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5 飲み会
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私が秘書になり、一ヶ月が過ぎた。
女子社員から、小さい嫌がらせはあったけれど、回避できない程度ではなかった。
フロアが完全に別だし、たまにしか社内を歩くことがないから会う機会も少ない。
会議には偉そうなおじさんしか出席しておらず、会うとすれば、出社した時と退社の時に受付前を通るくらい。
それ以外は何事もなく、平和なもので淡々と日々の業務をこなしていた。
昼休み、お弁当を食べ終えて、ちょっと夜のゴールデンタイムのためにひと眠りしておくかと思っていると、突然、携帯電話が鳴った。
「有里せんぱーい」
「若菜ちゃん?どうしたの?」
「もぉー!どうしたの?じゃないですー!ずるいじゃないですか!八木沢さんの秘書になって。教えてくれないんだもん」
あなたに教える必要ありましたっけ?
そこまで親しかった覚えはない。
「辞令は見たでしょ?」
「見ましたけど、先輩、冷たすぎ。もー、お詫びに今日、飲みに付き合ってくださいよー」
「えっ!?なぜ、私が若菜ちゃんにお詫びを!?」
「迎えにいきますからね!」
プツッと通話が切れた。
え、マジで?
ショックを受けていると、昼休みが終わってしまった。
午後からの仕事は季節の挨拶状を送るためのリストを作成するくらいで、あとはやることもない。
明日は土曜なのに。
金曜の今日はウキウキで徹夜の勢いだったよ?私。
泣きたい。
はあ、傷は浅い方がいい。
弟の携帯に電話をかけた。
「伊吹。大変なの」
『どうした!?』
「急に予定が入って」
『あー。今日の分のノルマしておけばいい?』
物わかりのいい弟だ。
「そう。伊吹しか頼れないからお願い」
『千円な』
ぐっ!この鬼!
金を巻き上げるとはやりよる……。
携帯を置き、ため息をついた。
「なにかトラブルですか?」
げっ!社長。
「すみません。ちょっといろいろあって」
「悩みがあれば、聞きますよ」
「ありがとうございます。大丈夫です」
『急に飲み会の予定が入って、ネトゲの本日分のノルマが終わらないんですー!』なんて社長に言えるわけがない。
さすがの私もそこは良識ある社会人。
「そうですか」
どことなく、がっかりしたように見えたけど、気のせいよね?
仕事が終わると、会社の受け付け前に楽しそうに話す若菜ちゃんと受付の女子社員がいた。
なにを盛り上がってるのかな。
「若菜ちゃん。おまたせ」
「あ、せんぱーい」
「早いわよ」
ちゃんと仕事してきたのかな……。
「そーですかぁ。先輩、秘書室に案内してくださいよー」
「今、秘書室から出てきたばかりなのにまた戻るの!?」
「久しぶりに八木沢さんを見たいんですー」
はあ?
社長は珍獣かなにかなの?
「社長は仕事中だから、無理じゃないかな」
「先輩のケチー」
「木村さん。会わせてあげたら、いいじゃないですか」
「社長を独り占めですか」
受付の二人組が口を挟んだ。
怒ると、こういうとき、面倒になるんだよね。
「独り占めはしていません。社長と話したかったら、私を通さずに受付から連絡をしてもらったらどう?」
「こわーい」
「叱られちゃったー」
うわ。なんなの。
叱ってないと思うんだけど。
「先輩。怒らないで!冗談ですって。行きましょ!」
若菜ちゃんは腕を絡ませ、ぐいぐいと強引に私を引っ張った。
なんて強引な……。
いや、この強引さがあるからこそ、人気なのか。
若菜ちゃんは私を引きずるように連れて行った。
その時、私の心の中のBGMは『ドナドナ』だったことは言うまでもない。
「先輩、この店でーす」
飲みに行こうってここ?
新しいイタリアンレストランで、高いけど美味しいと評判だった。
「二人で飲むんじゃないんだ……」
「そうですよ。女二人で飲んで何が楽しいんですか?」
イタリアンレストランに連れてこられたあげくに目の前には男の人が三人。
「一緒に働いている有里先輩でーす」
「へぇー、若菜ちゃんの先輩か」
明らかにみんな、若菜ちゃん狙いなんですけど。
「先輩、まだ独身だから誰か紹介してあげてくださいよー」
は!?頼んでないのに何を言ってるの!?
「若菜ちゃんの先輩は何歳ですか?」
一番遠くに座っていた大人しめのメガネ君がきいてきた。
「はあ、二十六歳ですけど」
しーんと静まり返った。
え、なにそれ。なんなのその反応。
「若菜ちゃんは二十四歳だよね」
「そうでーす。もうオバサンで、ほんと、やだー」
「全然そんなことないよ」
ばかばかしい―――せっかくなので、出てきた料理でも楽しもう。
若菜ちゃんにしたら、この男の人達はレア装備と同じで私に自慢したかっただけなんだろうな。
この男の人達が若菜ちゃんにとって勝ち得たものか。
そう思うと、寛大に許してあげようという気分にもなるものだ。
あー、早く帰ってゲームしたーい。
評判がいいだけあって、料理が美味しいのだけは救いだった。
豚肉のソテーもフレッシュトマトのパスタもいい味だし。
これはデザートも期待できるわね。
「先輩にもなにか話題をふってあげてくださいよー」
「有里ちゃんは趣味とかあるの?」
有里ちゃん!?
いきなり、名前呼びして許されるのは八木沢社長レベルのフェイスじゃないとダメだってことが、たった今、私の中で証明された。
「そうですねー。最近は裁縫(装備のために)とか、調理(レベリングのために)ですかねー」
「有里ちゃん、女の子らしいね」
「そんなことないですよ。まだ極めていないので」
帰ってスキル上げしたい。
「どれくらいまで、極めたいの?」
「それは最高レベルまでは」
もう会わないだろうと思い、適当に言っておいた。
「すごいんだね」
「周りにすごい人が多すぎて、私なんてまだまだです」
私なんてライトユーザー(自称)だし。
「謙虚だねー」
なぜか、注目を集めてしまった。
ノリノリでやりすぎた?
もしかして。
「先輩ってビッチですよねー」
「は?」
「今、先輩って社長秘書で、社長を狙ってますもんね。社長に色目を使ってるって会社の受付の子達言ってましたよー」
「色目!?私が!?」
若菜ちゃんの言葉に全員がドン引きした。
いや、まあ、そうなるよね。
どうしたらいいか、困っていると―――
「色目を使われた覚えはないな」
若菜ちゃんが驚いて、その声の主を見て声を張り上げた。
「やっ……八木沢さんっ!!」
爽やかな笑顔で突然、八木沢社長が現れた。
うわあ。
明らかに段違いのイケメン。
着ているものも、身に付けているものも、並ぶとその差は歴然だった。
これは強い(確信)
「有里さん。今日、食事の約束をしていたと思うんだけど?」
「えっ」
そんなはずは。
あれ?したっけ?
「それじゃあ、失礼しようか。そうだ。これ、有里さんの食事代にどうぞ」
テーブルに一万円札が何枚もひらひらと宙を舞った。
唖然とした顔で全員、なにも言えずに見ていた。
自然な流れで、肩を抱くと店から出た。
運転手付きの車が待っており、車に乗ると、やっと我に返った。
「あの、食事の約束ってしてました?」
「まさか。たまたま食事をしようと思って、入ったら有里さんがいたからね。挨拶をしようとしたら、不名誉なことを言われていたし」
「はあ」
いや、あなたがモテすぎるせいなんですよ。
そもそも。
「偶然とはいえ、助かりました。ありがとうございます」
何となく、納得できなかったが、お礼を言った。
女子社員から、小さい嫌がらせはあったけれど、回避できない程度ではなかった。
フロアが完全に別だし、たまにしか社内を歩くことがないから会う機会も少ない。
会議には偉そうなおじさんしか出席しておらず、会うとすれば、出社した時と退社の時に受付前を通るくらい。
それ以外は何事もなく、平和なもので淡々と日々の業務をこなしていた。
昼休み、お弁当を食べ終えて、ちょっと夜のゴールデンタイムのためにひと眠りしておくかと思っていると、突然、携帯電話が鳴った。
「有里せんぱーい」
「若菜ちゃん?どうしたの?」
「もぉー!どうしたの?じゃないですー!ずるいじゃないですか!八木沢さんの秘書になって。教えてくれないんだもん」
あなたに教える必要ありましたっけ?
そこまで親しかった覚えはない。
「辞令は見たでしょ?」
「見ましたけど、先輩、冷たすぎ。もー、お詫びに今日、飲みに付き合ってくださいよー」
「えっ!?なぜ、私が若菜ちゃんにお詫びを!?」
「迎えにいきますからね!」
プツッと通話が切れた。
え、マジで?
ショックを受けていると、昼休みが終わってしまった。
午後からの仕事は季節の挨拶状を送るためのリストを作成するくらいで、あとはやることもない。
明日は土曜なのに。
金曜の今日はウキウキで徹夜の勢いだったよ?私。
泣きたい。
はあ、傷は浅い方がいい。
弟の携帯に電話をかけた。
「伊吹。大変なの」
『どうした!?』
「急に予定が入って」
『あー。今日の分のノルマしておけばいい?』
物わかりのいい弟だ。
「そう。伊吹しか頼れないからお願い」
『千円な』
ぐっ!この鬼!
金を巻き上げるとはやりよる……。
携帯を置き、ため息をついた。
「なにかトラブルですか?」
げっ!社長。
「すみません。ちょっといろいろあって」
「悩みがあれば、聞きますよ」
「ありがとうございます。大丈夫です」
『急に飲み会の予定が入って、ネトゲの本日分のノルマが終わらないんですー!』なんて社長に言えるわけがない。
さすがの私もそこは良識ある社会人。
「そうですか」
どことなく、がっかりしたように見えたけど、気のせいよね?
仕事が終わると、会社の受け付け前に楽しそうに話す若菜ちゃんと受付の女子社員がいた。
なにを盛り上がってるのかな。
「若菜ちゃん。おまたせ」
「あ、せんぱーい」
「早いわよ」
ちゃんと仕事してきたのかな……。
「そーですかぁ。先輩、秘書室に案内してくださいよー」
「今、秘書室から出てきたばかりなのにまた戻るの!?」
「久しぶりに八木沢さんを見たいんですー」
はあ?
社長は珍獣かなにかなの?
「社長は仕事中だから、無理じゃないかな」
「先輩のケチー」
「木村さん。会わせてあげたら、いいじゃないですか」
「社長を独り占めですか」
受付の二人組が口を挟んだ。
怒ると、こういうとき、面倒になるんだよね。
「独り占めはしていません。社長と話したかったら、私を通さずに受付から連絡をしてもらったらどう?」
「こわーい」
「叱られちゃったー」
うわ。なんなの。
叱ってないと思うんだけど。
「先輩。怒らないで!冗談ですって。行きましょ!」
若菜ちゃんは腕を絡ませ、ぐいぐいと強引に私を引っ張った。
なんて強引な……。
いや、この強引さがあるからこそ、人気なのか。
若菜ちゃんは私を引きずるように連れて行った。
その時、私の心の中のBGMは『ドナドナ』だったことは言うまでもない。
「先輩、この店でーす」
飲みに行こうってここ?
新しいイタリアンレストランで、高いけど美味しいと評判だった。
「二人で飲むんじゃないんだ……」
「そうですよ。女二人で飲んで何が楽しいんですか?」
イタリアンレストランに連れてこられたあげくに目の前には男の人が三人。
「一緒に働いている有里先輩でーす」
「へぇー、若菜ちゃんの先輩か」
明らかにみんな、若菜ちゃん狙いなんですけど。
「先輩、まだ独身だから誰か紹介してあげてくださいよー」
は!?頼んでないのに何を言ってるの!?
「若菜ちゃんの先輩は何歳ですか?」
一番遠くに座っていた大人しめのメガネ君がきいてきた。
「はあ、二十六歳ですけど」
しーんと静まり返った。
え、なにそれ。なんなのその反応。
「若菜ちゃんは二十四歳だよね」
「そうでーす。もうオバサンで、ほんと、やだー」
「全然そんなことないよ」
ばかばかしい―――せっかくなので、出てきた料理でも楽しもう。
若菜ちゃんにしたら、この男の人達はレア装備と同じで私に自慢したかっただけなんだろうな。
この男の人達が若菜ちゃんにとって勝ち得たものか。
そう思うと、寛大に許してあげようという気分にもなるものだ。
あー、早く帰ってゲームしたーい。
評判がいいだけあって、料理が美味しいのだけは救いだった。
豚肉のソテーもフレッシュトマトのパスタもいい味だし。
これはデザートも期待できるわね。
「先輩にもなにか話題をふってあげてくださいよー」
「有里ちゃんは趣味とかあるの?」
有里ちゃん!?
いきなり、名前呼びして許されるのは八木沢社長レベルのフェイスじゃないとダメだってことが、たった今、私の中で証明された。
「そうですねー。最近は裁縫(装備のために)とか、調理(レベリングのために)ですかねー」
「有里ちゃん、女の子らしいね」
「そんなことないですよ。まだ極めていないので」
帰ってスキル上げしたい。
「どれくらいまで、極めたいの?」
「それは最高レベルまでは」
もう会わないだろうと思い、適当に言っておいた。
「すごいんだね」
「周りにすごい人が多すぎて、私なんてまだまだです」
私なんてライトユーザー(自称)だし。
「謙虚だねー」
なぜか、注目を集めてしまった。
ノリノリでやりすぎた?
もしかして。
「先輩ってビッチですよねー」
「は?」
「今、先輩って社長秘書で、社長を狙ってますもんね。社長に色目を使ってるって会社の受付の子達言ってましたよー」
「色目!?私が!?」
若菜ちゃんの言葉に全員がドン引きした。
いや、まあ、そうなるよね。
どうしたらいいか、困っていると―――
「色目を使われた覚えはないな」
若菜ちゃんが驚いて、その声の主を見て声を張り上げた。
「やっ……八木沢さんっ!!」
爽やかな笑顔で突然、八木沢社長が現れた。
うわあ。
明らかに段違いのイケメン。
着ているものも、身に付けているものも、並ぶとその差は歴然だった。
これは強い(確信)
「有里さん。今日、食事の約束をしていたと思うんだけど?」
「えっ」
そんなはずは。
あれ?したっけ?
「それじゃあ、失礼しようか。そうだ。これ、有里さんの食事代にどうぞ」
テーブルに一万円札が何枚もひらひらと宙を舞った。
唖然とした顔で全員、なにも言えずに見ていた。
自然な流れで、肩を抱くと店から出た。
運転手付きの車が待っており、車に乗ると、やっと我に返った。
「あの、食事の約束ってしてました?」
「まさか。たまたま食事をしようと思って、入ったら有里さんがいたからね。挨拶をしようとしたら、不名誉なことを言われていたし」
「はあ」
いや、あなたがモテすぎるせいなんですよ。
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