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聖教国決着編
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「死ねやぁ!!」
モードが石の礫をサーガに向かって飛ばす。
「させぬ」
クロムが石の礫を見つめる。その瞳がキラリと光ると、サーガに向かっていた石の礫達が、空中に現われたいくつもの黒い穴に飲み込まれて行く。
「な、なん…?!」
そしてモードの後ろにも同じような黒い穴が出現。その穴からそのまま石の礫達が飛び出してくる。
「なに!」
間一髪、モードは石の礫を避ける。
そこへクロムが躍りかかってきた。
「このクソが!」
応戦するモード。しかし足元が不安定な巨岩の上。モードは足を滑らせ巨岩から落ちる。それを追うクロム。2人は空中で縺れ合いながら、地面へと降り立った。
「アガマングア オウウィシムス ワランガマア…」
サーガは力を感じながら、呪文を唱え始めた。全く系統の違う力のため、さすがに無詠唱とはいかないようだ。しかもその言葉は人族の言葉ではなく、どうやら神語のようで発音が難しい。
「ソンヤァキミテウオ ワランガスズウォ カアゲタラヘ イチビタラヘ…」
その言葉の意味が分かるのか、モードの顔が青ざめる。
「ちきしょう! あいつらそれを使ってくるのか!」
目の前のクロムを無視してサーガの元へ行こうとするが、クロムがそれを阻む。
「主の相手は我が輩だの」
「邪魔すんなぁ!!」
拳を突き出してくるものの、戦い慣れしていない聖女の体のせいか、先程の赤髪の女の時よりも勢いがない。
「ふ、急拵えの体ではやはり動きにくいのかの」
クロムがその腕を取り、聖女の顔を覗き込んだ。
「何を…!」
クロムの瞳が煌めく。
「が…」
途端にモードが動きを止めた。
「魂は神のものでも、その体は八重子…ではなく聖女のもの。つまり人の体ならばこの技も効こう」
「な…に……を…」
クロムのこめかみを一筋の汗が流れる。
「聞いた事はあるかの? 金縛りというものだの」
「か…あ…?」
モードが必死に体を動かそうとするが、クロムの鋭い眼差しはモードを捕らえて放さない。
「ワランガマニ アチウガサイシ アガイトンゴオ イトアニラ」
「が…! があ…!」
モードが必死に動こうと藻掻く。
(さすがは神かの。抵抗が激しい)
クロムも必死に目の前のモードを睨み付ける。汗が二筋、三筋と流れる量が増えていく。
「ソヲアガンイザントニ カキイタテンツラン」
サーガの体が黄金色に輝き出す。そしてその光が手元の剣へと集中していく。
「っがあああ!」
モードが持てる力を振り絞り、クロムの金縛りを無理矢理解く。
「ち!」
クロムが目元を押さえ、後ろに飛び退いた。
「唱えさせるかぁ!」
モードが地を蹴り、巨岩の上へと迫るが、
「邪魔はさせぬ!」
その前にクロムが瞬間移動で立ち塞がる。その左目からは血が流れ、先程の金縛りでかなり無理をした事が分かる。
「どきやがれ! 風よ! 俺の元へ集え!」
2人の周りを風が荒れ狂う。
しかしクロムは荒れ狂う風の中を真っ直ぐにモードへ向かってくる。
「てめえも風が効かねえくちか! 地よ! 俺の意に従え!」
風が効かねばとサーガのように地が苦手かと石礫をぶつけるが、瞬間移動で一気にモードの目の前へと移動してくる。
「バカの一つ覚えかの」
クロムが再び目を覗き込んでくる。
咄嗟にモードは眼を瞑った。
「よいのかの? 敵を目の前にして目を瞑ってしまって?」
気付いた時にはクロムの拳が腹にめり込んでいた。
「ソオチラヲタエタラヘ ヤドゥシタラヘ」
輝きがサーガの持つ剣へと集中していく。
「く…」
残った建物の壁に打ち付けられたモードが立ち上がる。
「イトンゴアマアオトニ アハレルタンシィ オオンバチニ」
「ちい!」
モードが巨岩の上を睨み付ける。その顔は青ざめている。
「ぬ? 詠唱が終わったのかの?」
モードの様子と、朗々と響いていたサーガの声がしなくなり、クロムが首を傾げる。
「まだ終わらねえ! 炎よ! 俺の喚び声に応えろ!」
炎が渦を巻き、クロムに襲いかかる。
「ふむ。炎で足止めし、その間に逃亡を図ろうと?」
横からクロムの声がし、モードが驚きに目を向けると、その瞬間脇腹に激痛が走り、また体が吹っ飛ぶ。
瓦礫に衝突し、体が止まる。
(くそ…。動き辛え…この体!)
元の赤髪の女の体はモードが役割をこなすために作った仮の器なので、その機能はまさに思っていたとおりのものだったが、聖女に乗り換えてしまったことで支障が出ている。
「どおわあああああああああ!」
頭の上から悲鳴が聞こえてきた。
視線を向けると、サーガが降ってくる。
「力! 使えな! 受け止めてえ!」
「何を言っておるのだの?」
クロムが首を傾げている。
その隙にモードが逃げ出そうとする。あの力を使われてはモードに勝ち目はない。ここは一旦逃げ延びて体勢を立て直せれば…。
しかし、その体は何かに捕まったかのように動かない。
「な?!」
「影縛りだの。少々待っておれ」
「こんなもの!」
モードが力を振り絞ると、それは容易くブチ切れた。しかし新たな影がその行動を邪魔してくる。
「やはり、受け止めた方がよいかの?」
クロムがサーガに向かって右手を掲げた。
「わああああああああああ! …あ…」
地面に激突する寸前で、その体は空中でピタリと止まった。
「うむ。寸止めは難しいの」
「別に寸止めじゃなくてもいいだろが!」
地面に降り立ったサーガがクロムに文句を言っている。
その隙にモードは逃れようとするが、影が邪魔してほとんど動けずにいた。
「さってと。いろいろ言いたいことはあるが、こっちをさっさと終わらせましょうかね」
サーガが光り輝く剣をモードに向ける。
「力がでかすぎて今にも霧散しそうなのよ」
その言葉通りに力を保つのが余程つらいのか、サーガのこめかみにも汗が幾筋も伝っている。
「お主、気張れよ」
「ちい!」
モードの目がギラリと光る。
「終わってたまるかあ!」
渾身の力で影を振り切り、空中へと逃れる。
「地よ! むが…」
モードの口が大きな掌で塞がれ、地面に引きずり下ろされる。
「これ以上手間を取らせるわけにはいかぬ」
後ろからクロムがモードを羽交い締めにしていた。
「やるのだ!」
「遠慮なく!」
サーガが地を蹴り、飛び上がる。
モードは体を捻って躱そうとするが、クロムがそれを阻む。
「おおおりゃああああ!」
モードの目が見開かれる。
クロムが必死に聖女の体にしがみつく。
サーガが剣を持った腕を伸ばす。
光り輝く剣がモードへと届く。
その切っ先がモードの腹に埋もれ、そしてクロムの背中から突き出た。
「あ…あが…、ぎ、ぎゃあああああああ…」
黒い靄のようなものが聖女の体から吹きだした。
「あ…ああ…あ…」
聖女の体から力が抜けていき、靄のようなものは空中に四散した。
「よかったんか? 本当にこれで」
「よい…。どうせ、この肉体から離れるには死なねばならぬ…」
クロムが苦しそうに言葉を紡ぐ。羽交い締めにしている聖女は死んだのか、ピクリとも動かない。
パキ…パキ…
「あ…」
パキィン…
サーガの剣が粉々に砕けた。さすがに神殺しの力に耐えられなかったようだ。
「ぐ…」
剣が砕け、支えがなくなったせいか、クロムがふらつく。そのまま聖女共々地面に倒れ込んでしまった。
「あ…」
クロムの姿が元の子供に戻っていた。気が抜けたのか、限界だったのか。
「これで、仕事は終わりだな」
少し優しげにサーガがクロムに語りかける。
「そうだの…。これでやっと、お主の顔を見ずに済む…」
サーガを見上げながら、うっすら笑みを浮かべた。
「けーっ! そっくりそのまま返してやらあ!」
サーガがぷいっと顔を背ける。
「クロ…ム?」
か細い女性の声が聞こえた。
クロムが目を見開き、目の前で同じように倒れ込んでいる女性を見つめる。
女性が薄らと瞼を開け、クロムを見つめていた。
「クロ…ム…」
力の入らない腕を、クロムに向かって伸ばす。
クロムが震える手で必死にその手を掴んだ。
女性が微笑んだ。
クロムの顔が、今までに見たことがない、子供らしい顔になる。
「や…、お、お母さん…!」
微笑みを浮かべたまま、女性が目を閉じた。
クロムも笑みを浮かべ、息を吐き出した。
2人の体から、力が抜けていった。
「…母親だったんか」
サーガが動かなくなった2人を見下ろす。
パキ…パキ…
サーガの体からも何かが壊れるような音が大きくなっていく。
「サーガ?!」
扉が勢いよく開かれ、マリエラ達が踏み込んできた。
「やっと扉が開いて…なんだ?! この巨岩は…!」
目の前に聳える巨岩に驚き、次いでサーガの姿を見て息を飲む。
「サーガ…」
「悪い。俺このまま消えるみたい」
サーガの全身に、ヒビが入っていた。神殺しの力の反動だ。
「あ、それと、思い出したんだけどさ~」
体に走るヒビが大きくなっていくのも構わず、サーガは言葉を続ける。
「俺、もう結婚してるのよね。んだから、あいつらにも言っといてちょ。俺、あいつ以外の女は眼中にないからってさ」
にっかりといつもの悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
「サ…」
パキィン…!
サーガの体が粉々に砕け、風に乗って散っていった。
モードが石の礫をサーガに向かって飛ばす。
「させぬ」
クロムが石の礫を見つめる。その瞳がキラリと光ると、サーガに向かっていた石の礫達が、空中に現われたいくつもの黒い穴に飲み込まれて行く。
「な、なん…?!」
そしてモードの後ろにも同じような黒い穴が出現。その穴からそのまま石の礫達が飛び出してくる。
「なに!」
間一髪、モードは石の礫を避ける。
そこへクロムが躍りかかってきた。
「このクソが!」
応戦するモード。しかし足元が不安定な巨岩の上。モードは足を滑らせ巨岩から落ちる。それを追うクロム。2人は空中で縺れ合いながら、地面へと降り立った。
「アガマングア オウウィシムス ワランガマア…」
サーガは力を感じながら、呪文を唱え始めた。全く系統の違う力のため、さすがに無詠唱とはいかないようだ。しかもその言葉は人族の言葉ではなく、どうやら神語のようで発音が難しい。
「ソンヤァキミテウオ ワランガスズウォ カアゲタラヘ イチビタラヘ…」
その言葉の意味が分かるのか、モードの顔が青ざめる。
「ちきしょう! あいつらそれを使ってくるのか!」
目の前のクロムを無視してサーガの元へ行こうとするが、クロムがそれを阻む。
「主の相手は我が輩だの」
「邪魔すんなぁ!!」
拳を突き出してくるものの、戦い慣れしていない聖女の体のせいか、先程の赤髪の女の時よりも勢いがない。
「ふ、急拵えの体ではやはり動きにくいのかの」
クロムがその腕を取り、聖女の顔を覗き込んだ。
「何を…!」
クロムの瞳が煌めく。
「が…」
途端にモードが動きを止めた。
「魂は神のものでも、その体は八重子…ではなく聖女のもの。つまり人の体ならばこの技も効こう」
「な…に……を…」
クロムのこめかみを一筋の汗が流れる。
「聞いた事はあるかの? 金縛りというものだの」
「か…あ…?」
モードが必死に体を動かそうとするが、クロムの鋭い眼差しはモードを捕らえて放さない。
「ワランガマニ アチウガサイシ アガイトンゴオ イトアニラ」
「が…! があ…!」
モードが必死に動こうと藻掻く。
(さすがは神かの。抵抗が激しい)
クロムも必死に目の前のモードを睨み付ける。汗が二筋、三筋と流れる量が増えていく。
「ソヲアガンイザントニ カキイタテンツラン」
サーガの体が黄金色に輝き出す。そしてその光が手元の剣へと集中していく。
「っがあああ!」
モードが持てる力を振り絞り、クロムの金縛りを無理矢理解く。
「ち!」
クロムが目元を押さえ、後ろに飛び退いた。
「唱えさせるかぁ!」
モードが地を蹴り、巨岩の上へと迫るが、
「邪魔はさせぬ!」
その前にクロムが瞬間移動で立ち塞がる。その左目からは血が流れ、先程の金縛りでかなり無理をした事が分かる。
「どきやがれ! 風よ! 俺の元へ集え!」
2人の周りを風が荒れ狂う。
しかしクロムは荒れ狂う風の中を真っ直ぐにモードへ向かってくる。
「てめえも風が効かねえくちか! 地よ! 俺の意に従え!」
風が効かねばとサーガのように地が苦手かと石礫をぶつけるが、瞬間移動で一気にモードの目の前へと移動してくる。
「バカの一つ覚えかの」
クロムが再び目を覗き込んでくる。
咄嗟にモードは眼を瞑った。
「よいのかの? 敵を目の前にして目を瞑ってしまって?」
気付いた時にはクロムの拳が腹にめり込んでいた。
「ソオチラヲタエタラヘ ヤドゥシタラヘ」
輝きがサーガの持つ剣へと集中していく。
「く…」
残った建物の壁に打ち付けられたモードが立ち上がる。
「イトンゴアマアオトニ アハレルタンシィ オオンバチニ」
「ちい!」
モードが巨岩の上を睨み付ける。その顔は青ざめている。
「ぬ? 詠唱が終わったのかの?」
モードの様子と、朗々と響いていたサーガの声がしなくなり、クロムが首を傾げる。
「まだ終わらねえ! 炎よ! 俺の喚び声に応えろ!」
炎が渦を巻き、クロムに襲いかかる。
「ふむ。炎で足止めし、その間に逃亡を図ろうと?」
横からクロムの声がし、モードが驚きに目を向けると、その瞬間脇腹に激痛が走り、また体が吹っ飛ぶ。
瓦礫に衝突し、体が止まる。
(くそ…。動き辛え…この体!)
元の赤髪の女の体はモードが役割をこなすために作った仮の器なので、その機能はまさに思っていたとおりのものだったが、聖女に乗り換えてしまったことで支障が出ている。
「どおわあああああああああ!」
頭の上から悲鳴が聞こえてきた。
視線を向けると、サーガが降ってくる。
「力! 使えな! 受け止めてえ!」
「何を言っておるのだの?」
クロムが首を傾げている。
その隙にモードが逃げ出そうとする。あの力を使われてはモードに勝ち目はない。ここは一旦逃げ延びて体勢を立て直せれば…。
しかし、その体は何かに捕まったかのように動かない。
「な?!」
「影縛りだの。少々待っておれ」
「こんなもの!」
モードが力を振り絞ると、それは容易くブチ切れた。しかし新たな影がその行動を邪魔してくる。
「やはり、受け止めた方がよいかの?」
クロムがサーガに向かって右手を掲げた。
「わああああああああああ! …あ…」
地面に激突する寸前で、その体は空中でピタリと止まった。
「うむ。寸止めは難しいの」
「別に寸止めじゃなくてもいいだろが!」
地面に降り立ったサーガがクロムに文句を言っている。
その隙にモードは逃れようとするが、影が邪魔してほとんど動けずにいた。
「さってと。いろいろ言いたいことはあるが、こっちをさっさと終わらせましょうかね」
サーガが光り輝く剣をモードに向ける。
「力がでかすぎて今にも霧散しそうなのよ」
その言葉通りに力を保つのが余程つらいのか、サーガのこめかみにも汗が幾筋も伝っている。
「お主、気張れよ」
「ちい!」
モードの目がギラリと光る。
「終わってたまるかあ!」
渾身の力で影を振り切り、空中へと逃れる。
「地よ! むが…」
モードの口が大きな掌で塞がれ、地面に引きずり下ろされる。
「これ以上手間を取らせるわけにはいかぬ」
後ろからクロムがモードを羽交い締めにしていた。
「やるのだ!」
「遠慮なく!」
サーガが地を蹴り、飛び上がる。
モードは体を捻って躱そうとするが、クロムがそれを阻む。
「おおおりゃああああ!」
モードの目が見開かれる。
クロムが必死に聖女の体にしがみつく。
サーガが剣を持った腕を伸ばす。
光り輝く剣がモードへと届く。
その切っ先がモードの腹に埋もれ、そしてクロムの背中から突き出た。
「あ…あが…、ぎ、ぎゃあああああああ…」
黒い靄のようなものが聖女の体から吹きだした。
「あ…ああ…あ…」
聖女の体から力が抜けていき、靄のようなものは空中に四散した。
「よかったんか? 本当にこれで」
「よい…。どうせ、この肉体から離れるには死なねばならぬ…」
クロムが苦しそうに言葉を紡ぐ。羽交い締めにしている聖女は死んだのか、ピクリとも動かない。
パキ…パキ…
「あ…」
パキィン…
サーガの剣が粉々に砕けた。さすがに神殺しの力に耐えられなかったようだ。
「ぐ…」
剣が砕け、支えがなくなったせいか、クロムがふらつく。そのまま聖女共々地面に倒れ込んでしまった。
「あ…」
クロムの姿が元の子供に戻っていた。気が抜けたのか、限界だったのか。
「これで、仕事は終わりだな」
少し優しげにサーガがクロムに語りかける。
「そうだの…。これでやっと、お主の顔を見ずに済む…」
サーガを見上げながら、うっすら笑みを浮かべた。
「けーっ! そっくりそのまま返してやらあ!」
サーガがぷいっと顔を背ける。
「クロ…ム?」
か細い女性の声が聞こえた。
クロムが目を見開き、目の前で同じように倒れ込んでいる女性を見つめる。
女性が薄らと瞼を開け、クロムを見つめていた。
「クロ…ム…」
力の入らない腕を、クロムに向かって伸ばす。
クロムが震える手で必死にその手を掴んだ。
女性が微笑んだ。
クロムの顔が、今までに見たことがない、子供らしい顔になる。
「や…、お、お母さん…!」
微笑みを浮かべたまま、女性が目を閉じた。
クロムも笑みを浮かべ、息を吐き出した。
2人の体から、力が抜けていった。
「…母親だったんか」
サーガが動かなくなった2人を見下ろす。
パキ…パキ…
サーガの体からも何かが壊れるような音が大きくなっていく。
「サーガ?!」
扉が勢いよく開かれ、マリエラ達が踏み込んできた。
「やっと扉が開いて…なんだ?! この巨岩は…!」
目の前に聳える巨岩に驚き、次いでサーガの姿を見て息を飲む。
「サーガ…」
「悪い。俺このまま消えるみたい」
サーガの全身に、ヒビが入っていた。神殺しの力の反動だ。
「あ、それと、思い出したんだけどさ~」
体に走るヒビが大きくなっていくのも構わず、サーガは言葉を続ける。
「俺、もう結婚してるのよね。んだから、あいつらにも言っといてちょ。俺、あいつ以外の女は眼中にないからってさ」
にっかりといつもの悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
「サ…」
パキィン…!
サーガの体が粉々に砕け、風に乗って散っていった。
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