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第一章 エルフの少女

20話 「その頃の保護者達」

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「キャーーー?!シルフィーナ!前見てぇーーーー!!」

「「えっ?ああーー?!アナタどいてぇー!!!」

「ピィーーーー???」

渡り中の大燕に激突するシルフィーナ!
ボヨヨヨーーーンンン!!モッフモッフの羽毛で衝撃の大部分は緩和されたが体格差で吹っ飛ばされたのはシルフィーナだ!

「「きゃーーー??!!」」「ひゃあ~ー?!!」「キャーーー??!」
思い切り壁にぶつけられたスーパーボールの如く軽快に飛ばされる3人、大燕の弾力性ヤバし!

特に体重が軽かったイリスの勢いがヤバい!音速?!と錯覚するくらいのスピードで見えなくなった。

エルフ・・・星になる・・・

1番最初に立ち直ったのは戦闘は大嫌いだが流石の魔王、ラザフォードだ!
クルクルと回転しながら黒龍化して、
「「イリスーーー??!!」」と叫んで後を追う。

シルフィーナもすぐに体勢立て直して2人の後を追おうとするが、
「「あら~??」」軽い脳震盪を起こしていてフラフラしてゆっくりと地面に墜落してしまった。

墜落して「「へにゃ~?」」と情け無い声を出してシルフィーナはダウンする。

シルフィーナがダウンしたので1人でイリスを追うラザフォードだが、
「どうしよう・・・見失ったよぉ」イリスをLOSTしてしまう。

この時に既に川に落ちてたイリスは飛ばされた逆方向に流されているのでラザフォードとは完全にはぐれたのだ。

とりあえず、一回シルフィーナと合流しようと戻ったラザフォードはユサユサと
シルフィーナゆすって起こし、
「「イリスを見失っちゃったよ~」」と涙声だ。

「「はえ?・・・ああーーー!!イリスーーー?!」」
正気に戻ったシルフィーナは大混乱だ。

どうしよう、どうしよう、どうしよう、とアタフタする2人・・・
2人共、竜の姿なので知らん人が見るとバタバタと怪獣大戦争に見えただろう。

「「そうですわ!精霊契約!」」やっとその事に気がついたシルフィーナ。

目を閉じて思念波を送るがイリス同様にノイズが走る。
その時!シルフィーナからも見えていた10m先の川でイリスが見事なクロールで
すぐ横を通り過ぎたのだが誰も気が付かず。

つまりシルフィーナとラザフォードもこの時に魔力障害エリアに居たのだ。

「「ダメですわ・・・繋がらない」」そう呟いたシルフィーナに、
「「ままままさか・・・ししし死ん・・・」」
黒い顔が真っ青に・・・なった気がしたラザフォード。

「「ああ!それは無いですわ!魂の繋がりは強く感じてますから」」
そうだね、5秒前に10m隣を通り過ぎて行ったからね。

「「本当に?イリスは大丈夫なの?」」
この時、大きなお魚さんにパックンチョされてたから大丈夫とは言えない。

「「なんで感知も探索出来ないのかしら?」」

「「気のせいか私の魔力の流れも少しおかしい感じが・・・」」

魔力生命体で強い魔力を持つ2人には魔力障害を余り感じる事が出来なかった事も捜索を難航させた原因の一つだ。

「「とにかくしらみ潰しに捜索しますわ!」」

「「そうだね!」」

イリスの予想通りに2人はもっと遠くに飛ばされたと思い逆方向に飛んで行ってしまった。

西の空が夕焼けに染まる頃、まるで見当違いの地域を捜索し続けて疲れた2人は小山の頂上で休息している。

ちなみにこの世界の太陽などの天体は地球と同じ動きをしている様に見える。
月もあるのだが衛星ではなく準惑星なので夜空の月は15倍に見えて月の影響も大きい。

「「イリス無事かしら・・・」」
不安で泣きそう・・・泣いてる黒龍ラザフォード、優しい魔王である。

「「イリス・・・あれ?なぜでしょう?わたくし不安に思って無い?」」

「「なにそれ?!イリスはどうでも良いって言うの?!」」
酷い言い草に怒るラザフォードだが・・・

「「いいええ!そう言う意味で無くて、イリスなら自分1人で何とでもしてしまいそうな予感がするのですわ」」
慌てて手をブンブンと振るシルフィーナ。

「「あんなに幼い女の子なのに?」」
どうにもシルフィーナの言ってる事が信じられないラザフォード。

「「あの子の保有している魔力はわたくしより上ですわ。
既に幾つかの攻撃用の上級魔法も習得済みなのです」」

「「はあ・・・」」
戦いに全く興味が無いラザフォードは上級魔法の凄さが分からないので気の無い返事しか出来ない。

「「つまりAランクの魔物にも負けない実力があるのですわ」」
そろそろSSSランクの紫虫王に遭遇しますけどね。

「「加えて天才的な膨大な知力を持ち、御両親からのプレゼントで大量の物資が入ったマジックバックを持ってます・・・
あら嫌ですわ!わたくしより強い気がして来ましたわ!」」

「「あの子、そんなに強いの?!」これには驚くラザフォード。

「「でも体力が問題ですわ、幼児には変わりありませんから」」

「「もう一回捜索しましょう!」」

「「そうですわね!」」

やっぱり不安に駆られた2人は捜索を再開するが、残念ながらイリスが居る鍾乳洞から20kmは離れてしまっていた。

徹夜で探したもののイリスは発見出来なかったのだった。
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