42 / 269
第一章 エルフの少女
42話 「ドライアドの森の戦い」その1
しおりを挟む
ブリックリンのブレスで後方の攻撃部隊が一瞬で全滅して前方の敵部隊は大混乱に陥った。
「全滅?!全滅とはどう言う事だ?!」
前方部隊の指揮官は唾を飛ばして部下を叱責する。
「それが巨大な爆発が確認されてその後一切の連絡が取れなくなり、偵察部隊が確認した所、焼け野原に何も残されておらずかろうじて人骨と思しき物が散乱しておりました」
「では、我が弟は?!息子はどうした?!」
「現在全ての者と音信不通です・・・」
「馬鹿者!もう一回確認せんか!!」
「はっ!」
天幕から出て行く部下を苦々しく見送る指揮官。
「ウッドエルフ共は何か攻撃の秘術でも持っておったのか?
情報部の報告では森の戦いに秀でてる以外はそこまで戦闘力は高く無いと言っておったのだが・・・
クソ!このままでは新しく建国される国で保障されていた大臣の立場が・・・」
弟と息子が死んだかも知れないと言うのに己れの保身しか考えてない指揮官だった。
エルフの秘術・・・など指揮官が言う甘い物では無いと聡い者は気がついていた。
アレは龍種の一撃だと。
龍種は参戦しないと勝手に思い込んで金目当てで参加していたが考えが甘すぎた。
聡い者はコッソリと陣屋から消えて行った。
残された愚かな者達は気が付いていない私欲の為の大規模な森林伐採・・・それが地龍を怒らせるのには充分な愚行だと言う事に。
この後、何度も龍種の洗礼を受ける未来が訪れる。
偵察部隊が改めて確認するとやはり後方部隊は全滅したと判明して敵は作戦変更を余儀なくされる、前方部隊も大きく後退して援軍を待つ事になった。
その隙をついてイリスとブリックリンは全ての避難民の護送に成功する。
とりあえず一応の危機は乗り切ったのだ。
しかしここでまた人間が愚行を犯す。
距離が遠くクレアが手を回し切れなかった西の大陸に住むウッドエルフを人間達が攫って隷属させたと言うのだ。
幸いな事に最近新しく建国されたヴィグル帝国が即座に介入したので被害は最小な物となり、連れ去られたエルフは50名程度に抑えられたらしいが、
誘拐された者の安否は不明だ。
その報告にイリスの胸にマグマ溜まりの様な怒りが籠る。
「落ち着けイリスよ。
世界全てを救うなど傲慢と言う物じゃ、妾のはらわたも煮えくり返っておるが・・・今、目の前の者達を救うのが先決じゃ」
「・・・敵の正体は何なのですか?」
「人間の地位を高める為の秘密結社ゴルド・・・とか名乗っておるな。
格好をつけておるが単に強欲な者共の無秩序な集まりじゃ、しかし規模は西の大陸にも跨がって大きいぞ?近々、ゴルド王国とかを名乗るらしいのう」
「ゴルド・・・覚えておきます」
今はまだ何も出来ないが必ず助けに行くと誓うイリス。
現状はブリックリンにしがみついているだけだが絶対に力を付ける!
そう思って西の大陸方向を睨み付ける。
「ふう・・・やれやれじゃのう」
かなりの知恵者とはいえ、幼いイリスの人間に対する凄まじい嫌悪感を早い段階で何とかせにゃとは思うのだが、
愚かな者共が次から次へとやらかすので手が付けられないクレア。
「それにしてもゴルドか・・・妾もその名を覚えておくぞ・・・」
ユグドラシルの瞳を継承した者としても今回のゴルドの蛮行は許しがたし。
エルフに協力的な国家でゴルド包囲網を築くつもりだ。
そしてこの構図はゴルド王国が滅亡する1000年間近くも続いて行く事になる。
そんな状況の中で援軍が来た敵勢力・・・以降ゴルド王国軍は再編成を済ませて再度ドライアドの森周辺に姿を現す。
しかしドライアドの森の勢力もかなり増強されていた。
ヴァンヤールエルフの戦士達3000名が援軍に到着していたのだ。
加えてフィジー領を含めた対ゴルド王国の勢力も協力する密約を結んでいる。
彼らもゴルドの勢力を中央大陸から追い出したいのだ。
そしてドライアドの森の防衛の指揮を取るのはラーデンブルク公爵のクレアだ。
つまりゴルド王国対ラーデンブルク公国との戦争になる。
これに触発されて西の大陸に住むウッドエルフ達もヴィグル帝国の支援を受けて誘拐された者を救出する為に蜂起する予定だ。
中央大陸の東方の諸侯は良い所取りを狙い戦況に合わせてゴルド勢力の土地を奪う気が満々だ。
この世界の人類で初めての大規模な戦争「ドライアドの森の戦い」のカウントダウンが始まる。
そんな中で龍騎士イリスがクレアより受けた任務は「支援部隊の殲滅」要するに兵站を徹底的に叩け!と言う任務だ。
「「それでどうするの?イリス」」
空を飛べるイリスとブリックリンは単独行動で暴れろとのクレアから指示で敵の索敵を行っている。
これはイリスの憂さ晴らしの意味合いが強い。
「う~ん、狙いは食糧保管庫だけど・・・警戒されているよね?」
ブリックリンの一撃でまとまるとヤバいと理解したゴルド軍はかなり分散している、強欲な分だけ命根性が汚い連中なのだ。
「「そうだね随分と分散配置していて一気ブレスで殲滅・・・とはいかないね」」
さしものブリックリンも何発もブレスを撃てる訳が無い。
威力を抑えると1日に1発はどうにか撃てるが先日のレベルのブレスを撃つと10日は動け無くなる。
そんな都合が良い話しは無いのだ。
「じゃあブリックリンが敵の攻撃をかわして私が炎系統の魔法で食糧保管庫を攻撃だね!」
「「了解」」
龍騎士イリスの攻撃が始まる!
「全滅?!全滅とはどう言う事だ?!」
前方部隊の指揮官は唾を飛ばして部下を叱責する。
「それが巨大な爆発が確認されてその後一切の連絡が取れなくなり、偵察部隊が確認した所、焼け野原に何も残されておらずかろうじて人骨と思しき物が散乱しておりました」
「では、我が弟は?!息子はどうした?!」
「現在全ての者と音信不通です・・・」
「馬鹿者!もう一回確認せんか!!」
「はっ!」
天幕から出て行く部下を苦々しく見送る指揮官。
「ウッドエルフ共は何か攻撃の秘術でも持っておったのか?
情報部の報告では森の戦いに秀でてる以外はそこまで戦闘力は高く無いと言っておったのだが・・・
クソ!このままでは新しく建国される国で保障されていた大臣の立場が・・・」
弟と息子が死んだかも知れないと言うのに己れの保身しか考えてない指揮官だった。
エルフの秘術・・・など指揮官が言う甘い物では無いと聡い者は気がついていた。
アレは龍種の一撃だと。
龍種は参戦しないと勝手に思い込んで金目当てで参加していたが考えが甘すぎた。
聡い者はコッソリと陣屋から消えて行った。
残された愚かな者達は気が付いていない私欲の為の大規模な森林伐採・・・それが地龍を怒らせるのには充分な愚行だと言う事に。
この後、何度も龍種の洗礼を受ける未来が訪れる。
偵察部隊が改めて確認するとやはり後方部隊は全滅したと判明して敵は作戦変更を余儀なくされる、前方部隊も大きく後退して援軍を待つ事になった。
その隙をついてイリスとブリックリンは全ての避難民の護送に成功する。
とりあえず一応の危機は乗り切ったのだ。
しかしここでまた人間が愚行を犯す。
距離が遠くクレアが手を回し切れなかった西の大陸に住むウッドエルフを人間達が攫って隷属させたと言うのだ。
幸いな事に最近新しく建国されたヴィグル帝国が即座に介入したので被害は最小な物となり、連れ去られたエルフは50名程度に抑えられたらしいが、
誘拐された者の安否は不明だ。
その報告にイリスの胸にマグマ溜まりの様な怒りが籠る。
「落ち着けイリスよ。
世界全てを救うなど傲慢と言う物じゃ、妾のはらわたも煮えくり返っておるが・・・今、目の前の者達を救うのが先決じゃ」
「・・・敵の正体は何なのですか?」
「人間の地位を高める為の秘密結社ゴルド・・・とか名乗っておるな。
格好をつけておるが単に強欲な者共の無秩序な集まりじゃ、しかし規模は西の大陸にも跨がって大きいぞ?近々、ゴルド王国とかを名乗るらしいのう」
「ゴルド・・・覚えておきます」
今はまだ何も出来ないが必ず助けに行くと誓うイリス。
現状はブリックリンにしがみついているだけだが絶対に力を付ける!
そう思って西の大陸方向を睨み付ける。
「ふう・・・やれやれじゃのう」
かなりの知恵者とはいえ、幼いイリスの人間に対する凄まじい嫌悪感を早い段階で何とかせにゃとは思うのだが、
愚かな者共が次から次へとやらかすので手が付けられないクレア。
「それにしてもゴルドか・・・妾もその名を覚えておくぞ・・・」
ユグドラシルの瞳を継承した者としても今回のゴルドの蛮行は許しがたし。
エルフに協力的な国家でゴルド包囲網を築くつもりだ。
そしてこの構図はゴルド王国が滅亡する1000年間近くも続いて行く事になる。
そんな状況の中で援軍が来た敵勢力・・・以降ゴルド王国軍は再編成を済ませて再度ドライアドの森周辺に姿を現す。
しかしドライアドの森の勢力もかなり増強されていた。
ヴァンヤールエルフの戦士達3000名が援軍に到着していたのだ。
加えてフィジー領を含めた対ゴルド王国の勢力も協力する密約を結んでいる。
彼らもゴルドの勢力を中央大陸から追い出したいのだ。
そしてドライアドの森の防衛の指揮を取るのはラーデンブルク公爵のクレアだ。
つまりゴルド王国対ラーデンブルク公国との戦争になる。
これに触発されて西の大陸に住むウッドエルフ達もヴィグル帝国の支援を受けて誘拐された者を救出する為に蜂起する予定だ。
中央大陸の東方の諸侯は良い所取りを狙い戦況に合わせてゴルド勢力の土地を奪う気が満々だ。
この世界の人類で初めての大規模な戦争「ドライアドの森の戦い」のカウントダウンが始まる。
そんな中で龍騎士イリスがクレアより受けた任務は「支援部隊の殲滅」要するに兵站を徹底的に叩け!と言う任務だ。
「「それでどうするの?イリス」」
空を飛べるイリスとブリックリンは単独行動で暴れろとのクレアから指示で敵の索敵を行っている。
これはイリスの憂さ晴らしの意味合いが強い。
「う~ん、狙いは食糧保管庫だけど・・・警戒されているよね?」
ブリックリンの一撃でまとまるとヤバいと理解したゴルド軍はかなり分散している、強欲な分だけ命根性が汚い連中なのだ。
「「そうだね随分と分散配置していて一気ブレスで殲滅・・・とはいかないね」」
さしものブリックリンも何発もブレスを撃てる訳が無い。
威力を抑えると1日に1発はどうにか撃てるが先日のレベルのブレスを撃つと10日は動け無くなる。
そんな都合が良い話しは無いのだ。
「じゃあブリックリンが敵の攻撃をかわして私が炎系統の魔法で食糧保管庫を攻撃だね!」
「「了解」」
龍騎士イリスの攻撃が始まる!
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
婚約破棄?王子様の婚約者は私ではなく檻の中にいますよ?
荷居人(にいと)
恋愛
「貴様とは婚約破棄だ!」
そうかっこつけ王子に言われたのは私でした。しかし、そう言われるのは想定済み……というより、前世の記憶で知ってましたのですでに婚約者は代えてあります。
「殿下、お言葉ですが、貴方の婚約者は私の妹であって私ではありませんよ?」
「妹……?何を言うかと思えば貴様にいるのは兄ひとりだろう!」
「いいえ?実は父が養女にした妹がいるのです。今は檻の中ですから殿下が知らないのも無理はありません」
「は?」
さあ、初めての感動のご対面の日です。婚約破棄するなら勝手にどうぞ?妹は今日のために頑張ってきましたからね、気持ちが変わるかもしれませんし。
荷居人の婚約破棄シリーズ第八弾!今回もギャグ寄りです。個性な作品を目指して今回も完結向けて頑張ります!
第七弾まで完結済み(番外編は生涯連載中)!荷居人タグで検索!どれも繋がりのない短編集となります。
表紙に特に意味はありません。お疲れの方、猫で癒されてねというだけです。
若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双
たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。
ゲームの知識を活かして成り上がります。
圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。
婚約破棄された私と、仲の良い友人達のお茶会
もふっとしたクリームパン
ファンタジー
国名や主人公たちの名前も決まってないふわっとした世界観です。書きたいとこだけ書きました。一応、ざまぁものですが、厳しいざまぁではないです。誰も不幸にはなりませんのであしからず。本編は女主人公視点です。*前編+中編+後編の三話と、メモ書き+おまけ、で完結。*カクヨム様にも投稿してます。
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる