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第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟
26話 「大砲撃戦!」その1
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もうすぐ夜明けの頃、怨霊イリス事件が吹っ飛んだ事件が起こった!
凶悪な海蛇タイプのシー・サーペントがイリス達の乗る船に襲って来る気配が濃厚になったのだ!
さて、イリス達の乗る定期便・・・コレは「客船」では無い。
と言うかこの時代の船に客船と言う概念は無い、全てが漁船か軍船に分類される。
勿論、この船は軍船でラーデンブルク公国が建造した最新鋭の「戦艦」だったのだ。
しかも世界初の「要塞砲」を艦載した野心的な設計になっている。
新しい時代の到来を告げる要塞砲改めて戦艦主砲が火を吹く!
とは言え完全手動なので砲塔の回頭も大変なのだ。
「せーの!!おら!回せーー!!」
20人以上の船員が2.5tの砲台を左舷側に回す!
まだまだ3連砲塔を5門なんてのは不可能なので前後に単装砲が2門だけだ。
口径的にはまだ80mmとショボい印象もあるが榴弾砲なのでかなりの期待が持てる。
射程はその気になれば2kmは飛ぶが有視界標準で命中精度も落ちるので実質的な射程は500m程度になる。
イリスの現在の最大の攻撃魔法「ウインドブラスト」の射程距離も500m程度なのでこの時代においてはかなり画期的な武器になるだろう。
ゴリゴリゴリと石臼の様な石材基礎の擦れる音を立てながら回る砲台、ハンドルをグルグル回して大まかな射角を取りシー・サーペントを待ち構える。
この80m榴弾砲の他の武装は台座固定式の単発装填の15mmライフル銃が25丁、横一線に並んでシー・サーペントを狙っている。
こちらは有効射程が1.5kmと長い、先ずはライフル銃で弱らせて榴弾砲でトドメを刺す作戦だ。
しかし発展途上なこの時代に15mmのライフリングを作ったラーデンブルク公国の技術力に驚かされる。
どんな武器?と言われると現在も使われている対戦車用のでっけえライフルだと思って良いかと。
地球だとライフリングが作られたのは15世紀前半だと言われており、日本だと織田信長などが生まれる100年ほど遥か前の事だ。
えっ?!じゃあなんで「火縄銃」なんかが伝来したの?!
と思われる方も多いと思いますが、当時の「火縄銃」が「ライフル銃」に劣っているなんて話しは、ただの与太話しです。
むしろ滑空式の火縄銃の方が500m圏内だと人体への殺傷力が強かったとの研究結果が出ています。
弾を貫通させるより衝撃で人体の部位を広範囲に破壊する事に特化しているからね。
何より滑空銃の方が戦闘中の銃身清掃などの整備がし易く、扱い易いので当時のヨーロッパでも滑空式火縄銃が主流だったのです。
射程が長く貫通力のあるライフル銃は戦争用より狩猟用に開発されたとの話しもあります。
えっ?じゃあやっぱりライフル銃の方が強いじゃん!と思われると思いますが、
戦争においては「連射力」もかなり大事です。
1発毎に手間が掛かる清掃をする必要があったライフル銃は戦争用としては普及し辛かったんでしょうね。
ライフル銃が全盛期を迎えるのは19世紀の頃、まだまだ当時はオーバーテクノロジーだったと言えます。
しかしこのラーデンブルク製のライフルは単発装填とは言え薬莢を自動で排出する後方装填型。
21世紀現在の地球の狙撃銃にかなり近い物だ。
何でこんなモンを作れた?かと言うと、元アメリカ人の黒龍王ラザフォードからの情報があったからだ。
情報っても「えーと?こんな感じでしたよ?」と、かなり曖昧だったが。
そりゃ歌手だったラザフォードに細かい銃や砲の知識なんてある訳が無い。
ライフリングの説明など、「原理は分かりませんけど何かクルクル回るらしいです」だった。
しかし技術者とは、そんな小学生見たいな説明でも新しいインスピレーションをバッチリと感じてしまうモノ。
歌手とは芸術に精通する者が多く、例に漏れずにラザフォードも絵が滅茶苦茶上手かった。
小学生並みの大雑把な説明に反して一緒に書いた絵はかなり正確に銃や砲を再現出来ていたのだ。
こうしてラーデンブルクの技術者達はラザフォードの銃や砲のイラスト見て試作品を作ってしまったのだ。
「ほえー?コレなんですか?」
好奇心旺盛のイリスは自分がなんか色々ぶっ掛けられた事など、スッポーンと頭から飛ばしてライフル銃に興味津々だ。
全身ワイン塗れのイリスにギョッとしたエルフの狙撃兵だが銃の構造を丁寧に説明をしてくれた。
イリスは、銃の説明を聞き終えると、
「じゃあ、魔法って要らなくなるかも知れないですね」と笑う。
しかしまだまだ魔法全盛期の時代は続くのだ。
何せ兵站が少なく済むからね。
やはり鉄道網が充実しないと銃火器全盛期の時代は訪れないのだ。
しかしこの海戦は海上での戦闘に革命をもたらして新時代を告げる物となる。
「来たぞ!海蛇だ!」
正体が知れた以上は、シー・サーペントUMAではなく海蛇になる。
かなりデカい!30m超の巨大が肉眼でも確認出来る!
対海蛇戦の開始だ!
索敵班の読み通りにドンピシャで左舷からの接近になった。
航行部隊が帆を操作して朝日を目眩しの航線を取りながら有効射線を作り出すと索敵班が測距を始める。
「距離1350m!!」索敵班の言葉に、
ライフル銃隊の射角員がハンドルを回して距離を合わせる、1人で撃つ訳では無く、射手、射角員、装填員の3人チームで撃つのだ。
銃と言うより迫撃砲の隊形に近い。
「射程良し!」の言葉に射手が左右の標準を合わせて待機する。
全銃の一斉斉射をする為にタイミングを合わせる為だ。
「バラバラより皆んな一斉に撃った方が良いって誰かが言ってました!」
そんな適当なラザフォードの説明から一斉斉射戦法を編み出した軍人って凄いと思います。
25丁の高威力の火力に狙われているとも知らずに海蛇は悠々とイリス達が乗る船と同航して攻撃の機会を伺っている。
ここなら魔法の射程圏外と分かっているからだ。
つまりコイツは幾度と無く船を襲い人間達を食らっていやがった!
遠慮も情けも無用!吹き飛ばしてやれ!
凶悪な海蛇タイプのシー・サーペントがイリス達の乗る船に襲って来る気配が濃厚になったのだ!
さて、イリス達の乗る定期便・・・コレは「客船」では無い。
と言うかこの時代の船に客船と言う概念は無い、全てが漁船か軍船に分類される。
勿論、この船は軍船でラーデンブルク公国が建造した最新鋭の「戦艦」だったのだ。
しかも世界初の「要塞砲」を艦載した野心的な設計になっている。
新しい時代の到来を告げる要塞砲改めて戦艦主砲が火を吹く!
とは言え完全手動なので砲塔の回頭も大変なのだ。
「せーの!!おら!回せーー!!」
20人以上の船員が2.5tの砲台を左舷側に回す!
まだまだ3連砲塔を5門なんてのは不可能なので前後に単装砲が2門だけだ。
口径的にはまだ80mmとショボい印象もあるが榴弾砲なのでかなりの期待が持てる。
射程はその気になれば2kmは飛ぶが有視界標準で命中精度も落ちるので実質的な射程は500m程度になる。
イリスの現在の最大の攻撃魔法「ウインドブラスト」の射程距離も500m程度なのでこの時代においてはかなり画期的な武器になるだろう。
ゴリゴリゴリと石臼の様な石材基礎の擦れる音を立てながら回る砲台、ハンドルをグルグル回して大まかな射角を取りシー・サーペントを待ち構える。
この80m榴弾砲の他の武装は台座固定式の単発装填の15mmライフル銃が25丁、横一線に並んでシー・サーペントを狙っている。
こちらは有効射程が1.5kmと長い、先ずはライフル銃で弱らせて榴弾砲でトドメを刺す作戦だ。
しかし発展途上なこの時代に15mmのライフリングを作ったラーデンブルク公国の技術力に驚かされる。
どんな武器?と言われると現在も使われている対戦車用のでっけえライフルだと思って良いかと。
地球だとライフリングが作られたのは15世紀前半だと言われており、日本だと織田信長などが生まれる100年ほど遥か前の事だ。
えっ?!じゃあなんで「火縄銃」なんかが伝来したの?!
と思われる方も多いと思いますが、当時の「火縄銃」が「ライフル銃」に劣っているなんて話しは、ただの与太話しです。
むしろ滑空式の火縄銃の方が500m圏内だと人体への殺傷力が強かったとの研究結果が出ています。
弾を貫通させるより衝撃で人体の部位を広範囲に破壊する事に特化しているからね。
何より滑空銃の方が戦闘中の銃身清掃などの整備がし易く、扱い易いので当時のヨーロッパでも滑空式火縄銃が主流だったのです。
射程が長く貫通力のあるライフル銃は戦争用より狩猟用に開発されたとの話しもあります。
えっ?じゃあやっぱりライフル銃の方が強いじゃん!と思われると思いますが、
戦争においては「連射力」もかなり大事です。
1発毎に手間が掛かる清掃をする必要があったライフル銃は戦争用としては普及し辛かったんでしょうね。
ライフル銃が全盛期を迎えるのは19世紀の頃、まだまだ当時はオーバーテクノロジーだったと言えます。
しかしこのラーデンブルク製のライフルは単発装填とは言え薬莢を自動で排出する後方装填型。
21世紀現在の地球の狙撃銃にかなり近い物だ。
何でこんなモンを作れた?かと言うと、元アメリカ人の黒龍王ラザフォードからの情報があったからだ。
情報っても「えーと?こんな感じでしたよ?」と、かなり曖昧だったが。
そりゃ歌手だったラザフォードに細かい銃や砲の知識なんてある訳が無い。
ライフリングの説明など、「原理は分かりませんけど何かクルクル回るらしいです」だった。
しかし技術者とは、そんな小学生見たいな説明でも新しいインスピレーションをバッチリと感じてしまうモノ。
歌手とは芸術に精通する者が多く、例に漏れずにラザフォードも絵が滅茶苦茶上手かった。
小学生並みの大雑把な説明に反して一緒に書いた絵はかなり正確に銃や砲を再現出来ていたのだ。
こうしてラーデンブルクの技術者達はラザフォードの銃や砲のイラスト見て試作品を作ってしまったのだ。
「ほえー?コレなんですか?」
好奇心旺盛のイリスは自分がなんか色々ぶっ掛けられた事など、スッポーンと頭から飛ばしてライフル銃に興味津々だ。
全身ワイン塗れのイリスにギョッとしたエルフの狙撃兵だが銃の構造を丁寧に説明をしてくれた。
イリスは、銃の説明を聞き終えると、
「じゃあ、魔法って要らなくなるかも知れないですね」と笑う。
しかしまだまだ魔法全盛期の時代は続くのだ。
何せ兵站が少なく済むからね。
やはり鉄道網が充実しないと銃火器全盛期の時代は訪れないのだ。
しかしこの海戦は海上での戦闘に革命をもたらして新時代を告げる物となる。
「来たぞ!海蛇だ!」
正体が知れた以上は、シー・サーペントUMAではなく海蛇になる。
かなりデカい!30m超の巨大が肉眼でも確認出来る!
対海蛇戦の開始だ!
索敵班の読み通りにドンピシャで左舷からの接近になった。
航行部隊が帆を操作して朝日を目眩しの航線を取りながら有効射線を作り出すと索敵班が測距を始める。
「距離1350m!!」索敵班の言葉に、
ライフル銃隊の射角員がハンドルを回して距離を合わせる、1人で撃つ訳では無く、射手、射角員、装填員の3人チームで撃つのだ。
銃と言うより迫撃砲の隊形に近い。
「射程良し!」の言葉に射手が左右の標準を合わせて待機する。
全銃の一斉斉射をする為にタイミングを合わせる為だ。
「バラバラより皆んな一斉に撃った方が良いって誰かが言ってました!」
そんな適当なラザフォードの説明から一斉斉射戦法を編み出した軍人って凄いと思います。
25丁の高威力の火力に狙われているとも知らずに海蛇は悠々とイリス達が乗る船と同航して攻撃の機会を伺っている。
ここなら魔法の射程圏外と分かっているからだ。
つまりコイツは幾度と無く船を襲い人間達を食らっていやがった!
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