぼれ、したたっていた。
「まだ触れてなかったのにこんなに濡れてるぞ」
じゅ、と音を立て吸い上げると恥ずかしくて、仕方ない。
「それ、やっ!」
指でぐちゅっと中をかき混ぜられると、腰が浮き、甘い疼きに体がしびれた。
「はっ……あっ!」
指が二本になり、くちゅくちゅと音を立てて前後に動かされると、苦しいのに擦られる度に脚から力が抜けていき、湧き上がる快楽で声を抑えることができなかった。
「あぁ…、あっ、ああっ」
何度か、小さく痙攣し、達すると、それでもまだ指は体を追い立てた。
「ふっあっ、あっ」
もう無理、と思った瞬間、ずるりと指が抜かれ、熱をそのままに悪魔のように笑った。
「あ…」
「どうしてほしい」
「…こ、んなっ…ぅア」
前の突起をぐりっと指で押さえつけ、ひくんっと入り口が震えた。
「言わないと、ずっとこのままだからな」
指で転がして、苦しそうに喘ぐ姿を愉しんで、太ももに垂れた蜜を舌で舐める。
「ひあぅ」
「まだ、ここに欲しくないか?」
ぐるりと中をかき混ぜられるとおかしくなりそうなくらいに気持ちがいい。
「あっ……いじ…わるしないで…」
余裕たっぷりな顔に反撃しようと、かぶっと肩を噛んだ。
「っ!」
顔をしかめたのは一瞬で、熱っぽい顔でこっちを見た。
「お前っ…本当になにするか…」
わからないな、という声が消えて、代わりに熱くたぎった固いものが入り口に添えられ、性急に中へ一気に埋め込まれた。
「あっ…うっ!」
痛みに身を強張らせると、苦し気な声で直真さんが言った。
「悪いのはっ…お前だからな…」
ゆっくりと動きだし、中をこすりあげた。
「あっ、ひっ、うっ」
一度に与えられた衝撃に混乱して、涙がこぼれた。
痛みと甘い刺激に体がどうにかなってしまいそうだった。
「こっちが優しくするつもりが…」
体を揺さぶられ、激しく貫かれ、声がかき消された。
じゅぶじゅぶと絡まり合う音に体が反応し、淫らな気分にされてしまう。
深くまで貫かれたとき、頭が真っ白になった。
「あ…あっ…」
意識が完全に落ちる前、優しい声で直真さんは言った。
「愛している、有里」
蕩けてしまいそうな熱い唇で口づけをし、それに答えることができずに意識を失った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
朝になり、一緒にお風呂に入りたいというので、渋々入った。
そこでも、体をぴったりと寄せて離してくれなかった。
意外と寂しがりやなのかもしれない。
一階のコンシェルジュに朝食を直真さんが頼んでくれた。
これが、金持ちか…と思いながら、届けられた朝食を眺めた。
「それで、お前の負けだよな」
サラダのトマトを刺して勝ち誇った顔で直真さんは言った。
なんか、ムカつく。
「違います。勝負に勝って、試合に負けただけですから」
「またわけのわからないことを…!」
「だから、引き分けでいいです」
「お前が決めるのかよ!」
ふわふわのオムレツを食べながら、言った。
「お願いがあるんです」
「なんだよ」
命令は嫌いって言ってたけど。知ったことではない。
「私以外の女の人に触れないで」
飲みかけたコーヒーを置き、直真さんは笑った。
「馬鹿か。昨日の夜に言えよ。―――わかった」
そして、照れたように目を伏せたのだった。
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