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獣王国へ編
どこかの会議
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「集まったかな。では、報告を聞こう」
長い銀髪を垂らした壮年の男性が、落ち着いた声を張り上げる。
「は。今回の襲撃に関してですが、失敗に終わったようです」
この中で唯一の黒髪の、多分一番若いであろう男性が報告する。しかし多分年齢は50を越えているだろう。
「はて。それほど強そうには見えないと報告があったと思うが?」
この中で唯一の女性が発言する。銀髪を後ろで団子に纏めている。
「は。それなりの手練れの者を送ったのですが、1人は薬を服用したにもかかわらず反対に倒され、1人は辛うじて逃げ出せたとのことでした」
黒髪の男性が手に汗をかきながら発言する。
「わしの部隊の者を貸し出してやったのじゃがな。あの2人にかかったにもかかわらず生き延びるとは」
だいぶ薄くなった頭髪に、眼鏡をかけた人物が発言する。
「本当に実力者だったにょか?」
少し小太りな人物が、疑うような視線を眼鏡の男性に向ける。
眼鏡の男性がジロリと小太りな男性を睨み付けた。
「今までにも依頼を失敗した事などない2人じゃった。それを退けたというのじゃから、それなりの実力者ということになるぞ」
「そうかもしれん。人は見かけではわからぬ」
長髪の男性が肯定する。
「新たに刺客を送るのかい?」
女性が長髪の男性に問いかける。長髪の男性が答える前に、黒髪の男性が言葉を発した。
「それが、その後の情報によると、その男はどうやら獣王国の方へと向かったとありまして」
「獣王国? そちらに行かれると厄介だにょ」
小太りな男性が首を傾げた。
「獣王国へ向かうということは、我らの計画を邪魔しようとしていたわけではないということになるか?」
疑問形で長髪の男性が言った。
「それでも販路を2つ、建設中の工場を1つ潰されているのじゃぞ? 偶然にしては短期間で出来過ぎではないか?」
眼鏡の男性が発言する。
「冒険者の思考なぞ読めんにょ」
小太りな男性がからかうような口ぶりで発言する。
「うむ。我らに冒険者などという野蛮な人種の考えなど読めぬ。もしかしたら本当に偶然の出来事だったのかもしれん」
長髪の男性が言う。
「下手につついてヤブヘビになっても困るかもしれないね」
女性が軽く溜息を吐いた。
「監視態勢はこれまでのように継続。もしまた手を出すようならば、刺客の派遣を再考しよう。しばらく泳がせてみる。ということで良いかな?」
「「「異議なし」」」
黒髪の男性以外が声を揃える。
「一応いつでも派遣できるようにこちらもそろえておこう」
眼鏡の男性が発言した。
「では、そのように手配致します」
黒髪の男性が答えた。
「しかし、建設中の工場を失ったのは痛いね。魔女様の血も運び終えた後だったのだろう?」
女性が発言する。
「うむ。一番大事な魔女様の血を大量に失ったのは痛い。聖選の時は近づいている。計画の遅れは許されない」
長髪の男性が答える。
「どうにか魔女様の血をもっと採れるようには出来ないのかにょ?」
小太りな男性が質問する。
「魔女様は魔力を持たぬ言ってしまえばただの人だ。魔法で回復しても失った血は戻らん。お主のように少し小太りになってもらって血を沢山生成してもらえればいいのだがな」
長髪の男性が答える。
「それは皮肉かにょ?」
小太りな男性が腹をさすりながら言った。
「特に女生ともなれば、毎月の月のものでだいぶ血が失われるからね」
同じ女性だから分かるのだろうか、女性が溜息を吐いた。
「そちらの血も利用可能になったじゃろう」
眼鏡の男性が発言する。
「まあ、そうだけどね」
女性の顔が若干曇った。
「とにかく、魔女様にはたっぷり栄養を取ってもらい、血を沢山生成してもらわなければならない。各自また血に良さそうな物が見つかったら献上してくれ」
皆頷いた。
「では次の議題だが…」
会議は次の議題へと移った。
「聖女様。お時間でございます」
「はいは~い」
いつもの侍女がやって来て、今代の聖女が身支度を整える。
「あ~、これいつも嫌なんだよね~。ねえヨルダ、代わってよ」
黒髪黒眼の素朴な顔立ちの聖女が、美少女の侍女を見る。
「聖女様の健康をはかるために必要なことでございます。代わってどうしますか」
ヨルダと呼ばれた侍女はテキパキと動き、聖女の身支度を整えさせた。
「では採血へ参りましょう」
「は~い」
侍女を伴い、聖女は歩き慣れたその通路を進んで行った。
長い銀髪を垂らした壮年の男性が、落ち着いた声を張り上げる。
「は。今回の襲撃に関してですが、失敗に終わったようです」
この中で唯一の黒髪の、多分一番若いであろう男性が報告する。しかし多分年齢は50を越えているだろう。
「はて。それほど強そうには見えないと報告があったと思うが?」
この中で唯一の女性が発言する。銀髪を後ろで団子に纏めている。
「は。それなりの手練れの者を送ったのですが、1人は薬を服用したにもかかわらず反対に倒され、1人は辛うじて逃げ出せたとのことでした」
黒髪の男性が手に汗をかきながら発言する。
「わしの部隊の者を貸し出してやったのじゃがな。あの2人にかかったにもかかわらず生き延びるとは」
だいぶ薄くなった頭髪に、眼鏡をかけた人物が発言する。
「本当に実力者だったにょか?」
少し小太りな人物が、疑うような視線を眼鏡の男性に向ける。
眼鏡の男性がジロリと小太りな男性を睨み付けた。
「今までにも依頼を失敗した事などない2人じゃった。それを退けたというのじゃから、それなりの実力者ということになるぞ」
「そうかもしれん。人は見かけではわからぬ」
長髪の男性が肯定する。
「新たに刺客を送るのかい?」
女性が長髪の男性に問いかける。長髪の男性が答える前に、黒髪の男性が言葉を発した。
「それが、その後の情報によると、その男はどうやら獣王国の方へと向かったとありまして」
「獣王国? そちらに行かれると厄介だにょ」
小太りな男性が首を傾げた。
「獣王国へ向かうということは、我らの計画を邪魔しようとしていたわけではないということになるか?」
疑問形で長髪の男性が言った。
「それでも販路を2つ、建設中の工場を1つ潰されているのじゃぞ? 偶然にしては短期間で出来過ぎではないか?」
眼鏡の男性が発言する。
「冒険者の思考なぞ読めんにょ」
小太りな男性がからかうような口ぶりで発言する。
「うむ。我らに冒険者などという野蛮な人種の考えなど読めぬ。もしかしたら本当に偶然の出来事だったのかもしれん」
長髪の男性が言う。
「下手につついてヤブヘビになっても困るかもしれないね」
女性が軽く溜息を吐いた。
「監視態勢はこれまでのように継続。もしまた手を出すようならば、刺客の派遣を再考しよう。しばらく泳がせてみる。ということで良いかな?」
「「「異議なし」」」
黒髪の男性以外が声を揃える。
「一応いつでも派遣できるようにこちらもそろえておこう」
眼鏡の男性が発言した。
「では、そのように手配致します」
黒髪の男性が答えた。
「しかし、建設中の工場を失ったのは痛いね。魔女様の血も運び終えた後だったのだろう?」
女性が発言する。
「うむ。一番大事な魔女様の血を大量に失ったのは痛い。聖選の時は近づいている。計画の遅れは許されない」
長髪の男性が答える。
「どうにか魔女様の血をもっと採れるようには出来ないのかにょ?」
小太りな男性が質問する。
「魔女様は魔力を持たぬ言ってしまえばただの人だ。魔法で回復しても失った血は戻らん。お主のように少し小太りになってもらって血を沢山生成してもらえればいいのだがな」
長髪の男性が答える。
「それは皮肉かにょ?」
小太りな男性が腹をさすりながら言った。
「特に女生ともなれば、毎月の月のものでだいぶ血が失われるからね」
同じ女性だから分かるのだろうか、女性が溜息を吐いた。
「そちらの血も利用可能になったじゃろう」
眼鏡の男性が発言する。
「まあ、そうだけどね」
女性の顔が若干曇った。
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