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第一話
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「早く言え!ぶっ殺されてぇか!」
鋭い剣先を俺に向けながら彼は尋ねる。
これはヤバい。真面目に答えないとすぐさま殺してきそうだ。素直に答える以外の選択しもないしな。
「えっと、目が覚めたらここに居て、音がすると思って身構えていたらそこに頭部が転がってきて驚いてるって感じです。」
「何?お前ここがどこか分かってねぇのか?ここはオオルトルードの森。許可無く入ればそこの、ピークの街のギルドに拘留される。まさかそんなことを知らないはずもねぇ。じゃあ本当に……いや、お前が嘘をついてない保証があるわけねぇんだから連行させてもらう。」
許可無く入ればギルドに拘留って、そんな危険な場所なのか?もしくは機密情報が存在するとか。そもそもギルドってあれだよな。なんか冒険者的な人が集まる組織的なやつだよな。
ただ、突然こんな場所に来たのに、半分犯罪者扱いされるのは流石に色々やばい気がする。どうに。かして誤解を解かなきゃだが……連行後に事情聴取的なのがあるはずだから、それで無実を証明することも……いや、ゴブリンが居るような世界だぞ。何か吐くまで拷問されちゃたまったもんじゃないな。こうなりゃ必死に訴えかけるしかない。
「待ってください!本当に僕は何も知りません!気づいたらここに居たってだけなんです!」
彼の視線が鋭いものになる。
下手したらこの場で殺されても不思議じゃない……どうすれば……
「ガタガタうるせぇな。てめぇこの場でぶち殺「おいオルト!何やってる!!」……チッ!」
声がした方を見ると、赤い鎧を纏い、オルトと呼ばれたこの少年を見る男が居た。
歳は30代半ばといったところか。茶色い髪を襟元まで伸ばしている。簡単に言うと、茶髪でダンディーなイケメンとでも言えば良いのだろうか。
「おい団長……何でアンタが俺に付いてきてる?俺はただゴブリンを殺しに行くとしか行ってねぇはずだが。」
「お前がゴブリンを殺すと言うときは必ず何かしでかす……。この前もそう言ってボブゴブリンの集落に単独で乗り込み皆殺しにした。あの日お前はどんな姿で帰ってきたか覚えているか?出血多量に意識朦朧、まさに満身創痍だった。あと少し遅ければお前は死んでいたんだぞ……!」
静かな怒りが言葉に含まれているのが良く分かる。まるで聞き分けの悪い子供を諭す父親のようだ。
「アンタには関係ねぇだろ。これは俺の問題だ。」
なんとも父親に反発する息子同然だな。
しかしこの二人には深い関係があるみたいだ。親子か?そうは見えないが、ともかくこの人のおかげで助かった。本気で死ぬかと思った。
「オルト、お前はまだ若いし、これから色々学んでいく。お前のすることにとやかく言うつもりは無いが、死んでしまえば、お前の両親はどう思うか「うるせぇ!!てめぇその話俺の前ですんなっつったハズだ!それ以上言うと本気で殺すぞ!!」……すまない。だが、とにかく自分勝手な行動はやめろ!お前の行動が多くの人を傷つける事につながるんだからな!」
「…………。」
オルトは押し黙る。
そしてなんとも言いがたい沈黙が流れる。
これどうすりゃ良いんだ。俺は完全に蚊帳の外だしな。このタイミングで話しても良いのか?危険な気がするんだけど……。
「君。そこのオルトの前の君。君は一体どこから来た。オルトの前では言いにくいだろう。」
俺に向けて指が指される。
言うタイミングはここしかないな。
「僕の名前は柊 達也です。気づいたらこの森に倒れてて混乱していたのですが、彼が来て現在に至るって感じです。」
「ふむ。ここまで来たときの記憶も一切ないのかね。」
「はい。気付いたらここにとだけ……。」
「そうか分かった。協力ありがとう。私の名前はルーク・アイリス。そこの街『ピーク』の冒険者ギルドにてとある団を作っている。そして私はそこの団長だ。よろしく頼む。それにしても、気付いたらここに居たとは……転移系の罠、記憶も無くすとなると相当高度なものか。調査が必要かもしれないな。ともかく、このままでは何も出来ないだろう。冒険者ギルドに案内しよう。さぁ来たまえ。」
俺は彼に言われついて行くことにする。これ以上何もできないしな。逆に人がいるなら安心だ。
そういえば、あいつはどうした…………っておいめっちゃ睨んできてるじゃねぇかよ……。
「ギロリ」
そう。達也が振り向いた先には視線だけで射殺さんとばかりに彼を睨みつけるオルトの姿があった。
うぉぉ……とにかく怖すぎるけど、今は団長についていくことだけを考えよう。このままだと本当に殺されそうだ……。
俺はすぐに顔をルーク団長の背にに向け直すのだった。
睨むオルト、恐怖する達也、彼らの行動と感情はルークの案内と共に消えて行く……
鋭い剣先を俺に向けながら彼は尋ねる。
これはヤバい。真面目に答えないとすぐさま殺してきそうだ。素直に答える以外の選択しもないしな。
「えっと、目が覚めたらここに居て、音がすると思って身構えていたらそこに頭部が転がってきて驚いてるって感じです。」
「何?お前ここがどこか分かってねぇのか?ここはオオルトルードの森。許可無く入ればそこの、ピークの街のギルドに拘留される。まさかそんなことを知らないはずもねぇ。じゃあ本当に……いや、お前が嘘をついてない保証があるわけねぇんだから連行させてもらう。」
許可無く入ればギルドに拘留って、そんな危険な場所なのか?もしくは機密情報が存在するとか。そもそもギルドってあれだよな。なんか冒険者的な人が集まる組織的なやつだよな。
ただ、突然こんな場所に来たのに、半分犯罪者扱いされるのは流石に色々やばい気がする。どうに。かして誤解を解かなきゃだが……連行後に事情聴取的なのがあるはずだから、それで無実を証明することも……いや、ゴブリンが居るような世界だぞ。何か吐くまで拷問されちゃたまったもんじゃないな。こうなりゃ必死に訴えかけるしかない。
「待ってください!本当に僕は何も知りません!気づいたらここに居たってだけなんです!」
彼の視線が鋭いものになる。
下手したらこの場で殺されても不思議じゃない……どうすれば……
「ガタガタうるせぇな。てめぇこの場でぶち殺「おいオルト!何やってる!!」……チッ!」
声がした方を見ると、赤い鎧を纏い、オルトと呼ばれたこの少年を見る男が居た。
歳は30代半ばといったところか。茶色い髪を襟元まで伸ばしている。簡単に言うと、茶髪でダンディーなイケメンとでも言えば良いのだろうか。
「おい団長……何でアンタが俺に付いてきてる?俺はただゴブリンを殺しに行くとしか行ってねぇはずだが。」
「お前がゴブリンを殺すと言うときは必ず何かしでかす……。この前もそう言ってボブゴブリンの集落に単独で乗り込み皆殺しにした。あの日お前はどんな姿で帰ってきたか覚えているか?出血多量に意識朦朧、まさに満身創痍だった。あと少し遅ければお前は死んでいたんだぞ……!」
静かな怒りが言葉に含まれているのが良く分かる。まるで聞き分けの悪い子供を諭す父親のようだ。
「アンタには関係ねぇだろ。これは俺の問題だ。」
なんとも父親に反発する息子同然だな。
しかしこの二人には深い関係があるみたいだ。親子か?そうは見えないが、ともかくこの人のおかげで助かった。本気で死ぬかと思った。
「オルト、お前はまだ若いし、これから色々学んでいく。お前のすることにとやかく言うつもりは無いが、死んでしまえば、お前の両親はどう思うか「うるせぇ!!てめぇその話俺の前ですんなっつったハズだ!それ以上言うと本気で殺すぞ!!」……すまない。だが、とにかく自分勝手な行動はやめろ!お前の行動が多くの人を傷つける事につながるんだからな!」
「…………。」
オルトは押し黙る。
そしてなんとも言いがたい沈黙が流れる。
これどうすりゃ良いんだ。俺は完全に蚊帳の外だしな。このタイミングで話しても良いのか?危険な気がするんだけど……。
「君。そこのオルトの前の君。君は一体どこから来た。オルトの前では言いにくいだろう。」
俺に向けて指が指される。
言うタイミングはここしかないな。
「僕の名前は柊 達也です。気づいたらこの森に倒れてて混乱していたのですが、彼が来て現在に至るって感じです。」
「ふむ。ここまで来たときの記憶も一切ないのかね。」
「はい。気付いたらここにとだけ……。」
「そうか分かった。協力ありがとう。私の名前はルーク・アイリス。そこの街『ピーク』の冒険者ギルドにてとある団を作っている。そして私はそこの団長だ。よろしく頼む。それにしても、気付いたらここに居たとは……転移系の罠、記憶も無くすとなると相当高度なものか。調査が必要かもしれないな。ともかく、このままでは何も出来ないだろう。冒険者ギルドに案内しよう。さぁ来たまえ。」
俺は彼に言われついて行くことにする。これ以上何もできないしな。逆に人がいるなら安心だ。
そういえば、あいつはどうした…………っておいめっちゃ睨んできてるじゃねぇかよ……。
「ギロリ」
そう。達也が振り向いた先には視線だけで射殺さんとばかりに彼を睨みつけるオルトの姿があった。
うぉぉ……とにかく怖すぎるけど、今は団長についていくことだけを考えよう。このままだと本当に殺されそうだ……。
俺はすぐに顔をルーク団長の背にに向け直すのだった。
睨むオルト、恐怖する達也、彼らの行動と感情はルークの案内と共に消えて行く……
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