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第二部 家庭編
ペイキンのギルドマスター
しおりを挟む俺はオーガスト。千年帝国チーナの帝都ペイキンの冒険者ギルドマスターだ。
このところ、サンドワームが帝都付近で発生している。
そのせいで国防大臣から冒険者ギルドと魔術ギルドに討伐命令が下った。
もちろん帝国府の方でも動いているようだが、こちらも冒険者達に討伐依頼を出さねばならない。
サンドワームは獰猛でヒトを襲う。更に土地の水分を奪う本当に厄介極まるモンスターだ。
全く魔術ギルドと共闘とは面倒な話だ。いつもあの亜人のギルマスはアレやこれやと口うるさい。今回の件で立場をわからせてやるとするか。
冒険者ギルドに居る最適なメンバーは‥‥‥やはりSランクのサイラスのパーティーだな。剣の腕は一流、魔法だって四属性持ちのテトラマジシャンでもある。素行は少し問題あるが、実力は問題無い。
早速呼び出す、が女を囲って昼間っからやりたい放題してるので遅くなりそうだな。
魔術ギルドのクリスの推薦は‥‥‥ネロ? なんだコイツ? なになに、隣のヤーパンの冒険者? そんな遠くから呼んでどうするんだ?
そしてSランク!? 本当かよ。あんな小さい国にSランク?
しばらくしてサイラスと仲間たちがやって来た。昼間っから呑んでいるから酒臭い。
「ギルマス~、指名依頼だって? 俺達を指名するなんざ随分と困ってんのか?」
「あぁ、その通りだ。サンドワームが大量発生してしまってな‥‥‥、お前達に頼るしか無さそうなんだ」
「ヒャハハ! 砂ミミズなんぞ敵じゃねぇぜ。大船に乗ったつもりでいてくれ! ヒャハハ!」
ーーしばらくしてーー
ギルドの一階の酒場が騒がしい。何事だ?
サイラスの奴、また新人冒険者にでも絡んでいるのか? 全く困った奴だ。
どうやら、猫獣人の冒険者二人に絡んでいるみたいだな。見覚えが無いな、やはり新人か‥‥‥
「お前らみたいな新人を可愛がってやるって言ってんだよ」
「うちらだってSランクパーティーニャ! バカにするニャ!」
「あん? お前らもSランク? 嘘ついてんじゃねーよ! お前らはいいとこBランクだろ!?」
「ちきしょう、こいつら‥‥‥」
Sランク? サイラス達以外にいたか?
いや、この国にはあと一人しかいないはずだ。
そう言えばさっきの誰だっけ? んーと、そうだ! ネロって冒険者の仲間か?
おっと、これ以上の騒ぎはマズイ。
止めに入ろうか。
「旦那! こいつら黙らせてくれよ!」
猫獣人の一人がそう叫んだ途端、意識が飛んだ。
目が覚めたが‥‥‥‥‥‥
何が起きたのかわからん。
受付嬢によると、サイラスのパーティーと俺が急に倒れたそうだ。
何が有った? 後方から来た黒髪の冒険者が何か動いたようにも見えたが‥‥‥。
「‥‥‥あのクソ猫どもがぁーーー!!!! 舐めたマネしやがってぇーー!!!!」
「あの黒い男に不意打ちされたみたいねっ! やってくれるわ‥‥‥許さない‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥殺す」
あーあ、サイラス達キレてるよ。こうなるとどうやって止めようかな。
ギルドの外で何かする分には、ギルド不介入だし‥‥‥
何者か知らないけど、ご愁傷様‥‥‥
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