上 下
60 / 171
冒険者 編

家を買う

しおりを挟む

 プロポーズは大成功、いや大ではないかも。とにかく二人は多分他の人のところには行かなそうな感じ。良かった、それだけでも。

 あとは親御さんにも挨拶に行かなければ、と言ったらだいたい理解しているから後で良いって、二人とも。良いのかよ?

 で、必要なのが住む所、家だ、マイホーム。どうしましょう、新婚さんならアパートでも有りだろ、でもうちの奥様、お姫様なんですよ。下手な所住めませんて。どうしたらいいか?
 迷ったら‥‥‥ はい、ギルドです。

「ウチは新婚さんの住宅の斡旋はしてません」

あれ、ナタリーさんの口調がいつもと違う。なんか怒ってる?でも泣きそうな顔だ、同行していたマリアがナタリーさんと話している、ヒソヒソしてる。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
「いいんですか?」
「まぁ、大丈夫でしょう」

「事後報告で悪いんだけどネロ、一名増えますよ、ナタリーさんです」
「ナタリーさんは知ってるけど増えるとは?」

「配偶者」
「は⁉︎」

「ナタリーさんもネロと結婚したかったみたいで」
「そんな事で増やしていいの?シャルは?」
「それも事後報告で」

うーん、異世界の事情なのかなぁ?

 真っ赤な顔したナタリーさんが近づいて来た。とは言え俺から言うべきだろう。

「ナタリーさん、俺と結婚してくれますか?」
「不束者ですが末長くよろしくお願いします」
可愛いと思った。

 ナタリーさん、俺を支えてくれるお姉さんって感じでずっと憧れではあった。  
 控えめで大人しくて、奥さんにしたい理想の女性ランキングなんてあったら、かなり上位に食い込むだろう。もちろんうちに来てくれるなら俺は嬉しい。


「ネロくーん、お待たせしました~、住宅の物件の一覧でーす」
 いつもの口調で、いつもより声高い!ご機嫌?

「ネロくんの稼ぎだと幾らでも大きい家でも良さそうだけど~、この辺かな~」
豪邸ですやん、家なの?会社なの?

「ネロくんも他の奥さんも~、税金とか苦手そうなので~、私、役に立ちそうです~。家事も出来ますよ~」

 おぉ、確かに俺は税金とかわかんない、シャルもマリアも無理そうだ、家事もみんな苦手そう。家を守ってくれるならありがたい。ナタリーさんもすごくお世話になってるから嫌われたくないし。

 ナタリーさんお勧めの家の内見に来た、良さそうな家だ。でも部屋が多くないか?

「ネロくんはまだまだ増えそうなので~、多めに部屋を用意しておきましょ~」

 増えるって?奥さんが?いや、それはないでしょ。

「そうですね、ここで」
「ありがとうございます~」

 あれ?契約成立しちゃった?俺承諾してなくない?マリア?
「いや、ここで良いでしょう?」

 おかしくない?
 俺、家を見に来たら奥さんが増えて、家も買っちゃった?
 払えたから良かったけど。
 これでいいの?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄され逃げ出した転生令嬢は、最強の安住の地を夢見る

拓海のり
ファンタジー
 階段から落ちて死んだ私は、神様に【救急箱】を貰って異世界に転生したけれど、前世の記憶を思い出したのが婚約破棄の現場で、私が断罪される方だった。  頼みのギフト【救急箱】から出て来るのは、使うのを躊躇うような怖い物が沢山。出会う人々はみんな訳ありで兵士に追われているし、こんな世界で私は生きて行けるのだろうか。  破滅型の転生令嬢、腹黒陰謀型の年下少年、腕の立つ元冒険者の護衛騎士、ほんわり癒し系聖女、魔獣使いの半魔、暗部一族の騎士。転生令嬢と訳ありな皆さん。  ゆるゆる異世界ファンタジー、ご都合主義満載です。  タイトル色々いじっています。他サイトにも投稿しています。 完結しました。ありがとうございました。

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

天使の行きつく場所を幸せになった彼女は知らない。

ぷり
恋愛
孤児院で育った茶髪茶瞳の『ミューラ』は11歳になる頃、両親が見つかった。 しかし、迎えにきた両親は、自分を見て喜ぶ様子もなく、連れて行かれた男爵家の屋敷には金髪碧眼の天使のような姉『エレナ』がいた。 エレナとミューラは赤子のときに産院で取り違えられたという。エレナは男爵家の血は一滴も入っていない赤の他人の子にも関わらず、両親に溺愛され、男爵家の跡目も彼女が継ぐという。 両親が見つかったその日から――ミューラの耐え忍ぶ日々が始まった。 ■※※R15範囲内かとは思いますが、残酷な表現や腐った男女関係の表現が有りますので苦手な方はご注意下さい。※※■ ※なろう小説で完結済です。 ※IFルートは、33話からのルート分岐で、ほぼギャグとなっております。

売れない薬はただのゴミ ~伯爵令嬢がつぶれかけのお店を再生します~

薄味メロン
ファンタジー
周囲は、みんな敵。 欠陥品と呼ばれた令嬢が、つぶれかけのお店を立て直す。

前世は大聖女でした。今世では普通の令嬢として泣き虫騎士と幸せな結婚をしたい!

月(ユエ)/久瀬まりか
ファンタジー
伯爵令嬢アイリス・ホールデンには前世の記憶があった。ロラン王国伝説の大聖女、アデリンだった記憶が。三歳の時にそれを思い出して以来、聖女のオーラを消して生きることに全力を注いでいた。だって、聖女だとバレたら恋も出来ない一生を再び送ることになるんだもの! 一目惚れしたエドガーと婚約を取り付け、あとは来年結婚式を挙げるだけ。そんな時、魔物討伐に出発するエドガーに加護を与えたことから聖女だということがバレてしまい、、、。 今度こそキスから先を知りたいアイリスの願いは叶うのだろうか? ※第14回ファンタジー大賞エントリー中。投票、よろしくお願いいたします!!

悪役令嬢の無念はわたしが晴らします

カナリア55
ファンタジー
【完結】同棲中の彼の浮気現場を見てしまい、気が動転してアパートの階段から落ちた、こはる。目が覚めると、昔プレイした乙女ゲームの中で、しかも、王太子の婚約者、悪役令嬢のエリザベートになっていた。誰かに毒を盛られて一度心臓が止まった状態から生き返ったエリザベート。このままでは断罪され、破滅してしまう運命だ。『悪役にされて復讐する事も出来ずに死ぬのは悔しかったでしょう。わたしがあなたの無念を晴らすわ。絶対に幸せになってやる!』自分を裏切る事のない獣人の奴隷を買い、言いたい事は言い、王太子との婚約破棄を求め……破滅を回避する為の日々が始まる。  誤字脱字、気をつけているのですが、何度見直しても見落としがちです、申し訳ございません。12月11日から全体の見直し作業に入ります。大きな変更がある場合は近況ボードでお知らせします。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

婚約者の地位? 天才な妹に勝てない私は婚約破棄して自由に生きます

名無しの夜
恋愛
旧題:婚約者の地位? そんなものは天才な妹に譲りますので私は平民として自由に生きていきます 「私、王子との婚約はアリアに譲って平民として生きようと思うんです」 魔法貴族として名高いドロテア家に生まれたドロシーは事あるごとに千年に一度の天才と謳われる妹と比較され続けてきた。 「どうしてお前はこの程度のことも出来ないのだ? 妹を見習え。アリアならこの程度のこと簡単にこなすぞ」 「何故王子である俺の婚約者がお前のような二流の女なのだ? お前ではなく妹のアリアの方が俺の婚約者に相応しい」 権力欲しさに王子と結婚させようとする父や、妹と比較して事あるごとにドロシーを二流女と嘲笑う王子。 努力して、努力して、それでも認められないドロシーは決意する。貴族の地位を捨てて平民として自由に生きて行くことを。

前世は悪神でしたので今世は商人として慎ましく生きたいと思います

八神 凪
ファンタジー
 平凡な商人の息子として生まれたレオスは、無限収納できるカバンを持つという理由で、悪逆非道な大魔王を倒すべく旅をしている勇者パーティに半ば拉致されるように同行させられてしまう。  いよいよ大魔王との決戦。しかし大魔王の力は脅威で、勇者も苦戦しあわや全滅かというその時、レオスは前世が悪神であったことを思い出す――  そしてめでたく大魔王を倒したものの「商人が大魔王を倒したというのはちょっと……」という理由で、功績を与えられず、お金と骨董品をいくつか貰うことで決着する。だが、そのお金は勇者装備を押し付けられ巻き上げられる始末に……  「はあ……とりあえず家に帰ろう……この力がバレたらどうなるか分からないし、なるべく目立たず、ひっそりしないとね……」  悪神の力を取り戻した彼は無事、実家へ帰ることができるのか?  八神 凪、作家人生二周年記念作、始動!  ※表紙絵は「茜328」様からいただいたファンアートを使用させていただきました! 素敵なイラストをありがとうございます!

処理中です...