上 下
129 / 268
第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟

外伝!「龍騎士隊イリスVS魔王軍!」その5

しおりを挟む
「それで?噛まれてイリスに変化はあったの?」
ヴァンパイアに噛まれた方のイリスに何か変化があったのか気になるエリカ。

「一瞬チクッとした後は何か気持ち良かったですね」

「ほうほう、やっぱり気持ち良いんだああああああ??!!」

いきなり絶叫するエリカ!エリカの後ろからヴァシリーサがヒョイと顔を出してカプリとエリカの首筋に噛みついたのだ。

チュウチュウとヴァシリーサに血を吸われるエリカ。
おや?イリスの時と違い何か吸うのが長いぞ?

「ああああーー?!血が?血が無くなる?!
お姉さん!ストップ!その勢いはヤバい!ヤバいですーーーー?!!」

「ふはっ!あら?ごめんなさい。
少し吸い過ぎたかしら?やっぱり魔法で人化しているエリカの血は人間とは全然違う味なのね・・・」
そう言いながらエリカに付いた噛み跡を綺麗に治すヴァシリーサ。

そして何で急に三番手呼びから本名呼びに変わったのか?
それは、儂が設定呼びをするのがそろそろ飽きたからじゃ。

「吸われたー!わわわ・・・私の血ってそんなに美味しかったんですか?
随分と思い切り吸われた様に感じたんですが?」

「うふふふ」

「何ですかその不吉な笑いはぁ?!私って美味しいんですね?!
ハッ??!!もしやこのままグリフォンを家畜化?!
グリフォンの飼育には許可が必要ですよ?!」
一体誰の許可が必要なのじゃ?

「それでエリカって美味しかったんですか?どんな味がするんです?」

「イリス?!」

今度はイリスの目がキラキラと輝き出した。

「うーん?そうねぇ・・・鶏肉に近い味がするわ」

「うわあ!やっぱり鳥かーーー?!そうだと思ってたよ!
そうか!私は鳥なのかぁーーー!!」
自分のリアルな味に言及されたエリカは大騒ぎだ。

そりゃ誰だって自分がどんな味か具体的に言われたら錯乱もするわな。
後、生物の本能でどの種族でも同族の肉は凄く不味く感じるのだそうな。

過去どんなに頭がイかれた独裁者でも「食肉用の人間」を飼育していたとかの話しは、ほぼ聞かないな・・・
とある国では戦争時に限り組織的に行なっていたと言う話しだけはあるが本当かどうかは定かでは無い。

「どうせならリザードマンの味も知りたいわね・・・」
チラリとリザードマンのロイを見るヴァシリーサ。

「私ぃいいい??!!」
他人事だと思いボケーとしていたロイが急にターゲットにされる!
逃げ様としても牢屋の中、かと言ってヴァシリーサと戦う訳にも行かず進退極まるロイ。

牢屋の角に追い込まれて、
「ああーーー??!!」
哀れ、吸血鬼に血を吸われるリザードマンでした。

「それで?それで?美味しかったですか?」
自分の事はアッサリと忘れてロイの味が気になるエリカ。
ガストンはいきなり始まった頭の悪いイベントにドン引きしている。

「うーん?人間とは少し違うわね・・・
牛肉より味は薄いけど鶏肉より濃厚・・・結論!凄く美味しいわ!」

「美味しい?!リザードマンを狩るのは法律違反ですぞ?!」
珍しくパニックになったロイがエリカみたいな事を言い始める・・・それってどこの法律だよ?

「そうなんですね?確かになんか美味しそうですね!よし!次は地龍の味だね!」

「俺ぇえええ??!!」
食物連鎖の頂点に位置する龍種の中でもずっと上位に居たブリックリン・・・
自分がまさか食われる日が来る思っていなかった様子だ。

ジリジリとヴァシリーサに追い詰められるブリックリン。
「うわーーー??!!」
世界初、吸血鬼に血を吸われた地龍の誕生だった・・・

「それでそれで??どんな味?」
もうワクテカが止まらないエリカ、ぴょんぴょんと跳ね出している。

「んー??これは・・・人間の血と同じ味だわね」
確認の為にもう一回ブリックリンの血を吸うヴァシリーサ。

「ええ~?つまんなーい」残念な結果に残念そうなエリカ。

「地龍の血って人間と同じ味なんだ・・・」
血を吸われた地龍のブリックリンも意外な結果に驚いている。
実は儂も、この結果にはかなり驚いている。

「血を飲んで一番魔力を吸収出来たのは、誰の血なんですか?」
イリスは魔法的に「吸血」のスキルの効果が気になるらしい。

「ふむ・・・」
イリスの質問を受けてヴィアールは身体強化魔法を発動させて自分の体内の様子を確認して見る。

「そうねぇ・・・一番体内に魔力として残存しているのは、エリカの血かしら?
逆に効果がすぐ消えたのは、イリスとロイね。
やっぱり人族の血の効果は薄いわね」

「私ーーーー?!
やっぱり飼育ですか?!私はここで飼育されちゃうんですか?!
一応言っておきますけど私!メッチャご飯食べますからね?!
食費メッチャ掛かりますよ?良いんですか?!」

いや・・・グリフォンの食用なんて儂が認める訳が無かろう?
「グリフォンロードを食いました」なんて事がバレたら世界中のグリフォンが真魔族の敵に回ってしまうわい。

「わはははは、残念でしたなエリカ殿」
血を吸われた仕返しにエリカをイジるロイ。

「ああ・・・でも動物よりは大分、魔力上昇の効果は薄いわよ?
飼育するなら普通に牛や豚の方が良いわ」

儂も「エリカの丸焼き」なんかが夕飯に出て来たら多分気絶すると思う。

「でも吸血鬼の「吸血」ってそんなに恐ろしいモノじゃ無かったんですね」
ガストンは、勇者の視点からヴァンパイアの吸血の効果を測り「人間」への脅威度は低いと判断する。

「ああ・・・違うわよ?アンデット系ヴァンパイアの「吸血」は本当に恐ろしいから絶対に油断しちゃダメよ。
特に真魔族がアンデット化した時は本当に最悪の化け物になるからね!」

そうじゃな・・・過去に何回かそう言う事件が起きたが事件の結末は正しく悲惨そのモノじゃたな・・・

200年ほど前に狂った真魔族が自らをアンデット化して住んでいた500人規模の町が滅び、全ての住人をアンデット系ヴァンパイアとして作り変えて自らの眷属として支配したと言う凄惨な大事件が起こった事もあった。

あの時、儂もマクシム王と共にアンデット系ヴァンパイア討伐に赴いて酷い目にあったモノじゃ・・・

一番ヴァンパイアの恐ろしさを知っているのはヴァンパイアと言う事じゃな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

淫獄桃太郎

煮卵
BL
鬼を退治しにきた桃太郎が鬼に捕らえられて性奴隷にされてしまう話。 何も考えないエロい話です。

全ての悪評を押し付けられた僕は人が怖くなった。それなのに、僕を嫌っているはずの王子が迫ってくる。溺愛ってなんですか?! 僕には無理です!

迷路を跳ぶ狐
BL
 森の中の小さな領地の弱小貴族の僕は、領主の息子として生まれた。だけど両親は可愛い兄弟たちに夢中で、いつも邪魔者扱いされていた。  なんとか認められたくて、魔法や剣技、領地経営なんかも学んだけど、何が起これば全て僕が悪いと言われて、激しい折檻を受けた。  そんな家族は領地で好き放題に搾取して、領民を襲う魔物は放置。そんなことをしているうちに、悪事がバレそうになって、全ての悪評を僕に押し付けて逃げた。  それどころか、家族を逃す交換条件として領主の代わりになった男たちに、僕は毎日奴隷として働かされる日々……  暗い地下に閉じ込められては鞭で打たれ、拷問され、仕事を押し付けられる毎日を送っていたある日、僕の前に、竜が現れる。それはかつて僕が、悪事を働く竜と間違えて、背後から襲いかかった竜の王子だった。  あの時のことを思い出して、跪いて謝る僕の手を、王子は握って立たせる。そして、僕にずっと会いたかったと言い出した。え…………? なんで? 二話目まで胸糞注意。R18は保険です。

稀代の癒し手と呼ばれた婚約者を裏切った主様はすでに手遅れ。

ぽんぽこ狸
BL
 王太子であるレオンハルトに仕えているオリヴァーは、その傍らでにっこりと笑みを浮かべている女性を見て、どうにも危機感を感じていた。彼女は、主様に婚約者がいると知っていてわざわざ恋仲になったような女性であり、たくらみがあることは明白だった。  しかし、そんなことにはまったく気がつかないレオンハルトはいつもの通りに美しい言葉で彼女を褒める。  レオンハルトには今日デビュタントを迎える立派な婚約者のエミーリアがいるというのに、それにはまったく無関心を決め込んでいた。  頑ななその姿勢が何故なのかは、オリヴァーもわからなかったけれども、転生者であるオリヴァーはどこかこんな状況に既視感があった。それはネットで流行っていた痛快な小説であり、婚約者を裏切るような王子は破滅の未知をたどることになる。  そういう王子は、何故か決まって舞踏会で婚約破棄を告げるのだが、まさかそんなことになるはずがないだろうと考えているうちに、レオンハルトの傍らにいる女性が彼を煽り始める。  それを皮切りに小説のような破滅の道をレオンハルトは進み始めるのだった。  七万文字ぐらいの小説です。主従ものです。もちろん主人公が受けです。若干SMっぽい雰囲気があります。エロ度高めです。  BL小説は長編も沢山書いてますので文章が肌に合ったらのぞいていってくださるとすごくうれしいです。

異世界転生したノンケの書生は、華族の貴公子に不埒な関係を望まれているが回避したい。

アナマチア
BL
ある日突然、交通事故で両親を亡くした、美大生の山田樹。 葬儀を終えて日常生活を送り始めるが、うつ状態になっていた樹は、葬儀後初めての登校時に接触事故で線路に落下する。 頭を強く打ち付けて視界が暗転し、目覚めると、見知らぬ部屋の布団の中に横たわっていた。 樹が夢でも見ている心地でいると、女中の花が現れて、樹のことを「早乙女さん」と呼んだ。 頭がぼうっとして何も考えられず、強い睡魔に襲われ、眠りに落ちようとしていた樹の前に、国防色の軍服を身にまとった偉丈夫――花ヶ前梗一郎(はながさきこういちろう)が現れた。 樹の名を切なそうに呼びながら近づいてきた梗一郎。驚いた樹は抵抗することもできず、梗一郎に抱き締められる。すると突然、想像を絶する頭痛に襲われた樹は、絶叫したのちに意識を失ってしまう。 そして気がつけば、重力が存在しない、真っ白な空間に浮かんでいた。そこで樹は、自分によく似た容姿の少年に出会う。 少年の正体は、早乙女樹の肉体を借りた、死を司る神――タナトスだった。そしてもう一柱、タナトスよりも小柄な少女、生を司る神――ビオスが現れる。 ビオスが言うには、樹は『異世界転生』をしたのだという。そして転生後の肉体の記憶は、特定の条件下で徐々に蘇ると告げられ、樹は再び異世界で目を覚ます。 樹が目覚めると、梗一郎が涙を流していた。 「樹が生きていて、本当によかった……!」 そう言って、梗一郎が樹の額に口付けた瞬間、樹の脳内に早乙女樹の幼少期と思われる映像が流れ、眠るように意識を失う。 『特定の条件下』とは、梗一郎との愛ある接触のことだった。 無事にひとつ目の記憶を取り戻した樹は、公家華族・花ヶ前伯爵家お抱えの書生(画家見習い)・『早乙女樹』を演じながら、花ヶ前家で生活を送る。 スペイン風邪による後遺症で『記憶喪失』になってしまった樹を心配して見舞いに来たのは、楚々とした容貌の美少女――梗一郎の妹である、花ヶ前椿子だった。 樹は驚愕に目を見開いた。 目の前に立つ少女は、樹が描いた人物画。 『大正乙女』そのままの姿形だったのである。 なんと樹は、自分が描いた油画の世界に異世界転生していたのだ。 梗一郎と恋仲であった早乙女樹として転生してしまった樹(ノンケ)は、男と恋愛なんて出来るはずがないと、記憶喪失を理由に梗一郎と距離を置くが……。

異世界マナー無双 ~マナー違反でマナが奪われる世界。魔法の力でムカつく貴族達をマナー違反させまくって貧乏領地から成り上がる~

座佑紀
ファンタジー
少年が目を覚ますと、そこは異世界だった。しかも、何者かの肉体に乗り移る形で転生している。 混乱する彼の前に現れる鉄の騎士、未知の大地、そして魔法。非日常の数々に圧倒されるが、その後、妹を名乗る少女と出会い、今の状況を知った。少年は、キースという男の体に転生していて、第七領と呼ばれる貧しい土地を預けられた、この国の第七王子でもあるというのだ。 そして、この異世界独自の、驚愕のルールも知る。 【テーブル】と呼ばれる交渉の場の中でマナー違反を犯すと、相手に魔力(マナ)を奪われる、交渉が中心の世界だというのだ。 陰謀と交渉が交錯する魔法と舌戦の仁義なき戦い。それこそがマナーバトルである。 ▼以下サイトで同時掲載しています▼ カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/16816927859996566289 なろう:https://ncode.syosetu.com/n0255hl/

「無敵転生 ――全チート、フル装備。」 この異世界で、ハーレムマスターに俺はなる! ~最強チートフル装備で異世界で人生やりなおし~

マナシロカナタ✨ラノベ作家✨子犬を助けた
ファンタジー
これは最強チートをフル装備した無敵の童貞社畜が、童貞のままでハーレムマスターへと至らんとする、童貞の夢と浪漫を詰め込んだ物語――。 ** 「突然ですがあなたは死にました」  冴えない社畜、麻奈志漏(まなしろ)誠也の異世界転生は、この一言から始まった。  言葉巧みに転生管理官をだまくらかした誠也は、全チートフル装備で異世界転生した。  魔物に襲われる美少女ウヅキを助け、Sランク回復チート『天使の施し』でウヅキの妹ハヅキの不治の病を治し、Sランク戦闘チート『剣聖』によってウヅキの住む村を襲う魔物を返り討ちにして討伐する。  さらにはエロ領主からウヅキを守ったことで領主に睨まれた誠也は、人質に取られたウヅキの祖父を助けるため伝説のSSランクドラゴン『神焉竜』と戦うことになる。  Sランクを上まわるSSランクの『神焉竜』を前に、数多のSランクチートを駆使するも手も足も出ずに殺される誠也。  1度きりの使い切り復活チート『ドッペルゲンガー』によって復活した誠也は、ウヅキの応援もあって究極のチートSSランク『神滅覇王』をその身に降臨させる。  神をも滅する『神滅覇王』によってついに『神焉竜』を撃退した誠也は、再び異世界でのハーレム生活を目指して邁進するのであった。 (カクヨム併載です)

僕は社長の奴隷秘書♡

ビビアン
BL
性奴隷――それは、専門の養成機関で高度な教育を受けた、政府公認のセックスワーカー。 性奴隷養成学園男子部出身の青年、浅倉涼は、とある企業の社長秘書として働いている。名目上は秘書課所属だけれど、主な仕事はもちろんセックス。ご主人様である高宮社長を始めとして、会議室で応接室で、社員や取引先に誠心誠意えっちなご奉仕活動をする。それが浅倉の存在意義だ。 これは、母校の教材用に、性奴隷浅倉涼のとある一日をあらゆる角度から撮影した貴重な映像記録である―― ※日本っぽい架空の国が舞台 ※♡喘ぎ注意 ※短編。ラストまで予約投稿済み

身体検査が恥ずかしすぎる

Sion ショタもの書きさん
BL
桜の咲く季節。4月となり、陽物男子中学校は盛大な入学式を行った。俺はクラスの振り分けも終わり、このまま何事もなく学校生活が始まるのだと思っていた。 しかし入学式の一週間後、この学校では新入生の身体検査を行う。内容はとてもじゃないけど言うことはできない。俺はその検査で、とんでもない目にあった。 ※注意:エロです

処理中です...