84 / 269
第一章 エルフの少女
83話 「地龍の真なる逆鱗」その3
しおりを挟む
仲間の中に叩き落とされて大爆発したスペクターの魔法剣士・・・
かろうじて一命は取り留めて泣いていた。
「悪ぃ・・・俺が不甲斐ねぇばかりに死なせちまった・・・」
魔法剣士の周囲には焼け焦げた仲間の死体が散乱していた・・・
「あんなの勝てる訳ねぇって・・・何なんだよ?アイツ」
ブリックリンに裏拳で弾かれた時に魔力暴走の起爆術式を埋め込まれたのだ。
あの一瞬でそんな芸当が出来るのは三龍王かそれに匹敵出来る最高位クラスの龍種くらいな者だけだろう。
「黒龍・・・おっかねえよ」そう言って涙を流した。
一方でスペクターの重装剣士は仲間を逃がす為に絶望的な戦いをブリックリンと行っていた。
スパァン!!「ぐううう!!!」
剣を弾き飛ばされる度に衝撃が剣を伝って自分にダメージが来るのだ。
何かしらの攻撃的なカウンター防御技なのだろう。
側から見るとブリックリンが余裕綽々に重装剣士を嬲り物にして遊んでいる様に見えるがそうでも無い。
重装剣士は自分と同レベルで物理攻撃力が強くブリックリンが攻撃に転じたら間違い無く攻撃が通りダメージ必至なのだ。
なので重装剣士が攻撃せざる得ない状況を作り出してハメたのだ。
そしてこのカウンター防御技もツノの周囲感知に相手に魔力衝撃とかなり燃費が悪い技なのだ。
実際にブリックリンの魔力はゴリゴリに削られている。
《魔力が尽きるまでに間に合うかな?》
しかし百戦錬磨のブリックリンはその苦境を楽しむ事が出来る。
何せ黒龍王時代は世界最強の剣士と戦っていたのだ。
天龍王アメデ。
彼は本当に強かった・・・
毎回挑んでは情けを掛けられていたなぁ・・・
ああ・・・でも今は味方なんだよね、少し残念だよ。
また会いたいなぁ、って今は地龍なんだからその気になれば会えるのかぁ・・・
もっと強くなったら手合わせして貰おう。
そんな事を考えていたら・・・カラーン・・・剣が落ちる。
重装剣士に限界が来た。
ブリックリンのカウンター技で重装剣士の両手の骨はバキバキに骨折していたのだ。
もう剣は握れ無い・・・勝負ありだ。
ギン!!凄い形相でブリックリンを睨む重装剣士!
「「!!!!しまった!!」」
ズゴオオオオオオオオオンンン!!!!
重装剣士は隠し持っていた魔石で自爆したのだ!
至近距離にいたブリックリンに問答無用でダメージが入る!!
イリス達が感じた二回目の爆発だ。
二回共、爆発を起こしたのはスペクターでブリックリンでは無かったのだ。
しかしブリックリンを倒しきれる程では無く、結構な火傷と打撲を受けたが戦闘不能にはならなかった。
「「ぐううう!アメデの事を考えて油断したよ!不覚!」」
「「ふうん?お父様が何だって?ブリックリン君?」」
ブリックリンの背後から鈴の音色の様な可愛いらしい声が聞こえた。
「「あっ・・・」」
産まれて初めて背中に汗が流れる貴重な体験をしたブリックリン。
「「どうも、リールさん」」
ヘラリと愛想笑いを浮かべながらブリックリンが振り返ると腕を組んだ天舞龍リールが居たのだ。
「「任務お疲れ様でしたブリックリン君、三龍種の監査官として来ましたよ。
それで?君はお父様とどんな関係なのかなぁ?」」
「「いやぁ、天龍王アメデ様は強くてカッコいいなぁって」」
「「ウソつきなさい!!ハッキリと「アメデ」って言ったじゃん!
それにその姿!君!前の黒龍王でしょ?!そのまんまの姿じゃんか!」」
「「うわあーーー??!!」」逃がさん!とヘッドロックをされるブリックリン。
ブリックリンは黒龍王時代に天舞龍リールとの面識は無かったが天龍王アメデが黒龍王の事を楽しそうに話すのを聞いていたリール。
そして洗いざらい根掘り葉掘り吐かされたブリックリンだった。
そして頭を抱えてしゃがんで動かなくなったリール。
中々の重大な事態だ、前の黒龍王は天龍の討伐対象だったからだ。
「「あの・・・なんかすみません」」
「「そりゃ叔父様も君の事を天龍側に報告出来ないよね」」
叔父様とは地龍王クライルスハイムの事だ。
ガバッと立ち上がりブリックリンに詰め寄るリール。
黒龍王時代には分からなかった事だが今は女性の美しさを理解できる。
美人さんのドアップに狼狽えるブリックリン。
「「それで君は前の様に無差別に暴れる気は無いのね?」」
「「地龍と龍騎士隊イリスに危害が及ばない限りは」」
そこはハッキリと断言出来るブリックリン。
「「お父様は?天龍王アメデを恨んでない?」」
「「手合わせして欲しいなぁとは思ってます」」
ここも誤魔化す事も無いので正直に話す。
「「よろしい!ではこちらの条件です。
天龍の承認無しに龍騎士隊イリスから脱退しない事です」」
「「勿論了解しました」」
龍騎士隊イリスに所属していたらブリックリンの所在はすぐに分かるので監視がし易いのだ。
「「うん、君を信じるよ」」ニコリと笑った天舞龍リール。
思わぬ大ダメージ受けて飛行困難のブリックリンを抱えて飛び去るリール。
美人さんと密着してドキドキのブリックリンだった。
二人の龍種が飛び去り少ししたら地面がモコモコと動き出した。
ボコォ!!地面の中からスペクターの重装剣士が這いずり出て来た。
爆発と防御結界が連動した魔石だったのだ。
「天舞龍リールまで動いていたか・・・我々は間違ったな・・・」
今回の地龍襲撃は龍種の組織だっての行動だと理解した重装剣士。
ズリズリと地面を這って魔法剣士の元へ行く重装剣士・・・
「生きてるか?」
「ああ、最悪な事にな・・・」
「あれは仕方あるまい気にするな・・・」
「龍種・・・おっかねえな」
「そうだな・・・」
こうして二人のスペクターは地面を這いながらブレストの元へ行くのであった。
二人は「地龍の真なる逆鱗」人間の世界の終わりの一片を垣間見たのだった。
かろうじて一命は取り留めて泣いていた。
「悪ぃ・・・俺が不甲斐ねぇばかりに死なせちまった・・・」
魔法剣士の周囲には焼け焦げた仲間の死体が散乱していた・・・
「あんなの勝てる訳ねぇって・・・何なんだよ?アイツ」
ブリックリンに裏拳で弾かれた時に魔力暴走の起爆術式を埋め込まれたのだ。
あの一瞬でそんな芸当が出来るのは三龍王かそれに匹敵出来る最高位クラスの龍種くらいな者だけだろう。
「黒龍・・・おっかねえよ」そう言って涙を流した。
一方でスペクターの重装剣士は仲間を逃がす為に絶望的な戦いをブリックリンと行っていた。
スパァン!!「ぐううう!!!」
剣を弾き飛ばされる度に衝撃が剣を伝って自分にダメージが来るのだ。
何かしらの攻撃的なカウンター防御技なのだろう。
側から見るとブリックリンが余裕綽々に重装剣士を嬲り物にして遊んでいる様に見えるがそうでも無い。
重装剣士は自分と同レベルで物理攻撃力が強くブリックリンが攻撃に転じたら間違い無く攻撃が通りダメージ必至なのだ。
なので重装剣士が攻撃せざる得ない状況を作り出してハメたのだ。
そしてこのカウンター防御技もツノの周囲感知に相手に魔力衝撃とかなり燃費が悪い技なのだ。
実際にブリックリンの魔力はゴリゴリに削られている。
《魔力が尽きるまでに間に合うかな?》
しかし百戦錬磨のブリックリンはその苦境を楽しむ事が出来る。
何せ黒龍王時代は世界最強の剣士と戦っていたのだ。
天龍王アメデ。
彼は本当に強かった・・・
毎回挑んでは情けを掛けられていたなぁ・・・
ああ・・・でも今は味方なんだよね、少し残念だよ。
また会いたいなぁ、って今は地龍なんだからその気になれば会えるのかぁ・・・
もっと強くなったら手合わせして貰おう。
そんな事を考えていたら・・・カラーン・・・剣が落ちる。
重装剣士に限界が来た。
ブリックリンのカウンター技で重装剣士の両手の骨はバキバキに骨折していたのだ。
もう剣は握れ無い・・・勝負ありだ。
ギン!!凄い形相でブリックリンを睨む重装剣士!
「「!!!!しまった!!」」
ズゴオオオオオオオオオンンン!!!!
重装剣士は隠し持っていた魔石で自爆したのだ!
至近距離にいたブリックリンに問答無用でダメージが入る!!
イリス達が感じた二回目の爆発だ。
二回共、爆発を起こしたのはスペクターでブリックリンでは無かったのだ。
しかしブリックリンを倒しきれる程では無く、結構な火傷と打撲を受けたが戦闘不能にはならなかった。
「「ぐううう!アメデの事を考えて油断したよ!不覚!」」
「「ふうん?お父様が何だって?ブリックリン君?」」
ブリックリンの背後から鈴の音色の様な可愛いらしい声が聞こえた。
「「あっ・・・」」
産まれて初めて背中に汗が流れる貴重な体験をしたブリックリン。
「「どうも、リールさん」」
ヘラリと愛想笑いを浮かべながらブリックリンが振り返ると腕を組んだ天舞龍リールが居たのだ。
「「任務お疲れ様でしたブリックリン君、三龍種の監査官として来ましたよ。
それで?君はお父様とどんな関係なのかなぁ?」」
「「いやぁ、天龍王アメデ様は強くてカッコいいなぁって」」
「「ウソつきなさい!!ハッキリと「アメデ」って言ったじゃん!
それにその姿!君!前の黒龍王でしょ?!そのまんまの姿じゃんか!」」
「「うわあーーー??!!」」逃がさん!とヘッドロックをされるブリックリン。
ブリックリンは黒龍王時代に天舞龍リールとの面識は無かったが天龍王アメデが黒龍王の事を楽しそうに話すのを聞いていたリール。
そして洗いざらい根掘り葉掘り吐かされたブリックリンだった。
そして頭を抱えてしゃがんで動かなくなったリール。
中々の重大な事態だ、前の黒龍王は天龍の討伐対象だったからだ。
「「あの・・・なんかすみません」」
「「そりゃ叔父様も君の事を天龍側に報告出来ないよね」」
叔父様とは地龍王クライルスハイムの事だ。
ガバッと立ち上がりブリックリンに詰め寄るリール。
黒龍王時代には分からなかった事だが今は女性の美しさを理解できる。
美人さんのドアップに狼狽えるブリックリン。
「「それで君は前の様に無差別に暴れる気は無いのね?」」
「「地龍と龍騎士隊イリスに危害が及ばない限りは」」
そこはハッキリと断言出来るブリックリン。
「「お父様は?天龍王アメデを恨んでない?」」
「「手合わせして欲しいなぁとは思ってます」」
ここも誤魔化す事も無いので正直に話す。
「「よろしい!ではこちらの条件です。
天龍の承認無しに龍騎士隊イリスから脱退しない事です」」
「「勿論了解しました」」
龍騎士隊イリスに所属していたらブリックリンの所在はすぐに分かるので監視がし易いのだ。
「「うん、君を信じるよ」」ニコリと笑った天舞龍リール。
思わぬ大ダメージ受けて飛行困難のブリックリンを抱えて飛び去るリール。
美人さんと密着してドキドキのブリックリンだった。
二人の龍種が飛び去り少ししたら地面がモコモコと動き出した。
ボコォ!!地面の中からスペクターの重装剣士が這いずり出て来た。
爆発と防御結界が連動した魔石だったのだ。
「天舞龍リールまで動いていたか・・・我々は間違ったな・・・」
今回の地龍襲撃は龍種の組織だっての行動だと理解した重装剣士。
ズリズリと地面を這って魔法剣士の元へ行く重装剣士・・・
「生きてるか?」
「ああ、最悪な事にな・・・」
「あれは仕方あるまい気にするな・・・」
「龍種・・・おっかねえな」
「そうだな・・・」
こうして二人のスペクターは地面を這いながらブレストの元へ行くのであった。
二人は「地龍の真なる逆鱗」人間の世界の終わりの一片を垣間見たのだった。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる