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第3章
26 光輝く場所
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ようやく帰ることができた王都。
王都の灯りを目にし、見慣れた裏通りに入った時、私の生まれ故郷に帰ってきたような気持ちになった。
ここには私の大切な人や店がある――王宮を中心に伸びる広い道から、裏通りに入る。
以前は真っ暗だった通りも、最近は火の魔石のランプを家々に吊るし、ずいぶん明るくなった。
私が店の前にランプを吊るし、ガラス窓のそばに灯りを置くのを真似る人が増えたのは、私が暗殺者に狙われてからだということを知っている。
この通りに怪しい人間が入り込まないように、みんなが注意を払い、守ってくれているのだ。
すっかり私の故郷だ。
「ただいま帰りました!」
元気に挨拶すると、隣の家や近所の窓が開いて――
「あっ! サーラ様だ!」
「おかーさん、おとーさん! サーラ様たちが帰ってきたよ!」
――という声が聞こえてくる。
「師匠! フラン先輩! おかえりなさい!」
賑やかな声につられるようにして、お留守番をしていたラーシュが店から飛び出してきた。
「ラーシュ、大丈夫でしたか?」
「はい! 師匠、頑張ってました!」
ラーシュは私にどんっと抱き、ぎゅっと腕を回す。
「寂しかったですよね……」
「いえ……。ぼくは師匠の弟子ですから、店を守るのが仕事です! ちゃんと師匠に代わって仕事をしてました」
頼もしい返事だけど、ぎゅうっと服を握りしめる手は、そう言ってない。
フランも笑っていた。
「ありがとな。ラーシュ」
「フラン先輩に言われた掃除も毎日、欠かさずやりました」
「さすが俺の後輩だ!」
護衛していた近衛騎士団は、その様子を微笑みながら眺めていた。
そして、狼獣人のみんなは私だけでなく、自分たちの族長の帰還を泣きながら喜んだ。
フランのお父さんとお兄さんは王都を経由して、東にある獣人国へ向かう。
「サーラ様。一族を助けていただいた恩は一生忘れません。今後、力になれるようなことがあれば、喜んで協力させていただくでしょう」
私に心強い味方ができた。
フランのお父さんもお兄さんも獣人国へ帰っていったけれど、フランは帰らなかった。
「せっかく家族全員が揃ったのに、帰らなくてよかったんですか?」
「おれがいなくなったら、サーラが困るだろ」
「フランは店長ですからね!」
「なにをするか心配で離れられないよ」
――あ、あれ? そっちですか?
十二歳のフランに心配されてしまう私。
気づけば、リアムはさっさと自分の屋敷へ戻っており、真夜中だったにも関わらず、私たち三人は帰還のお祝いをした。
そして、今日――
「不在にしていてすみません。ただいま戻りました」
フォルシアン公爵領から帰還した私は、市場のみんなに挨拶をして回っていた。
お祭り当日とあって、忙しそうだったけれど、私が通ると手を止めて声をかけてくれる。
「サーラちゃん! おかえり!」
「やっぱり、サーラちゃんの大きな声を聞かないと調子がでないわ」
「そうそう。火が消えたみたいに静かでねぇ」
不在の間も着々と、お祭りの準備が着々と進められ、みんなの明るい顔と活気であふれていた。
「ラーシュ。私の留守中、魔道具師としての仕事を立派にこなしていましたね。ありがとうございます」
「そんなことないです。ぼくに師匠の代わりは務まりません。不安でしたし……」
私が帰った時、竜と戦争になるのではという話が、人々の間に広まっていた。
もちろん、竜は飛来せず、王都に兵士たちが帰ってくるのを見て、その噂は消えた。
でも――
「サーラちゃんが竜を撃退したんだって?」
「暗殺者だけでなく、とうとう竜まで倒すなんて、いったいどんなすごい魔道具を作ったんだい?」
なぜか、私が竜と戦ったことになっている。
「撃退なんてしてません! 竜族との間に問題が起きて、それを解決しただけです」
「サーラちゃんは竜を見たのよね? 竜って大きいんでしょう?」
「火を吐いて、フォルシアン公爵の精鋭たちを皆殺しにしたんだろ?」
「怖いわねぇ」
――怖いって。竜族は市場の常連客なんですが。
それも長の息子が嬉々として通ってきている。
「誰がこんな噂を流したんですか。私の貴族令嬢のイメージが……」
「逃げてきた傭兵や兵士が言いふらしているみたいです。傭兵ギルドで師匠について、どんな女性なのか聞かれました!」
「そうですか……。でも、私は竜族と争うつもりはないって訂正しておいてくださいね」
ラーシュだけでなく、集まった市場の人たちに向けて言った。
「これから、私は六百年の溝を埋めるべく、竜族と友好関係を築いていくつもりです」
否定されるかと思っていたけど、市場のみんなは無理だと言わなかった。
「サーラちゃんなら、竜族とも仲良くできるかもしれないわね」
いったいなにがあったのか、顔を見合わせ、にこにこと笑っている。
「私がいない間、なにかありました?」
「実はね。大通りの店に行ったら、貴族の奥様から、お祭りについて色々聞かれたのよ」
「市場のお祭りに興味があるみたい」
「昼のお祭りじゃなくて、夜のお祭りだから、貴族たちも興味津々よ」
――そうでしょうね。
裏通りの人々にとって、火の魔石は高級品である。
高級な火の魔石をどうやって手に入れるのか――気になって一度は見に来るはずだ。
私はそれを狙っていた。
市場を再開するにあたり、裏通りの人々だけが喜ぶのでは意味がない。
へレーナのような貴族たちに、裏通りの市場が必要だと思わせ、王都になくてはならないものにする。
――王妃様に約束しましたからね。
王宮の方角を見つめた。
リアムが竜の報告に行っているはずで、次に王妃様と会ったら、きっと優しく笑って、『無茶をしましたね』と言ってくれるに違いない。
お祭りが成功したら、王妃様の元へお礼に行こうと決めている。
「おーい! 狼獣人のみんなが看板と飾りを持ってきてくれたぞ!」
それぞれの店の名前や商品名が書かれた看板、店を装飾するための飾りを狼獣人たちが運んでくる。
『からあげ』と書かれた看板をエヴェルが地面に置く。
「サーラ様。看板は塗料を塗ってから、取り付けるんでしたね?」
「そうです」
戻ってきてた私は、店をフランに任せ、ラーシュとともに急いで塗料を作った。
その塗料は夜に光る塗料だ。
竜の鎖に塗ったものと同じで、一晩だけ輝く。
「サーラ。準備はいいよ!」
それぞれの店の人たちに、フランが塗料の入った瓶を配り終えて戻ってくる。
「では、看板の文字の上に塗料を塗ってください。余った塗料は店を飾るための飾りにつけてくださいね」
光の魔石をほんの少量混ぜただけど、一晩だけなら光を放つ。
それも星みたいに光がこぼれて、キラキラしている。
店の看板が順番にかけられ、人々が美しい光をうっとり眺めた。
――やっと市場が戻ってきた。
それも、前より立派になって復活した。
日が暮れ始め、暗くなってきた通りは光に包まれた。
余った塗料は、花や星の形をした小さな飾りに塗られ、市場の通りを一直線に照らすイルミネーションは、歩いているだけでも楽しい。
「ほう。これはすごい」
「ファルクさん!」
表通りで魔道具店を構えるファルクさんが弟子たちを連れ、大勢でやってきた。
全員が貴族で、案内状を送ったけど、来てくれるかどうかわからないなと思っていた。
「来てくれたんですね!」
「ラーシュ様と近衛騎士団のテオドール団長から、ぜひきてくれと言われたら、顔を出さないわけにはいかないだろう」
ファルクさんたちは光に誘われるようにして、私との会話もそこそこに、市場の中へ消えていった。
――すごく楽しみにしていたんじゃないですか。
貴族階級の人々で祭りにやってきたのは、ファルクさんだけではなかった。
私が思っていた以上の人たちがやってきて、まばゆい光に驚いている。
「ラーシュ。もしかして、表通りの店に張り紙をはってもらえるよう頼んでくれたんですか?」
「はい。そうです」
ラーシュがにこっと微笑んだ。
おじい様にあたるノルデン公爵のことで、ラーシュはいろいろ言われたはずだ。
それでも、お祭りを盛り上げようと、私がいない間、表通りの店を回ってくれたらしい。
「ラーシュ……」
「ぼくもなにかしたかったんです。師匠とフラン先輩が危険な場所に行ったのに、なにもしないまま、待っていたくなかったんです」
「ラーシュはじゅうぶん頑張ってくれてましたよ!」
ぎゅっとラーシュを抱き締めた。
私がいない間の【修復】もして、お店も開けてくれた。
テオドールがいたとはいえ、心細かったと思う。
「ぼくはもっと頼れる男に成長しますから、待っていてくださいね」
「今でもラーシュは頼りになりますよ!」
ハンカチで涙をぬぐいながら私が言ったのに、ラーシュはちょっと不満そうだった。
「そういう意味じゃないです。リアム様よりもってことです」
「え? リアムより?」
私が首をかしげていると、背後から声がした。
『あの男より、その子供のほうがマシだ』
現れたのは竜族で、シエルさんだけでなく、人の姿に擬態した竜族がいた。
人の姿をしているから、シエルさんと同じくらい長生きしている竜だと思う。
お祭りの空気があるせいか、異国の人という雰囲気があっても、あまり目立たない。
『ここが王都かぁ~』
『シエル様がよく買ってくるからあげが売ってるらしいぞ!』
『からあげ、美味いよなぁ』
『絶対食べるもんね!』
――な、なんだか、無邪気ですね。
しかも、遠足にきた子供みたいだった。
『肉串は絶対な』
『甘いものも食べたいぜ』
『俺は今日の日のために、爪を切って傭兵ギルドに売ったぜ!』
『俺も。俺たちの爪は、人間にとって薬になるらしいから、高価なんだよな』
どうやら、傭兵ギルドの素材売場で自分たちの爪を売ったらしい。
爪はまたはえるだろうから、確かに売っても問題なさそうだ。
竜の素材は滅多に出回らず、とても高値だから、からあげを買い占められるほどのお金持ちなのもわかる。
でも、あの竜の巨体を考えたら、たくさん食べられそうだ。
今日の市場の売り上げは相当すごいことになるのではないだろうか。
「竜族の食い意地は相当ですね」
『長生きをしていると、楽しみは食べることくらいになる。うん? 死神はいないのか』
「死神って……。シエルさんはリアムを敵視しすぎです。ああみえて、優しいところもあるんですよ」
たぶんと心の中で付け足した。
『優しいか。まあ、お前がいうなら少し信じてやらないこともない。だが、呪われた魔術師とは距離を置くべきだと忠告しておく』
シエルさんの金の瞳が、じっと私を見つめた。
その不思議な金の瞳を見つめ返した。
『お前たち人間は短命で、すぐにいなくなる。だから、明日にでも竜の巣へ遊びにこい』
「ええっ!?」
『なんなら、今日の帰りに連れて帰ってもいい。もてなすぞ』
人間と竜では寿命が違う。
シエルさんにとって、私が存在する時間は一瞬だ。
でも、さすがに今日の帰りに竜の巣に連れていかれるのはちょっと……
王都に帰ってきたばかりだ。
「竜。俺の婚約者だ。勝手に連れていくな」
短く簡潔な竜語で、シエルさんの動きを止めた。
竜を止められるのは、たった一人しかいない。
「リアム! こ、こ、こ、婚約者って……」
「鶏か。この騒動で忘れているようだが、兄上の即位を阻止するため、俺の即位まで婚約者でいる約束だろう」
「そういえばそうでしたね……。ちょっと忘れていただけですから! 任せてください。婚約者。やってみせます。婚約者!」
私が婚約者を連呼し、リアムと話しているのを見たシエルさんはため息をつく。
『シエル様。早くいきましょうよ~』
『からあげ! 肉! 甘いもの!』
我慢しきれない竜たちにうながされ、シエルさんは私に背を向ける。
『忠告はしたぞ』
もう一度、シエルさんは言って去っていった。
リアムにシエルさんが言っていたことを聞くべきだろうかと思っていると、フランが走ってきた。
「ラーシュ! 一緒に市場を回ろうぜ」
「でも、師匠と回る約束じゃ……」
「そうですよ。子供だけで、夜の市場をフラフラするなんて危険です」
私は駄目ですと言い張ったけど、フランは市場を指差した。
「狼獣人のみんなが見回りしてくれてるし、明るいから大丈夫だって! ラーシュ、飴細工の実演販売を見に行こうぜ」
「飴細工!?」
ラーシュは見たことがなかったらしい。
いつものキャンディ屋さんが、お祭りだから特別に実演販売するそうだ。
この日のために、それぞれの店が趣向をこらし、お祭りを盛り上げ、楽しめるものになっていた。
「ジュース売場に二色のジュースが売ってたぞ」
「二色!?」
ラーシュが目を輝かせ、フランと一緒に市場の中へ走っていった。
「大人みたいに振る舞っていても、まだまだ子供ですね」
「ラーシュは明るくなった」
昔のラーシュを知るリアムは、楽しそうにしている姿を見て、表情を和らげた。
「そうですか。それなら、よかったです」
ラーシュもフランも、私はいつも笑っていてほしいと思う。
一日一日が楽しいものであるように。
「お前には驚かされることばかりだ。竜もそうだが、この光も俺には絶対思いつかない」
「これを思いついたのは、みんなのおかげなんです」
お祭りをどんなものにしようか考えた時、一瞬で綺麗だと思えて、驚くものがいいと思った。
「暗殺者に襲われた時、裏通りのみんなが、外にランプを出して、私を助けてくれたでしょう?」
「ああ」
「光が波みたいに広がって、とても綺麗だなって思ったんです」
あのランプの光のような光景をまた見れたら――私が抱いた感動をみんなにも伝えたかった。
リアムも見ていたから知っている。
「夜を照らす灯りは特別だ」
「はい」
私は目を閉じうなずいて、そして、リアムに言った。
「リアム。そろそろ、私からお願いがあるんです」
「なんだ?」
「灯りが綺麗なのもいいですけど、早く市場を見て回りましょう! 美味しいものがたくさんあるんです!」
リアムは呆れた目をしている。
「私もこの日を楽しみにしてたんですよ!」
「お前は完全に色気より食い気だな」
「リアムは屋台を見ても同じことを言えますか?」
「俺は冷静だ」
いつもはパンを売っているお店は、夜限定でミートパイを売り、キャンディ屋は飴細工を実演販売している。
赤と白の飴が長く伸び、それをねじると二色の長い棒になった。
それをハサミで切っていく。
実演販売を見たのが、初めてだったのか、貴族の子供たちが歓声をあげ、そこで足を止めていた。
ひとつひとつの店を回り、気になったものをどんどん購入していく。
「おい、買いすぎだ。まったく前に進んでいないぞ!」
籠はすでにいっぱいで、困ったことになっていた。
「収納魔法とかないんですか?」
「俺はお前の便利屋か」
そう言いながら、リアムはクラゲみたいな下級精霊を呼び出し、荷物をクラゲ精霊に預ける。
クラゲ精霊の体に取り込まれ、荷物が見えなくなった。
「さすが宮廷魔術師長ですね」
「こんなことで、宮廷魔術師長の地位を認められたくないんだが」
「でも、私にはできないことです」
クラゲちゃんをなでて、ふふっと笑った。
これでまだ買える!
「そういえば、リアム。国王陛下に会うと言ってましたよね? 会えたんですか?」
「いや、会えなかった。体調が悪く、無理だと言われた。明日、もう一度うかがうつもりだ」
「私も一緒に行ってもいいですか? 王妃様にお会いしたいんです」
「王妃はサーラを気にいっている。きっと喜ぶだろう」
いつもと同じ私とリアム。
この光景がいつまでも続いたらいいのに――そんなふうに思えるのは、幻想的な輝きに包まれた市場が、あまりに美しいからだ。
笑顔の人々を眺め、私の隣にいるリアムが目を細め、優しい表情を浮かべる。
リアムがなにを考えているかわかる。
裏通りの人々の中、獣人と竜族だけでなく、貴族までやってきて、買い物を楽しんでいる。
これは私とリアムが目指すヴィフレア王国の未来の姿。
――お祭りは成功ですよね。
リアムが王様になったら、この光景が当たり前になる。
その日は近い――きっと。
【第3章 了】
王都の灯りを目にし、見慣れた裏通りに入った時、私の生まれ故郷に帰ってきたような気持ちになった。
ここには私の大切な人や店がある――王宮を中心に伸びる広い道から、裏通りに入る。
以前は真っ暗だった通りも、最近は火の魔石のランプを家々に吊るし、ずいぶん明るくなった。
私が店の前にランプを吊るし、ガラス窓のそばに灯りを置くのを真似る人が増えたのは、私が暗殺者に狙われてからだということを知っている。
この通りに怪しい人間が入り込まないように、みんなが注意を払い、守ってくれているのだ。
すっかり私の故郷だ。
「ただいま帰りました!」
元気に挨拶すると、隣の家や近所の窓が開いて――
「あっ! サーラ様だ!」
「おかーさん、おとーさん! サーラ様たちが帰ってきたよ!」
――という声が聞こえてくる。
「師匠! フラン先輩! おかえりなさい!」
賑やかな声につられるようにして、お留守番をしていたラーシュが店から飛び出してきた。
「ラーシュ、大丈夫でしたか?」
「はい! 師匠、頑張ってました!」
ラーシュは私にどんっと抱き、ぎゅっと腕を回す。
「寂しかったですよね……」
「いえ……。ぼくは師匠の弟子ですから、店を守るのが仕事です! ちゃんと師匠に代わって仕事をしてました」
頼もしい返事だけど、ぎゅうっと服を握りしめる手は、そう言ってない。
フランも笑っていた。
「ありがとな。ラーシュ」
「フラン先輩に言われた掃除も毎日、欠かさずやりました」
「さすが俺の後輩だ!」
護衛していた近衛騎士団は、その様子を微笑みながら眺めていた。
そして、狼獣人のみんなは私だけでなく、自分たちの族長の帰還を泣きながら喜んだ。
フランのお父さんとお兄さんは王都を経由して、東にある獣人国へ向かう。
「サーラ様。一族を助けていただいた恩は一生忘れません。今後、力になれるようなことがあれば、喜んで協力させていただくでしょう」
私に心強い味方ができた。
フランのお父さんもお兄さんも獣人国へ帰っていったけれど、フランは帰らなかった。
「せっかく家族全員が揃ったのに、帰らなくてよかったんですか?」
「おれがいなくなったら、サーラが困るだろ」
「フランは店長ですからね!」
「なにをするか心配で離れられないよ」
――あ、あれ? そっちですか?
十二歳のフランに心配されてしまう私。
気づけば、リアムはさっさと自分の屋敷へ戻っており、真夜中だったにも関わらず、私たち三人は帰還のお祝いをした。
そして、今日――
「不在にしていてすみません。ただいま戻りました」
フォルシアン公爵領から帰還した私は、市場のみんなに挨拶をして回っていた。
お祭り当日とあって、忙しそうだったけれど、私が通ると手を止めて声をかけてくれる。
「サーラちゃん! おかえり!」
「やっぱり、サーラちゃんの大きな声を聞かないと調子がでないわ」
「そうそう。火が消えたみたいに静かでねぇ」
不在の間も着々と、お祭りの準備が着々と進められ、みんなの明るい顔と活気であふれていた。
「ラーシュ。私の留守中、魔道具師としての仕事を立派にこなしていましたね。ありがとうございます」
「そんなことないです。ぼくに師匠の代わりは務まりません。不安でしたし……」
私が帰った時、竜と戦争になるのではという話が、人々の間に広まっていた。
もちろん、竜は飛来せず、王都に兵士たちが帰ってくるのを見て、その噂は消えた。
でも――
「サーラちゃんが竜を撃退したんだって?」
「暗殺者だけでなく、とうとう竜まで倒すなんて、いったいどんなすごい魔道具を作ったんだい?」
なぜか、私が竜と戦ったことになっている。
「撃退なんてしてません! 竜族との間に問題が起きて、それを解決しただけです」
「サーラちゃんは竜を見たのよね? 竜って大きいんでしょう?」
「火を吐いて、フォルシアン公爵の精鋭たちを皆殺しにしたんだろ?」
「怖いわねぇ」
――怖いって。竜族は市場の常連客なんですが。
それも長の息子が嬉々として通ってきている。
「誰がこんな噂を流したんですか。私の貴族令嬢のイメージが……」
「逃げてきた傭兵や兵士が言いふらしているみたいです。傭兵ギルドで師匠について、どんな女性なのか聞かれました!」
「そうですか……。でも、私は竜族と争うつもりはないって訂正しておいてくださいね」
ラーシュだけでなく、集まった市場の人たちに向けて言った。
「これから、私は六百年の溝を埋めるべく、竜族と友好関係を築いていくつもりです」
否定されるかと思っていたけど、市場のみんなは無理だと言わなかった。
「サーラちゃんなら、竜族とも仲良くできるかもしれないわね」
いったいなにがあったのか、顔を見合わせ、にこにこと笑っている。
「私がいない間、なにかありました?」
「実はね。大通りの店に行ったら、貴族の奥様から、お祭りについて色々聞かれたのよ」
「市場のお祭りに興味があるみたい」
「昼のお祭りじゃなくて、夜のお祭りだから、貴族たちも興味津々よ」
――そうでしょうね。
裏通りの人々にとって、火の魔石は高級品である。
高級な火の魔石をどうやって手に入れるのか――気になって一度は見に来るはずだ。
私はそれを狙っていた。
市場を再開するにあたり、裏通りの人々だけが喜ぶのでは意味がない。
へレーナのような貴族たちに、裏通りの市場が必要だと思わせ、王都になくてはならないものにする。
――王妃様に約束しましたからね。
王宮の方角を見つめた。
リアムが竜の報告に行っているはずで、次に王妃様と会ったら、きっと優しく笑って、『無茶をしましたね』と言ってくれるに違いない。
お祭りが成功したら、王妃様の元へお礼に行こうと決めている。
「おーい! 狼獣人のみんなが看板と飾りを持ってきてくれたぞ!」
それぞれの店の名前や商品名が書かれた看板、店を装飾するための飾りを狼獣人たちが運んでくる。
『からあげ』と書かれた看板をエヴェルが地面に置く。
「サーラ様。看板は塗料を塗ってから、取り付けるんでしたね?」
「そうです」
戻ってきてた私は、店をフランに任せ、ラーシュとともに急いで塗料を作った。
その塗料は夜に光る塗料だ。
竜の鎖に塗ったものと同じで、一晩だけ輝く。
「サーラ。準備はいいよ!」
それぞれの店の人たちに、フランが塗料の入った瓶を配り終えて戻ってくる。
「では、看板の文字の上に塗料を塗ってください。余った塗料は店を飾るための飾りにつけてくださいね」
光の魔石をほんの少量混ぜただけど、一晩だけなら光を放つ。
それも星みたいに光がこぼれて、キラキラしている。
店の看板が順番にかけられ、人々が美しい光をうっとり眺めた。
――やっと市場が戻ってきた。
それも、前より立派になって復活した。
日が暮れ始め、暗くなってきた通りは光に包まれた。
余った塗料は、花や星の形をした小さな飾りに塗られ、市場の通りを一直線に照らすイルミネーションは、歩いているだけでも楽しい。
「ほう。これはすごい」
「ファルクさん!」
表通りで魔道具店を構えるファルクさんが弟子たちを連れ、大勢でやってきた。
全員が貴族で、案内状を送ったけど、来てくれるかどうかわからないなと思っていた。
「来てくれたんですね!」
「ラーシュ様と近衛騎士団のテオドール団長から、ぜひきてくれと言われたら、顔を出さないわけにはいかないだろう」
ファルクさんたちは光に誘われるようにして、私との会話もそこそこに、市場の中へ消えていった。
――すごく楽しみにしていたんじゃないですか。
貴族階級の人々で祭りにやってきたのは、ファルクさんだけではなかった。
私が思っていた以上の人たちがやってきて、まばゆい光に驚いている。
「ラーシュ。もしかして、表通りの店に張り紙をはってもらえるよう頼んでくれたんですか?」
「はい。そうです」
ラーシュがにこっと微笑んだ。
おじい様にあたるノルデン公爵のことで、ラーシュはいろいろ言われたはずだ。
それでも、お祭りを盛り上げようと、私がいない間、表通りの店を回ってくれたらしい。
「ラーシュ……」
「ぼくもなにかしたかったんです。師匠とフラン先輩が危険な場所に行ったのに、なにもしないまま、待っていたくなかったんです」
「ラーシュはじゅうぶん頑張ってくれてましたよ!」
ぎゅっとラーシュを抱き締めた。
私がいない間の【修復】もして、お店も開けてくれた。
テオドールがいたとはいえ、心細かったと思う。
「ぼくはもっと頼れる男に成長しますから、待っていてくださいね」
「今でもラーシュは頼りになりますよ!」
ハンカチで涙をぬぐいながら私が言ったのに、ラーシュはちょっと不満そうだった。
「そういう意味じゃないです。リアム様よりもってことです」
「え? リアムより?」
私が首をかしげていると、背後から声がした。
『あの男より、その子供のほうがマシだ』
現れたのは竜族で、シエルさんだけでなく、人の姿に擬態した竜族がいた。
人の姿をしているから、シエルさんと同じくらい長生きしている竜だと思う。
お祭りの空気があるせいか、異国の人という雰囲気があっても、あまり目立たない。
『ここが王都かぁ~』
『シエル様がよく買ってくるからあげが売ってるらしいぞ!』
『からあげ、美味いよなぁ』
『絶対食べるもんね!』
――な、なんだか、無邪気ですね。
しかも、遠足にきた子供みたいだった。
『肉串は絶対な』
『甘いものも食べたいぜ』
『俺は今日の日のために、爪を切って傭兵ギルドに売ったぜ!』
『俺も。俺たちの爪は、人間にとって薬になるらしいから、高価なんだよな』
どうやら、傭兵ギルドの素材売場で自分たちの爪を売ったらしい。
爪はまたはえるだろうから、確かに売っても問題なさそうだ。
竜の素材は滅多に出回らず、とても高値だから、からあげを買い占められるほどのお金持ちなのもわかる。
でも、あの竜の巨体を考えたら、たくさん食べられそうだ。
今日の市場の売り上げは相当すごいことになるのではないだろうか。
「竜族の食い意地は相当ですね」
『長生きをしていると、楽しみは食べることくらいになる。うん? 死神はいないのか』
「死神って……。シエルさんはリアムを敵視しすぎです。ああみえて、優しいところもあるんですよ」
たぶんと心の中で付け足した。
『優しいか。まあ、お前がいうなら少し信じてやらないこともない。だが、呪われた魔術師とは距離を置くべきだと忠告しておく』
シエルさんの金の瞳が、じっと私を見つめた。
その不思議な金の瞳を見つめ返した。
『お前たち人間は短命で、すぐにいなくなる。だから、明日にでも竜の巣へ遊びにこい』
「ええっ!?」
『なんなら、今日の帰りに連れて帰ってもいい。もてなすぞ』
人間と竜では寿命が違う。
シエルさんにとって、私が存在する時間は一瞬だ。
でも、さすがに今日の帰りに竜の巣に連れていかれるのはちょっと……
王都に帰ってきたばかりだ。
「竜。俺の婚約者だ。勝手に連れていくな」
短く簡潔な竜語で、シエルさんの動きを止めた。
竜を止められるのは、たった一人しかいない。
「リアム! こ、こ、こ、婚約者って……」
「鶏か。この騒動で忘れているようだが、兄上の即位を阻止するため、俺の即位まで婚約者でいる約束だろう」
「そういえばそうでしたね……。ちょっと忘れていただけですから! 任せてください。婚約者。やってみせます。婚約者!」
私が婚約者を連呼し、リアムと話しているのを見たシエルさんはため息をつく。
『シエル様。早くいきましょうよ~』
『からあげ! 肉! 甘いもの!』
我慢しきれない竜たちにうながされ、シエルさんは私に背を向ける。
『忠告はしたぞ』
もう一度、シエルさんは言って去っていった。
リアムにシエルさんが言っていたことを聞くべきだろうかと思っていると、フランが走ってきた。
「ラーシュ! 一緒に市場を回ろうぜ」
「でも、師匠と回る約束じゃ……」
「そうですよ。子供だけで、夜の市場をフラフラするなんて危険です」
私は駄目ですと言い張ったけど、フランは市場を指差した。
「狼獣人のみんなが見回りしてくれてるし、明るいから大丈夫だって! ラーシュ、飴細工の実演販売を見に行こうぜ」
「飴細工!?」
ラーシュは見たことがなかったらしい。
いつものキャンディ屋さんが、お祭りだから特別に実演販売するそうだ。
この日のために、それぞれの店が趣向をこらし、お祭りを盛り上げ、楽しめるものになっていた。
「ジュース売場に二色のジュースが売ってたぞ」
「二色!?」
ラーシュが目を輝かせ、フランと一緒に市場の中へ走っていった。
「大人みたいに振る舞っていても、まだまだ子供ですね」
「ラーシュは明るくなった」
昔のラーシュを知るリアムは、楽しそうにしている姿を見て、表情を和らげた。
「そうですか。それなら、よかったです」
ラーシュもフランも、私はいつも笑っていてほしいと思う。
一日一日が楽しいものであるように。
「お前には驚かされることばかりだ。竜もそうだが、この光も俺には絶対思いつかない」
「これを思いついたのは、みんなのおかげなんです」
お祭りをどんなものにしようか考えた時、一瞬で綺麗だと思えて、驚くものがいいと思った。
「暗殺者に襲われた時、裏通りのみんなが、外にランプを出して、私を助けてくれたでしょう?」
「ああ」
「光が波みたいに広がって、とても綺麗だなって思ったんです」
あのランプの光のような光景をまた見れたら――私が抱いた感動をみんなにも伝えたかった。
リアムも見ていたから知っている。
「夜を照らす灯りは特別だ」
「はい」
私は目を閉じうなずいて、そして、リアムに言った。
「リアム。そろそろ、私からお願いがあるんです」
「なんだ?」
「灯りが綺麗なのもいいですけど、早く市場を見て回りましょう! 美味しいものがたくさんあるんです!」
リアムは呆れた目をしている。
「私もこの日を楽しみにしてたんですよ!」
「お前は完全に色気より食い気だな」
「リアムは屋台を見ても同じことを言えますか?」
「俺は冷静だ」
いつもはパンを売っているお店は、夜限定でミートパイを売り、キャンディ屋は飴細工を実演販売している。
赤と白の飴が長く伸び、それをねじると二色の長い棒になった。
それをハサミで切っていく。
実演販売を見たのが、初めてだったのか、貴族の子供たちが歓声をあげ、そこで足を止めていた。
ひとつひとつの店を回り、気になったものをどんどん購入していく。
「おい、買いすぎだ。まったく前に進んでいないぞ!」
籠はすでにいっぱいで、困ったことになっていた。
「収納魔法とかないんですか?」
「俺はお前の便利屋か」
そう言いながら、リアムはクラゲみたいな下級精霊を呼び出し、荷物をクラゲ精霊に預ける。
クラゲ精霊の体に取り込まれ、荷物が見えなくなった。
「さすが宮廷魔術師長ですね」
「こんなことで、宮廷魔術師長の地位を認められたくないんだが」
「でも、私にはできないことです」
クラゲちゃんをなでて、ふふっと笑った。
これでまだ買える!
「そういえば、リアム。国王陛下に会うと言ってましたよね? 会えたんですか?」
「いや、会えなかった。体調が悪く、無理だと言われた。明日、もう一度うかがうつもりだ」
「私も一緒に行ってもいいですか? 王妃様にお会いしたいんです」
「王妃はサーラを気にいっている。きっと喜ぶだろう」
いつもと同じ私とリアム。
この光景がいつまでも続いたらいいのに――そんなふうに思えるのは、幻想的な輝きに包まれた市場が、あまりに美しいからだ。
笑顔の人々を眺め、私の隣にいるリアムが目を細め、優しい表情を浮かべる。
リアムがなにを考えているかわかる。
裏通りの人々の中、獣人と竜族だけでなく、貴族までやってきて、買い物を楽しんでいる。
これは私とリアムが目指すヴィフレア王国の未来の姿。
――お祭りは成功ですよね。
リアムが王様になったら、この光景が当たり前になる。
その日は近い――きっと。
【第3章 了】
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