28 / 31
番外編 (麗奈のその後)
1 露原家の嫁
しおりを挟む
「露原家の嫁として、相応しい立ち振舞いを身につけて頂きますからね!」
任せてください、お義母様ーーーなんて、私が言うとでも思った?
言うわけないでしょ!
今日は聡さんの実家に連れてこられているんだけど、もう最悪。
聡さんと籍を入れたので、その報告にきただけなのに露原のおば様じゃない、お義母様はいきなりそんなことを言い出して、こっちはいい迷惑よ!
「まずはお辞儀から」
ちら、と聡さんを見ると、謝るように手を合わせていた。
渋々、お辞儀した。
「姿勢がよろしくない!」
なにそれ。
いつまでも頭を下げているのも馬鹿馬鹿しくなって、顔を上げると、ぎろりと睨まれた。
なによ?そんな目で見たって、怖くないわよ!
「露原家としては莉世さんなら、聡さんの嫁に相応しいと思って、絹山家との縁談を承諾したんですよ」
なんですって!?
思わず、何か言い返してやる!と思った私の口を聡さんがすばやく手でふさいだ。
「浮わついたところのない、しっかりしたお嬢さんでしょう?それなのに聡さんときたら」
茶道教室の先生でもある露原のお義母様は高そうな着物をきっちり着こなして、髪のほつれは一つもないし、お堅そうでお姉様のような地味系女子が確かに好きそうなタイプよね。
言っておくけど、私の方が可愛いわよ!絶対!
「麗奈さん。毎週土日はお休みよね」
「まあ、そうだけど」
「はい、だけで結構!この露原家にきて、作法を学んでもらいます」
嫌よ!と言う前に聡さんが手で制して、答えた。
「もちろんですよ。麗奈のためになります。ありがとう、母さん」
は?
なに言ってるの?
聡さんはそれじゃあ、帰ろう!と、私を引きずるようにして、露原家から出たのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「毎週土日なんで、嫌よ!せっかくのお休みなのに冗談じゃないわ!」
マンションに帰り、感情のままに暴れる私を聡さんはまあまあ、と笑いながら宥めた。
なにが『まあまあ』よっ!
「麗奈のためになることじゃないか。自分のスキルアップになると思って、母さんから学んだらいい」
夕飯は私が作ったサラダと聡さんが作ったカレーだった。
サラダなら作れるようになったんだから!
私だって、進歩してるのよ。
こうみえても。
それが、なに?
スキルアップ?
そんなのお断りよ!
「仕事もあるのに!ストレスだわ!」
グサッとトマトをフォークで突き刺すと、聡さんは苦笑した。
「麗奈なら、余裕なんじゃないか?習い事も色々していたし」
「おしゃべりに行ってただけよ。真面目にするわけないでしょ?」
「そうかぁ」
聡さんは怒りもしない。
前から思っていたけど、聡さんって何にも怒らないのよね。
変なの。
「麗奈、キュウリの輪切りがくっついているから、今度からは切れているかどうか、確認して切るといいよ」
「言われなくても、わかってるわよっ」
あー、やだやだ。
いいわ。
聞かなかったことにすれば、いいのよね。
絶対に行くものですか!
私の休みは死守してみせる!
露原のお義母様の顔を思い浮かべながら、ザクザクッとレタスをフォークで切り刻んでやった。
任せてください、お義母様ーーーなんて、私が言うとでも思った?
言うわけないでしょ!
今日は聡さんの実家に連れてこられているんだけど、もう最悪。
聡さんと籍を入れたので、その報告にきただけなのに露原のおば様じゃない、お義母様はいきなりそんなことを言い出して、こっちはいい迷惑よ!
「まずはお辞儀から」
ちら、と聡さんを見ると、謝るように手を合わせていた。
渋々、お辞儀した。
「姿勢がよろしくない!」
なにそれ。
いつまでも頭を下げているのも馬鹿馬鹿しくなって、顔を上げると、ぎろりと睨まれた。
なによ?そんな目で見たって、怖くないわよ!
「露原家としては莉世さんなら、聡さんの嫁に相応しいと思って、絹山家との縁談を承諾したんですよ」
なんですって!?
思わず、何か言い返してやる!と思った私の口を聡さんがすばやく手でふさいだ。
「浮わついたところのない、しっかりしたお嬢さんでしょう?それなのに聡さんときたら」
茶道教室の先生でもある露原のお義母様は高そうな着物をきっちり着こなして、髪のほつれは一つもないし、お堅そうでお姉様のような地味系女子が確かに好きそうなタイプよね。
言っておくけど、私の方が可愛いわよ!絶対!
「麗奈さん。毎週土日はお休みよね」
「まあ、そうだけど」
「はい、だけで結構!この露原家にきて、作法を学んでもらいます」
嫌よ!と言う前に聡さんが手で制して、答えた。
「もちろんですよ。麗奈のためになります。ありがとう、母さん」
は?
なに言ってるの?
聡さんはそれじゃあ、帰ろう!と、私を引きずるようにして、露原家から出たのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「毎週土日なんで、嫌よ!せっかくのお休みなのに冗談じゃないわ!」
マンションに帰り、感情のままに暴れる私を聡さんはまあまあ、と笑いながら宥めた。
なにが『まあまあ』よっ!
「麗奈のためになることじゃないか。自分のスキルアップになると思って、母さんから学んだらいい」
夕飯は私が作ったサラダと聡さんが作ったカレーだった。
サラダなら作れるようになったんだから!
私だって、進歩してるのよ。
こうみえても。
それが、なに?
スキルアップ?
そんなのお断りよ!
「仕事もあるのに!ストレスだわ!」
グサッとトマトをフォークで突き刺すと、聡さんは苦笑した。
「麗奈なら、余裕なんじゃないか?習い事も色々していたし」
「おしゃべりに行ってただけよ。真面目にするわけないでしょ?」
「そうかぁ」
聡さんは怒りもしない。
前から思っていたけど、聡さんって何にも怒らないのよね。
変なの。
「麗奈、キュウリの輪切りがくっついているから、今度からは切れているかどうか、確認して切るといいよ」
「言われなくても、わかってるわよっ」
あー、やだやだ。
いいわ。
聞かなかったことにすれば、いいのよね。
絶対に行くものですか!
私の休みは死守してみせる!
露原のお義母様の顔を思い浮かべながら、ザクザクッとレタスをフォークで切り刻んでやった。
49
お気に入りに追加
2,195
あなたにおすすめの小説
冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました
せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。
舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。
専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。
そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。
さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。
その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。
海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。
会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。
一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。
再会の日は……。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる