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赤い髪の女編
のんきな2人
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日が暮れて、今日の捜索は打ち切りとなった。
宿屋へ戻って夕飯食べて、それぞれの部屋へ戻って・・・、やっぱりキーナがテルディアスの部屋にやって来た。
「今日は歩き回って足が疲れた」
などと言う。
いつも歩いてるじゃねーかと突っ込みたかったが、
「そーか」
の一言。
「足が疲れた」
「そーか」
「足が疲れた」
「そーか」
「あーしーがーつーかーれーたーなー」
「そーか」
「足が疲れたからマッサージして欲しいなぁ」
「そーか」
「マッサージ」
「自分でやれ」
「マッサージして欲しいなぁ」
「自分でやれ」
「マッサージ!」
「くっつくな!」
人の体に許可もなくよじ登ってくるキーナを振りほどく。
だいたい寝間着一枚で人の体にくっついてくること自体やばいというに。
何がやばいのだ?
あまりにしつっこくまとわり付いてくるので、テルディアスが根負けする。
とりあえず足の裏のツボを刺激してやることに。
「うにゅぅ。メリンダさん見つからなかったねぃ」
「ああ」
大人しく右足から足裏のツボ押しを受けるキーナ。
全く面倒くさい奴だ。
「赤い服の男と一緒に歩いていたという目撃を最後に、足取りがプッツリ消えてしまったからな」
赤い服の男と並んで歩いて行ったと言う方へ向かったが、その先では何故か誰も目にしていなかった。
赤い髪に赤い服となれば、街中ではかなり目立つであろうに。
何故かそのまま足取りが消えてしまったのである。
「痛い!」
キーナが悲鳴を上げた。
「我慢しろ」
テルディアスがぐいぐいとツボを押しまくる。
日頃の恨みもこもっているのかもしれない。
「とにかくあの女を探し出して・・・」
キーナが痛い痛いともがくも、無視して押しまくる。
「村の場所を吐かせて・・・」
キーナの左足が動いた。
ゴッ
いい音がして、キーナの足がテルディアスの顎を蹴り上げた。
「何をする!」
かなり痛かった。
「だって~」
キーナが涙目で痛いんだもんと呟く。
「お前がやれとしつこいからやってやったのに・・・」
顎をさすりながらキーナに背を向けるテルディアス。
「わ~ん、ごめんなさ~い」
さすがに悪いと思ったか、必死に謝るキーナ。
「もうしないから、もうしないから、もちょっとだけ」
必死に懇願するキーナを睨み、
「本当だな?」
と念を押す。
「今度蹴ったら二度としないぞ」
「もーしません!」
片手を上げて宣誓。
本当に反省しとるのかこいつ。
「あい、ヨロシク」
と壁に背を預け、両足を投げ出す。
テルディアスはギクリとなる。
ここは昨夜と同じ宿屋。
昨夜と同じ寝間着。
つまり寝間着の裾が何故か極端に短い。
キーナの足は太腿からほぼ丸見えの状態で、足の付け根まで見えてしまうのではないかという危険地帯。
テルディアスは思わず目を逸らす。
「どったの? テル?」
「なんでもない」
お前も少しは気にしろキーナ。
平常心を保ちながら、ふくらはぎの辺りを揉んでやる。
その柔らかさにも少しドキリとなる。が、無視!
「ぶひゃははは!」
何故かキーナが笑い出す。
「今度は何だ?!」
「くちゅぐったい・・・」
キーナの顔が引きつったような変顔になっている。
「やめるか?」
「やってください♡」
なんだか嫌な予感がしたが、ここで断ってまたまとわりつかれるのもアレなので、マッサージを再開する。
一応足の動きに注意して、ピクリとでも動けばすぐに避けられるように構える。
その間にも、キーナの口から、
「ぶひっ、ぶふへっ」
などという奇妙な笑い声が漏れてくる。
(そんなにくすぐったいのか?)
よく分からんテルディアス、律儀に揉み続ける。
くすぐったいならやめればいいのに。
そして、限界が来た。
「やっぱだめー!」
という声と共に、キーナの右手がテルディアスの頬を捕らえた。
バッチイン!
いい音が響き渡りました。
「キーナァ!!」
「ふにゃ~ん」
その後、テル君のお説教の声がしばらく聞こえたと言うことです。
朝になり、テルディアスが目を覚ますと、お馴染みキーナが何故か腕枕で寝ておりました。
抱っこちゃんのような格好でテルディアスの横で眠るキーナ。
(どうしたらこういう状況になるんだ・・・?)
テルディアス、冷静に状況判断が少しはできるようになってきた。
「むにゃ・・・」
とキーナが動いた。
その足がテルディアスの敏感な所を刺激する。
思わず逃げ出す。
びったん!
と壁に張り付いて、ゼハゼハと肩で息をする。
ベッドではキーナが気持ちよさそうな寝息をたてている。
静かな朝だ。
平和な朝だ。
なのに、何故自分だけこんなにも悩まされなければならないのか・・・。
(もう嫌だ・・・。こんな生活・・・。主に寝起き・・・)
テルディアス膝を抱える。
朝の爽やかな日差しは、全ての物を美しく照らし出していた。
宿屋へ戻って夕飯食べて、それぞれの部屋へ戻って・・・、やっぱりキーナがテルディアスの部屋にやって来た。
「今日は歩き回って足が疲れた」
などと言う。
いつも歩いてるじゃねーかと突っ込みたかったが、
「そーか」
の一言。
「足が疲れた」
「そーか」
「足が疲れた」
「そーか」
「あーしーがーつーかーれーたーなー」
「そーか」
「足が疲れたからマッサージして欲しいなぁ」
「そーか」
「マッサージ」
「自分でやれ」
「マッサージして欲しいなぁ」
「自分でやれ」
「マッサージ!」
「くっつくな!」
人の体に許可もなくよじ登ってくるキーナを振りほどく。
だいたい寝間着一枚で人の体にくっついてくること自体やばいというに。
何がやばいのだ?
あまりにしつっこくまとわり付いてくるので、テルディアスが根負けする。
とりあえず足の裏のツボを刺激してやることに。
「うにゅぅ。メリンダさん見つからなかったねぃ」
「ああ」
大人しく右足から足裏のツボ押しを受けるキーナ。
全く面倒くさい奴だ。
「赤い服の男と一緒に歩いていたという目撃を最後に、足取りがプッツリ消えてしまったからな」
赤い服の男と並んで歩いて行ったと言う方へ向かったが、その先では何故か誰も目にしていなかった。
赤い髪に赤い服となれば、街中ではかなり目立つであろうに。
何故かそのまま足取りが消えてしまったのである。
「痛い!」
キーナが悲鳴を上げた。
「我慢しろ」
テルディアスがぐいぐいとツボを押しまくる。
日頃の恨みもこもっているのかもしれない。
「とにかくあの女を探し出して・・・」
キーナが痛い痛いともがくも、無視して押しまくる。
「村の場所を吐かせて・・・」
キーナの左足が動いた。
ゴッ
いい音がして、キーナの足がテルディアスの顎を蹴り上げた。
「何をする!」
かなり痛かった。
「だって~」
キーナが涙目で痛いんだもんと呟く。
「お前がやれとしつこいからやってやったのに・・・」
顎をさすりながらキーナに背を向けるテルディアス。
「わ~ん、ごめんなさ~い」
さすがに悪いと思ったか、必死に謝るキーナ。
「もうしないから、もうしないから、もちょっとだけ」
必死に懇願するキーナを睨み、
「本当だな?」
と念を押す。
「今度蹴ったら二度としないぞ」
「もーしません!」
片手を上げて宣誓。
本当に反省しとるのかこいつ。
「あい、ヨロシク」
と壁に背を預け、両足を投げ出す。
テルディアスはギクリとなる。
ここは昨夜と同じ宿屋。
昨夜と同じ寝間着。
つまり寝間着の裾が何故か極端に短い。
キーナの足は太腿からほぼ丸見えの状態で、足の付け根まで見えてしまうのではないかという危険地帯。
テルディアスは思わず目を逸らす。
「どったの? テル?」
「なんでもない」
お前も少しは気にしろキーナ。
平常心を保ちながら、ふくらはぎの辺りを揉んでやる。
その柔らかさにも少しドキリとなる。が、無視!
「ぶひゃははは!」
何故かキーナが笑い出す。
「今度は何だ?!」
「くちゅぐったい・・・」
キーナの顔が引きつったような変顔になっている。
「やめるか?」
「やってください♡」
なんだか嫌な予感がしたが、ここで断ってまたまとわりつかれるのもアレなので、マッサージを再開する。
一応足の動きに注意して、ピクリとでも動けばすぐに避けられるように構える。
その間にも、キーナの口から、
「ぶひっ、ぶふへっ」
などという奇妙な笑い声が漏れてくる。
(そんなにくすぐったいのか?)
よく分からんテルディアス、律儀に揉み続ける。
くすぐったいならやめればいいのに。
そして、限界が来た。
「やっぱだめー!」
という声と共に、キーナの右手がテルディアスの頬を捕らえた。
バッチイン!
いい音が響き渡りました。
「キーナァ!!」
「ふにゃ~ん」
その後、テル君のお説教の声がしばらく聞こえたと言うことです。
朝になり、テルディアスが目を覚ますと、お馴染みキーナが何故か腕枕で寝ておりました。
抱っこちゃんのような格好でテルディアスの横で眠るキーナ。
(どうしたらこういう状況になるんだ・・・?)
テルディアス、冷静に状況判断が少しはできるようになってきた。
「むにゃ・・・」
とキーナが動いた。
その足がテルディアスの敏感な所を刺激する。
思わず逃げ出す。
びったん!
と壁に張り付いて、ゼハゼハと肩で息をする。
ベッドではキーナが気持ちよさそうな寝息をたてている。
静かな朝だ。
平和な朝だ。
なのに、何故自分だけこんなにも悩まされなければならないのか・・・。
(もう嫌だ・・・。こんな生活・・・。主に寝起き・・・)
テルディアス膝を抱える。
朝の爽やかな日差しは、全ての物を美しく照らし出していた。
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