上 下
129 / 171
第二部 家庭編

調査依頼

しおりを挟む

それから数ヶ月‥‥‥

「Sランク冒険者 ネロ殿はご在宅ですか⁉︎」
「はい、私ですが‥‥‥」

「私は冒険者ギルドのジーンと申します。指名依頼が入っております。ギルドまで御足労いただけますか?」
「わかりました、行きましょう」

「わたしの事、覚えてますか?」
「えーと、結婚式前夜に声を掛けてくれた方ですよね?」

「!!!! そ、そうです! 覚えていてくれましたか! ありがとうございます!」
「いえ、こちらこそ。あの時、声を掛けてくれなかったら一人ご飯でしたから‥‥‥」

「奥様に代わり、今後は私が専属で対応させていただきますので、宜しくお願いします」
「わかりました。こちらこそ宜しくお願いします」



「よく来てくれた。ネロ。子供が産まれたって?」
「ご無沙汰してます、ギルマス。指名依頼って断れないやつですよね?」

「どうしてもの場合以外は、基本な。辺境で魔の森が発見されて、そこの調査をしてもらいたい」

 魔の森‥‥‥  こっちの世界では数多くある未開拓地域で見つかる強いモンスターの住処になっているであろう森の事だ。

「わかりました、報酬は相場で‥‥‥」
「ありがたい、宜しく頼む」


「今回こそ絶対行きますゆえ。ネロ様の側を離れませぬ!」
 ヨウコちゃんの決意表明。まぁ前回の事があるので、連れて行くか。

「我はいつでも呼んでいただければ」
 リヴィアは留守番希望だ。まぁこう言ってくれてるから、必要な時は召喚しよう。

「ウチはもちろん行くニャ」
「あちしも。森だと索敵が必要だろ?」
 ローズ、サラはいつも通りだ。

「じゃあ今回は四人で行こうか」

 辺境伯領の端に見つかったという今回調査する魔の森。辺境伯領中心からは、かなり離れている。

 とりあえず辺境伯領まではミストドアで移動。
 これだけでかなりの日数が浮いている。

 で、その端っこの森までは、この間作った雲でひとっ飛び移動だ。

「ニャー! 速いニャー!!」
「こりゃご機嫌だぜ!!」
「ネロ様!! またかような移動を!!  いやぁあああーーーー!!!!」

 猫二人はご機嫌、ヨウコちゃんはご機嫌斜めになってしまった。




「ここが魔の森か‥‥‥。サラはなんか感じるか?」
「やべぇ臭いと気配がガンガンするよ‥‥‥」


 ミストドアを最大限展開。ただ森は遮蔽物が多く、イマイチ分かりにくい部分が出てくる。

 ヨウコちゃんにも警戒を頼む。
 実はヨウコちゃん、この世界でも屈指の魔法使いだそうだ。使えるのは全属性。魔力もかなり高い。俺程では無いけれど。

「10時の方向! メタルリザードが三頭!!」
「妾に任せよ。『サンダーIII』!!」

バリバリッガガーーン!!!!

 大轟音と共に雷の束が降り注ぐ。
 メタルリザードは残らず光の粒子になっていく。オーバーキルじゃないか?

「やり過ぎじゃ無いか? 魔力も節約していかないと‥‥‥」
「ネロ様のお側に居れば、魔力切れなど有り得ませぬ」
「それもそうか‥‥‥」

 ドロップ品はメタルリザードの皮だった。並の武器では傷もつかないなかなかの素材だ。うちのパーティーでは要らないかな。
 一応、拾っておくか。
 

「! 旦那、誰か来るぜ!」
「この形は‥‥‥、人か?」


「なんだ、キサマらは? 何者だ?」

 聞いた事があるな‥‥‥、森の中で女性だけで社会を形成している種族、地球で言うところの『アマゾネス』みたいな種族がいるって。

「ここから先は我々の支配している領域だ。許可なくうろつくな。村に来るなら歓迎する、がこの中に男はいないだろうな?」

あ、そういえばそういう種族だったよね~。
どうしよう?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~

なか
恋愛
 私は本日、貴方と離婚します。  愛するのは、終わりだ。    ◇◇◇  アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。  初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。  しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。  それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。  この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。   レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。    全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。  彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……  この物語は、彼女の決意から三年が経ち。  離婚する日から始まっていく  戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。  ◇◇◇  設定は甘めです。  読んでくださると嬉しいです。

【完結】義妹に婚約者を取られてしまい、婚約を解消することに……傷心の私はお母様の国に亡命することに致します。二度と戻りませんので悪しからず。

つくも茄子
恋愛
公爵令嬢のマリアンヌは婚約者である王太子殿下から婚約解消を言い渡されてしまった。 マリアンヌの義妹リリーと恋仲になったせいで。 父と再婚した義母の連れ子であるリリーは、公爵家の養女でもある。つまり、実子並みの権利を持っているのだ。そのため、王家と公爵家との縁組を考えればどちらの令嬢と結婚しても同じこと。 元婚約者がいては何かと都合が悪いからと、マリアンヌは自ら母国を去る。行先は、亡き実母の祖国。祖父や伯父たちはマリアンヌの移住を喜んで受け入れる。 彼女を皇女に!と思うも、本人に拒否されてしまい、仕方なく「女公爵」に。 マリアンヌとしては小国の公爵令嬢が、大国の皇女殿下になる訳にはいかなかった。優しい伯父たち(大国の王族)のため、「女公爵」として、新しい母国のために奮闘してゆく。王太子妃としての教育がこのような形で活かされていく。 一方、元婚約者の王太子殿下には暗雲が立ち込めていた。 彼は王太子位を剥奪され一介の王子になっていたのだ。妻のリリーは、妃として落第点を押される程の不出来さ。 リリーは高位貴族の教育さえ受けていなかったことを元婚約者は知らなかったよう。彼女の母親は下位貴族出身。当然、その娘であるリリーも下位貴族の教育しか受けていない。 内政も外交も上手くいかない。 経済さえも危うくなってきた。 彼らの未来はどうなるのか??? 他サイトにも公開中。

【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!

つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。 他サイトにも公開中。

【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします

ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに 11年後、もう一人 聖女認定された。 王子は同じ聖女なら美人がいいと 元の聖女を偽物として追放した。 後に二人に天罰が降る。 これが この体に入る前の世界で読んだ Web小説の本編。 だけど、読者からの激しいクレームに遭い 救済続編が書かれた。 その激しいクレームを入れた 読者の一人が私だった。 異世界の追放予定の聖女の中に 入り込んだ私は小説の知識を 活用して対策をした。 大人しく追放なんてさせない! * 作り話です。 * 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。 * 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。 * 掲載は3日に一度。

【完結】私が貴方の元を去ったわけ

なか
恋愛
「貴方を……愛しておりました」  国の英雄であるレイクス。  彼の妻––リディアは、そんな言葉を残して去っていく。  離婚届けと、別れを告げる書置きを残された中。  妻であった彼女が突然去っていった理由を……   レイクスは、大きな後悔と、恥ずべき自らの行為を知っていく事となる。      ◇◇◇  プロローグ、エピローグを入れて全13話  完結まで執筆済みです。    久しぶりのショートショート。  懺悔をテーマに書いた作品です。  もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

処理中です...