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May
18 叱咤【理滉】
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ライターを手に取り、苛立ちながら煙草に火をつけた。
昨日の晩もなかなか眠れず、やっと眠れたと思ったら嫌な夢を見て目が覚めた。
窓を開けると雨はあがっているはずなのに雨の匂いがして、髪や体に残る雨粒を思い出す。
空気中に漂う湿気のせいなのか。
それが望未が部屋にいたという証拠みたいで嫌だった。
部屋に入れたのが失敗だった。
不安定だった俺の心はよけいに乱れ、落ち着かない。
「だから、ガキは嫌なんだ」
無邪気に近寄ってくるから、うまく距離をとれない。
いつもなら、うまく距離をとれるはずが、部屋にまで入れ、危うく最後まで抱くところだった。
だめだと突き放せばよかった。
それができずに心地いい暖かさに誘われるまま、限界まで近づいてしまった。
「あいつ、ちゃんと帰ったよな……」
気まぐれに連絡先を渡したが、無駄になったな。
向こうからは連絡どころか、会っても挨拶もしてこないだろう。
そう思いながらスマホの画面を見ると、スマホに着信履歴が残っていた。
「渋木唯冬?」
メッセージが入っている。
『カフェ『音の葉』にきていただけませんか?』
馬鹿丁寧な文章で仕事の用件かもしれない。
今日はあの店は休みだったはずだ。
気にかけているわけじゃないが、張り紙があるのを見かけた。
さすがに昨日今日で望未には会えない。
―――会いたくなかった。
「……なんだ。ガラにもない」
俺はどうやら、珍しく堪えているようだった。
本当に俺らしくない。
手放したことを後悔することなんてな。
笑いながら、渋木にメッセージを返す。
『しばらく待ってろ』
シャワーを浴びて着替えてからだ。
こんな精神状態じゃ出掛ける気にもなれない。
感情をリセットするため、シャワーを浴び、服を着替える。
「……あいつ」
肩に残る歯の痕―――しっかり残していった。
熱いシャワーのお湯を浴びながら、その痕を眺めた。
俺は多分、あいつといる時はいつもの俺じゃなかった。
女を癒すつもりで付き合うのが普段の自分。
けど、俺は望未を傷つけただけ。
どれだけ傷つけてもあいつは食らいついてくる。
ぽたぽたと髪からお湯が落ちていることも、目に入りそうだということも。
今は全部、忘れていた。
無意識にその噛み痕に唇を寄せて触れた。
慈しむように。
「俺は馬鹿か……」
自分で突き放しておいて、いまさら何してんだ。
「けっこう、気に入っていたんだな」
熱いお湯を頭からかぶり、目を閉じた。
誰かをそばに置く気はない。
失うくらいなら、いっそなにも持たないほうが辛くない。
たまたま、今回は情が移っただけだ。
時がたてば、また元に戻る―――シャワーのお湯を止めた。
シャワーを浴び、着替えると、自分の感傷的な気持ちを振り切るようにして部屋を出た。
昨日の雨の名残か、水たまりが道路わきに残っていた。
公園前を早足で通り過ぎ、大通りに出る。
緑に囲まれたビルの一階にカフェ『音の葉』はある。
都会にあって、緑を感じられる場所のせいか、けっこう繁盛しているカフェだと思う。
早足だったせいか、早く着いてしまった。
カフェ『音の葉』の横の桜の木からは朝まで降っていた雨で葉から雫を滴らせていた。
店を覗くと中は暗く、札は準備中のまま。
「なんだ。呼び出しておいて誰もいないとかはないよな?」
ドアノブに手を触れた。
鍵はかかっていない。
ドアを開けると、スタインウェイのグランドピアノの前に渋木唯冬が立っているのが見えた。
温度を感じさせない容姿のせいか、一瞬、本物の人形ではと錯覚しそうになった。
その横には陣川知久が頬杖をついて、俺を横目で見ていた。
そして、椅子に座っていたのはこの店の店長の渋木小百里。
ガタッと椅子から立ち上がり、ツカツカと歩いてくると俺の前で立ち止まった。
女神のように優しく、美しく、にっこりと微笑んだ。
極上の笑みのまま、手をさっと振り上げる。
なにをするのだろうと思っているとパンッと乾いた音が響いた。
自分が殴られていることに気づくまで時間がかかった。
「なっ……!?」
パンッと二度目の平手打ち。
「手を痛めるから、もうやめたほうがいいよ。小百里さん」
陣川がその白い手をとり、止めた。
微笑んだまま、俺の目を見据えていた。
なんだ、この女。
「あなたが自分で思っているよりも周りはあなたを心配しているのよ。それがわからないの?」
さすが渋木の姉だ。
俺を呼び出して、いきなり平手打ちするとはただものじゃない。
しかも、かなりの強さで。
「望未ちゃんはあなたがいつも付き合うような女の人達とは違っていた。だから、私も望未ちゃんが傷つくとわかっていても、止めなかった」
「止めろよ。俺みたいな男をあいつに近づけさせるな」
「近づけさせたくなかったわ。望未ちゃんはきっと他の人でも幸せになれる。でも、梶井さん。あなたは違う」
「あいつが幸せになれるなら、その他の人と付き合わせろよ。いちいち、俺を呼びつけるな」
「いつもは余裕なのに必死だね」
陣川がくすりと笑った。
なんだ、こいつ―――いつもの軽さがない。
重たい空気が流れた。
「小百里さんは梶井さんのことも心配してくれているんだよ。わからないかな?望未ちゃんを逃しちゃったら、先がない。そう言っているんだ」
俺の未来。
死んだ母の姿が頭にちらついて、ギクリとした。
繰り返される悪夢とまとわりつく母の亡霊。
母を捨てた俺の罪はいつまでたっても消えない。
「このまま、一人でいるならいればいいよ。けど、中途半端に手をだして傷つけるのは感心しないな」
陣川は俺のそばまでくると、ポケットに紙を滑り込ませた。
「望未ちゃんに謝ってよ?でないと、また呼ぶからね」
「梶井さん。姉さんは怒らせると怖いから気を付けてください」
笑いながら渋木はカフェのドアを開けた。
用は済んだから、もう帰れ、ということか。
「間違いなく、お前の姉だよ」
「そうですね」
渋木はにこりと微笑んだ。
女なら、喜ぶであろう笑顔。
だが、俺は背筋に寒いものを感じた。
俺が女なら絶対に避けるタイプだ。
裏切ったら、殺されそうだからな。
なにがクラシック界の王子だ。
曲者揃いの三人組め。
お前らは魔王だろう。
その極上の微笑みに俺は苦笑で返した。
「あいつに連絡するかどうかは俺が決める。今は距離を置くべきだと俺は思っている。俺と一緒にいていいことなんかなにもないからな」
あいつにとって、俺はきっと毒にしかならない。
また泣かせるだけだ。
それなら、いっそ近づかないほうがいい。
「梶井さん、あなた―――」
渋木小百里が口を開きかけたのを手で制した。
「もう何も言うな」
そう言って、店を出た。
青い空が広がり、雨でぬれた道路が乾き始めていた。
言われなくても俺が一番わかっている。
「嫌な奴らだな」
俺に自覚させるために呼んだのだ。
望未の持つ明るさや優しさに俺の方が彼女にすがっていたんだと 、 教えるために。
気づかないほうがよかった。
スマホを取り出して、ドイツ行きの航空券を予約した。
あいつのためにも―――俺はいないほうがいい。
昨日の晩もなかなか眠れず、やっと眠れたと思ったら嫌な夢を見て目が覚めた。
窓を開けると雨はあがっているはずなのに雨の匂いがして、髪や体に残る雨粒を思い出す。
空気中に漂う湿気のせいなのか。
それが望未が部屋にいたという証拠みたいで嫌だった。
部屋に入れたのが失敗だった。
不安定だった俺の心はよけいに乱れ、落ち着かない。
「だから、ガキは嫌なんだ」
無邪気に近寄ってくるから、うまく距離をとれない。
いつもなら、うまく距離をとれるはずが、部屋にまで入れ、危うく最後まで抱くところだった。
だめだと突き放せばよかった。
それができずに心地いい暖かさに誘われるまま、限界まで近づいてしまった。
「あいつ、ちゃんと帰ったよな……」
気まぐれに連絡先を渡したが、無駄になったな。
向こうからは連絡どころか、会っても挨拶もしてこないだろう。
そう思いながらスマホの画面を見ると、スマホに着信履歴が残っていた。
「渋木唯冬?」
メッセージが入っている。
『カフェ『音の葉』にきていただけませんか?』
馬鹿丁寧な文章で仕事の用件かもしれない。
今日はあの店は休みだったはずだ。
気にかけているわけじゃないが、張り紙があるのを見かけた。
さすがに昨日今日で望未には会えない。
―――会いたくなかった。
「……なんだ。ガラにもない」
俺はどうやら、珍しく堪えているようだった。
本当に俺らしくない。
手放したことを後悔することなんてな。
笑いながら、渋木にメッセージを返す。
『しばらく待ってろ』
シャワーを浴びて着替えてからだ。
こんな精神状態じゃ出掛ける気にもなれない。
感情をリセットするため、シャワーを浴び、服を着替える。
「……あいつ」
肩に残る歯の痕―――しっかり残していった。
熱いシャワーのお湯を浴びながら、その痕を眺めた。
俺は多分、あいつといる時はいつもの俺じゃなかった。
女を癒すつもりで付き合うのが普段の自分。
けど、俺は望未を傷つけただけ。
どれだけ傷つけてもあいつは食らいついてくる。
ぽたぽたと髪からお湯が落ちていることも、目に入りそうだということも。
今は全部、忘れていた。
無意識にその噛み痕に唇を寄せて触れた。
慈しむように。
「俺は馬鹿か……」
自分で突き放しておいて、いまさら何してんだ。
「けっこう、気に入っていたんだな」
熱いお湯を頭からかぶり、目を閉じた。
誰かをそばに置く気はない。
失うくらいなら、いっそなにも持たないほうが辛くない。
たまたま、今回は情が移っただけだ。
時がたてば、また元に戻る―――シャワーのお湯を止めた。
シャワーを浴び、着替えると、自分の感傷的な気持ちを振り切るようにして部屋を出た。
昨日の雨の名残か、水たまりが道路わきに残っていた。
公園前を早足で通り過ぎ、大通りに出る。
緑に囲まれたビルの一階にカフェ『音の葉』はある。
都会にあって、緑を感じられる場所のせいか、けっこう繁盛しているカフェだと思う。
早足だったせいか、早く着いてしまった。
カフェ『音の葉』の横の桜の木からは朝まで降っていた雨で葉から雫を滴らせていた。
店を覗くと中は暗く、札は準備中のまま。
「なんだ。呼び出しておいて誰もいないとかはないよな?」
ドアノブに手を触れた。
鍵はかかっていない。
ドアを開けると、スタインウェイのグランドピアノの前に渋木唯冬が立っているのが見えた。
温度を感じさせない容姿のせいか、一瞬、本物の人形ではと錯覚しそうになった。
その横には陣川知久が頬杖をついて、俺を横目で見ていた。
そして、椅子に座っていたのはこの店の店長の渋木小百里。
ガタッと椅子から立ち上がり、ツカツカと歩いてくると俺の前で立ち止まった。
女神のように優しく、美しく、にっこりと微笑んだ。
極上の笑みのまま、手をさっと振り上げる。
なにをするのだろうと思っているとパンッと乾いた音が響いた。
自分が殴られていることに気づくまで時間がかかった。
「なっ……!?」
パンッと二度目の平手打ち。
「手を痛めるから、もうやめたほうがいいよ。小百里さん」
陣川がその白い手をとり、止めた。
微笑んだまま、俺の目を見据えていた。
なんだ、この女。
「あなたが自分で思っているよりも周りはあなたを心配しているのよ。それがわからないの?」
さすが渋木の姉だ。
俺を呼び出して、いきなり平手打ちするとはただものじゃない。
しかも、かなりの強さで。
「望未ちゃんはあなたがいつも付き合うような女の人達とは違っていた。だから、私も望未ちゃんが傷つくとわかっていても、止めなかった」
「止めろよ。俺みたいな男をあいつに近づけさせるな」
「近づけさせたくなかったわ。望未ちゃんはきっと他の人でも幸せになれる。でも、梶井さん。あなたは違う」
「あいつが幸せになれるなら、その他の人と付き合わせろよ。いちいち、俺を呼びつけるな」
「いつもは余裕なのに必死だね」
陣川がくすりと笑った。
なんだ、こいつ―――いつもの軽さがない。
重たい空気が流れた。
「小百里さんは梶井さんのことも心配してくれているんだよ。わからないかな?望未ちゃんを逃しちゃったら、先がない。そう言っているんだ」
俺の未来。
死んだ母の姿が頭にちらついて、ギクリとした。
繰り返される悪夢とまとわりつく母の亡霊。
母を捨てた俺の罪はいつまでたっても消えない。
「このまま、一人でいるならいればいいよ。けど、中途半端に手をだして傷つけるのは感心しないな」
陣川は俺のそばまでくると、ポケットに紙を滑り込ませた。
「望未ちゃんに謝ってよ?でないと、また呼ぶからね」
「梶井さん。姉さんは怒らせると怖いから気を付けてください」
笑いながら渋木はカフェのドアを開けた。
用は済んだから、もう帰れ、ということか。
「間違いなく、お前の姉だよ」
「そうですね」
渋木はにこりと微笑んだ。
女なら、喜ぶであろう笑顔。
だが、俺は背筋に寒いものを感じた。
俺が女なら絶対に避けるタイプだ。
裏切ったら、殺されそうだからな。
なにがクラシック界の王子だ。
曲者揃いの三人組め。
お前らは魔王だろう。
その極上の微笑みに俺は苦笑で返した。
「あいつに連絡するかどうかは俺が決める。今は距離を置くべきだと俺は思っている。俺と一緒にいていいことなんかなにもないからな」
あいつにとって、俺はきっと毒にしかならない。
また泣かせるだけだ。
それなら、いっそ近づかないほうがいい。
「梶井さん、あなた―――」
渋木小百里が口を開きかけたのを手で制した。
「もう何も言うな」
そう言って、店を出た。
青い空が広がり、雨でぬれた道路が乾き始めていた。
言われなくても俺が一番わかっている。
「嫌な奴らだな」
俺に自覚させるために呼んだのだ。
望未の持つ明るさや優しさに俺の方が彼女にすがっていたんだと 、 教えるために。
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