上 下
141 / 171
第二部 家庭編

任務完了報告

しおりを挟む

 それから一週間作業を続けた。サンドワームはもう見つからないかなぁ。

「おおよそ砂ミミズの駆除は出来たのではありますまいか? ネロ様」
「うん、サラ、どうだ? いなさそうか?」

「うん、臭いもしないし。大丈夫じゃないか?」
「よし、もし出てきたらコレを撒いて対処してもらおう」


 サンドワーム用の駆除水を作ってみた。聖水を薄めたものだが、コレが効果があった。とりあえず魔術ギルドに100本ほど置いてきた。

「ネロ、ありがとう。本当によくやってくれた。報酬は冒険者ギルド経由で支払われるからそちらで受け取ってくれ」
「わかりました」

 
「うちらは一足先に王都に帰ってて良いかニャ? あそこ行きたくないニャ」
「そうだな、報酬受け取るだけだから俺一人でいいよ」
「妾は共に参ります!」

 冒険者ギルドは大騒ぎだった。なんの騒ぎだ? 受付に聞いてみる。

「Sランクパーティー『クロノス』のメンバーが任務中に失踪してしまって‥‥‥。何かご存知ありませんか?」

 Sランクパーティーのクロノス‥‥‥? 
 知らないなぁ、元々冒険者情報とか詳しく無いんだけど。
 しかし、任務中に失踪なんて何が起きているんだ? 
 任務放棄したなら無責任にも程がある。冒険者の風上にも置けないな。

「すみません、わかりませんね」
「そうですか、こちらが報酬になります。今後もよろしくお願いします」


「待ってくれ!」
 帰ろうとしたら、呼び止められた。
「私はここの責任者のオーガストです。ネロさん、Sランクパーティー『クロノス』の行方、わかりませんか? 同じくサンドワームの討伐をしてたパーティーなんですが‥‥‥」
 
 何かと思えば、同じ質問じゃないか。
 知らないっつーの。
「さっきも言ったけど、知りませんね」
「この間、猫獣人の冒険者と揉めていた奴らなんですけど‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥ん?」
「猫獣人の冒険者‥‥‥、あなたの仲間では無いのですか?」

 ローズとサラの事ですか? 仲間ですけど。
 この間、揉めてた‥‥‥? 
 まさか‥‥‥

「ネロ様、もしやこの間の三人では?」
「‥‥‥‥‥‥かなぁ?」
 亜空間から三人を出す。運悪く頭から落ちてきた。まぁ、頑丈そうだから平気だろ‥‥‥。

「!!!!!!!! サイラス! お前ら、どこから!?」
 
 亜空間送りにした冒険者がクロノスのメンバーだったのかぁ、すっかり何日も忘れてたよ。


「「「ネロ様!!!! 申し訳ございませんでした!!!!」」」
 三人は綺麗に土下座した。

 ん? いや、謝るならギルマスの方に。アンタら任務放棄したんだから。半分くらい俺のせいだけど。

「俺たちが間違っておりました」
「私達、心を入れ替えてやり直します」
「どうかご容赦を‥‥‥」

「ネロさん、コレはどういう‥‥‥」
 ギルマスからの当然の質問に

「俺たちが悪いんです!!」
「すべての責任は私達が‥‥‥!」
「‥‥‥‥‥‥」
 三人はギルマスの方に向き直り、土下座。

「‥‥‥‥‥‥?」
 ギルマスは声も出なかった。俺と三人を交互に見ては首を傾げていた。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

【完結】天下無敵の公爵令嬢は、おせっかいが大好きです

ノデミチ
ファンタジー
ある女医が、天寿を全うした。 女神に頼まれ、知識のみ持って転生。公爵令嬢として生を受ける。父は王国元帥、母は元宮廷魔術師。 前世の知識と父譲りの剣技体力、母譲りの魔法魔力。権力もあって、好き勝手生きられるのに、おせっかいが大好き。幼馴染の二人を巻き込んで、突っ走る! そんな変わった公爵令嬢の物語。 アルファポリスOnly 2019/4/21 完結しました。 沢山のお気に入り、本当に感謝します。 7月より連載中に戻し、拾異伝スタートします。 2021年9月。 ファンタジー小説大賞投票御礼として外伝スタート。主要キャラから見たリスティア達を描いてます。 10月、再び完結に戻します。 御声援御愛読ありがとうございました。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

美少女に転生して料理して生きてくことになりました。

ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。 飲めないお酒を飲んでぶったおれた。 気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。 その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった

辺境貴族の転生忍者は今日もひっそり暮らします。

空地大乃
ファンタジー
※3巻の発売が決まりました詳細は近況ボードを見ていただけると幸いです。 かつて最強の名を恣にしていた忍者は気がついた時、魔法が当たり前に存在する異世界に転生していた。しかし転生した直後彼は魔力0とされ失格者の烙印を押されてしまう。だが彼は気がついていた。この世界でも日ノ本で鍛え上げた忍法が使えることに。そしてこの世界の魔法は忍法と比べ明らかに弱々しい代物であることに。そう転生した異世界で彼の忍法はあまりに強すぎたのだった。魔法が当然の異世界で魔力なしの落ちこぼれとされた彼の忍法が炸裂!忍術が冴え渡り馬鹿にしてくる連中を一網打尽!魔法?関係ないね、そんなことより忍法だ!今天才忍者と称された彼の第二の人生の幕が異世界で開かれるのだった―― ※アルファポリス様にて書籍化が決定いたしました!春頃に刊行予定です。応援いただいてくれた皆様本当にありがとうございます! ※書籍化にともないタイトルを変更いたしました。 旧題:最強の忍者が転生したのは魔法が全ての異世界だった~俺の忍法が強すぎて魔法じゃ全く相手にならないわけだが~

婚約破棄系悪役令嬢に転生したので、保身に走りました。

灯乃
ファンタジー
タイトルのまま。 短編の評判が思いのほかよかったので、つい続きを……(壁)。 原作ヒロインは、第一話でログアウト。 王子さまの愛が若干重めとなっておりますので、苦手な方はバックプリーズ。 ※ アルファポリスさまから、書籍化していただけることになりました。それに伴い、『保身に走りました。』部分をウォルター視点で書き直したものに置き換えています。

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜

ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました 誠に申し訳ございません。 —————————————————   前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。 名前は山梨 花。 他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。 動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、 転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、 休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。 それは物心ついた時から生涯を終えるまで。 このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。 ————————————————— 最後まで読んでくださりありがとうございました!!  

処理中です...