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改稿版

大学生になったセリスは幻夢の銀仮面と出逢う。

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皆様、おはよう御座います。

カターニア公爵家令嬢のセリスと申します。
前作では15歳の高校生だったのですが、今作では17歳の大学生へと少し大人の淑女にランクアップしましたわ。

私は現在、大学生生活を送る傍らで「幽霊退治屋」なるお仕事をしております。
9人の弟妹達を育てる為にあいも変わらず日夜奮闘の毎日でございます。

えっ?9人兄弟でなかったのか?ですか?
それじゃ10人兄弟になっちゃうじゃん?ですか?

実はお母様が昨年に、とても可愛いらしい女の子を出産して10人兄弟になりましたのよ♪

周囲からは、お顔や色合いが赤ん坊の頃の私とクリソツだと言われました。
でも私よりお目目がクリクリしててマジめんこいです。

おい?誰だ「まるでセリス様のクローンの様だ」とか言ったヤツ・・・
ソレ全然褒め言葉になってねぇかんな?

ちなみにお名前は海湊龍クローディア様から「クローディア」を頂きましたわ。
海湊龍様と同じく大人しく優しい淑女へと成長してくれる事でしょう。

え?!大人しい子に成長するよね?!(熱いフラグ)
男の子に混ざってターザンをやったり、大人になってから、とぉーっても大きな剣を振り回さないよね?!(激アツなフラグ)

でも本当に双子や三つ子でなくて良かったです・・・

それどころか「これでトドメじゃ」と言わんばかりに四つ子や五つ子が産まれたらどうしようかと戦々恐々しておりましたが可愛い妹で良かったですわ。

うふふふ・・・・・・・・・・・・・・・・本当に良かったよおおお!

そして遂にここで、お母様もこれ以上の出産は危険が危ないとドクターストップが掛かってしまい我等兄弟の増殖は終了、10人兄弟で確定しました。
本当にお疲れ様でした。

正直に言ってお母様がまだ子供を産もうとしてた事に少し戦慄しました。

今後は子供の私達が沢山の孫を作ってカターニア公爵家はこれからも雨後の筍の如くに大量に増殖・・・繁栄して行く事でしょう。

30年前までは後継者が少なくて公爵家存続が困難だと言われていたのが嘘の様ですね。

カターニア公爵家へ嫁入りする前に「身体がとぉーっても丈夫なわたくしなら沢山の子を産めますわ!」と宣言してそれを有言実行したお母様・・・さすがは我が母よ!マジ凄えですわ。

でも「後の事はセリスに任せますわ」と無茶ぶりするの止めて欲しいですわ。

私的には子供は2人ほどが妥当かな?とか思っているのですが?
え?!2人くらいだよね?!まさか息子ばっかり5人も6人も産まないよね?!(激アツなフラグ)

さて、本題へと話しは移りまして実は私の元に不幸の手紙・・・特級呪物・・・冒険者ギルドのギルドマスターのイノセント・クーガー様より「特別指名依頼書」なる物が届きました。

あのクソおや・・・あの御仁は私に毎回毎回、無理難題な依頼を押し付けて来やがりますので嫌いです。
いや~・・・コレ、中身見たくねぇなぁ・・・

ちなみに私はポーター(輸送のお仕事)のアルバイトもしておりますので冒険者登録をしております。
現在のランクはCランクです・・・

「ええ?!いや!なんで戦闘力皆無の私が1人前と言われるCランクなのよ?!」

そうクソ親父(もうクソ親父でいいよ)のイノセント様に尋ねた所、「お前はかなりポーターで功績あるからな、ポーターの功績だけでCランクになったのは、多分お前が初めてじゃねえか?マジ草生える」と大爆笑されて事にムカついて殴ろうとしたら笑いながら人差し指一本で止められましわ!

マジで悔しいぃ!!

しっかし・・・この依頼書マジで見たくないなー・・・いきなりなんだよ?これ。
でも・・・多分報酬が高いんだよね、クソ親父の仕事は無茶ぶりが多いけど報酬だけは破格なんだよね・・・

ええーいママよ!と、内容を読んで速攻で冒険者ギルドへとダッシュで自走した自走セリスさんです。

途中で、はした無くドレスを靡かせて廊下を全力疾走している所をお母様に見つかり、また足を引っ掛けられそうになりましたが「そいやあ!!」「!!!なんと?!かわされた・・・だと?!」と、ジャンプ一発でかわす私!

甘いですわお母様!もうセリスは大学生です、大人になったのですわ!
後から弩級のお説教が待っておりますがそれどころじゃありませんわ!

だって依頼内容は良く理解出来なかったけど報酬が「前金で5000万円(相当)、成功報酬が5000万円(相当)他ボーナス多数有り」との事だもん!

いや!こんなのやるっきゃ無いじゃんか!
だって1億円(相当)だよ?!弟妹達よ!おねいちゃんは頑張るよ!

「ゼェ~ゼェ~ゼェ~・・・よし!・・・失礼致しますわ」
冒険者ギルドに到着して今日は珍しく受付嬢に案内されて静々と公爵令嬢らしく廊下を歩く私です。
ふふふふ・・・誰も10分前迄全力疾走していたとは思うまいて・・・

とか思ってたら応接室に着いた途端にタオルと冷たい水を出されました。
自走セリスはバレバレなのですね?街の名物ですものね?そうですか分かります。

そしてクソ親父の応接室に案内され中に入った私ですが・・・
あの・・・いきなりで、すみませんがもう帰って良いですか?

と言うのも応接室の中にはクソ親父イノセント様と金髪セミロングのメイド姿の女性が居たのですが・・・

そのメイド姿の女性の正体が私の霊視で「上位の天龍さんですよー」と1発で判明しちゃったからです。

おおーいクソ親父ぃ!天龍様と何をせいっちゅうんじゃい?!我らがピアツェンツェア王国の守り神様だぞ!?

「あら?イノセントさんの言う通り本当に優秀な方ですね。
偽装を1発で貫通されて正体を見抜かれたのなんて初めてですよ」
と、その天龍様が微笑みながら私を見たのでメッチャ動揺していた私だが、そこは公爵令嬢なので何とか、「セリス・フォン・カターニアと申します、天龍様」と、もう一回立ち上がってカーテシーで挨拶します。

「これはこれは、ご丁寧にありがとうございます。私は天朱龍ニームと申します」
私の挨拶にお辞儀で挨拶を返してくれた天朱龍のニーム様。

いや~・・・あのもう気絶して良いですか?
天朱龍ニーム様ですかー・・・そうですかー・・・神話の中にも登場されてますよねー。
しかも準主役級で・・・確か、この世界の法の守護神様でしたよねー、

・・・・・・・・・・マジ泣きたいです。

しかし!!!!

「これだけ優秀な方なら報酬は3倍出します」「是非!やらせて頂きます!」

ニーム様の言葉に即答で答える私!そりゃやるよ!だって報酬3億円(相当)だよ?!神様の依頼だろうとやっちゃうよ私!

育ち盛りの弟妹達やカターニアキッズ達は、とにかくお肉を沢山食べるのよ?去年と比べても3倍は食べるのよ?

当然お肉屋のツケも3倍です、マジ生活費が厳しいんです!
最近報酬が倍増したミモザちゃんの依頼の報酬でも足りないくらいに厳しいのです!

おいおい?肉代だけでそんなに高い訳ないじゃん?と思ったアナタ!甘いですわ!

現在カターニアキッズと言われている(誰がそんなあだ名をつけたの?)ガキンチョ共は私達兄弟を含めて16人で一食あたり大体300円(相当)のお肉を消費してます。

16×300×3×30×12=5184000です。
そうです!ガキンチョ共のお肉代だけで年間で500万円(相当)のお金が必要なんです!

これが10年間続くとガキンチョの成長が止まるまで5000万円(相当)のお金が消える訳ですが、多分カターニアキッズはまだまだ増殖します。
この勢いで増殖を続けたら下手すれば10年間で億超えんじゃね?マジで。

これに大人達のお肉代(大人達は、さすがにそんなにお肉は食わんが)が加わりますので油断してたら、あっという間にお肉代だけで破産するのです!

商売上手なベン精肉店・・・恐るべし。

そんな事を考えてたらガッツリと握り拳を作っていたらしくニーム様にクスクスと笑われてしまいました・・・

「考え事は終わったか?よし!契約成立で良いなセリス嬢?早速仕事の内容だ」とクソ親父が笑いながら手招きして来るので仕方ないから優雅に椅子に座り直したらギョッとしました!!!

もう1人、銀色の仮面をかぶった女性が座って居た?!しかも私の正面に?!
私の霊視でも見抜けなかった?

うふふふ、うそーんやだー、この人も絶対に神様クラスじゃないですか~?

白銀の仮面にグレーのローブ姿で顔は判別出来ないけど・・・改めて霊視をして見ると、「んー??この人は地龍さん?かな?違ったらごめん」と霊視の結果が出た。

やっぱり私の霊視って解答がおかしくないかい?なんで自身なさげに疑問形で答えるの?

「今回の依頼でセリス嬢の護衛を務める幻夢の銀仮面だ、仲良くやってくれ」
とクソ親父が紹介すると・・・ 

「幻夢の銀仮面です」と挨拶をしてくれたので「セリス・フォン・カターニアと申します」と挨拶を返したのだが、メッチャ聞き覚えが有る声なんですよね?何処かで会ったかしら?

そんな疑問を考えてたら天朱龍ニーム様が依頼内容の説明をしてくれます。
「依頼内容は九頭竜王の観察です」

ん?あれぇ?聞き間違いかな?九頭竜王って聞こえたけど?
あれでしょ?とぉーっても体が大きくて首が九つある神話にも出て来る天龍王アメデ様の宿敵でメッチャヤバい竜の王様でしょう?

「実は最近、九頭竜王の新しい所在地が偶然発見されまして。
現在は深い眠りについていますので危険はありません。

ですが一応は動向だけ探って見ようと思ったのですが龍気が近づき刺激を与えて目を覚ますと機嫌を損ねる恐れがありますので天龍の方で調査が出来ません」

oh no・・・やっぱりその九頭竜王様ですかー。

「そこでイノセントさんよりセリスさんの霊視の話しを聞きましてお願いして見ようかな?と思いました」

なるほどー?でもこれだけは言わねばなるまい!

「あの・・・私は霊視以外は本当にポンコツですよ?戦闘能力は限りなく0なんですけど?」ちゃんと手を上げて申告しますよ。

出来ない事は出来ないとハッキリと言わないとね!自分の命にも関わるからね!

「それなら大丈夫です、別に戦う訳でありませんから。
次に目を覚ましそうな時期だけ調査して頂けるだけでOKですよ」

ふむ?それくらいなら私の霊視で1発で判明しそうですね?ですがもう一つ、
「私はアカデミー(大学)がありますから3日以上の外泊は出来ません」と更に申告しますよ。

「こちらの幻夢の銀仮面が転移陣を調査地点に仕込み済みです。
転移魔法での移動なので1日の拘束時間はアカデミーの終了から毎日3時間づつ、期間は1週間の調査を予定してます」

「分かりました!やります!」おお?!全部問題クリアじゃん!

「ありがとうございます。調査開始は3日後のアカデミーが終了した時からよろしいですね?」
ニーム様が最終確認をして来たので、「はい!よろしくお願いします!」と答える私。
おねいちゃんは頑張っちゃうよー。

「では前金です」とニーム様は領地の運営資金以外では見たことない金の延べ棒を5000万円(相当)分を差し出して、「えっと追加した不足分は・・・」とニーム様が言い掛けると「あっ、私が立て替えておきますよ」と銀仮面さんがドンドンドンドンと金の延べ棒を1億円(相当)分を机に更に追加して出してきたぁ?!

えっ?これがマジで全部が私の報酬?
マジでヤバくない?机の上が金の延べ棒だらけじゃん?
でもこれも絶対に言わないといけませんわ!

「あの・・・とても運べません」
いや!17歳の公爵令嬢が持てるかい!こんな量の金塊!腰が砕け散るわ!

「あっ!そうですよねぇ、じゃあ私がセリスさんのお家まで運びますよぉ」
と空間魔法が付与されていると思しきショルダーバッグに金塊をあっと言う間に詰め込んでしまった銀仮面さん・・・

いや~やっぱり聞き覚えある声なんだよなー。

「んじゃ、契約書にサインしてくれ」とクソ親父に言われて契約書にサインすると銀仮面さんがお家まで一緒に来て金の延べ棒を輸送するのについて来てくれるとの事ですが・・・

「あの・・・大変言いにくいのですが・・・私は徒歩でここまで来て馬車など無いのです」

くっ・・・恥ずかしいですが言うしかありません!
馬車を使わずに移動する公爵令嬢・・・いや?よく考えたら今更だね。

「いや?セリス嬢は徒歩じゃなく走って来たんだろ?」
ええい!お黙りなさい!クソ親父!恥ずかしいから余計な事を言わないで!

「それは奇遇ですね!実は私も走って来たんですよ!」

・・・銀仮面さんは良い人の様です。
私に気を使って・・・走って移動する、そんな変な人間はあんまりいませんのに。

「はっはっは、コイツの場合は走るってレベルじゃ済まないけどな」
クソ親父がまた何か言ってますが無視です無視!どうせ揶揄ってんだろ?!

まぁ、実際にここ冒険者ギルドから公爵邸まで2kmもないから普通に徒歩で帰れるですけどね・・・でも公爵家としての威厳が・・・

でも銀仮面さんは本当に気にしてない見たい様子で一緒にテフテフと歩いてついて来てくれます。
すみません甲斐性の無い公爵家で。

道中歩きながら銀仮面さんが調査の流れなど依頼の内容を細かく説明して下さいました。
随分と真面目な方のようですわ。
それからの流れでとんでもないお話しを聞いてしまいましたわ!

「ええ?!九頭竜王様と天龍王アメデ様は敵対した事が無いのですか?!」
なんと?!あの有名な戦いの神話が作り話しだったなんて!

「はい!天龍王アメデ様御本人が仰ってましたから間違いないです!

基本的には九頭竜王さんと龍種はお互いに不干渉との事ですね。
あの神話は当時の娯楽用のフィクションの物語だったそうですね。

読書が好きな天龍王アメデ様もその物語を読んで面白かったので特に否定もしなかったらしいです」

そっそんな・・・私達がずっと信じていた天龍教の教えとは?
私がショックを受けたのを見て銀仮面さんは・・・

「信仰で大事なのは作られた真実より自分が大切だと思う事を信じる事だと天龍王アメデ様は仰ってました。
天龍教が2000年間かけて育んだ様々な事は無駄では無いと思います。
何せ天龍教の信者には地龍達も含まれていますからね」

うええ?!地龍様も天龍王アメデ様を崇めてるのですか?
でも・・・それだと、

「神話では天龍王アメデ様と敵対しているとされている地龍王クライルスハイム様が大層お怒りになられるのでは?」

そっ!そんな恐ろしい世紀末破滅的な事想像したくありませんわ!

すると銀仮面さんは「うっ」っと小さく声を上げて・・・
「あ~・・・それは嘘ですよぉ、御両人が戦った事なんてありません。
そこは訂正するべきと進言したのですが、政治的な利用価値があるとの事で却下されてしまいました」
凄くバツが悪そうに答えてくれました。

なっ!ななななんだってーー??!!

「そそそそそれでは?神話の中にある世界の終わり、黙示録戦争とは?」

「あっ、それもう終わりましたよ?」

《うん、終わったよ》

「ふえ????」

えっ?終わった?黙示録戦争が?どう言う事ですの?
それに何で霊視さんが答えるの?

「私達が生まれる少し前に聖典にあった所謂「黙示録戦争」と呼ばれた戦争は人間側の勝利で収束しましたから安心して下さいね。
まだ小競り合いは続いてますが大筋で勝ちました」

えっ?人間が勝ったのですの?

「天龍教と地龍教で黙示録戦争の記録は200年間は伏せられるそうなのでセリスさんも他言無用ですよ?」

「喜んで!!!」

いえ!こんなの他の人に言える訳無いじゃないですか?!
死ぬまでお口チャックですわ!!
これ!絶対に聞いてはダメだったお話しですわ!本当に銀仮面さんって何者なのでしょう?やっぱりお声も間違いなく聞き覚え有りますし・・・

しっかし何で、しがない貧乏公爵令嬢が世界の秘密の中の秘密をドッカンドッカンと知ってしまっているのでしょうか?

誰か助けて下さい。

「では3日後に」
金塊を届けてくれた銀仮面さん見送る私。

有意義にも程がある帰り道を辿り愛しの我が家に帰って来ました。
ホントもう速攻でベッドにダイブして布団を被って現実逃避したいです。

そして勉強机の上に置かれた大量の金塊達を見て・・・

「しまった!金塊なら税金高くなるじゃん!!金貨で貰えば良かった!」
速攻で現実世界へと戻って来たセリスなのでした。
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