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第2章
16 (元)妻が王宮にやってきたが…… ※ルーカス視点
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日が沈み、王宮に魔石の灯りが輝き出す頃――着飾った人々が王宮を目指し、馬車を走らせた。
贅沢に魔石を使用した舞踏会は、宝石が散りばめられた世界のように美しい。
ヴィフレア王宮へ訪れる他国の人間は、その美麗さに言葉を失う。
王宮へ招待されるだけでも、名誉なことだ。
当然のことながら、王宮主催の舞踏会は、毎回出席者は多い。
だが、今回はいつもに増して招待客の出席が多かった。
わざわざ遠い領地から出向いた貴族もいる。
――まあ、それがなぜなのか、僕はわかるけどね。
離縁したはずの僕とサーラが、復縁するかどうか、貴族たちは気が気ではない。
僕としては、彼女から復縁したいと頼みこめば、いつでも応じてあげるつもりでいた。
おかしなことに、サーラにその気が見られないが、アールグレーン公爵家としては、復縁を願っている。
現在のヴィフレア宮廷では、ソニヤの実家であるノルデン公爵家が権勢を誇っていた。
だが、もしサーラが僕と復縁すれば、アールグレーン公爵家が権力を握り、台頭してくる格好になる。
――権力を分散させるのは、僕にとって悪い話ではない。ノルデン公爵を抑えるには、アールグレーン公爵の力が必要だ。
だが、王家の権力を手に入れたいと思っているのは、どの四大公爵家も同じだ。
そろそろ、全員が集まる頃かと、窓の外を眺めれば、馬車に下げられた魔石のランプが、煌々と王宮の入り口を照らしているのが見えた。
――久しぶりに四大公爵が揃う。
ここ数年で一番賑やかな舞踏会となりそうだ。
花火が上がり、王宮の周りには何台もの馬車が並ぶ。
すでに大広間には、大勢の貴族が集まっており、賑やかな声が聞こえてくる。
「最近、王宮主催のパーティーが減って、寂しく思っておりましたのよ」
「ルーカス様が舞踏会を開いてくださらなかったら、集まる機会もございませんでしたわね」
父上が高齢ということもあり、王宮主催のイベントが減っている。
体力が衰え、親族と食事をともにする機会も滅多になく、宮廷へ顔を出す回数も減ってきている。
――それでも、次期王位継承者を決定しないとは、父上も往生際が悪い。
今ならまだ、僕が国王になる可能性が高い。
王妃の母が口添えしてくれたらいいのだが、宮廷内の争いから一歩引き、王位継承争いにも口を挟まない。
父上は自分の妃を選ぶ際、四大公爵家出身ではなく、王族の血を引く物静かな令嬢を選んだ。
あえて四大公爵家以外から妃を迎えたのは、四大公爵家の力を抑え、王家の権力を維持するという目的があったが、自分の考えは違う。
――四大公爵家の力を利用してこそ、ヴィフレアの王だ。
妃にするのなら、四大公爵家からと決めていた。
「今日の舞踏会には、アールグレーン公爵家のサーラ様がいらっしゃるんでしょ」
「噂では、そう聞いているけど、ソニヤ様は気が気ではないわね」
「他の四大公爵家もでしょう。まだルーカス様はお若いし、リアム様も独身。リアム様はどうなさるのかしら?」
最近の話題はサーラより、リアムの話題が多い。
リアムに娘を嫁がせたい貴族たちが、こぞって娘を連れ、紹介するチャンスを狙っている。
――よくあんな化け物に嫁がせようとするものだ。
魔物に等しい化け物であっても、ヴィフレアの国王ならば、娘を喜んで差し出すのか。
人間の王になるのなら、人間であるべきだろう――
「ルーカス様。エスコートしてくださる?」
気がつくと、赤い薔薇を思わせるドレスを身にまとったソニヤが目の前にいた。
窓辺に寄りかかり、外を眺めていた僕を見て、ソニヤは不機嫌そうだ。
着飾った自分がいるのに、よそ見していた僕が気に入らないのだ。
歩くたび、鮮やかな赤のドレスの裾が揺れ、目の端に入る。
ドレスの生地は、南の領地から運ばれる生地で、けばけばしくない光沢が良いとされ、若い令嬢たちの間で流行しているらしい。
上品な光沢が、落ち着いた赤色に見せると評判だが、赤は赤だ。
とても目立っている。
「ソニヤ。赤は赤でも、もう少し落ち着いた色にしたらどうだ?」
「わたくしには赤が似合うとおっしゃったのは、ルーカス様ですわ」
――それは十年前の話だけどね。
そう思ったが、口には出さなかった。
着飾ったソニヤをエスコートし、大広間に出た瞬間、出席者たちの視線が集まる。
「素敵なご夫婦ねぇ」
「いつまでも、お若くて憧れてしまうわ」
「あら、ラーシュ様はいらっしゃらないのね」
「まだ幼くていらっしゃるから、社交界にデビューされていないのよ」
ラーシュの名前が聞こえ、そこで始めてラーシュのことを思い出した。
「ラーシュはどうした?」
「王宮にはおりませんわ。北の砦で、騎士の真似事をして遊んでいるのでしょう」
「また剣か。そろそろ王立魔法学院へ入学させたほうがいいな」
ソニヤの顔が一瞬、こわばったような気がしたが、すぐに笑みを浮かべた。
「そ、そうですわね。入学を考える時期ですわよね」
「平凡であっても気にするな。ラーシュがいるからこそ、リアムよりも優位な立場でいられる。危険な場所には行かせるな」
「え、ええ……」
ラーシュは王族に生まれたというのに、魔法や魔術に興味を持たず、性格もおとなしく覇気がない。
それをソニヤも気にしているのだろう。
こちらに近づく一団に気づき、今はラーシュの話をしている場合ではないと気づいた。
「ルーカス様! 本日は王宮主催の舞踏会を開いてくださり、ありがとうございます」
「魔道具師一同、感謝しております」
ファルクたちが近寄り、礼を述べたのを見て、なにも知らないソニヤがおかしな顔をした。
「ルーカス様。なにをたくらんでいますの?」
「たくらみ? 失礼だな」
「では、なぜファルクたちがルーカス様に感謝を?」
「僕は彼らの魔道具師としてのプライドを守ってあげるだけだよ。父上の前で、サーラと自分たちのどちらが、魔道具師として正しい姿なのか、問いたいらしい」
「サーラを招待したのは、わたくしたちの仲の良さを見せつけるためではなかったの!?」
――そんなことは、少しも考えていなかった。
そう答えるわけにはいかず、曖昧な笑みだけを浮かべた。
嫉妬深いソニヤは、苛立っていたが、それさえどうでもいいと思えるくらいサーラに会うのが楽しみだった。
今のサーラは生意気だが、正直、以前の彼女よりも気に入っている。
気に入っているからこそ、舞踏会に必要な贈り物を彼女に贈ろうと思っていたが、すでにドレスは仕立てられた後だった。
サーラが自分で注文したのだろうが、こちらが親切にドレスを贈ってやろうとしたのに、まったく可愛げがない。
――みすぼらしいドレスを見てやろう。一度、恥をかいた後、立派なドレスを贈れば、サーラも僕に感謝するだろうしね。
そう思った時、一際大きいざわめきが起きた。
全員の視線が、大広間の入り口に向けられ、ささやく声が聞こえる。
「あれはサーラ様……?」
「嘘……。昔のサーラ様と雰囲気がまったく違うわ」
濃い青色の生地に、光の魔石を散らしたドレスは見事で、手間のかかったドレスは、他の令嬢たちのドレスを圧倒した。
堂々と前を向き、笑顔を浮かべ、目があった招待客たちに挨拶をしている。
人の視線が集まると緊張して、なにも言えなくなっていた以前のサーラとは、まるで別人だ。
今の彼女は余裕があり、ソニヤよりも美しく見え、存在感がある。
そして、その隣にいるのは――
贅沢に魔石を使用した舞踏会は、宝石が散りばめられた世界のように美しい。
ヴィフレア王宮へ訪れる他国の人間は、その美麗さに言葉を失う。
王宮へ招待されるだけでも、名誉なことだ。
当然のことながら、王宮主催の舞踏会は、毎回出席者は多い。
だが、今回はいつもに増して招待客の出席が多かった。
わざわざ遠い領地から出向いた貴族もいる。
――まあ、それがなぜなのか、僕はわかるけどね。
離縁したはずの僕とサーラが、復縁するかどうか、貴族たちは気が気ではない。
僕としては、彼女から復縁したいと頼みこめば、いつでも応じてあげるつもりでいた。
おかしなことに、サーラにその気が見られないが、アールグレーン公爵家としては、復縁を願っている。
現在のヴィフレア宮廷では、ソニヤの実家であるノルデン公爵家が権勢を誇っていた。
だが、もしサーラが僕と復縁すれば、アールグレーン公爵家が権力を握り、台頭してくる格好になる。
――権力を分散させるのは、僕にとって悪い話ではない。ノルデン公爵を抑えるには、アールグレーン公爵の力が必要だ。
だが、王家の権力を手に入れたいと思っているのは、どの四大公爵家も同じだ。
そろそろ、全員が集まる頃かと、窓の外を眺めれば、馬車に下げられた魔石のランプが、煌々と王宮の入り口を照らしているのが見えた。
――久しぶりに四大公爵が揃う。
ここ数年で一番賑やかな舞踏会となりそうだ。
花火が上がり、王宮の周りには何台もの馬車が並ぶ。
すでに大広間には、大勢の貴族が集まっており、賑やかな声が聞こえてくる。
「最近、王宮主催のパーティーが減って、寂しく思っておりましたのよ」
「ルーカス様が舞踏会を開いてくださらなかったら、集まる機会もございませんでしたわね」
父上が高齢ということもあり、王宮主催のイベントが減っている。
体力が衰え、親族と食事をともにする機会も滅多になく、宮廷へ顔を出す回数も減ってきている。
――それでも、次期王位継承者を決定しないとは、父上も往生際が悪い。
今ならまだ、僕が国王になる可能性が高い。
王妃の母が口添えしてくれたらいいのだが、宮廷内の争いから一歩引き、王位継承争いにも口を挟まない。
父上は自分の妃を選ぶ際、四大公爵家出身ではなく、王族の血を引く物静かな令嬢を選んだ。
あえて四大公爵家以外から妃を迎えたのは、四大公爵家の力を抑え、王家の権力を維持するという目的があったが、自分の考えは違う。
――四大公爵家の力を利用してこそ、ヴィフレアの王だ。
妃にするのなら、四大公爵家からと決めていた。
「今日の舞踏会には、アールグレーン公爵家のサーラ様がいらっしゃるんでしょ」
「噂では、そう聞いているけど、ソニヤ様は気が気ではないわね」
「他の四大公爵家もでしょう。まだルーカス様はお若いし、リアム様も独身。リアム様はどうなさるのかしら?」
最近の話題はサーラより、リアムの話題が多い。
リアムに娘を嫁がせたい貴族たちが、こぞって娘を連れ、紹介するチャンスを狙っている。
――よくあんな化け物に嫁がせようとするものだ。
魔物に等しい化け物であっても、ヴィフレアの国王ならば、娘を喜んで差し出すのか。
人間の王になるのなら、人間であるべきだろう――
「ルーカス様。エスコートしてくださる?」
気がつくと、赤い薔薇を思わせるドレスを身にまとったソニヤが目の前にいた。
窓辺に寄りかかり、外を眺めていた僕を見て、ソニヤは不機嫌そうだ。
着飾った自分がいるのに、よそ見していた僕が気に入らないのだ。
歩くたび、鮮やかな赤のドレスの裾が揺れ、目の端に入る。
ドレスの生地は、南の領地から運ばれる生地で、けばけばしくない光沢が良いとされ、若い令嬢たちの間で流行しているらしい。
上品な光沢が、落ち着いた赤色に見せると評判だが、赤は赤だ。
とても目立っている。
「ソニヤ。赤は赤でも、もう少し落ち着いた色にしたらどうだ?」
「わたくしには赤が似合うとおっしゃったのは、ルーカス様ですわ」
――それは十年前の話だけどね。
そう思ったが、口には出さなかった。
着飾ったソニヤをエスコートし、大広間に出た瞬間、出席者たちの視線が集まる。
「素敵なご夫婦ねぇ」
「いつまでも、お若くて憧れてしまうわ」
「あら、ラーシュ様はいらっしゃらないのね」
「まだ幼くていらっしゃるから、社交界にデビューされていないのよ」
ラーシュの名前が聞こえ、そこで始めてラーシュのことを思い出した。
「ラーシュはどうした?」
「王宮にはおりませんわ。北の砦で、騎士の真似事をして遊んでいるのでしょう」
「また剣か。そろそろ王立魔法学院へ入学させたほうがいいな」
ソニヤの顔が一瞬、こわばったような気がしたが、すぐに笑みを浮かべた。
「そ、そうですわね。入学を考える時期ですわよね」
「平凡であっても気にするな。ラーシュがいるからこそ、リアムよりも優位な立場でいられる。危険な場所には行かせるな」
「え、ええ……」
ラーシュは王族に生まれたというのに、魔法や魔術に興味を持たず、性格もおとなしく覇気がない。
それをソニヤも気にしているのだろう。
こちらに近づく一団に気づき、今はラーシュの話をしている場合ではないと気づいた。
「ルーカス様! 本日は王宮主催の舞踏会を開いてくださり、ありがとうございます」
「魔道具師一同、感謝しております」
ファルクたちが近寄り、礼を述べたのを見て、なにも知らないソニヤがおかしな顔をした。
「ルーカス様。なにをたくらんでいますの?」
「たくらみ? 失礼だな」
「では、なぜファルクたちがルーカス様に感謝を?」
「僕は彼らの魔道具師としてのプライドを守ってあげるだけだよ。父上の前で、サーラと自分たちのどちらが、魔道具師として正しい姿なのか、問いたいらしい」
「サーラを招待したのは、わたくしたちの仲の良さを見せつけるためではなかったの!?」
――そんなことは、少しも考えていなかった。
そう答えるわけにはいかず、曖昧な笑みだけを浮かべた。
嫉妬深いソニヤは、苛立っていたが、それさえどうでもいいと思えるくらいサーラに会うのが楽しみだった。
今のサーラは生意気だが、正直、以前の彼女よりも気に入っている。
気に入っているからこそ、舞踏会に必要な贈り物を彼女に贈ろうと思っていたが、すでにドレスは仕立てられた後だった。
サーラが自分で注文したのだろうが、こちらが親切にドレスを贈ってやろうとしたのに、まったく可愛げがない。
――みすぼらしいドレスを見てやろう。一度、恥をかいた後、立派なドレスを贈れば、サーラも僕に感謝するだろうしね。
そう思った時、一際大きいざわめきが起きた。
全員の視線が、大広間の入り口に向けられ、ささやく声が聞こえる。
「あれはサーラ様……?」
「嘘……。昔のサーラ様と雰囲気がまったく違うわ」
濃い青色の生地に、光の魔石を散らしたドレスは見事で、手間のかかったドレスは、他の令嬢たちのドレスを圧倒した。
堂々と前を向き、笑顔を浮かべ、目があった招待客たちに挨拶をしている。
人の視線が集まると緊張して、なにも言えなくなっていた以前のサーラとは、まるで別人だ。
今の彼女は余裕があり、ソニヤよりも美しく見え、存在感がある。
そして、その隣にいるのは――
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