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12 絶交します! ※微R-18
しおりを挟む目を覚ますと、ベッドの上に横になっていた。
見覚えがある。
高級マンションの一室にして、直真さんの部屋だ。
制服の上着がきちんとハンガーにかけられ、シャツとスカート姿のまま、眠っていたようだった。
「目が覚めたか」
「あの、若菜ちゃん達は?」
「クビだな」
「もうやめてください!今回、こんなことになったのはやりすぎたせいですよ!倉庫に左遷するなんて」
「仕事もできなかったし、当然だろう?評判も悪かったしな」
「やり方を言ってるんです。恨みを買わないようにもっとできないんですか?やりすぎなんですよ!」
「俺には俺のやり方がある。敵は徹底的に潰す」
「だからっ」
言いかけた言葉を奪うように唇を塞いだ。
「……っ!」
「うるさい」
「や、やめっ」
なにか言おうとしてもすぐに唇が追ってくる。
「や、だっ」
直真さんの舌が口腔内で舌をなぞると、びくりと体が震えた。
な、なにこれっ……。
「はっ……」
何度も繰り返されると、頭の中がぼうっとしてしまい、下腹部がじんっと疼いた。
気づくと指がシャツの間に滑り込み、胸を手のひらにおさめると下から上へと撫でて胸の突起を指が弾くたび、体から力が抜けて、好きなようにされてしまう。
「んっ、んんっ、あっ、や」
なれた手つきで、服を脱がし、気づくとベッドに体を押し倒されていた。
圧倒的に経験値が足りなさすぎる。
翻弄されるだけで、抵抗すら許してくれなかった。
乱暴な真似をされているはずなのに撫でる手は優しく、ゆっくりと体のラインをなぞる。
整った顔が胸に近づき、ざらりとした舌が胸の突起に触れるか、触れないかのあたりをわざと舐められ、焦らされて、歯が突起にあてられると今までこらえていた熱がまとまって、体に刺激を与えた。
「やっ!あああっ!」
「力を抜け」
「な、んっ…」
気づくと、指が下腹部を這い、くちゅ、と濡れた蜜壺を指が丁寧にほぐして中に入り込んできた。
「うそ!やだ!」
さすがにこの異物感は耐え難く、恐怖の方が大きかった。
抵抗しようとすると、指で前の突起をなぶられ、激しい刺激が体に走った。
「ひ、うっ!」
「ここを押さえられると、堪らないだろう?」
「んっあ……」
ぐりぐりと前の突起を指で転がされ、びりびりとした刺激に腰が浮いた。
女の体を知りつくし、簡単に感じさせてしまう。
「やっ…あ」
初めてなのに蜜壺の入り口は濡れ、指をあっさり飲み込んでいた。
壁を擦るたび、理性が飛びそうになるのを必死でつなぎとめて言った。
「もう…やめてください」
力の入らない手で体を押し返し、睨みつけた。
「なんでっ、話を聞いてくれないんですか!」
怒鳴りつけると直真さんの手が止まり、こっちをようやく見てくれた。
「なんでって」
困ったように直真さんは首をかしげた。
「自分ばっかりっ!正しいと思わないでくださいよ!大嫌いです!絶交ですからねっ!」
ブチギレた私に呆気をとられている間に服を着て、部屋から出ていった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
泣きながら、帰ってきたせいで、兄と弟は驚いていたけれど、なにも言わずにいるのを遠巻きに眺めていた。
親は商店街のツアー旅行でいなかった。
「もう休もう…」
精神的にも肉体的にも限界だった。
正直、疲れ切っていて眠ってしまいたい。
お風呂に入ると、胸と殴られた腹の辺りに赤い痕が残っていた。
最悪だ。
それとは別に胸と首筋に赤い花のような痕が残り―――思い出すと、顔が赤らんだ。
あの鋭い目に反して、優しい指の感触がまだ残っている気がした。
「もー!!」
ザブッとお湯に潜った。
なんて危険な男なんだろう。
お風呂からあがると、圭吾兄ちゃんが心配そうに聞いてきた。
「有里、なにかあったのか?」
「ないよ」
「いーや!あったな。兄ちゃんに言ってみろ!」
「平気だよ。もう、寝る。おやすみ」
「有里!」
「マジかよ。有里がゲームしないなんて」
伊吹まで驚いていた。
今日はもう何もできそうになかった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
朝になり、人事部長に休みの電話をいれた。
今日は会社に行きたくなかった。というか、直真さんの顔を見たくなかった。
「有里。ずる休みか」
布団を頭からかぶり、動かない私に伊吹が言った。
「違う、心の休暇だ」
黒のゲームコントローラーを握って言った。
「いいけどさ。なにがあったか、話してみ」
伊吹が優しく言ってくれたけど。
バカか!言えるかっっ!と、喉元まで出かかった。
「なにもない」
「いや、あったな。今、操作に遅れがあったし、キャラが壁にぶつかって動けてなかったろ」
「キャラじゃなく、リアルの顔見て判断して!?」
どういうことよ。
「大変だ!有里!社長を名乗る男が来たぞ」
圭吾兄ちゃんが呼んだけど、布団を頭からかぶり、首を横に振った。
会いたくない。
「有里、あいつか?あの男になんかされたのか?」
「うるさい!」
「反抗期か?」
低くドスのきいた声が背後からした―――振り返ると、凶悪な顔をした直真さんがいた。
寝起きでパジャマな上にゲーム中。
こんなの百年の恋も一瞬で終わるわ―――
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