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改稿版

セリスちゃんは12歳になり申した。

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「あああーーーー!!もぉおお!あんた達は毎回毎回!本当にもう!」
グワシ、グワシ、グワシ!!「この馬鹿タレ令嬢め!今日はいきなりお股からだ!」
グワシ!!グワシ!!グワシ!!

「ひゃああーんん!ミミリーが今日もマジ容赦無い!」
ここ最近のカターニア公爵家の名物になった「ミミリーちゃんの丸洗い」が発動していた。
今日の餌食は尺の都合上で9~11歳の期間を盛大に省略された12歳セリスだ!

その間は墓場の見廻りやイノセントの執務室の片付けばかりしていて特別書く事が無かったとも言えるが・・・そうそう稼げる仕事は無いのだ

そんなセリスは12歳になった瞬間に速攻で冒険者ギルドにてGランク冒険者登録をして早速、運送業のアルバイトに励んでいた。
何で運送業にこだわるかと言うと12歳のアルバイトで運送業が1番稼げるからだ。

そのバイトを通して、「おや?これって・・・」
ここでセリスが狙ったのは、現在の日本で言う所の「メール便」だ。

実は「手紙を届ける郵便屋さん」はピアツェンツア王国には普通に国営で存在しているのでセリスが運ぶのは手紙では無い。

手紙サイズの手荷物の運送だ。
ウーバーイーツ屋さんの様な大きなリュックを背負い馬車が通れない王都の小道を走って小型の荷物を販売店からお客様の自宅に配達する仕事を始めたのだ。

最初はチャリを使ったのだが、チャリを使用した運送業の安全性が確立していないからと交通局からNGを食らってしまった。

何分にピアツェンツア王都はバリバリの戦城仕様で本通り以外の住宅地はとにかく入り組んだ小道が多いので出会い頭の事故の危険性を交通局は懸念したのだね。

戦城だとなぜ入り組んだ小道が多いかと言うと戦になれば通行し易い本通りに敵を集中させて見通しの悪い住宅地から本通りへとクロスファイヤー攻撃を喰らわせるのだ。

クロスファイヤー攻撃に焦った敵が住宅地に侵入すれば迷路の様な小道で敵を分散させて各個撃破する。
日本でもお城の城下町が有った地域は現在でも入り組んでいるのはコレの名残りなのだ。

この様な理由で迷路の様な小道は馬車での運送が難しく採算が合わずこの手の専門業者が居なかったのだ。

そこを狙って「カターニア軽便運送」なる会社を作ってしまったセリス。

「へ~?こんなやり方で儲かるのか?株式上場で結構金を使ったろ?」
セリスが会社設立申請書を運送業の元締めであるイノセントに提出すると、やや懐疑的な反応が返って来た。

「う~ん・・・実は私もまだ懐疑的なんだよね、新しい試みだからね。
そんでカターニア公爵家で株式会社を設立しないと貴族院から運送業の開業許可が降りなかったのよね」

これは公平性の観点からである。
ピアツェンツェア王国の貴族が様々な事業を起こす時は必ずその都度、事業毎に個別で株式会社を起こす物なのだ。

貴族家運営の総合商社にもなると会社設立の審査がそれはもうゲロヤバいレベルで厳しい、総合商社は外国との貿易も絡んで来るので当然なのだが。

なのでその都度、事業毎に個別で会社を起こした方が楽なのだ。

「カターニア公爵家だけ特別扱いは出来ませんって貴族院から言われた」ブスーと不貞腐れるセリス。

不貞腐れている理由は株式の上場資本金1500万円(相当)を国の運営する証券取引所に入金しないとダメだったからだ。
これを現在の日本に当て嵌めると・・・30~50人規模の株式会社ですね。

勿論、資本金の安い有限会社の様な制度もあるが、それはあくまでも庶民が対象で貴族は株式会社での事業展開が義務付けられている。
名誉を重んじる貴族が株式会社を起さずに何とする!と言う見栄の話しだ。

それにお互いの所有する会社の持ち株の譲渡し合うのは社交界で使える交流方法として確立されている。

そんな感じに始めた「カターニア軽便運送」だったが、これが大当たりだった。

セリスの狙い通りにやはり住宅地専門の運送業者が居なかったのは、王都市民には不便だったのだ。

王都3か所に作った事業所にはもう放っておいても仕事が来るは来るはで・・・
最初期は15人の人夫さんと6人の事務員さんを雇ってのスタートだったのが3ヶ月で正規の配達員が63人体制となっていた。

そしてここで資本金1500万円(相当)の人数制限の壁にぶつかる!
これ以上の正規従業員は増やせない。
増やすには株券を増やして更なる資本資金を投資せねばならぬ!

「うがあああ!!おのれぇ貴族院ーーー!!」憤るセリスだが、仕方ないのである。
資本主義は貧富の格差が多いと良く言われているが大企業や金持ちこそが割高で多額の税金を国に払っているのだ。

正規社員の手だけでは足りなくて時給制でアルバイトを雇うがまだ足りずセリスとフェナがアルバイトに駆り出される事態になったのだ。

ちなみにカターニア軽便運送の社長はカターニア公爵でセリスは何の役職も持っていない。
ってそんなの当たり前だね、12歳児に何をやらせるつもりだ?と言われるだけである。

「ダイエットにもなってお金も貰える素晴らしいアルバイトです!」
そう言いながらフェナは今日もリュックを背負い王都の下町を走っている。

「そ・・・そう?それは何よりね?」釣られてセリスも走る!公爵令嬢なのにリュックを背負いって。

後ろに纏めた金色の髪を揺らしながら走るセリスの姿は王都名物となるほどにセリスは王都の中をを走りまくった。
ここに「自走型セリス」が誕生したのだ。

しかし・・・そうなるとどうなる?

そりゃ当然、汗だくセリス&汗だくフェナの出来上がりだ!
汗が乾いて服に塩の結晶が付着してキラキラと光っている始末なのだ。

めっちゃ汗臭い年若い令嬢に女性専属護衛騎士・・・色々と完全にアウトである。
いや・・・多少はヤベェ趣向を持つ変態さんには需要があるかも知れんが間違いなくアウトである。

「公爵令嬢と護衛騎士が毎日毎日汗臭くなって!いい加減にしろー!!」

今日もアンポンタン共の丸洗いを開始するミミリー。
グワシ!グワシ!とセリスをタオルで擦る!しかし力任せにただ擦る訳では無いのだ。
ご令嬢の玉のお肌を傷付けないよう繊細な力加減と効率良く擦るテクニックが必要となる。

ぶっちゃけるとミミリーのグワシ!はやられた方はヤベェ領域で気持ち良いのだ!
何だか凄くいけない気分になるのだ!

「あっはぁーん!」

「やかましい!フェナ見たいな艶々な声を上げるな!私にそっちの趣味は無いわ!」

グワシ!グワシ!
「大体からして早く人を雇いなさいよね?」

「うっふぅ~ーん!最近は競合企業が増えてぇ~ん!人はぁーん、集まらないのよぉ~んん!!」

グワシ!グワシシシシシシ!!!
「んで?何で特許を取らなかったのよ?!」

グワシーーーーーー!!!!

「!!!・・3・・・3333・・・・?!?!うんんん・・・」

「?お嬢様?お嬢様ーーーーー?!
見るとセリスは昇天していた・・・ミミリー恐るべし! 

そう言えばフェナは?・・・見ると別のメイドさんに既に昇天させれていた・・・
公爵家のメイドさん達恐るべし!フェナを撃沈させて良い笑顔で汗を拭う姿が美しいぞ!

ミミリーの「何で軽便運送の特許を取らなかったのよ?」の質問に答える前にセリスが昇天してしまったので我が代わりに答えよう。

セリスはわざと特許を取らなかった。

理由は「競合相手が居ない業種はいつか必ず衰退する」これに尽きる。
過剰な飽和状態も困るが、独占状態もよろしく無いのだ
セリス的には今の競合企業が増えた状態は望む所なのだ。
王都内での利益は落ちて行くだろうが元々全国展開をする予定なのでさほどの問題は無い。

その中で「この業種の第一号企業」の金看板は光り輝くのだ!
セリスは10年後、20年後を見据えているのだ!流石はお婆ちゃん令嬢。

ミミリーの丸洗いはこの先も続く事だろう。

「お前のポーター(運搬)の功績がマジでヤベェわ、今日からEランクに格上げな」
我らがポンコツ令嬢はイノセントに笑われるくらいに頑張ったのだ。

「ほう!Eランクと言えば「採取」も出来ますな?!」

「セリスが15歳になればな」

「むう・・・」
勢いで「採取」の許可も取ろうとしたが、やっぱりダメだった。

この「採取」で出来る仕事は森に自生している薬草取りから「鉄鉱」の採掘まで範囲が広いのでセリスは「炭鉱」に手を出そうと考えている。

「カターニア公爵がやれば良いだけじゃね?」

「・・・お父様がやると儲け分以上のお金が福祉事業へと消えます。
2年で破綻する未来しか見えません」

「セリスも大変だな。まぁ、後3年待てば成人だ。
今の内にのんびり色々と準備すれば良いのさ」

「分かったわ」

イノセントの言う通り炭鉱の前に「カターニア軽便運送」の株を増やす事が先決だ。
焦らず地道に行く事にしたセリス。

そうなると問題は・・・

「ミミリーの「グワシグワシ」を何とかせにゃなりません」

「メイドさんの「グワシグワシ」もマジヤバな領域に達して来ました」

磨かれてプルプルピッカリーンのセリスとフェナの緊急会議だ。
いや洗ってもらって文句言うなよ・・・

「一回ミミリーを私達で洗ってヤバさを体験してもらうとか?

「あっそれ良さそうですね」

そんな訳でセリスとフェナはミミリーを洗う事にした。

「えっ?私を洗ってくれるの?良いよ」
意外な事にかなりの抵抗が予想されたミミリーはアッサリと洗われる事になった。

しかし・・・これが新たな地獄の入り口だと知らない2人だった。

「こら!フェナ!力を入れ過ぎ!もっと滑る様に滑らかに!」

「ふぁい!」

「お嬢様!髪は手で包む様にシャンプーをすり込む様に!」

「はあい!」

「最高のファッションヘルスへの道」2人はこの道の奥深さを完全に甘く見ていた・・・

覚えなければならないボディシャンプーの種類は50種類以上、タオルやブラシの種類は120種類に及んだ。

ミミリーとメイドさん達は常日頃からお互いを洗いっこして技術を習得していたのだ。

「お嬢様!これ残業です。残業申請させてください!」
洗濯メイドさんを洗濯しているフェナ。

「そこはそうじゃない!21番のブラシを使う!」

「ふぁい!」ミミリーに体洗いの技術を叩き込まれて涙目のフェナ。

「そうだね!ごめん!」
セリスは椅子に座りメイドさんからボディシャンプーの効果の講義を受けて一生懸命にノートに書き写している。
講義と実技の授業は日に10時間に及ぶ。

「え~ん、これ絶対に事業へと活かしてやるー!!」涙目でそう誓うセリスだった。

こうして半年後に裕福な商会の女性向けに「カターニア・ファッションヘルスセンター」の開業が決定したのだった。

12歳のセリスはとにかく仕事ばかりしていましたとさ。
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