異世界に転生したはずなのに、こうなるんですね

第1章

どうやら歓迎されてはいないようです。①

なんだか隣が温かいような気がして、目を開けた。

「っっ！！！」

目を開けるとそこには、あの男の人がいた。しかも、私を包み込むように抱きしめながら眠っている。

どうしよう…。
というか、なんでここに？

色々疑問はあるけれど、まずは起き上がりたい！
でも、この人すごく気持ちよさそうに寝てるからなるべく起こさないようにしないと。

もぞもぞと動いてみたけれど、全然出られない。

うぅ…。

「おきたのか？」

「ひゃっ！！」

急に声が聞こえて、びっくりしてしまった。

「まだ早い。寝ていろ。」

「え？」

グイッと引き寄せられて、ギュッとまた抱きしめられる。

温かい…。

今まで、私にこんなにも温もりをくれる人はいなかった。

どうして、この人は私にこんなにも優しくしてくれるのだろうか。

分からない。

あなたが何を考えているのか。

あなたが何を求めているのか。

でも、あなたに抱きしめられていると心が安らぐ。

この温かさがずっと続けば良いのに…。