キーナの魔法

小笠原慎二

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ミドル王国編

テルとの別れ

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小鳥の声が聞こえてくる。
気だるい体を何とか起こすと、いつの間にか柔らかな朝日が世界を包み込んでいた。
ボーっとしたまま、キーナは見ていた夢を思い出していた。

(変な夢見た・・・)

人間の姿のテルディアス。年は今よりかいくらか若め。キーナと同じくらいか、それより幼いくらいかもしれない。

(結構かっくいいんだな)

おや? キーナちゃんのストライクゾーンに入りましたか?

(テルに確認してみよう♪)

ルンルンとベッドを出ようとして、手元でチャリっと音がしたのにキーナが気づく。

「ん?」

枕の横に見覚えのあるイヤリング。

「あれ?」

とっさに左に耳に触ってみる。しかし、その赤いイヤリングはしっかりとキーナの耳にぶら下がっていた。

「ついてる・・・」

不思議に思いながらそのイヤリングを手に取る。考えられることは・・・。

「テルの?」

何故テルのイヤリングがそこに置いてあるのだろう?

(落としたんかな?)

深くは考えず、とりあえず聞いて見なければ分からないと、キーナはベッドを降りて、部屋を出る。
階段を下り、おじいさんの書斎に向かった。
扉を開けて中に入ると、おじいさんが何か書物を調べているようだった。

「おっはようござーまーす」

そんなキーナの声に驚いたのか、びくうっ!としておじいさんが手に持っていた本の束をドサドサと足元に落とした。

「お、おはよう嬢ちゃん」

何故か少し引きつったような顔をしながら、一応笑顔でおじいさんは答えた。落とした本をまとめながら拾い上げる。

「大丈夫? おじいさん」

キーナがちょっと心配して声をかける。

「ああ、大丈夫じゃ」

まとめた本を机の上に置いた。

「ところでテルは? 僕より遅いなんて珍しい」

キーナがキョロキョロと見回した。
一応テルディアスはキーナとは違う部屋で寝たはずだ。場所は何故か教えてもらえなかったけど。まあ、昨日は怖い夢を見たには見たが、怖くなかったから別にいいのだが。
すると、おじいさんがコホンとひとつ咳払いをし、

「そ、そのことで、嬢ちゃん・・・」

言いにくそうにおじいさんが口を開いた。

「実はの・・・テルディアスは昨夜、嬢ちゃんが寝付いてすぐ、ここを出たのじゃ」
「え?」

キーナの目が大きく開かれる。
おじいさんが渋い顔をしながら、話し出す。

「これ以上嬢ちゃんを危険に巻き込むわけにはいかんと、自分が魔女の目を引き付けておけば、結界の中にいる嬢ちゃんの身は安全だろうというこっちゃで、まったく、人の話を聞きゃあしない」
「テルが・・・僕を・・・置いて行ったの・・・?」

虚ろ気にキーナが呟いた。

「ああ、心配しなさんな。嬢ちゃんの身はワシが責任持って預かるでな」

おじいさんが優しげにキーナに語り掛けるが、キーナの目はどこを見ているのか、

「テルが・・・僕を・・・」

と呟きを繰り返している。

「嬢ちゃん?」

おじいさんが心配そうにキーナの顔を覗き込む。
だが、その瞳にはおじいさんは映らないようだ。
右手に握られたテルの耳飾りをじっと見つめる。
キーナの脳裏に、テルの声が聞こえてくるような気がした。

すまない・・・キーナ
元気で・・・
もう二度と・・・会うこともない・・・

一度だけ振り向き、そのまま背を向けて去っていくテルディアス。
独り孤独の道を歩むことを決意したその背中。
だが、人と関わることを思い出したその背中には、思い出す前よりも暗い孤独の影が差している。

テル・・・

暗い闇の中を歩くテルディアスの背中。

独りに戻っただけ・・・

テル・・・!

悲しみの影が濃く立ち込める。

元より、俺は一人だ・・・

テル!

そして闇の中をただひたすらに歩いていく。

独り・・・・・・

テル!!

闇の中を・・・。
キーナが突然駆け出そうとする。

「嬢ちゃん?!」

慌てておじいさんがキーナの手を掴んだ。

「放して! テルを追いかけなきゃ!」

キーナが必死に振りほどこうと暴れた。

「嬢ちゃん! 落ち着きなさい!!」

その手を放すまいとしっかりと握るおじいさん。

「今から行ったところで追いつけん! それに行き先も分からんじゃろ!」

びくっとなって、キーナが暴れるのをやめた。
腕から力が抜け、放心したように立ち尽くす。
ほっとなったおじいさんだったが・・・。
キーナの目からはたはたと涙がこぼれ始めた。
再びギョッとなったおじいさん。

「じょ、嬢ちゃん?!」

とめどなくキーナの目から涙がこぼれ落ちる。

「テルが・・・テルが・・・また独りになっちゃう・・・。テル・・・」

溢れる涙を拭おうともせず、キーナは静かに涙をこぼす。

「嬢ちゃん・・・」
「おじいさん、テルはどこに行ったの? どうして何も言ってくれなかったの?」

キーナがおじいさんを見上げる。

「そ、そいつは・・・わしに聞かれても・・・」

たじたじとなるおじいさん。

「僕が足手まといだから? 僕を嫌いになったから? 僕が邪魔になったから?」

それしか考えられない。
どう考えても自分はテルの邪魔にしかなっていない。この先何かあったとして、テルの足を引っ張るしか自分には出来ないだろう。だけど、それならそれで言って欲しかった。黙って行くということはそれ程自分のことが嫌いだったのか。
そうとしか考えられない。

「僕はお荷物だったから、だから独りになるのも構わずに行ったんだ・・・」

キーナが両手で顔を覆った。
この世界で始めて出会って、命を助けられて、感謝しきれないほど助けられて・・・。
お礼もまだ言ってないのに・・・。こんなに早く別れることになるとも思っていなかった。
RPGだと一度仲間になったら滅多なことじゃ別れないもん。
でもこれはゲームじゃないから。
別れはあるのだ。

「じょ、嬢ちゃん、それは違うと思うぞ」

おじいさんが口を挟んだ。

「わしはあんなテルディアスは見たことがない。あんな楽しそうにしているテルディアスは初めてじゃ」

楽しそう? キーナはちょっと疑問に思ったが口は挟まなかった。

「呪いによって初めて孤独を知っただけではないじゃろう。嬢ちゃんがあやつを変えたのじゃ。
 闇に呑まれかけていたあやつを」

キーナがキョトンとした顔をする。

「今の嬢ちゃんは最早、あやつにとってとても大事な存在じゃ。
 じゃが、あやつの傍にいてはいつ命を落とすやも分からん。
 じゃからテルディアスは嬢ちゃんをここに置いて行ったのじゃよ。一番安全だと思ったここにの」

キーナの顔が少し明るくなった。

「じゃ、・・・嫌いになったとかじゃないんだ・・・」
「そういうことじゃ」

涙の止まったキーナを見ておじいさんがうんうんとうなずく。

「ならなおさら僕、テルを追っかけなきゃ!」
「なんと?!」

キーナが先ほどとは違った、強い意思のある瞳でおじいさんを見上げる。

「テルは今苦しんでるから、孤独に苦しんでるから、僕、傍にいてあげたい。
 テルは僕の命の恩人だし!
 ついでに元の世界にどうせ戻れないなら、この世界をいろいろ回ってみたいし」

どっちが本音? という言葉をおじいさんは飲み込んだ。

「おじいさん! 魔法でテルの居所とか分からないの?!」
「しかしのぅ・・・」
「できなきゃ無能って呼んでやる」

子供だ・・・。

「でなきゃ情報収集! 街の人達に聞こう!」
「わー待ちなさい!」

本気で街まで行きそうなので慌てて止める。

「そこまで言うならば教えてやろう・・・」
「やた!」

キーナの粘り勝ち?

「しかし条件がある。嬢ちゃんは魔法を習いたいのじゃろ?
 じゃからここでみっちり修行して、自分の身を守れるくらいに強くなること。いいか?」
「ホエ?」

アホ面している場合じゃないぞ。

「でなければテルディアスはまたどこかで嬢ちゃんを置き去りにするじゃろう」
「やだっ! そんなの!」
「じゃから強くなれ。テルディアスが文句も言えないくらい強くなればいい。どうじゃ?」
「うんやる! 僕やるよ!」

キーナの顔は新しい目標を見つけ、輝いていた。

「よし、ならば朝食を済ましたらすぐやるぞ」
「ハーイ」
「とりあえず、顔を洗っておいで」
「ワーイ」

小学生か! という突っ込みは置いといて。
キーナは嬉しそうに洗面所へ駆けていった。

「とりあえずは何とかごまかせかたのぉ・・・」

冷や汗を拭き拭き、説得(?)に成功したおじいさんはほっとため息をついた。

「今頃何しとるんじゃ、あやつめ・・・」

恨めしそうにおじいさんは空を見上げた。
こんな面倒な役を押し付けていった、あの無愛想てんこ盛りの弟子は・・・。








ゾクッ

(? 悪寒・・・?)

ミドル王国を出て大分経った頃。テルディアスは不思議な悪寒を感じて一瞬立ち止まった。

(俺がいないことに気づいた頃合か・・・)

せいせいしたとでも思っているのか。
それとも一緒に行きたかったと駄々をこねてるか。

(大丈夫だろう。あいつのことだ。俺のことなどすぐに忘れる)

それも寂しい気もしたが、仕方のないことだ。

(ガキだから・・・)

頭の中はお子ちゃまだから、すぐに新しい面白いことに夢中になるさ。
一人納得しながら、テルディアスは先へ進む。










ピシッ

(? 何故か急に腹立たしくなったな・・・?)

不思議なムカツキを覚えてキーナは振り向いた。

「どうかしたかい? 嬢ちゃん」
「ううん!」

魔法の修行をするために、城の中に設けられた修行場に向かう長い廊下をおじいさんとキーナは歩いていた。
修行だからと、キーナは着替えていた。なんだかちょっと危ないくらい短いスカートをはいている。
キーナとしては、スカートだと動きにくいので、ズボンのような服を着たかったのだが、

「修行をするのならまずはそのための服を着て精神を整えなければならない」

とおじいさんに説得されたのだ。
なんとなく違うよ~~~~な感じはしたが、まあいっかと用意された服を着たのだ。
長い長い廊下をやっと抜けて、広いドームのような場所に出た。

「わー、広~~~~~い」

声が響き渡る。東京ドームとまでは行かないと思うけど、というか行った事ないから広さがどれくらいかよく分からないけど、普通の体育館が、10個くらい入っちゃうんじゃないか? と思うくらいに広かった。
円形状になっていて、屋根も体育館の何倍も高い。3階か4階くらいの高さまであるんじゃないきゃ?
キーナの思考ではここまでが限界だった。
とにかく、室内とは思えないほどに広い。

(一周何メートルあるんだろう。百メートル走が2、3箇所でいっぺんに出来そう・・・)
いや、ここでは徒競走はしないだろう。

「さて、始めようとするかの」

おじいさんが振り向いた。

「どんな呪文を唱えるの?」

キーナはウッキウキだ。

「うむ、まず最初に行っておくがのう、もともとの魔法には呪文などないのだ」

唐突におじいさんが変なことを言い出した。

「は?」

呪文がない? 普通魔法って、かっこいい詠唱があって、そして数多の人外の存在から力を借りるものではないの? 普通の小説とか漫画とか、大体そうだよ?

「ホッホッ、驚いたようじゃのう」

そりゃ、今まで思い描いていたものとまったく違うものを突きつけられたら驚くでしょう。

「呪文というのはの、精霊達の力を導きやすくする為に、そして次代により分かりやすく伝えるために作られたものなのじゃ。じゃから、もともとの魔法に呪文などないのじゃよ。これが基本じゃ」

基本じゃと言われても・・・。
かっこいい呪文の詠唱はないの?
ちょっとがっかりしたキーナだった。

「じゃあ、昔の人は、呪文も使わずに魔法を使っていたの?」

キーナが素直に疑問を口にする。

「そうじゃ、このようにの」

言うが早いか、おじいさんが左手を掲げると、『ボッ!』と音を立てて炎が現れた。
ただの手品ではないようだ。

「すっご~~~~い」

キーナが初めて尊敬の眼差しをおじいさんに向けた。
今までただのおじいさんにしか見えていなかったのだ。

「フッ・・・、ま、宮廷魔道士になるくらいじゃからの」

ちょっと得意げにおじいさんが顔を反らす。

「力の流れを感じ、精霊の気配を感じれば、誰にでも出来ることなのじゃよ」

突然おじいさんの周りに風が集まる。そして、おじいさんがふわりと浮き上がった。
余波の風が、キーナのスカートをふわりとかすめた。

「力の流れ・・・精霊の気配・・・」
「ま、とりあえず最初は分かりやすいように呪文を教えるがの」

おじいさんの瞳が怪しげに光る。

(あの服装にして正解じゃったのう。扱いにくい風の魔法から教えれば・・・)

ひっひっひ・・・

とおじいさんが心の中でにやついた。
この好色ジジイ・・・。

「力の流れ・・・精霊の気配・・・」

そんなおじいさんなど目もくれず、キーナが意識を集中させる。
何かを感じ取るかのように。

「じょ、嬢ちゃん?」

おじいさんがキーナに声をかけるがてんで聞いちゃいない。

「いきなりは無理じゃよ・・・・ってぜんぜん聞いちゃいない・・・」

胸に軽く手を当て、キーナは何かを感じ取っているかのようだ。
と、その時。
おじいさんは火の気配がキーナに集まっていくのを感じた。
火の精霊がキーナの周りに集まり、そして力を具現化していく・・・。

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