上 下
66 / 269
第一章 エルフの少女

66話 「敗退の後の反省会と新戦力」

しおりを挟む
一時離脱して近くの木の上に着陸する龍騎士隊イリス。
バジリスクに完敗したと言って良い。

「大丈夫?シルフィーナ」心配そうにシルフィーナを覗き込むイリス。
シルフィーナは人化して枝の上で寝込んでいる。

「毒はイリスがすぐ消してくれたので問題ありませんわ。でも体力の消耗が・・・」
解毒すると言っても受毒による痛みで精神的、肉体的の消耗は避けられない。

「これ、猛毒だったら10回は即死してたよね」
ブリックリンも疲れて龍化を解いて座り込んでいる。

幸いな事にバジリスクの毒球はそこまで毒性が高く無い。
その代わりに撃ち出される毒球の数が多い、一回で10発前後の毒球が散弾銃の様に発射されるのでかわし切れ無い。

加えてシルフェリアの霊視であの区域だけでも1500匹以上のバジリスクが居ると判明している、ソイツらがまあ動く動く、指揮を取っている奴が居るのは明白だ。

「今回は100匹は倒しましたが先は長いですね」ガストンもウンザリした様子だ。

「盾もダメにされてしまいましたね」ロイが持つ盾はもうボロボロだ。

《ごめんなさい、私がもっと早く居場所を掴めれば・・・》

「いや、あんなの誰にも無理だよ」

「それに索敵魔法を使っている個体も居ますね」

「うへえ・・・タチが悪過ぎ!」

強い魔物が多い東の大陸、バジリスクはここで生き残る為に創意工夫を繰り返してあの防御戦術を編み出したのだろう。

生き残りを賭けた種族の底力に恐怖を感じたイリスだった。
とりあえずここに居ても何も始まらないので白ちゃん宅へ退却する。

「そう・・・残念だわ。
あの区域は禁足地にするしかないわねぇ」

報告を聞いて残念そうな白ちゃん、鬼族にとって九頭竜王の滝に続いてバジリスクの岩山も立ち入り禁止になったのだ、新天地開拓はそう容易には行かない。

何せ有効と思われる手段をバジリスクが全てのり越えたのだ。
龍騎士隊イリスには、ほろ苦い敗退になったのだった。

ちなみにだが、このバジリスクの岩山は1000年後の世界でも誰も攻略出来ていない。
蛇達の楽園として存続し続けるのだ!バジリスクおっかねえ!

「あー・・・疲れた・・・」そう言いながらスゥと寝入るイリス。
すると、イリスはヒュンと以前の幼児に戻ってしまった、どうやら貯めた魔力を使い果たした様だ。

《やっぱりイリスはちっちゃい方が可愛いですわー!》
やかましい!ロリコン精霊!寝てるんだから静かにしろ!

どちらにしても美少女タイムは終わった様だ。

「ハイエルフって・・・」
ハイエルフの小さくなったり大きくなったりの変な体質に少し呆れるシルフィーナ。
クレア曰く、イリスはそのハイエルフでも特別変な体質らしくて、よく分からんとの事。

その後、起きたイリスは、「なんでよぉーーー!!」と泣いた。
しかしコロコロ体型は解消されてほっそりとしていた。

次の日の朝、

「バジリスク戦での敗退の原因は基礎能力が足りて無かったからだと思うんです!」

「・・・」敗者に語る口無し、誰も反論出来ない。

「全ては基礎から、足からです!毎朝3時間全員で走りますよ!」

順調に師匠クレアも脳筋が弟子のイリスに侵食していきイリスがその様な事を言い出したのだった。

「そうねぇ、私も少し甘えていたかも・・・鍛え直すのに暫くは付き合うわ」

龍騎士隊イリスにオーガロードのホワイトも加わってジョギングが始まる。

ハイエルフ、人間、風竜、地龍、リザードマン、オーガキング、精霊・・・
凄い妙なパーティになって来た龍騎士隊イリス。

この集団がズドドドと猛然と走るのだ!ハッキリ言って怖い!
進路上に居た寝ていたグリフォンも慌てて道を開けた!・・・ん?グリフォン?

グリフォン・・・飛べる・・・現在、竜不足・・・別にグリフォンでも良くね?!

「ぐうりいふおんさあーーん♪♪♪お話しましょう?」
猛然とグリフォンに突進する龍騎士隊イリスの面々!

《きゃーーーー??!!なんか来たーーー!!怖いーー??!!》
グリフォンは慌てて逃げ様とするもアッサリと回り込まれる!!

《なななななんですかぁ?!私は美味しくないですよ?!!》
さすが抜群の知性を持つグリフォン、言葉もバッチリだ!完璧です!

「グリフォンさんって凄い美しいですよね!」

《はい?!美しい?!》謎の集団に急に褒められるグリフォンさん。

「そうですね、それに溢れる気品も感じます」

《そっ・・・そうですか?》おっ?まんざらでも無いグリフォンさん。

「そうですわね、悔しいですが風竜より可憐さも感じますわ」
自分を下げて相手を上げる高等なテクニック。

《ええ~?そんな事ないですよぉ~?》テレッテレのグリフォンさん。

「ねえ、可愛いグリフォンさんのお名前を教えて欲しいわぁ?」

《ええ?!名前ですか?え~と「エリカ」って言います》
グリフォンさんは「ネームド」だった・・・しかもエリカ・・・絵里香?!

そう、このグリフォンのエリカちゃんは黒龍ラザフォードと同じ「地球」からの記憶持ちの転生者なのだ。

アメリカ人と日本人の違いはあるけどね。
なぜかイリスはその事を直感した、このグリフォンさん転生者だ!と
理由は知らん、作者がご都合主義だからじゃね?

と言うのは冗談でちゃんとした理由があります、かなりのネタバレになるので今は何も言えませんが。

「道にお宝が偶然落ちていたーーー!!」
思わぬ幸運にテンション爆上がりのイリス、早起きは三文の徳だね!

「エリカさんはもしや「地球」からの転生者ですか?」
一応確認して見る。

《ええ?!地球を知ってるんですか?!》予想以上に驚くエリカ。

「うんうん知ってる知ってる。
実はもう1人地球からの転生者を知っているんだ!
エリカさんは会いたい?」

《会いたいです!》やったね!勧誘成功!グリフォンさんゲット!

こうして棚ぼたで飛行戦力をゲットしてしまったイリスだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…

小桃
ファンタジー
 商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。 1.最強になれる種族 2.無限収納 3.変幻自在 4.並列思考 5.スキルコピー  5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。

みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・

引きこもり転生エルフ、仕方なく旅に出る

Greis
ファンタジー
旧題:引きこもり転生エルフ、強制的に旅に出される ・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。 実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。 ※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

処理中です...