46 / 72
第2章
29 特別な存在
しおりを挟む
宮廷魔道具師になった私は、その証として、木の枝に葉が絡み合ったミニチュアブローチを与えられた。
木には果実のモチーフがあり、この果実には特別な魔石がはめこまれている。
かなり特殊な魔石で、色が変化する石だ。
この魔石の効果は【鍵】。
複雑な術式を施されてた扉を開けることができ、特にこの【鍵】の力を発揮するのが、王宮にある図書館である。
宮廷魔術師と宮廷魔道具師、そして王族だけが入ることを許された王宮図書館。
古い文献が多く残り、建国から保管され続けている書物の数々。
ヴィフレア王国の秘密が隠されていると噂される王宮図書館の【鍵】を与えられるということは、信頼の証でもある。
悪用した場合は、称号を剥奪の上、厳しい罰が待っているということも説明された。
「これが宮廷魔道具師の証……。すげーなー!」
「この裏通りに来た時から、サーラちゃんはタダ者じゃないってわかっていたわ!」
裏通りはちょっとしたお祭りになっていた。
私へのお祝いがたくさん届けられ、肉の丸焼き、パンとジャム、焼き菓子と果物、野菜など、食べ切れないくらいの量が集まった。
だから、今日はお客様や近所の人、仕事でお世話になっている鍛冶工房『ニルソン一家』の人たちを呼び、店と庭を使って、ささやかなパーティーを開いたのだった。
「盛大なお祝いパーティーを開きたかったのに……」
「そうよ。夫も花火を上げようなんて言って、張りきっていたのに残念だわ」
仕立て屋のエミリさんとヒュランデル夫人は、お祝いパーティーを開きたかったらしい。
どんなお祝いをするつもりだったのか、花火を上げると聞いた時点でご遠慮した。
王宮ならともかく、裏通りでバンバン花火が上がったら、何事かと警備兵が駆けつけてくる。
「そのうち、サーラさんの店がヒュランデル商会と並ぶ商会になるかもしれないって、夫が言っていたわ」
「そんな! まだまだです」
まだ商人ギルドに申請中なのだが、商会へ格上げできたら、港の使用許可、各町にある門の通行料を免除され、他国の滞在許可証をもらう手間が省ける。
商会主になると、商人ギルド公認の商人と認められるため、身元の証明にもなるのだ。
その代わり、商人ギルドに納める金額も上がるけど、その見返りは大きい。
「鍋を作っていると言って馬鹿にしていた連中は、今じゃ手のひらを返して、うちの工房を羨ましがっているぜ。まったく、商会だけじゃなく、宮廷魔道具師になるとは、たいしたもんだ」
「ニルソンさんも工房の増築が終わって、王都で一番の工房になりましたよね」
「お前さんのおかげだよ。息子も帰ってきてくれた。今まで以上に頑張らないとなぁ」
ニルソンさんの息子は、他の工房で修業を終えて帰ってきた。
今後は名匠を目指して技を磨くそうだ。
工房も広くなり、職人も増えた『ニルソン一家』の生産力は上がり、売れ行きも順調。
「もっと商品を増やして、ヴィフレア王国だけじゃなく、他国にも売れたらいいですよね」
「サーラ様! カフェにも新商品をお願いします!」
狼獣人の女の子たちは幸せそうな顔でケーキをほおばりながら、私に言った。
「サーラ様が考えた昼間限定の星空カフェも好評なんですよ」
カフェにプラネタリウムを置き、夜空を眺めることができるティールームを作った。
一日数組しか予約できない広さだけど、限定がお客様にとって特別感があるらしく、とても人気だ。
「恋人のお客様が多くて、イチャイチャ……いえ、雰囲気がとてもいいんですよ」
「片想いしていた男性が告白するシーンとか、プロポーズするお客様もいらっしゃるんです~!」
王都に恋人の聖地ができて、女の子たちは大盛り上がりだったけど、私が狙った客層はご家族連れである。
でも、ご家族連れというよりはカップル向けだったらしく……つまり、星空カフェは私に縁のないところ?
「サーラ様も恋人と来てくださいねっ!」
「う、うん、任せといて……。そ、そのうちね……」
複雑な表情を浮かべて、苦笑した。
恋人がいないとは言えずに、いる風に見せてしまう私、十八歳(中身二十四歳)。
「えっ? サーラに恋人いたっけ……もがっ!」
すばやくフランの口を塞ぎ、名誉を守った。
それを見ていたラーシュが、さすが王族という雰囲気で微笑んだ。
「師匠。ぼくでよければ、カフェにご一緒します」
十歳に同情されてしまう私、十八……(以下省略)。
「ラーシュ、あと八年経っても、私が独身だったら、お願いします」
「おい。ラーシュに頼むな。お前にプライドはないのか」
遅れてやってきたリアムが、私の頭に花束を押しつけた。
「リアム!」
呆れた顔で見下ろしたけれど、それより気になったのが、花束である。
「リアム様が花束をサーラ様に贈っていらっしゃるわよ!」
「女性に花束を贈るなんて、初めてじゃない!?」
「黒一色じゃないカラフルなリアム様なんて珍しい!」
花を手にしているおかげで、明るく見えているだけで、今日もリアムは死神みたいに全身黒コーデである。
でも、お祝いの花束を持ってきてくれたのは嬉しい。
受け取ろうとした私に気づき、その手をヒュランデル夫人がつかんで止めた。
「あの、ヒュランデル夫人?」
「リアム様。女性に花束を贈る時は、なにかおっしゃるものですわ」
にこにこ笑顔を浮かべたヒュランデル夫人に、リアムは反論できず、私と花束を見つめた。
周囲は普通に振る舞いながら、気になるらしく、こっちに視線をチラチラ向けている。
みんな気になるのは当然だ。
私もリアムがなにを言うか、わからなくてドキドキしていた。
「父上が喜んでいた。そのお礼だ」
「そ、そ、そうですか。……そうですよね」
がっかりした空気が流れたけど、リアムらしいといえば、リアムらしい理由だ。
リアムが花束なんて、らしくないことをしたから、なにか特別な意味があるのかと思ったけど、特になかったようだ。
花束を受け取り、私はお礼を言った。
「ありがとうございます」
「いや。それから、宮廷魔道具師おめでとう。よく頑張ったな」
不意打ちみたいにして、お祝いの言葉をリアムは言った。
頑張ったなんて言われると思っていなかったから、涙がこぼれた。
「なぜ……」
「リアムに褒められるのって、特別な気持ちになるんです」
この世界で目覚めた時から、心配をかけて振り回してしまったという自覚はある。
でも、いざという時は、リアムがいつも助けてくれた。
涙をぬぐっていると、周りが気まずそうに目をそらしていた。
「え、えーと……」
「あっ! サーラさん。ここに二人で座ったら?」
エミリさんとヒュランデル夫人が座っていたガーデンテーブルとチェアを譲ってくれた。
「お茶を持ってきますね」
「いい」
リアムが私の腕をつかんで、椅子に座らせた。
「人がいなくなって、話しやすくなった」
私の涙の扱いについて、ちょっとリアムに文句を言いたくなったけど我慢した。
私に話があるとわかったからだ。
「なにかありました?」
「改めて、父上から俺を王位継承者として指名したいという話があった」
「そうですか」
やはり、リアムが王になる。
「驚かないのか?」
「そうなればいいなと私は思っていました。リアムは【魔力なし】も獣人も馬鹿にしたりしませんから」
ルーカス様たちが私を馬鹿にしても、リアムは馬鹿にしなかった。
「十年前、そんなリアムにサーラも救われていたと思います」
「それは、どうだろうな」
リアムは黙って、手入れされた庭を眺めた。
ここに住んだばかりの頃は、荒れていた庭だけど、今では花が植えられ、風で揺れている。
「リアムは王様になるんですよね?」
リアムは迷っているのか、返事はなかった。
簡単に決められることじゃないとわかっている。
でも、国王陛下の年齢を考えたら、悩んでいる時間は少ない。
「大丈夫です。リアムなら、きっとみんなに尊敬されるような王様になりますよ!」
私はリアムの背中を押したつもりだった。
でも、リアムが王様になるには、もうひとつ重要なことがあるのを忘れていた。
「俺が妃を決めてから、発表すると言われた」
「リアムの妃!?」
「だが、俺の周りに女性という存在がいないことに気づいた」
「気づくのが遅すぎますけど、そのとおりです」
リアムはなにかの勧誘をするかのように、淡々とした口調で言った。
「俺の婚約者になってくれ。形だけでいい。報酬は支払う」
「ちょ、ちょっと待ってください! 気軽に誘いすぎですから! それに私はアールグレーン公爵家の人間ですよ?」
「勘当されて、縁が切れているだろう」
「ぐっ! でも、形だけとはいえ、私が婚約者っていいんですか? 王宮のしきたりでは、私はリアムと結婚できないはずじゃ……」
「王にならないのであれば無理だな」
王になる前提だから、例外も作れるということらしい。
まるで傭兵を雇うみたいなノリで言われてしまった(形だけの)婚約者の勧誘。
即位するために、その場しのぎの婚約者として、私を利用しようなんて、とんでもない。
それだけじゃない。
――これって、リアムがルーカス様と全面戦争するっていう宣言じゃないですか?
リアムが王様にならなかったら、ルーカス様が王様になる。
そして、私はルーカス様に命じられ、復縁を拒めず妃に戻り、また馬鹿にされる日々……
ゾッとして、首を横に振った。
ルーカス様の妃だけはお断りだ。
――形だけの婚約者として、リアムに協力するしか、ルーカス様から逃れる道はない。
無関係でいられないことはわかる。
これは私をルーカス様から守るためでもあるのだと気づいた。
期間限定とはいえ、私が婚約者――リアムは本気なの?
【二章 了】
木には果実のモチーフがあり、この果実には特別な魔石がはめこまれている。
かなり特殊な魔石で、色が変化する石だ。
この魔石の効果は【鍵】。
複雑な術式を施されてた扉を開けることができ、特にこの【鍵】の力を発揮するのが、王宮にある図書館である。
宮廷魔術師と宮廷魔道具師、そして王族だけが入ることを許された王宮図書館。
古い文献が多く残り、建国から保管され続けている書物の数々。
ヴィフレア王国の秘密が隠されていると噂される王宮図書館の【鍵】を与えられるということは、信頼の証でもある。
悪用した場合は、称号を剥奪の上、厳しい罰が待っているということも説明された。
「これが宮廷魔道具師の証……。すげーなー!」
「この裏通りに来た時から、サーラちゃんはタダ者じゃないってわかっていたわ!」
裏通りはちょっとしたお祭りになっていた。
私へのお祝いがたくさん届けられ、肉の丸焼き、パンとジャム、焼き菓子と果物、野菜など、食べ切れないくらいの量が集まった。
だから、今日はお客様や近所の人、仕事でお世話になっている鍛冶工房『ニルソン一家』の人たちを呼び、店と庭を使って、ささやかなパーティーを開いたのだった。
「盛大なお祝いパーティーを開きたかったのに……」
「そうよ。夫も花火を上げようなんて言って、張りきっていたのに残念だわ」
仕立て屋のエミリさんとヒュランデル夫人は、お祝いパーティーを開きたかったらしい。
どんなお祝いをするつもりだったのか、花火を上げると聞いた時点でご遠慮した。
王宮ならともかく、裏通りでバンバン花火が上がったら、何事かと警備兵が駆けつけてくる。
「そのうち、サーラさんの店がヒュランデル商会と並ぶ商会になるかもしれないって、夫が言っていたわ」
「そんな! まだまだです」
まだ商人ギルドに申請中なのだが、商会へ格上げできたら、港の使用許可、各町にある門の通行料を免除され、他国の滞在許可証をもらう手間が省ける。
商会主になると、商人ギルド公認の商人と認められるため、身元の証明にもなるのだ。
その代わり、商人ギルドに納める金額も上がるけど、その見返りは大きい。
「鍋を作っていると言って馬鹿にしていた連中は、今じゃ手のひらを返して、うちの工房を羨ましがっているぜ。まったく、商会だけじゃなく、宮廷魔道具師になるとは、たいしたもんだ」
「ニルソンさんも工房の増築が終わって、王都で一番の工房になりましたよね」
「お前さんのおかげだよ。息子も帰ってきてくれた。今まで以上に頑張らないとなぁ」
ニルソンさんの息子は、他の工房で修業を終えて帰ってきた。
今後は名匠を目指して技を磨くそうだ。
工房も広くなり、職人も増えた『ニルソン一家』の生産力は上がり、売れ行きも順調。
「もっと商品を増やして、ヴィフレア王国だけじゃなく、他国にも売れたらいいですよね」
「サーラ様! カフェにも新商品をお願いします!」
狼獣人の女の子たちは幸せそうな顔でケーキをほおばりながら、私に言った。
「サーラ様が考えた昼間限定の星空カフェも好評なんですよ」
カフェにプラネタリウムを置き、夜空を眺めることができるティールームを作った。
一日数組しか予約できない広さだけど、限定がお客様にとって特別感があるらしく、とても人気だ。
「恋人のお客様が多くて、イチャイチャ……いえ、雰囲気がとてもいいんですよ」
「片想いしていた男性が告白するシーンとか、プロポーズするお客様もいらっしゃるんです~!」
王都に恋人の聖地ができて、女の子たちは大盛り上がりだったけど、私が狙った客層はご家族連れである。
でも、ご家族連れというよりはカップル向けだったらしく……つまり、星空カフェは私に縁のないところ?
「サーラ様も恋人と来てくださいねっ!」
「う、うん、任せといて……。そ、そのうちね……」
複雑な表情を浮かべて、苦笑した。
恋人がいないとは言えずに、いる風に見せてしまう私、十八歳(中身二十四歳)。
「えっ? サーラに恋人いたっけ……もがっ!」
すばやくフランの口を塞ぎ、名誉を守った。
それを見ていたラーシュが、さすが王族という雰囲気で微笑んだ。
「師匠。ぼくでよければ、カフェにご一緒します」
十歳に同情されてしまう私、十八……(以下省略)。
「ラーシュ、あと八年経っても、私が独身だったら、お願いします」
「おい。ラーシュに頼むな。お前にプライドはないのか」
遅れてやってきたリアムが、私の頭に花束を押しつけた。
「リアム!」
呆れた顔で見下ろしたけれど、それより気になったのが、花束である。
「リアム様が花束をサーラ様に贈っていらっしゃるわよ!」
「女性に花束を贈るなんて、初めてじゃない!?」
「黒一色じゃないカラフルなリアム様なんて珍しい!」
花を手にしているおかげで、明るく見えているだけで、今日もリアムは死神みたいに全身黒コーデである。
でも、お祝いの花束を持ってきてくれたのは嬉しい。
受け取ろうとした私に気づき、その手をヒュランデル夫人がつかんで止めた。
「あの、ヒュランデル夫人?」
「リアム様。女性に花束を贈る時は、なにかおっしゃるものですわ」
にこにこ笑顔を浮かべたヒュランデル夫人に、リアムは反論できず、私と花束を見つめた。
周囲は普通に振る舞いながら、気になるらしく、こっちに視線をチラチラ向けている。
みんな気になるのは当然だ。
私もリアムがなにを言うか、わからなくてドキドキしていた。
「父上が喜んでいた。そのお礼だ」
「そ、そ、そうですか。……そうですよね」
がっかりした空気が流れたけど、リアムらしいといえば、リアムらしい理由だ。
リアムが花束なんて、らしくないことをしたから、なにか特別な意味があるのかと思ったけど、特になかったようだ。
花束を受け取り、私はお礼を言った。
「ありがとうございます」
「いや。それから、宮廷魔道具師おめでとう。よく頑張ったな」
不意打ちみたいにして、お祝いの言葉をリアムは言った。
頑張ったなんて言われると思っていなかったから、涙がこぼれた。
「なぜ……」
「リアムに褒められるのって、特別な気持ちになるんです」
この世界で目覚めた時から、心配をかけて振り回してしまったという自覚はある。
でも、いざという時は、リアムがいつも助けてくれた。
涙をぬぐっていると、周りが気まずそうに目をそらしていた。
「え、えーと……」
「あっ! サーラさん。ここに二人で座ったら?」
エミリさんとヒュランデル夫人が座っていたガーデンテーブルとチェアを譲ってくれた。
「お茶を持ってきますね」
「いい」
リアムが私の腕をつかんで、椅子に座らせた。
「人がいなくなって、話しやすくなった」
私の涙の扱いについて、ちょっとリアムに文句を言いたくなったけど我慢した。
私に話があるとわかったからだ。
「なにかありました?」
「改めて、父上から俺を王位継承者として指名したいという話があった」
「そうですか」
やはり、リアムが王になる。
「驚かないのか?」
「そうなればいいなと私は思っていました。リアムは【魔力なし】も獣人も馬鹿にしたりしませんから」
ルーカス様たちが私を馬鹿にしても、リアムは馬鹿にしなかった。
「十年前、そんなリアムにサーラも救われていたと思います」
「それは、どうだろうな」
リアムは黙って、手入れされた庭を眺めた。
ここに住んだばかりの頃は、荒れていた庭だけど、今では花が植えられ、風で揺れている。
「リアムは王様になるんですよね?」
リアムは迷っているのか、返事はなかった。
簡単に決められることじゃないとわかっている。
でも、国王陛下の年齢を考えたら、悩んでいる時間は少ない。
「大丈夫です。リアムなら、きっとみんなに尊敬されるような王様になりますよ!」
私はリアムの背中を押したつもりだった。
でも、リアムが王様になるには、もうひとつ重要なことがあるのを忘れていた。
「俺が妃を決めてから、発表すると言われた」
「リアムの妃!?」
「だが、俺の周りに女性という存在がいないことに気づいた」
「気づくのが遅すぎますけど、そのとおりです」
リアムはなにかの勧誘をするかのように、淡々とした口調で言った。
「俺の婚約者になってくれ。形だけでいい。報酬は支払う」
「ちょ、ちょっと待ってください! 気軽に誘いすぎですから! それに私はアールグレーン公爵家の人間ですよ?」
「勘当されて、縁が切れているだろう」
「ぐっ! でも、形だけとはいえ、私が婚約者っていいんですか? 王宮のしきたりでは、私はリアムと結婚できないはずじゃ……」
「王にならないのであれば無理だな」
王になる前提だから、例外も作れるということらしい。
まるで傭兵を雇うみたいなノリで言われてしまった(形だけの)婚約者の勧誘。
即位するために、その場しのぎの婚約者として、私を利用しようなんて、とんでもない。
それだけじゃない。
――これって、リアムがルーカス様と全面戦争するっていう宣言じゃないですか?
リアムが王様にならなかったら、ルーカス様が王様になる。
そして、私はルーカス様に命じられ、復縁を拒めず妃に戻り、また馬鹿にされる日々……
ゾッとして、首を横に振った。
ルーカス様の妃だけはお断りだ。
――形だけの婚約者として、リアムに協力するしか、ルーカス様から逃れる道はない。
無関係でいられないことはわかる。
これは私をルーカス様から守るためでもあるのだと気づいた。
期間限定とはいえ、私が婚約者――リアムは本気なの?
【二章 了】
236
お気に入りに追加
6,832
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。