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疑惑
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いつもの夕暮れ。
いつもの帰り道。
いつもの様に橋を渡る時にちらりと土手の方を見やる。
「うわ、今日もいる。」
見ると、川より土手側の河川敷で幾人かの子供達とワイワイ楽しそうに何かをやってる。
前回の動画の撮影の子達が高校生位なら、今回は小学生の高学年から中学生だろうか。
近くに自転車が何台も停められて、おっさんと子供達が何かを囲んでいた。
まぁ、今更何をされていても驚かないけど。
紙芝居だろうが、動画の撮影だろうが…と思っていると輪の中心からモクモクと煙が上がっていた。
「まさか…」と思い、橋を引き返し、土手から煙の方へ向かってみる。
すると、後方からピピピー、ピーッピピーッと笛の声が聞こえ、凄い勢いで自転車に乗った誰かが人の集まる方へ駆けつけた。
「いや、ちゃうねん。書いてないやん!」
「いや、書いてなくてもね。この場所は火気厳禁なのよ。」
「そんなん、初めて聞いたわ!夏場に花火とかしてる奴に注意とかしてないやん!」
「もちろん、目についたらその都度、注意してるからね。でもね、そもそも…」
「おかしいやん、ほんなら今日俺が注意されたけど明日花火してるカップルは注意されへん可能性があるやん!平等じゃないよね!?あっ、もちろんその辺は改善していってくれてるんやんな!?どういう改善案なんか詳しく聞かせて欲しいな~。なっ、勿論市民からの質問なんやから話を反らすなんて事ないよね!?」
「伝説の○師か!何してるんですか?」
子供の前で、言い合いをしてる2人の間を割って入る。
「そのドラマ、懐かしっ!兄ちゃん良いところきたわ!助けてや!」
「むしろ、助けて欲しそうなのはこちらの方だと思うんですけどね。」
やっと話が分かる人がきたか、と安心した様子の警察官が口を開く。
「この人のお知り合い。」
「えぇ、まぁ…やっぱり、ここって火気厳禁なんですかね?」
「そうなんだよね…それでね、そこ。」
警察官の指差す方を向いてみると、似たようなグループがワイワイしてるのを見掛ける。
「そこに、バーベキュー出来る場所があるから移動してね?ここではしないように。」
そういうと警察官は安心したように自転車に乗り、去っていった。
「いやぁ、良かったわ。ほんなら移動しようか!?」
「全部、てめぇが騒がなかったら済んだ話じゃねぇか!」
「グブェ!!」
ラリアットがおっさんの喉に食い込んだ。
*
「美味しい~!」
「旨いやろ!」白い物体に茶色いモノを挟んでいく。
「初めて食べた~、甘いね~」
「火傷すんなよ?熱いからな?」
「いや、肉じゃなくてスモアじゃねぇか!」
焼いたマシュマロにクッキーを挟んだバーベキュー料理だった。
「当たり前やんけ、晩飯前に肉食わせる奴がどこにおんねん。」
「そういう気遣いは出来るんですね…」
でも、まぁ…
ニコニコと笑う子供達の顔を見回す。
基本、悪い人では無いんだよなぁ…
そういえば…と。
「あの~…」
「なんやねん、マシュマロは柔らかい内に挟まなあかんねん。」
「淡水でしか生きられないのは何でなんですか?」
手を止めるおっさん。
「その話か…」
「調べたんですけど、コペンハーゲンの人魚像も、福井の人魚像も海の近くだった気が…」
炭火を焚き火の様に見つめながらC.Wニコルのような表情でおっさんが呟く。
その表情がどうしようもなく真剣だったから、催促出来なくなっていた。
「そのうち。な…」
いつもの帰り道。
いつもの様に橋を渡る時にちらりと土手の方を見やる。
「うわ、今日もいる。」
見ると、川より土手側の河川敷で幾人かの子供達とワイワイ楽しそうに何かをやってる。
前回の動画の撮影の子達が高校生位なら、今回は小学生の高学年から中学生だろうか。
近くに自転車が何台も停められて、おっさんと子供達が何かを囲んでいた。
まぁ、今更何をされていても驚かないけど。
紙芝居だろうが、動画の撮影だろうが…と思っていると輪の中心からモクモクと煙が上がっていた。
「まさか…」と思い、橋を引き返し、土手から煙の方へ向かってみる。
すると、後方からピピピー、ピーッピピーッと笛の声が聞こえ、凄い勢いで自転車に乗った誰かが人の集まる方へ駆けつけた。
「いや、ちゃうねん。書いてないやん!」
「いや、書いてなくてもね。この場所は火気厳禁なのよ。」
「そんなん、初めて聞いたわ!夏場に花火とかしてる奴に注意とかしてないやん!」
「もちろん、目についたらその都度、注意してるからね。でもね、そもそも…」
「おかしいやん、ほんなら今日俺が注意されたけど明日花火してるカップルは注意されへん可能性があるやん!平等じゃないよね!?あっ、もちろんその辺は改善していってくれてるんやんな!?どういう改善案なんか詳しく聞かせて欲しいな~。なっ、勿論市民からの質問なんやから話を反らすなんて事ないよね!?」
「伝説の○師か!何してるんですか?」
子供の前で、言い合いをしてる2人の間を割って入る。
「そのドラマ、懐かしっ!兄ちゃん良いところきたわ!助けてや!」
「むしろ、助けて欲しそうなのはこちらの方だと思うんですけどね。」
やっと話が分かる人がきたか、と安心した様子の警察官が口を開く。
「この人のお知り合い。」
「えぇ、まぁ…やっぱり、ここって火気厳禁なんですかね?」
「そうなんだよね…それでね、そこ。」
警察官の指差す方を向いてみると、似たようなグループがワイワイしてるのを見掛ける。
「そこに、バーベキュー出来る場所があるから移動してね?ここではしないように。」
そういうと警察官は安心したように自転車に乗り、去っていった。
「いやぁ、良かったわ。ほんなら移動しようか!?」
「全部、てめぇが騒がなかったら済んだ話じゃねぇか!」
「グブェ!!」
ラリアットがおっさんの喉に食い込んだ。
*
「美味しい~!」
「旨いやろ!」白い物体に茶色いモノを挟んでいく。
「初めて食べた~、甘いね~」
「火傷すんなよ?熱いからな?」
「いや、肉じゃなくてスモアじゃねぇか!」
焼いたマシュマロにクッキーを挟んだバーベキュー料理だった。
「当たり前やんけ、晩飯前に肉食わせる奴がどこにおんねん。」
「そういう気遣いは出来るんですね…」
でも、まぁ…
ニコニコと笑う子供達の顔を見回す。
基本、悪い人では無いんだよなぁ…
そういえば…と。
「あの~…」
「なんやねん、マシュマロは柔らかい内に挟まなあかんねん。」
「淡水でしか生きられないのは何でなんですか?」
手を止めるおっさん。
「その話か…」
「調べたんですけど、コペンハーゲンの人魚像も、福井の人魚像も海の近くだった気が…」
炭火を焚き火の様に見つめながらC.Wニコルのような表情でおっさんが呟く。
その表情がどうしようもなく真剣だったから、催促出来なくなっていた。
「そのうち。な…」
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