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黒猫と共に迷い込む
ブルちゃん変身
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朝起きると、皆すでに起き出していた。
うん!想定内!ちくせう。
台所に行くと、チャージャとコハクが朝の支度をしていた。
「おはようございます」
「おはようっす。ゆっくりっすね」
チャージャに笑われた。く、不覚。
クロが起こしてくれればいいのにと見るが、そっぽ向いてる。自力で起きないのが悪いと?優しくないぞ、こいつめ。
「おはよー」
椅子に座っているハヤテが何故か微動だにせずに挨拶してくる。
「あ、動きました!」
「うごいてないー!」
と言いながら動いているよ。
「何してるの?」
「はい。ハヤテが暇になってしまうので、料理をしながらだるまさんが転んだを」
なんと器用な。
「私が見ている時に動いたら負けです」
「うごいてないよ」
「今動いてますよ」
「あー!」
してやられたという感じでハヤテかバタバタと手足を動かす。何故ここにビデオカメラがないのか。
「丁度良かったです。ハヤテの相手をしていてもらえますか?」
うん。それ、どちらかというと私が言う台詞…。深くは考えないようにしよう。
どうせ暇な私なので、ハヤテと指相撲しながら遊ぶことに。
「ハヤテ! 痛い! 手が潰れる!」
「あー」
ハヤテの握力が思ったより強かった。
いつもなら加減してくれるのに、夢中になって忘れてしまったようだ。
恐ろしい幼児《こ》。
指相撲はやめて、ずいずいずっころばしで遊ぶ。懐かしいわ。小さい頃よくお風呂場とかでやったわ。
そんな単純な遊びで盛り上がっていると、外からバタバタと誰かが走ってくる音。
バタン!と扉を壊すかの勢いで飛び込んで来たのは、青銀色の髪に黄色い瞳の、これまた美青年。鍛えぬかれた筋肉がよく分かる、何故かタンクトップを着ている。寒くないのか?
「チャージャ!」
そう叫んで、チャージャに飛び付く。
コハクはそれを見透かしたように上手く避けた。さすがです。
「チャージャ! オレ、出来た!」
「むぐもご」
チャージャの顔をその厚い胸板で塞いでしまったので、チャージャが呼吸困難になっているよ。止めた方がいいかねえ?
それよりも気になることが。
何故この青年、お尻から尻尾を生やしているのでしょう?
髪と同じく青銀色の尻尾がブンブン物凄い勢いで振れている。
獣人かと思うが、耳は人のそれ。
昨日からクレナイとシロガネがブルちゃんを連れていない。そして目の前の青年。
考えなくても分かるわね。
なんとかやっとこさ目の前の青年を剥がしたチャージャが声を上げる。
「だ、誰っすか?!」
当然の疑問ですな。
「オレだ! ブルちゃんだ!」
精悍な青年が自分のことをちゃん呼び…。ギャップが…。
「はあ?」
チャージャが何言ってんだこいつみたいな顔になった。
「チャージャ、分からないか?」
ブルちゃんが悲しそうな顔をする。
いや、普通の人は訳分からないと思うよ。説明しないと。
「これこれ、さすがにいきなりその姿で会うても分からぬじゃろうが」
入り口からクレナイの声が。
振り向くと、クレナイとシロガネが立っていた。
「まあそろそろ、時間かのう」
クレナイがそう言うと、ブルちゃんが光った。これは変身の光だね。
光が治まると、そこには狼姿のブルちゃん。
「ウオウ!」
吠えた。尻尾がブンブンしている。
「・・・・・・」
チャージャが固まっている。
呆けた顔で、固まっている。
これは、あまりの事に脳の処理能力がおっつかなくなって停止しているね。
起動させてあげましょう。
立ち上がり、チャージャの元に近づき、肩を叩く。
「チャージャ、チャージャ」
「は! あ、あれ? ヤエコ? い、今、人がブルちゃんになった気がしたっすけど…。は、白昼夢だったか…」
ああ、事態を受け止めきれず、現実逃避してるね。
「チャージャ、気をしっかり持って。現実を見るのよ」
「現実? 普通にブルちゃんがいるっすよ」
下からブルちゃんが心配そうに見上げている。
「チャージャ、上位の魔獣が人化の術を使うって聞いたことない?」
「は? 人化の術? 聞いたことはあるっすけど」
「よし。ハヤテ、元の姿に戻ってみてくれる?」
「あい」
現実を見せた方が早いと、ハヤテに頼む。
もう内緒にする必要もないしね。
ハヤテが光り、元のグリフォンの姿になった。
「や、ヤエコ? 幼児ってグリフォンに化けるっすか?」
「どちらかというとグリフォンが幼児に化けてた感じです」
チャージャ再びフリーズ。
その横では、コハクが鍋が煮えすぎないようにかき混ぜていた。
チャージャのフリーズが解消され、無事に朝御飯を食べた私達は、床に車座に座って話合っていた。
「じゃあ、そちらの方々も…」
「クレナイがドラゴン、シロガネがペガサス。ハヤテはさっき見せた通り、グリフォン。ちなみに頭の上の妖精のリンちゃんも変身出来ます」
「そんな話聞いたこともないっすよ…」
「でも人化出来るって話があるんだから、誰かが見てはいるんでしよ?」
「人化出来るのは高位の魔獣、自分はドラゴンしか聞いたことないっす。それに、そのドラゴンは従魔ではない野生のドラゴンらしいっす。今まで従魔が人化したなんて聞いたことないっすよ」
あれれ?そうなの?
「ペガサスはまあ、元から人語を理解し話すから、人化も納得出来るけど、グリフォンの人化、しかも発見するのも稀な妖精が人化するなんて、信じられないっすよ」
でも出来るもの。うちの子達。
「しかも、うちのブルちゃんまで…」
チャージャの隣に引っ付くように座って尻尾を振っているブルちゃん。狼の姿です。
「ブルーシルバーウルフって、上位の魔獣じゃないの?」
「父さんはシルバーウルフの亜種じゃないかと言ってたっす。シルバーウルフは鈍色狼の上位種っすけど、そこまで強い魔獣ではないっす。鈍色狼がDランクっすけど、シルバーウルフが出てくると群れで出てくるので、Cランクに上がるっす」
鈍色って…、誰が名付けたんだろ。
「つまり、そこまで上位種じゃない?」
「そうっす」
チラリとクレナイを見る。
目を背けたクレナイ。
だがしかし、私が見続けると、耐えきれなくなったか、口を開いた。
「人化の術は確かに難しい術ではあるが、条件さえ揃えば、どんな魔獣も習得は出来る。まあ、実際習得出来るかは、各々のセンスによるのじゃがな」
「ほう、条件とな」
「つまり、魔力量と魔力操作は絶対条件じゃな。あとは、気持ち、かのう?」
「気持ち?」
「なりたいと思わなければなれん」
まあそうだわねえ。
と、再びブルちゃんが光った。魔力が溜まったのかな?
「チャージャ!」
「ち、ちょ! 抱きつくのは…!」
早速抱きついて来たブルちゃんを必死に剥がすチャージャ。
相変わらず尻尾が高速で振れている。いや、尻尾隠さなくていいのかい?
「チャージャ、オレ、嫌い?」
「ち、違うす! だ、抱きつかれると、その…」
慣れてないから照れるっすという心の声が聞こえて来そう。
「じゃあ、好き?」
「す、好きっすけど…」
「じゃあ、番になる!」
「番…? つ、番?!」
「オレ、チャージャと番になる! チャージャオレ好き。オレチャージャ好き。好き同士番になる! 人化も出来た! 問題なくなった!」
「ち、ちょ、ま、いや、その、…」
「チャージャ子供作る。オレ頑張る!」
「な、何をーーーーーー!?」
なんか、話しに入って行けないねえ。
「お邪魔そうだし、去ろうか」
「そうじゃのう。邪魔するのも無粋じゃ」
よっこらと立ち上がる私達。
「ちょ、ちょ待つっすよ! この状態で置いてかないで欲しいっす! むしろ全力で邪魔して欲しいっすーーーーー!」
押し倒されそうになりながら、チャージャが全力で叫んで来た。
これは、間に入るべき?それとも、立ち去るべき?
うん!想定内!ちくせう。
台所に行くと、チャージャとコハクが朝の支度をしていた。
「おはようございます」
「おはようっす。ゆっくりっすね」
チャージャに笑われた。く、不覚。
クロが起こしてくれればいいのにと見るが、そっぽ向いてる。自力で起きないのが悪いと?優しくないぞ、こいつめ。
「おはよー」
椅子に座っているハヤテが何故か微動だにせずに挨拶してくる。
「あ、動きました!」
「うごいてないー!」
と言いながら動いているよ。
「何してるの?」
「はい。ハヤテが暇になってしまうので、料理をしながらだるまさんが転んだを」
なんと器用な。
「私が見ている時に動いたら負けです」
「うごいてないよ」
「今動いてますよ」
「あー!」
してやられたという感じでハヤテかバタバタと手足を動かす。何故ここにビデオカメラがないのか。
「丁度良かったです。ハヤテの相手をしていてもらえますか?」
うん。それ、どちらかというと私が言う台詞…。深くは考えないようにしよう。
どうせ暇な私なので、ハヤテと指相撲しながら遊ぶことに。
「ハヤテ! 痛い! 手が潰れる!」
「あー」
ハヤテの握力が思ったより強かった。
いつもなら加減してくれるのに、夢中になって忘れてしまったようだ。
恐ろしい幼児《こ》。
指相撲はやめて、ずいずいずっころばしで遊ぶ。懐かしいわ。小さい頃よくお風呂場とかでやったわ。
そんな単純な遊びで盛り上がっていると、外からバタバタと誰かが走ってくる音。
バタン!と扉を壊すかの勢いで飛び込んで来たのは、青銀色の髪に黄色い瞳の、これまた美青年。鍛えぬかれた筋肉がよく分かる、何故かタンクトップを着ている。寒くないのか?
「チャージャ!」
そう叫んで、チャージャに飛び付く。
コハクはそれを見透かしたように上手く避けた。さすがです。
「チャージャ! オレ、出来た!」
「むぐもご」
チャージャの顔をその厚い胸板で塞いでしまったので、チャージャが呼吸困難になっているよ。止めた方がいいかねえ?
それよりも気になることが。
何故この青年、お尻から尻尾を生やしているのでしょう?
髪と同じく青銀色の尻尾がブンブン物凄い勢いで振れている。
獣人かと思うが、耳は人のそれ。
昨日からクレナイとシロガネがブルちゃんを連れていない。そして目の前の青年。
考えなくても分かるわね。
なんとかやっとこさ目の前の青年を剥がしたチャージャが声を上げる。
「だ、誰っすか?!」
当然の疑問ですな。
「オレだ! ブルちゃんだ!」
精悍な青年が自分のことをちゃん呼び…。ギャップが…。
「はあ?」
チャージャが何言ってんだこいつみたいな顔になった。
「チャージャ、分からないか?」
ブルちゃんが悲しそうな顔をする。
いや、普通の人は訳分からないと思うよ。説明しないと。
「これこれ、さすがにいきなりその姿で会うても分からぬじゃろうが」
入り口からクレナイの声が。
振り向くと、クレナイとシロガネが立っていた。
「まあそろそろ、時間かのう」
クレナイがそう言うと、ブルちゃんが光った。これは変身の光だね。
光が治まると、そこには狼姿のブルちゃん。
「ウオウ!」
吠えた。尻尾がブンブンしている。
「・・・・・・」
チャージャが固まっている。
呆けた顔で、固まっている。
これは、あまりの事に脳の処理能力がおっつかなくなって停止しているね。
起動させてあげましょう。
立ち上がり、チャージャの元に近づき、肩を叩く。
「チャージャ、チャージャ」
「は! あ、あれ? ヤエコ? い、今、人がブルちゃんになった気がしたっすけど…。は、白昼夢だったか…」
ああ、事態を受け止めきれず、現実逃避してるね。
「チャージャ、気をしっかり持って。現実を見るのよ」
「現実? 普通にブルちゃんがいるっすよ」
下からブルちゃんが心配そうに見上げている。
「チャージャ、上位の魔獣が人化の術を使うって聞いたことない?」
「は? 人化の術? 聞いたことはあるっすけど」
「よし。ハヤテ、元の姿に戻ってみてくれる?」
「あい」
現実を見せた方が早いと、ハヤテに頼む。
もう内緒にする必要もないしね。
ハヤテが光り、元のグリフォンの姿になった。
「や、ヤエコ? 幼児ってグリフォンに化けるっすか?」
「どちらかというとグリフォンが幼児に化けてた感じです」
チャージャ再びフリーズ。
その横では、コハクが鍋が煮えすぎないようにかき混ぜていた。
チャージャのフリーズが解消され、無事に朝御飯を食べた私達は、床に車座に座って話合っていた。
「じゃあ、そちらの方々も…」
「クレナイがドラゴン、シロガネがペガサス。ハヤテはさっき見せた通り、グリフォン。ちなみに頭の上の妖精のリンちゃんも変身出来ます」
「そんな話聞いたこともないっすよ…」
「でも人化出来るって話があるんだから、誰かが見てはいるんでしよ?」
「人化出来るのは高位の魔獣、自分はドラゴンしか聞いたことないっす。それに、そのドラゴンは従魔ではない野生のドラゴンらしいっす。今まで従魔が人化したなんて聞いたことないっすよ」
あれれ?そうなの?
「ペガサスはまあ、元から人語を理解し話すから、人化も納得出来るけど、グリフォンの人化、しかも発見するのも稀な妖精が人化するなんて、信じられないっすよ」
でも出来るもの。うちの子達。
「しかも、うちのブルちゃんまで…」
チャージャの隣に引っ付くように座って尻尾を振っているブルちゃん。狼の姿です。
「ブルーシルバーウルフって、上位の魔獣じゃないの?」
「父さんはシルバーウルフの亜種じゃないかと言ってたっす。シルバーウルフは鈍色狼の上位種っすけど、そこまで強い魔獣ではないっす。鈍色狼がDランクっすけど、シルバーウルフが出てくると群れで出てくるので、Cランクに上がるっす」
鈍色って…、誰が名付けたんだろ。
「つまり、そこまで上位種じゃない?」
「そうっす」
チラリとクレナイを見る。
目を背けたクレナイ。
だがしかし、私が見続けると、耐えきれなくなったか、口を開いた。
「人化の術は確かに難しい術ではあるが、条件さえ揃えば、どんな魔獣も習得は出来る。まあ、実際習得出来るかは、各々のセンスによるのじゃがな」
「ほう、条件とな」
「つまり、魔力量と魔力操作は絶対条件じゃな。あとは、気持ち、かのう?」
「気持ち?」
「なりたいと思わなければなれん」
まあそうだわねえ。
と、再びブルちゃんが光った。魔力が溜まったのかな?
「チャージャ!」
「ち、ちょ! 抱きつくのは…!」
早速抱きついて来たブルちゃんを必死に剥がすチャージャ。
相変わらず尻尾が高速で振れている。いや、尻尾隠さなくていいのかい?
「チャージャ、オレ、嫌い?」
「ち、違うす! だ、抱きつかれると、その…」
慣れてないから照れるっすという心の声が聞こえて来そう。
「じゃあ、好き?」
「す、好きっすけど…」
「じゃあ、番になる!」
「番…? つ、番?!」
「オレ、チャージャと番になる! チャージャオレ好き。オレチャージャ好き。好き同士番になる! 人化も出来た! 問題なくなった!」
「ち、ちょ、ま、いや、その、…」
「チャージャ子供作る。オレ頑張る!」
「な、何をーーーーーー!?」
なんか、話しに入って行けないねえ。
「お邪魔そうだし、去ろうか」
「そうじゃのう。邪魔するのも無粋じゃ」
よっこらと立ち上がる私達。
「ちょ、ちょ待つっすよ! この状態で置いてかないで欲しいっす! むしろ全力で邪魔して欲しいっすーーーーー!」
押し倒されそうになりながら、チャージャが全力で叫んで来た。
これは、間に入るべき?それとも、立ち去るべき?
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