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第二部 家庭編
妊娠したので
しおりを挟む「アハハッ、それは旦那が悪いぜ。女からすれば、不安になるもんだよ」
「そうニャ。ネロ、ヘタレニャ~」
「うるさいなぁ」
「あちしたちも子供は欲しいんだぜ。ヒューマンと獣人だと出来にくいんだけどな」
「ニャ~、頑張るしかないニャ~? ネロ?」
「いやいや、今昼間だから! 待って待って!」
「シャルはローテーションから外さなきゃね~」
マリアの一言にシャルが振り返る。
「! 出来るわよ!‥‥‥気をつければ‥‥‥」
「ダメですよ、シャルちゃん。妊娠初期が一番大事なんですから」
「そうよ、シャル。ネロの事は私たちに任せなさいって」
と、言ってシャルの肩に手を乗せたマリア。なんかニヤニヤしてないか?
「うぅぅ~、なんだか勝ったのに負けた気分‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
妊娠に勝ち負けがあるのかはわからないが、とりあえず俺は黙っておいた。
沈黙は金。
「そうだ! ローズとサラ。貴女たちはしばらく妊娠しないでね?」
シャルの発言に場が凍りつく‥‥‥。
どうした、シャルさん?
貴女そんな事言う子じゃなかったでしょ? そんな差別発言みたいな‥‥‥。
「だって‥‥‥」
ゴクッ! 一同が次の言葉を待っている‥‥‥
「貴女たちの子供なんて可愛すぎるに決まってるわ! 子育てに集中出来なくなっちゃうじゃない!!」
違いました、ハイ。
もふもふ大好きっ子ですものね。
場の空気が緩んだ。
「安心するニャ、シャル。さっき言った通り、ネロとウチらじゃ妊娠し難いニャ」
「そうそう、あまり出来ないから」
「うー‥‥‥。お願いよ?」
うん、シャルって本当に猫が好きなんだなぁ‥‥‥。
「奥方様が妊娠!! それは実にめでたい!!」
「そうか? シャルの態度が最近厳しくて‥‥‥。悪阻も酷いようだし‥‥‥」
「ヒューマンの妊娠はそんなものだと聞いた事があります。マタニティグリーンとかなんとか」
「ブルーだろ、それは‥‥‥。産後になるって聞いた事はあるけど、妊娠中もなるのかなぁ?」
少し環境の変わった家に、居づらくなった俺は、ミストドアでリヴィアのところに行き、相談をしていた。リヴィアは母親なので何か教えてくれると思ったのだ。
「我は水竜故、そういった体調不良の経験はございませぬが、さぞ辛いものでありましょうなぁ。気遣ってあげてくだされ」
「そうだよなぁ‥‥‥、気遣ってあげないとなぁ」
「そういえば、その悪阻とかマタニティなんとかにはアレが効くって言ってたかもしれません」
「アレとは?」
「名前は失念してしまいましたが‥‥‥、酸味のある果実だったような」
「それだ! それを取りに行こう!」
前世でも妊娠すると酸っぱいものが食べたくなるって聞いたことあるし、こっちにはなんか不思議果物があるのかも!
よし! 善は急げだ。
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