上 下
46 / 171
王都学院 編

海へ行こう!

しおりを挟む

 マイチー州ではのんびり出来たがする事が無さすぎて夏休みの四分の一程過ぎた辺りで王都に戻った。やり忘れていた事を思い出した。

 夏休みと言えば海だ。そうだ、海へ行こう。

 夏だ、海だ、オキナーだ。オキナーは離島でリゾート地だ。日本で言えば沖縄だ。マイチー州には海が無いからな。

 一人で行くのはただの罰ゲームだ。クリフとマリアだな、シャルも行ければ良いけど。

 しかしこちらの世界で観光などした事が無いのでどうしたらいいかわからない。誰に聞いたらいいかもわからない。

 とりあえずクリフに行けるか聞いてみよう。
「いいね、楽しそう。行こうか?僕行き方とか調べるよ」

マリアも
「行きたい!楽しみ!」

シャルも
「是非行きたいわ。楽しそうじゃない?」

 それからはシャルの旅行の許可が下りるまで大変だった。まずララさんに相談したところ反対され一悶着あった後、周りに相談。やはり大反対でさらに一悶着。意見を曲げないシャルは最終的に陛下に直談判した。陛下も難色を示していたがシャルの涙の訴えにより護衛のララさん付きでようやく許可が下りたらしい。

 参加メンバーは決まった。予約はクリフがしてくれた。王族や上級貴族だと魔導通信機器を持っているらしい。エステラーゼ伯爵は何度もオキナーに行った事が有るらしくホテルを予約してくれたそうだ。あとでお礼をしよう。
 水着も買った。用意はバッチリだ。

 海に向かっている。今は魔導飛行艇の中だ。スゴイ、初めて乗った。前世の飛行機程では無いが速い。空にモンスターが居ないのかと言うといるらしい。ただ滅多に出ないのと船体に結界が展開されているためほぼ問題はないらしい。俺とクリフは二等座席、マリアは一等席、シャルは個室だった。乗る時もバラバラなのでちゃんと来ているか不安だった。

 3時間程度でオキナー島に着いた。暑いがそれが良い。みんなと合流する。
「やっと一緒に歩けるわね、ネロ?」 
「あれ?姉さん?」
「やだ、クリフ。同行者ってアンタもだったの?」
「⁉︎  姉弟なんですか?」
「そうです」

 驚く俺。普段と違う口調のララさん、すぐに戻ったけど。クリフも
「姉さんも一緒かぁ‥‥‥」
テンション下がってるなぁ。

「うわー、キレイ‼︎見て!ネロ!」
「殿下、はしたないですよ」

「ほっといてよ、ねえ、ネロったら?」
「ネロ様、陛下より伝言がございます」
「え?なんですか?」

近づき小声で
「「手を出すなよ」との事です」
「出しませんよ!」
 出さないよ。王族においそれと手なんて出せる訳がない。
 
 飛行艇の発着場から馬車でホテルに着く。豪華なホテルだ。前世でも写真で見た事が有るだけだ。貴族御用達というやつだろう。

 クリフがチェックインをやってくれた。親父さんが予約してくれたから話が早い。 

 部屋に案内される。男部屋と女部屋だ。勿論だ。最初シャルの部屋は別にしようとしていたのだがシャルがマリアと一緒がいいと押し通したのだ。
 結果シャル、マリア、ララさんと3名で泊まるという事になった。当然女部屋は最上階の特別室で、俺達はツインルーム。
 五階建てのホテルで魔導エレベーターで上がっていく。俺達は三階で降りる。

 部屋に入るとオーシャンビュー。絶景だ。景色を見ながらお茶請けを食べる。オキナーのクッキーの様なお菓子だ。
「あ、僕の分‥‥‥」
「あ、ごめん。あとで下で買ってくるよ」

 いよいよ海へ。女子達とは下で待ち合わせだ。ホテルのプライベートビーチなのでホテルの客以外は居ないので空いている。
「お待たせ~」
「待った~?」
「お待たせ致しました」

‼︎‼︎ 正直ドキッとした。

 シャルは黒の、マリアは赤の、ララさんは白のビキニだ、美しい‥‥‥。

「おお、綺麗だ‥‥‥」
「何言ってんの?早く行きましょ」
「うん、早く行こう!」
「あまりジロジロ見ないでください」

 シャルは素晴らしいものをお持ちでたゆたゆ揺れている。実に素晴らしい。

 マリアは逆に細くてその腕で槍をどう振っているのか疑問に感じるくらいだ。胸部装甲は控えめだがソレはそれで良い。

 ララさんはややむっちり気味だけど多分男が一番好きそうなボディなのではなかろうか?海だけどメガネは外さないんだ?ララさんは魔術師だ。だから護衛だけど武器は持ってない。

 シャルの剣とマリアの槍もホテルのクロークに預けてある。さすがにホテル内には賊も勿論出ないだろうからいいだろう。

 水着の女子達と遊ぶのは大変に素敵な事です。キャッキャウフフがさっきから止まりません。弾ける水滴に太陽光が反射して輝いております。

エウロパ万歳!水神様に深い感謝を‼︎

 海に沈む太陽を俺とシャルとマリアで見ていた。クリフはララさんと海で何かしている。

「ネロ、誘ってくれてありがとう。こんなに楽しかったのは初めてだわ」
「そう言ってもらえて嬉しいよ、シャル」
 シャルの横顔が夕日に照らされている。またドキドキしてしまった。


「私も楽しかった、これから夕飯よね?その前にシャワー浴びたいわ」
「そうだね、そうしようか、マリア」
 マリアも本当に可愛い、ドキドキしっぱなしだ。


 部屋に戻りシャワーを浴びて着替えて食堂に集合。ディナーバイキングというやつだ。

 シャルは何でも自分でやりたがる。盛り付けも、ララさんがやろうとしていたのを
「アナタじゃワタシの食べたいものがわからないでしょ」と一喝して、自分で盛り付け始めた。さすが王族なので盛り付けも上品だ。

 マリアは少食だ、だからそんなに細いんだ。
 クリフは魚介系を攻めていた。曰く
「王都では魚はあまり食べられないからね」
と。納得だ。

 ララさんはカニばっかり取ってきていたのを見て噴き出してしまった。慌てて目を逸らす。
「何か問題有りますか?」
「無いです」
 怖いってば。
 でもバイキングって個性出るよね。

 その後は広い広いスイートルームで二次会だ。俺達は勿論ノンアルコールだが、ララさんは成人なので呑んでいた。 
 ララさんは酒に弱いらしい。でも好きなので毎回飲んでしまうらしい。いや、貴女仕事中じゃないんですか?

 夏休みで多分一番充実した体験だった。特にシャルとマリアとはより仲良くなれた気がする。

 ああ、何故楽しい時間はこんなに早く過ぎ去ってしまうのか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~

ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉ 攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。 私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。 美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~! 【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避 【2章】王国発展・vs.ヒロイン 【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。 ※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。 ※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差) ブログ https://tenseioujo.blogspot.com/ Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/ ※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名
ファンタジー
★2024年9月19日に2巻発売&コミカライズ化決定!(web版とは設定が異なる部分があります) 🔷第16回ファンタジー小説大賞。5/3207位で『特別賞』を受賞しました!!応援ありがとうございます(*^_^*) 💛小説家になろう累計PV1,770万以上達成!! ※感想欄を読まれる方は、申し訳ありませんがネタバレが多いのでご注意下さい<m(__)m>    スーパーの帰り道、突然異世界へ転移させられた、椎名 沙良(しいな さら)48歳。  残された封筒には【詫び状】と書かれており、自分がカルドサリ王国のハンフリー公爵家、リーシャ・ハンフリー、第一令嬢12歳となっているのを知る。  いきなり異世界で他人とし生きる事になったが、現状が非常によろしくない。  リーシャの母親は既に亡くなっており、後妻に虐待され納屋で監禁生活を送っていたからだ。  どうにか家庭環境を改善しようと、与えられた4つの能力(ホーム・アイテムBOX・マッピング・召喚)を使用し、早々に公爵家を出て冒険者となる。  虐待されていたため貧弱な体と体力しかないが、冒険者となり自由を手にし頑張っていく。  F級冒険者となった初日の稼ぎは、肉(角ウサギ)の配達料・鉄貨2枚(200円)。  それでもE級に上がるため200回頑張る。  同じ年頃の子供達に、からかわれたりしながらも着実に依頼をこなす日々。  チートな能力(ホームで自宅に帰れる)を隠しながら、町で路上生活をしている子供達を助けていく事に。  冒険者で稼いだお金で家を購入し、住む所を与え子供達を笑顔にする。  そんな彼女の行いを見守っていた冒険者や町人達は……。  やがて支援は町中から届くようになった。  F級冒険者からC級冒険者へと、地球から勝手に召喚した兄の椎名 賢也(しいな けんや)50歳と共に頑張り続け、4年半後ダンジョンへと進む。  ダンジョンの最終深部。  ダンジョンマスターとして再会した兄の親友(享年45)旭 尚人(あさひ なおと)も加わり、ついに3人で迷宮都市へ。  テイムした仲間のシルバー(シルバーウルフ)・ハニー(ハニービー)・フォレスト(迷宮タイガー)と一緒に楽しくダンジョン攻略中。  どこか気が抜けて心温まる? そんな冒険です。  残念ながら恋愛要素は皆無です。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

転生モブ令嬢は転生侯爵様(攻略対象)と偽装婚約することになりましたーなのに、あれ?溺愛されてます?―

イトカワジンカイ
恋愛
「「もしかして転生者?!」」 リディと男性の声がハモり、目の前の男性ルシアン・バークレーが驚きの表情を浮かべた。 リディは乙女ゲーム「セレントキス」の世界に転生した…モブキャラとして。 ヒロインは義妹で義母と共にリディを虐待してくるのだが、中身21世紀女子高生のリディはそれにめげず、自立して家を出ようと密かに仕事をして金を稼いでいた。 転生者であるリディは前世で得意だったタロット占いを仕事にしていたのだが、そこに客として攻略対象のルシアンが現れる。だが、ルシアンも転生者であった! ルシアンの依頼はヒロインのシャルロッテから逃げてルシアンルートを回避する事だった。そこでリディは占いと前世でのゲームプレイ経験を駆使してルシアンルート回避の協力をするのだが、何故か偽装婚約をする展開になってしまい…? 「私はモブキャラですよ?!攻略対象の貴方とは住む世界が違うんです!」 ※ファンタジーでゆるゆる設定ですのでご都合主義は大目に見てください ※ノベルバ・エブリスタでも掲載

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

聖女なんかじゃありません!~異世界で介護始めたらなぜか伯爵様に愛でられてます~

トモモト ヨシユキ
ファンタジー
川で溺れていた猫を助けようとして飛び込屋敷に連れていかれる。それから私は、魔物と戦い手足を失った寝たきりの伯爵様の世話人になることに。気難しい伯爵様に手を焼きつつもQOLを上げるために努力する私。 そんな私に伯爵様の主治医がプロポーズしてきたりと、突然のモテ期が到来? エブリスタ、小説家になろうにも掲載しています。

処理中です...