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第一部 祝福の儀編

狩りへ行こう

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 俺もあと一年弱で王都学院に通わねばならないだろう。それまでに狩りに行って経験値の取得と肉の確保を両立させるのだ。
 まずはマイチー平原だ。ここは弱いモンスターしかおらず、練習にもってこいの場所だ。朝食を食べて出かける。よし、時間節約だ、走る。

 マイチー平原に到着。平原と言っても背の高い草や木、身体を隠せそうな大きめの岩もある。早速このあいだ開発した探知用魔法『ミストサーチ』を使う。出した水を霧状にして拡げる事で触れた敵の方向と数がわかるのだ。
 まだ練習段階なので今後は触れた形状からモンスターの種類まで把握出来る様にするのが次の目標だ。なんなら鑑定と連携して発見と同時に対象のステータスまで読み取るようにすると良いかも。今後要検証だ。

 早速サーチに引っかかった。注意しながら進んでいくと、いた!あれはゴブリンか?ちょうど良く一匹だ、初魔物としてはちょうど良いだろう。よし、仕留めよう。
 深呼吸をしてから狙いをつける。ゴブリンはこちらに気付いていない、よし!いける。
 『ウォーターバレット』
 指先から水の弾が飛んでいく。殆ど銃弾なので目では見えないが自分の魔法なので感覚でわかる。10メートル先のゴブリンの頭に命中して倒れる。やったか?あ、これフラグじゃん。もう一発いっとくか。 

 『ウォーターバレット』
 「ギャァ」

 やはり死んでなかったか、警戒して良かった。ゴブリンの死体が霧のようになって消えていく。魔石が残る、小さっ!よく見ておかないとガサガサ探す羽目になる。落ちた辺りに手をかざしてアイテムボックスを念じる。ヒュッと音がするようなしないような。

 『魔石 極小』
 成功だ、この調子でどんどん狩っていこう。再びミストサーチで警戒再開だ。
 
 約三時間くらい経過しただろうか?狩りは順調に進みくらいゴブリン5匹、グレーウルフ1頭、ツノウサギ2羽、ウェアラット8匹とまぁまぁな成果だろう。

 でも懸念事項もあった、スライムだ。あいつらには水属性が無効になるようだ。どうしよう、困ったな。俺は水属性しか使えない、剣も槍も使えない。再度遭遇したらまた逃げるしかない。幸いあいつらは足が遅い。

 一度昼食に家に帰ってきた。午後はスライムには遭遇しなかった。そういえば魔石は換金出来るのだろうか?家の誰かに聞いてみよう。現在魔石は極小が15、小が1だ。

 「母様、魔石はどこに行けば換金出来ますか?」
 「え?なに、ネロあなたモンスター狩りにでも行くの?ダメよ、危ないから。」
 藪蛇だった。他の人にこっそり聞こう。一番心配とかしなさそうなポール兄だな。
 
 「ああ、魔石なら魔道具屋とギルドで買い取ってくれるぞ。」
 良かった、アイテムボックスにいくらでも収納できるし悪くなるものでもないから問題無かったけど引取先のないものを沢山持っていても仕方がないからな。

「でもギルドは遠いし魔道具屋だな。大量に持ち込んでも色々言われそうだし金に困ったら換金する程度にしておくか」

 マイチー州の街を見て回る。まぁ賑やかではある、王都に比べたらお察しやけど。
 魔道具屋発見、なんか色々置いてある。商品なんだろうけどどう使うのか。魔力の余裕は有るから試してみてもいいかもしれないが。

 「こんにちは、コレは何ですか?」
 「あぁ?なんだガキィ?何の用だ?」
 感じ悪っ!接客態度0点だろ。まぁ俺は中身五十のおっさんや、怒らんとこう。

「魔石の買取をしてもらえると聞いて来ました、都合悪いなら出直しますけど」
「魔石ぃ?魔石ならいくつでも買い取るけどオメエみたいなガキが持ってんのか?」 
「あ、はい。ありますよ。出しますね」
 とりあえず全部出してみる。極小15の小1個。

「アイテムボックス持ちか、恵まれてるな。これだと2500Cだな。もし他にも何かあれば持ってこい」
 ツンデレなのか?ちゃんと買い取ってくれた。良かろう。2500Cだと日本円で25000円くらいだ。三時間くらいで時給8000円以上か。冒険者悪くない稼ぎだ。物価としては武器などは高額だが食料品とかは安い。平民だと100Cで一日分の食費くらいらしいので何とかなりそうだ。

 狩りに行って稼いだのがバレるとママンに怒られそうなので黙っておこう。幸いなのかママンも日中は色々やっていて、忙しそうなので俺がどっか行っている方が都合良さそうだ。黙って狩りに行っても大丈夫だろう。もう少し大きくなったら、結果出していれば文句は言わなくなるだろうし。
 
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