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空を飛ぶ戦艦

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「どうだ? 空を船で航海する気分は?」
「‥‥‥‥‥‥」

「そうだ、少し聞きたいのだが?」
「そんな事に答えると思っているのか?」

「答えてくれたら楽にしてやろうと思ったのだが‥‥‥」
「なんでも聞いてくれ」


「‥‥‥、シルヴィア、あの女エルフだが。侯爵家の宴にどうやって呼んだ? 街にいたあいつの存在にどうやって気づいた?」

「我々魔族は人間かエルフか見た目でなく魔力で判断している。たとえ変身魔法を使っていようと気がつく。金に困ってそうなエルフを高い時給で呼び出すのは簡単だったよ」


「なるほどな。それで公爵様を毒殺しようとした罪を被せて公開処刑にしようとした、と」

「あの公爵は計画に邪魔だったからな、あの宴で公爵とエルフを一辺に始末出来るチャンスだったのだが、あいつめ失敗しよった。公爵の方は毒殺に備えて解毒剤をあらかじめ飲んでいたのだろうな。かなり強力な毒だったのだがな‥‥‥」

「本教会には何があったんだ?」
「本教会には洗脳の魔道具が有ったのだ。キサマのせいで全て壊されてしまったがな」

「洗脳の魔道具? それは全員には効かないのか?」
「ヒト種がもともと持っている他の種族に対する嫌悪感を強くするものだ。あの公爵やお前にはその嫌悪感が全く無いから効かないのだろう」

「なぜそこまで他種族を嫌悪する?」
「‥‥‥‥‥‥」

「主殿、魔族にとってエルフの魔力、ドワーフ製の武器防具、獣人の身体能力は脅威なのです」
「ヒト種の繁殖能力も侮れねぇけどな」
「大方、ヒト種と交わって魔族を増やそうとでもしたんじゃな~い?」

「‥‥‥‥‥‥」

 どうやら図星だったらしい。
 魔族たちにとって御し易いヒト種と交わりその数を増やし、脅威となるその他種族を壊滅に追い込む。同時にこの国を乗っ取り、世界破滅の足掛かりとする、といったところだろうか。

「‥‥‥もう十分に話しただろう? 楽にしてくれないか?」


「そうだなぁ、ちょうど目的地に到着した。今から楽にしてやるよ」

 船を停止して、俺たちは船を離れる。

 魔族を甲板から船首に貼り付け変える。
 船首部分から顔だけ出している状態だな。
「な、何をする? キサマー!! 楽にしてくれる約束だろうが!!?」


「だからしてやるって」
 船首を真下に向ける。
 嘘はついてない、楽に死なせてやるのだから。

 この国にはもう一人御礼をしなきゃいけない人物がいるからな。

 カリュプス侯爵邸の真上でグランホルストを浮かせているスキルをオフにした。
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