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改稿版
大学生になったセリスは九頭竜王と遭遇する。その2
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はい!皆んなのセリスでございます!
何か知らんが昔の記憶がドンドンと蘇って1000年ほど前のユグドラシル様との思い出が頭に浮かんで来ます・・・
ああそうか・・・私はかつて霊樹の「シルフェリア」と呼ばれてたんだ・・・
ユグドラシル様が枯れた時、眷属だった私も一緒に眠りについたんだよね・・・
あ~、そっか、だからミモザちゃんの正体も1発で解ったんだ・・・
「シルフェリア・・・ですよね?」
ユグドラシル様が心配そうに呆然としている私の顔を覗き込んでます。
頭大混乱の私ですが、1つだけとても大切な事が理解出来ました。
今の私は「人間のセリス・フォン・カターニア」で霊樹シルフェリアでは無いと・・・
なので私はこう答えます。
「はいお久しぶりですユグドラシル様。
ですが「シルフェリア」は、もう完全に世界には存在しません。
私はセリス・フォン・カターニアです」
と自分で驚くくらいアッサリと言葉が出ます。
でもユグドラシル様にまた会えたのが本当に嬉しくて思わず抱きしめちゃいます!
「!!!!
うふふふ・・・また会う事が出来ましたね・・・セリス」
抱きしめられてユグドラシル様は少し驚いてましたが全てを理解したのか優しく抱きしめ返して下さいました。
だがしかし、優しくされても霊樹には戻らん!
いやだってここで私が霊樹になんかになったら弟妹どうするのさ?!
だって今月のベン精肉店のツケの支払い日は明後日だよ?
それに来年から三つ子の弟達が学園の入学だから色々と準備しなきゃいけないし・・・
まだ、おねいちゃんは人間社会から脱落する訳には行かないのよ!
それにミモザちゃんとの遊ぶお仕事も継続中だしね!
それに記憶が戻ったって言っても記憶が大昔過ぎて「シルフェリア」がどんな性格でどんな事を思って行動してたのか分からないんだよね。
ただ・・・1人の子供をめっちゃ大切にしてたのですが、それがどんな子だったのかが思い出せません。
コレなんか外部から記憶の封印をされてますね。
ただただ「ユグドラシル様に再会出来て凄く嬉しい」としか思えなくて他の感情は湧いて来ないんだよね。
例えば霊樹としての森の管理の使命とか精霊達の統率とかもあったのですが他人事に思えるのです。
「そんな感じなので私はもう「シルフェリア」では無いと思います」
うん、「今日から君は霊樹だ!」とか言われてもマジで困るわ。
・・・あの時のミモザちゃんの「精霊なんかになりたくありません!」の気持ちが分かったよ、ごめんよミモザちゃん。
「そうですか・・・少し残念ですが、またお会い出来て嬉しいですわ」
少し寂しげな様子のユグドラシル様を見て心が痛むけど、これは仕方ないよね?
次世代の世界樹は後任にお任せしましょうそうしましょう。
ただ記憶が戻って得た恩恵は凄い!解る!植物を見ただけで全てが解る!
見た事も無い植物でもこれがどんな植物で、それから食べられる物か?薬草としての効能はどうなの?とか、マジでやばいくらいに解る!
あれ?これもしや私、スーパーチート能力を手に入れちゃった?
ヤバいよ?!こんなの周囲にバレたら何されるか分かんないじゃん?!
チート獲得に無条件で喜ぶほど私も子供じゃないのです。
ってか闇の商業ギルドの利権的にも私ってマジ美味過ぎる存在じゃんか!
これ誘拐監禁、薄暗い部屋で死ぬまで草の鑑定をやらされる強制労働もあり得るぞ!
うん!隠そう!こんなヤベェ能力は自分1人で楽しもう他には絶対に言わんぞ!
☆そんな事を思っているセリスですが「Sランクの魔物の死霊使いに極大魔法をぶっ放したマジでヤベェ女」と闇ギルドやマフィアグループなどのアウトロー集団からは認識されており、仮にどっかの馬鹿からセリス誘拐とかの依頼が有っても依頼を受ける者はいないと思われます。
セリスが誘拐されたと仮定しますと先ずセリスの救出と犯人を物理的に殲滅する為にラーデンブルク公国から怒り狂ったエルフの女王イリスが率いる完全武装の龍騎士隊1500名が出陣します。
そして国境線ギリギリから「アンタ等がやらんなら私がやるわよ!」と、ピアツェンツア王国に脅しを掛けます。
そうなると当然、師匠の来襲にビビったピアツェンツア王国国王ヤニックがクルーゼを総大将に据えた国軍を動かします。
それにヤニック国王はその手の犯罪をやらかす輩が大嫌いなので降伏を許さない拘束無しでの物理的な殲滅命令を出すでしょう。
それと同時にイノセントやジャックが居る冒険者ギルドでも冒険者仲間でもあるセリス救出に全力を上げます。
この時点でイリス、ヤニック、クルーゼ、イノセント、ジャックの勇者5人の地獄のパーティが結成されて参戦するでしょう。
それに加えて「マジ余計な仕事を増やしてくれたお前等だけは絶対に殺すマン」となった龍騎士隊、ピアツェンツア国軍、冒険者ギルドを相手をする事になる誘拐グループは1000回は楽に死ねる事になるでしょう。
これぞ正に完全無欠のオーバーキル・・・・・・こわっピねぇ。
なのでセリスな心配しないでお仕事に励んで下さい。
そうですか?じゃあまあ・・・ユグドラシル様と再会を果たした所でお仕事再開です。
ユグドラシル様との薬草採取は九頭竜様の鑑定を済ました後に実行する事になりました。
九頭竜様はこの先1kmほど先の大きな湖で寝ているとの事、見つからない様に2人でソロソロと湖に向かう、そうして湖の湖畔にある擬装された監視小屋に入る。
・・・いや何?この擬装小屋?立派過ぎない?
「私の相棒のシー・・・銀仮面が作ってくれました」と笑顔のユグドラシル様、シーって何?、いやいや、そんな事よりお仕事よ!
私は湖を霊視する・・・
すると水面より5m下に大きな反応、えっ?浅すぎない?・・・ってかこれって浮上して来てんじゃん?!
《セリス何してるの?クーちゃん・・・九頭竜王が出て来るよ?》
仕事が終わったのか、転送魔法の実演を見れなくて少し声に元気が無い霊視さんが「九頭竜王来襲」を知らせてくれます?!
てか何じゃい?!その緊張感も欠片もない声は?!大怪獣だぞ!
うええええ?!今逃げたら絶対に見つかる!
私はお口チャックして森と同化するのだ!わたくしは木よ!
するとほんの50m先の至近距離の水面が持ち上がり・・・
ザザザーーーーーン!!とマジデカな九頭竜様が現れたーーー??!!
「あらまぁ?暫く会わない内にクーちゃんは大きくなりましたねぇ」
めっちゃ呑気なユグドラシル様!だから何で皆んなそんなに落ち着いているの?!
私は超ビックリだよ?!
ふう・・・ビークール、ビークール、大丈夫、見つかった訳じゃない、大丈夫~・・・
ってそんな訳ないじゃんかぁ?!めっちゃ怖い!
誰だよ寝ているって言ってたヤツーーーー!!
息を凝らして九頭竜様を見ていると寝起きなのか動いていない頭が4つほど有りダラーんと湖の中に入ったままです。
すると頭の1つが湖の水でバシャバシャと顔を洗い出した・・・
「いや・・・お前ついさっき迄水中に居たじゃん?そこから水で顔を洗うんかい!」ってツッコミ入れて良いですか?
いやすみません!ごめんなさい!怖いから絶対無理です。思って見ただけです!
「ところでクーちゃんってどの頭が全体の身体を動かしているのでしょうか?」
とユグドラシル様が神話の中でも永遠の謎とされている事を尋ねて来たので「なら聞いて見ます?」と冗談を言ったら、「そうですね~」とマジで聞きに行こうとしたのでユグドラシル様を泣きながら止めました。
すみません!もう二度と言わないから小屋から出ようとするのやめて下さい!本当に!
そんな事をしていたら、九頭竜様の起きていた1つの頭がうとうととしながら、ゆっくりと水の中に入って行く。
つられてもう1つも、それからもう1つと・・・そうして全ての頭が水面に入り全体が湖に沈んで行った。
《どうやら寝ぼけて起きて来たんですね》とアテネ型霊視さん。
ビックリするから寝ぼけて浮上するの止めてください!お願いしますから!
改めて水中の九頭竜様をアテネ型霊視で確認すると、
《九頭竜さんは後30年は目を覚ましませんよ、良かったですね》との鑑定の結果が出た。
しかし《眠りが浅くて湖の近くで騒ぐとすぐ起きるから気をつけて下さいね》とも結果が出た。
よし!30年間はこの湖は立ち入り禁止だ!
霊視の結果をユグドラシル様に伝えると、
「じゃあ帰りましょう!って銀仮面が言ってますから帰りましょうか?」
と言われた、そっすね、私も帰りたいです。
でも食える植物のゲットは忘れてないぜ!
こうして九頭竜様の観察のお仕事の1日目は終わりました。
ピアツェンツェア王都に到着して私はどえらい事に気がついてしまいます。
「金の延べ棒をまだ換金してないじゃん?!」
そうなのです!金の延べ棒の換金は時間が掛かるのです!
密輸や盗品ではないか?と貨幣局の審査を経ないと金貨に換金されません。
どうする?明後日が支払い日なんだが・・・
お肉屋さんに金の延べ棒なんて渡したら大迷惑の嫌がらせです。
「俺に自分で換金しろと?」ベン精肉店の親父さんの怖い顔が目に浮かびますよ!
ちなみに金貨を溶解して金の延べ棒にしたら絶対に損になる様に作られています。
100年ほど前に金の価値が世界的に上がった時に国内の金貨が他国に流出して大変な騒動になってからは世界的に通貨金貨は比重は統一されており銀と銅を混ぜて作る事になってます。
偽金貨の対策は各国で違いがありますけどね。
ピアツェンツェア王国では、金貨の比重は国家の最重要機密になってます。
何でも2g比重が違えば偽金貨との事で特殊な加工がされているとの事です。
もし偽金貨を流通させるなどの違反を犯すと「最悪死刑」が適用されるので、ここ数十年は偽金貨騒動は起きていません。
銀貨も銅貨も一緒ですね、なので国が指定している換金所にて手数料を払い適正な金額で交換した方が断然お得になります。
「悪貨は良貨を駆逐する」ですね。
そこら辺の貨幣の調査や調整は国の財務省のプロフェッショナル達が日夜働いています、お疲れ様です。
って金貨のお勉強している場合では有りません!急がねば!そんな感じでバタバタしてたら銀仮面さんが、「重くて大変でしょうから換金所まで付き合いますよ!」と一緒に来てくれました。
銀仮面さん・・・本当に良い人です。
でも、やっぱり声に聞き覚えが有るんですよね・・・どこだっけな~。
こうして換金所では500万円(相当)の換金を済ませました。
え?全部換金しないのか?、それは金相場を見てですよ。
今日の換金率はイマイチですが生活費なので仕方ありませんわ。
こうした金銀銅の取り引きも貴族の嗜みですわ!オホホホ
今日の500万円(相当)も各所のツケで消える貧乏公爵家ですけどね・・・
本当に出来る事なら民間の市場で安い食材買い漁りたいです・・・
残念ながら貴族はそれが出来ませんけどね。
お抱えの商人に儲けさせる為にツケ払いが貴族家の基本ですわ。
要するにクッソ下らない貴族としての見栄があると言う訳です。
私のこう言う貴族らしくない感性は「シルフェリア」が影響しているのでしょうか?
貴族のそう言う感性はなんか違う気がするんだよなぁ。
「では!また明日お迎えに行きます!」と銀仮面さんと別れ歩きだす。
しばらく歩いて、「ん?」と立ち止まる。
銀仮面さんの歩いて行った方向は王城しか無いじゃん?・・・本当に何者なんでしょうか?
☆
「ホントいい加減にせえよ貴様?!九頭竜王がほとんど出て来てねえじゃねえか!」
「「そうじゃそうじゃ!これは抗議案件じゃ!」」
いや、魔王バルドルはどっちの味方なのだ?!
「少なくとも貴様の味方ではないな?」
「「セリフが少ないじゃろうと思っておったが、まさか一言も無しとは思わなんだ。
寂しいのう・・・」」
そんなでっけぇ身体でションボリしないでくれません?
ちょっと可愛くて罪悪感が半端ないんですが?
でも九頭竜王はセリスと何を喋るつもりなんです?
「「・・・・・・・・・・・・・・・話題が何も無いな?」」
そうでしょう?
千手観音様に並ぶ十一面観音様が我儘言わないで下さい。
「「我等って観音様じゃったの?!」
むしろ今まで自分が何だと思っていたんですか?!
「「・・・・・・・・・・・・・超でっけぇ怪獣??」」
違いますぅ、安産と育児の大神様でもありますぅ。
「「だから大昔から皆んなが寄ってたかって我等の周りで出産したり赤ん坊を見せに来てたの?!」」
そうですよ?我が子の為にってヤツです。
魂の本質が観世音菩薩だから九頭竜王は子供が大好きなんじゃないですか?
ちなみに月の精霊王は九頭竜王から産まれた二面の神ですからね。
「そうなのか?!」
『そうですわよ?わたくしは九頭竜王の娘ですわよ?』
「「そうなの?!」」
『お母様?!元々同じ身体で長い刻を過ごしたのに忘れるなんて酷いですわ?!』
だから十一面の内の二面が月の精霊王になったから九つの顔の九頭竜王になったんですよ?
「そうなのか?!つーか九頭竜王って女だったの?!」
だから十一面観音様だって言ってるでしょうが!(観世音菩薩と同様に性別についての定説は無いが元々はインドの女神様との見方が強い)
そもそも何で、めちゃくちゃ月の精霊王と関係が深い魔王バルドルが知らないんです?!
「古の魔王だからと言って何でもかんでも知ってると思うでないわ!」
「「うむむむ・・・確かに我等は子供は好きじゃが・・・
そうか知らなんだ・・・・・・・よもや昔は観世音菩薩だったとはなぁ・・・
なら今回、縁を結んだセリスにも加護をやるか?」」
そうして貰えると皆んなに喜ばれますね。
そもそもそれが目的でイリスやシルフィーナを始めとした過保護な保護者達が将来セリスが安全に出産が出来る様に今回の仕事をやらせたんですからね。
西の大陸にある九頭竜王の湖の存在なんて20000年以上も前から分かっている事なので本来調査なんて必要無いですから。
以上、セリスが安産の大神様と縁を結んだお話しでした。
「これは儂もビックリの話しじゃったな・・・
まさか今までの物語の伏線が全部繋がっていたとはな・・・
しかしこれでは世界の主神ハルモニア様の存在感が薄れるのではないか?」
『むしろ観世音菩薩様には私に構わず妊婦さんをドンドン助けてドンドンこの世界の神として崇められて下さいって感じです!
この世界の調和(ハーモニー)を維持するだけで忙しい中で更に出産まで司るとか私のキャパが間違いなく破綻します!
九頭竜ちゃん本当にお願いします!』
「お・・・おう?そうなのかい?神様もあれもこれもと色々と大変じゃな。
そう考えると単一神とかマジで仕事がキツ過ぎね?」
『世界の管理の全てを一人でやるとか考えただけでゾッとします。仲間最高です』
何か知らんが昔の記憶がドンドンと蘇って1000年ほど前のユグドラシル様との思い出が頭に浮かんで来ます・・・
ああそうか・・・私はかつて霊樹の「シルフェリア」と呼ばれてたんだ・・・
ユグドラシル様が枯れた時、眷属だった私も一緒に眠りについたんだよね・・・
あ~、そっか、だからミモザちゃんの正体も1発で解ったんだ・・・
「シルフェリア・・・ですよね?」
ユグドラシル様が心配そうに呆然としている私の顔を覗き込んでます。
頭大混乱の私ですが、1つだけとても大切な事が理解出来ました。
今の私は「人間のセリス・フォン・カターニア」で霊樹シルフェリアでは無いと・・・
なので私はこう答えます。
「はいお久しぶりですユグドラシル様。
ですが「シルフェリア」は、もう完全に世界には存在しません。
私はセリス・フォン・カターニアです」
と自分で驚くくらいアッサリと言葉が出ます。
でもユグドラシル様にまた会えたのが本当に嬉しくて思わず抱きしめちゃいます!
「!!!!
うふふふ・・・また会う事が出来ましたね・・・セリス」
抱きしめられてユグドラシル様は少し驚いてましたが全てを理解したのか優しく抱きしめ返して下さいました。
だがしかし、優しくされても霊樹には戻らん!
いやだってここで私が霊樹になんかになったら弟妹どうするのさ?!
だって今月のベン精肉店のツケの支払い日は明後日だよ?
それに来年から三つ子の弟達が学園の入学だから色々と準備しなきゃいけないし・・・
まだ、おねいちゃんは人間社会から脱落する訳には行かないのよ!
それにミモザちゃんとの遊ぶお仕事も継続中だしね!
それに記憶が戻ったって言っても記憶が大昔過ぎて「シルフェリア」がどんな性格でどんな事を思って行動してたのか分からないんだよね。
ただ・・・1人の子供をめっちゃ大切にしてたのですが、それがどんな子だったのかが思い出せません。
コレなんか外部から記憶の封印をされてますね。
ただただ「ユグドラシル様に再会出来て凄く嬉しい」としか思えなくて他の感情は湧いて来ないんだよね。
例えば霊樹としての森の管理の使命とか精霊達の統率とかもあったのですが他人事に思えるのです。
「そんな感じなので私はもう「シルフェリア」では無いと思います」
うん、「今日から君は霊樹だ!」とか言われてもマジで困るわ。
・・・あの時のミモザちゃんの「精霊なんかになりたくありません!」の気持ちが分かったよ、ごめんよミモザちゃん。
「そうですか・・・少し残念ですが、またお会い出来て嬉しいですわ」
少し寂しげな様子のユグドラシル様を見て心が痛むけど、これは仕方ないよね?
次世代の世界樹は後任にお任せしましょうそうしましょう。
ただ記憶が戻って得た恩恵は凄い!解る!植物を見ただけで全てが解る!
見た事も無い植物でもこれがどんな植物で、それから食べられる物か?薬草としての効能はどうなの?とか、マジでやばいくらいに解る!
あれ?これもしや私、スーパーチート能力を手に入れちゃった?
ヤバいよ?!こんなの周囲にバレたら何されるか分かんないじゃん?!
チート獲得に無条件で喜ぶほど私も子供じゃないのです。
ってか闇の商業ギルドの利権的にも私ってマジ美味過ぎる存在じゃんか!
これ誘拐監禁、薄暗い部屋で死ぬまで草の鑑定をやらされる強制労働もあり得るぞ!
うん!隠そう!こんなヤベェ能力は自分1人で楽しもう他には絶対に言わんぞ!
☆そんな事を思っているセリスですが「Sランクの魔物の死霊使いに極大魔法をぶっ放したマジでヤベェ女」と闇ギルドやマフィアグループなどのアウトロー集団からは認識されており、仮にどっかの馬鹿からセリス誘拐とかの依頼が有っても依頼を受ける者はいないと思われます。
セリスが誘拐されたと仮定しますと先ずセリスの救出と犯人を物理的に殲滅する為にラーデンブルク公国から怒り狂ったエルフの女王イリスが率いる完全武装の龍騎士隊1500名が出陣します。
そして国境線ギリギリから「アンタ等がやらんなら私がやるわよ!」と、ピアツェンツア王国に脅しを掛けます。
そうなると当然、師匠の来襲にビビったピアツェンツア王国国王ヤニックがクルーゼを総大将に据えた国軍を動かします。
それにヤニック国王はその手の犯罪をやらかす輩が大嫌いなので降伏を許さない拘束無しでの物理的な殲滅命令を出すでしょう。
それと同時にイノセントやジャックが居る冒険者ギルドでも冒険者仲間でもあるセリス救出に全力を上げます。
この時点でイリス、ヤニック、クルーゼ、イノセント、ジャックの勇者5人の地獄のパーティが結成されて参戦するでしょう。
それに加えて「マジ余計な仕事を増やしてくれたお前等だけは絶対に殺すマン」となった龍騎士隊、ピアツェンツア国軍、冒険者ギルドを相手をする事になる誘拐グループは1000回は楽に死ねる事になるでしょう。
これぞ正に完全無欠のオーバーキル・・・・・・こわっピねぇ。
なのでセリスな心配しないでお仕事に励んで下さい。
そうですか?じゃあまあ・・・ユグドラシル様と再会を果たした所でお仕事再開です。
ユグドラシル様との薬草採取は九頭竜様の鑑定を済ました後に実行する事になりました。
九頭竜様はこの先1kmほど先の大きな湖で寝ているとの事、見つからない様に2人でソロソロと湖に向かう、そうして湖の湖畔にある擬装された監視小屋に入る。
・・・いや何?この擬装小屋?立派過ぎない?
「私の相棒のシー・・・銀仮面が作ってくれました」と笑顔のユグドラシル様、シーって何?、いやいや、そんな事よりお仕事よ!
私は湖を霊視する・・・
すると水面より5m下に大きな反応、えっ?浅すぎない?・・・ってかこれって浮上して来てんじゃん?!
《セリス何してるの?クーちゃん・・・九頭竜王が出て来るよ?》
仕事が終わったのか、転送魔法の実演を見れなくて少し声に元気が無い霊視さんが「九頭竜王来襲」を知らせてくれます?!
てか何じゃい?!その緊張感も欠片もない声は?!大怪獣だぞ!
うええええ?!今逃げたら絶対に見つかる!
私はお口チャックして森と同化するのだ!わたくしは木よ!
するとほんの50m先の至近距離の水面が持ち上がり・・・
ザザザーーーーーン!!とマジデカな九頭竜様が現れたーーー??!!
「あらまぁ?暫く会わない内にクーちゃんは大きくなりましたねぇ」
めっちゃ呑気なユグドラシル様!だから何で皆んなそんなに落ち着いているの?!
私は超ビックリだよ?!
ふう・・・ビークール、ビークール、大丈夫、見つかった訳じゃない、大丈夫~・・・
ってそんな訳ないじゃんかぁ?!めっちゃ怖い!
誰だよ寝ているって言ってたヤツーーーー!!
息を凝らして九頭竜様を見ていると寝起きなのか動いていない頭が4つほど有りダラーんと湖の中に入ったままです。
すると頭の1つが湖の水でバシャバシャと顔を洗い出した・・・
「いや・・・お前ついさっき迄水中に居たじゃん?そこから水で顔を洗うんかい!」ってツッコミ入れて良いですか?
いやすみません!ごめんなさい!怖いから絶対無理です。思って見ただけです!
「ところでクーちゃんってどの頭が全体の身体を動かしているのでしょうか?」
とユグドラシル様が神話の中でも永遠の謎とされている事を尋ねて来たので「なら聞いて見ます?」と冗談を言ったら、「そうですね~」とマジで聞きに行こうとしたのでユグドラシル様を泣きながら止めました。
すみません!もう二度と言わないから小屋から出ようとするのやめて下さい!本当に!
そんな事をしていたら、九頭竜様の起きていた1つの頭がうとうととしながら、ゆっくりと水の中に入って行く。
つられてもう1つも、それからもう1つと・・・そうして全ての頭が水面に入り全体が湖に沈んで行った。
《どうやら寝ぼけて起きて来たんですね》とアテネ型霊視さん。
ビックリするから寝ぼけて浮上するの止めてください!お願いしますから!
改めて水中の九頭竜様をアテネ型霊視で確認すると、
《九頭竜さんは後30年は目を覚ましませんよ、良かったですね》との鑑定の結果が出た。
しかし《眠りが浅くて湖の近くで騒ぐとすぐ起きるから気をつけて下さいね》とも結果が出た。
よし!30年間はこの湖は立ち入り禁止だ!
霊視の結果をユグドラシル様に伝えると、
「じゃあ帰りましょう!って銀仮面が言ってますから帰りましょうか?」
と言われた、そっすね、私も帰りたいです。
でも食える植物のゲットは忘れてないぜ!
こうして九頭竜様の観察のお仕事の1日目は終わりました。
ピアツェンツェア王都に到着して私はどえらい事に気がついてしまいます。
「金の延べ棒をまだ換金してないじゃん?!」
そうなのです!金の延べ棒の換金は時間が掛かるのです!
密輸や盗品ではないか?と貨幣局の審査を経ないと金貨に換金されません。
どうする?明後日が支払い日なんだが・・・
お肉屋さんに金の延べ棒なんて渡したら大迷惑の嫌がらせです。
「俺に自分で換金しろと?」ベン精肉店の親父さんの怖い顔が目に浮かびますよ!
ちなみに金貨を溶解して金の延べ棒にしたら絶対に損になる様に作られています。
100年ほど前に金の価値が世界的に上がった時に国内の金貨が他国に流出して大変な騒動になってからは世界的に通貨金貨は比重は統一されており銀と銅を混ぜて作る事になってます。
偽金貨の対策は各国で違いがありますけどね。
ピアツェンツェア王国では、金貨の比重は国家の最重要機密になってます。
何でも2g比重が違えば偽金貨との事で特殊な加工がされているとの事です。
もし偽金貨を流通させるなどの違反を犯すと「最悪死刑」が適用されるので、ここ数十年は偽金貨騒動は起きていません。
銀貨も銅貨も一緒ですね、なので国が指定している換金所にて手数料を払い適正な金額で交換した方が断然お得になります。
「悪貨は良貨を駆逐する」ですね。
そこら辺の貨幣の調査や調整は国の財務省のプロフェッショナル達が日夜働いています、お疲れ様です。
って金貨のお勉強している場合では有りません!急がねば!そんな感じでバタバタしてたら銀仮面さんが、「重くて大変でしょうから換金所まで付き合いますよ!」と一緒に来てくれました。
銀仮面さん・・・本当に良い人です。
でも、やっぱり声に聞き覚えが有るんですよね・・・どこだっけな~。
こうして換金所では500万円(相当)の換金を済ませました。
え?全部換金しないのか?、それは金相場を見てですよ。
今日の換金率はイマイチですが生活費なので仕方ありませんわ。
こうした金銀銅の取り引きも貴族の嗜みですわ!オホホホ
今日の500万円(相当)も各所のツケで消える貧乏公爵家ですけどね・・・
本当に出来る事なら民間の市場で安い食材買い漁りたいです・・・
残念ながら貴族はそれが出来ませんけどね。
お抱えの商人に儲けさせる為にツケ払いが貴族家の基本ですわ。
要するにクッソ下らない貴族としての見栄があると言う訳です。
私のこう言う貴族らしくない感性は「シルフェリア」が影響しているのでしょうか?
貴族のそう言う感性はなんか違う気がするんだよなぁ。
「では!また明日お迎えに行きます!」と銀仮面さんと別れ歩きだす。
しばらく歩いて、「ん?」と立ち止まる。
銀仮面さんの歩いて行った方向は王城しか無いじゃん?・・・本当に何者なんでしょうか?
☆
「ホントいい加減にせえよ貴様?!九頭竜王がほとんど出て来てねえじゃねえか!」
「「そうじゃそうじゃ!これは抗議案件じゃ!」」
いや、魔王バルドルはどっちの味方なのだ?!
「少なくとも貴様の味方ではないな?」
「「セリフが少ないじゃろうと思っておったが、まさか一言も無しとは思わなんだ。
寂しいのう・・・」」
そんなでっけぇ身体でションボリしないでくれません?
ちょっと可愛くて罪悪感が半端ないんですが?
でも九頭竜王はセリスと何を喋るつもりなんです?
「「・・・・・・・・・・・・・・・話題が何も無いな?」」
そうでしょう?
千手観音様に並ぶ十一面観音様が我儘言わないで下さい。
「「我等って観音様じゃったの?!」
むしろ今まで自分が何だと思っていたんですか?!
「「・・・・・・・・・・・・・超でっけぇ怪獣??」」
違いますぅ、安産と育児の大神様でもありますぅ。
「「だから大昔から皆んなが寄ってたかって我等の周りで出産したり赤ん坊を見せに来てたの?!」」
そうですよ?我が子の為にってヤツです。
魂の本質が観世音菩薩だから九頭竜王は子供が大好きなんじゃないですか?
ちなみに月の精霊王は九頭竜王から産まれた二面の神ですからね。
「そうなのか?!」
『そうですわよ?わたくしは九頭竜王の娘ですわよ?』
「「そうなの?!」」
『お母様?!元々同じ身体で長い刻を過ごしたのに忘れるなんて酷いですわ?!』
だから十一面の内の二面が月の精霊王になったから九つの顔の九頭竜王になったんですよ?
「そうなのか?!つーか九頭竜王って女だったの?!」
だから十一面観音様だって言ってるでしょうが!(観世音菩薩と同様に性別についての定説は無いが元々はインドの女神様との見方が強い)
そもそも何で、めちゃくちゃ月の精霊王と関係が深い魔王バルドルが知らないんです?!
「古の魔王だからと言って何でもかんでも知ってると思うでないわ!」
「「うむむむ・・・確かに我等は子供は好きじゃが・・・
そうか知らなんだ・・・・・・・よもや昔は観世音菩薩だったとはなぁ・・・
なら今回、縁を結んだセリスにも加護をやるか?」」
そうして貰えると皆んなに喜ばれますね。
そもそもそれが目的でイリスやシルフィーナを始めとした過保護な保護者達が将来セリスが安全に出産が出来る様に今回の仕事をやらせたんですからね。
西の大陸にある九頭竜王の湖の存在なんて20000年以上も前から分かっている事なので本来調査なんて必要無いですから。
以上、セリスが安産の大神様と縁を結んだお話しでした。
「これは儂もビックリの話しじゃったな・・・
まさか今までの物語の伏線が全部繋がっていたとはな・・・
しかしこれでは世界の主神ハルモニア様の存在感が薄れるのではないか?」
『むしろ観世音菩薩様には私に構わず妊婦さんをドンドン助けてドンドンこの世界の神として崇められて下さいって感じです!
この世界の調和(ハーモニー)を維持するだけで忙しい中で更に出産まで司るとか私のキャパが間違いなく破綻します!
九頭竜ちゃん本当にお願いします!』
「お・・・おう?そうなのかい?神様もあれもこれもと色々と大変じゃな。
そう考えると単一神とかマジで仕事がキツ過ぎね?」
『世界の管理の全てを一人でやるとか考えただけでゾッとします。仲間最高です』
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第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
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――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
【完結】暁の荒野
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Nolaノベル様、アルファポリス様にて投稿しております。執筆はNola(エディタツール)です。
Nolaノベル様、カクヨム様、アルファポリス様の順番で投稿しております。
キャラクターイラスト:はちれお様
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別で投稿している「暁の草原」と連動しています。
どちらから読んでいただいても、どちらかだけ読んでいただいても、問題ないように書く予定でおります。読むかどうかはお任せですので、おいて行かれているキャラクターの気持ちを知りたい方はどちらかだけ読んでもらえたらいいかなと思います。
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※「暁の草原」、「暁の荒野」共に残酷描写がございます。ご注意ください。
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この物語はフィクションであり、実在の人物、国、団体等とは関係ありません。
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