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冒険者 編
家を買う
しおりを挟むプロポーズは大成功、いや大ではないかも。とにかく二人は多分他の人のところには行かなそうな感じ。良かった、それだけでも。
あとは親御さんにも挨拶に行かなければ、と言ったらだいたい理解しているから後で良いって、二人とも。良いのかよ?
で、必要なのが住む所、家だ、マイホーム。どうしましょう、新婚さんならアパートでも有りだろ、でもうちの奥様、お姫様なんですよ。下手な所住めませんて。どうしたらいいか?
迷ったら‥‥‥ はい、ギルドです。
「ウチは新婚さんの住宅の斡旋はしてません」
あれ、ナタリーさんの口調がいつもと違う。なんか怒ってる?でも泣きそうな顔だ、同行していたマリアがナタリーさんと話している、ヒソヒソしてる。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
「いいんですか?」
「まぁ、大丈夫でしょう」
「事後報告で悪いんだけどネロ、一名増えますよ、ナタリーさんです」
「ナタリーさんは知ってるけど増えるとは?」
「配偶者」
「は⁉︎」
「ナタリーさんもネロと結婚したかったみたいで」
「そんな事で増やしていいの?シャルは?」
「それも事後報告で」
うーん、異世界の事情なのかなぁ?
真っ赤な顔したナタリーさんが近づいて来た。とは言え俺から言うべきだろう。
「ナタリーさん、俺と結婚してくれますか?」
「不束者ですが末長くよろしくお願いします」
可愛いと思った。
ナタリーさん、俺を支えてくれるお姉さんって感じでずっと憧れではあった。
控えめで大人しくて、奥さんにしたい理想の女性ランキングなんてあったら、かなり上位に食い込むだろう。もちろんうちに来てくれるなら俺は嬉しい。
「ネロくーん、お待たせしました~、住宅の物件の一覧でーす」
いつもの口調で、いつもより声高い!ご機嫌?
「ネロくんの稼ぎだと幾らでも大きい家でも良さそうだけど~、この辺かな~」
豪邸ですやん、家なの?会社なの?
「ネロくんも他の奥さんも~、税金とか苦手そうなので~、私、役に立ちそうです~。家事も出来ますよ~」
おぉ、確かに俺は税金とかわかんない、シャルもマリアも無理そうだ、家事もみんな苦手そう。家を守ってくれるならありがたい。ナタリーさんもすごくお世話になってるから嫌われたくないし。
ナタリーさんお勧めの家の内見に来た、良さそうな家だ。でも部屋が多くないか?
「ネロくんはまだまだ増えそうなので~、多めに部屋を用意しておきましょ~」
増えるって?奥さんが?いや、それはないでしょ。
「そうですね、ここで」
「ありがとうございます~」
あれ?契約成立しちゃった?俺承諾してなくない?マリア?
「いや、ここで良いでしょう?」
おかしくない?
俺、家を見に来たら奥さんが増えて、家も買っちゃった?
払えたから良かったけど。
これでいいの?
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