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第2章
情報史学という名の新たな戦場
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情報史学って何だ?と思われる方も多いと思うが、日本を除いた海外先進国の大半は「大学の研究分野の一つ」として確固たる地位を確立しているれっきとした学問である。
日本では中西輝政先生や江崎道朗(みちお)先生が有名だが、興味があれば著書も多数あるし、YOUTUBEなどで検索して彼らの議論を見てみれば良い。
情報史学は「インテリジェンス ヒストリー」という言葉で置き換えることが出来るのだが、インテリジェンスというと何やらスパイだとか、胡散臭いものを想像してしまいがちだが、実際はもっと身近なものだ。
よく「日本はスパイ防止法もないので情報は盗まれ放題だ!だからスパイ防止法を作るべきだ!」という議論があったりするのだが、今の日本で最も大きな害を及ぼしているのは「情報を盗まれている」だけではなく、「政府やマスコミ、司法や教育界などに大量のスパイが紛れ込んで影響力工作をされ続けていること」なのだ。
つまり、日本で本当に他国からのスパイを防ごうとするのであれば、スパイ防止法だけでは不可能。
実際、戦前の日本ではスパイ防止法に相当するものがあったが、朝日新聞の尾崎秀実(ほつみ)やロシアスパイのリヒャルト・ゾルゲらが当時の内閣に対して行った“影響力工作”は防ぐことが出来なかった。
実際、この小説も妨害工作に邪魔され、世に出ることはほぼないだろうと思うが(笑)。
中国にとって都合の悪い情報はほぼ報道されないし、日本を貶め、中国に利益を及ぼすような工作活動を日本内部で行う勢力が大量に既に存在しているのが残念ながら日本の現実なのだ。
戦前、日本を戦争に追い込んだのはソ連のコミンテルンによるこのような情報工作がひとつの要因になっているということは最早疑いようのない事実なのだが、彼らによる「敗戦革命」という日本を敗戦に追い込み、その混乱に乗じて国を乗っとるという工作活動は事実上「失敗」した。
危機的だったことには違いないが、当時はまだそれらスパイの動きに対して敏感に動いていた日本人も多くいて動きを封じ込めることに成功したのだが、彼らの残党は日本内部に深く食い込み、日本の国体そのものを破壊する時期を虎視眈々と狙い続けていた。
その動きが一気に活発になったのが、70年代の日中国交正常化。
中国国内での利権を餌に日本の与党に食い込んだ中国共産党は少しずつ影響力工作の手を伸ばしていった。
日本のバブル崩壊を経て低迷を続ける日本経済に対して爆発的な経済成長を続ける中国共産党の時代、ソ連のコミンテルンの流れをくんだ中国共産党の影響力工作が日本に対して大々的に行われた。
これは何も日本だけでなく、西側諸国、アフリカ諸国、東南アジア諸国、中東など世界の隅々に及び、2012年の民主化革命により中国共産党が倒れ、龍国が誕生した後も、それまでより更に強力に他国への浸透工作を繰り広げていった。
日本でも遅ればせながらだが、欧米に倣いこのような他国からの影響力工作に対抗するための正式情報史学というものが2020年を過ぎたあたりから少しずつ脚光を浴びるようになっていった。
もちろん左派にほぼ占領されてしまっている日本の学会、教育界、報道業界などからは完全に無視されていたので多くの人の目に触れることも少ないものだったのだが。
この情報史学に関する情報は龍国政府が特に警戒していて、日本の国内で広まることを恐れていた。
実際、Mytubeなどの動画サイトなどでこの手の動画がアップされても広告が剥がされてる例が多発し、Mytubeの広告収入で飯を食べている人にとっては龍国関連の動画作成のモチベーションを保つことが困難であった。
また、広告収入とは無関係に趣味で動画をアップさせる者も多く存在していたが、これは龍国の情報部隊である「五毛党(ごもうとう)」の通報や、Mytube内部に潜り込ませていた工作員により徹底的に削除、もしくはアカウントごとBANされる事態が続発した。
結果、日本での情報史学は地下に潜り、細々と研究されていたのであるが、ここで現れたのが軍事組織の一員として活躍し始めた明石元史大佐率いる「日海軍 情報部」であった。
彼らは新たに「Consava-Tube(コンサバチューブ)」を立ち上げ、その拡散に努め始めた。
(コンサバティブconservative は保守という意味)
これは既にアメリカの保守派で起こっていた動きに同調した形になったのである。
この動画サイトへ左派や活動家と見られる通報は無視、もしくは削除された。
また彼らのアクセスも絶っていくことで、日本とアメリカの国内でまず「保守の健全な討論の場と情報交換の場を整備する」というものであった。
実際、アメリカでは「ウィキペディアは左派に侵されている」とのことで保守派によって「コンサバぺディア(保守百科)」なるものが存在していて、その執筆陣はアメリカの保守派やキリスト今日保守派などが中心となっている。
Mytubeでの言論活動に制限を加えられていた日本やアメリカの保守層はこちらを活動の母体としていったのだ。
ちなみにConsaba-Tubeの広告の大半は南海新都市の企業連合や日本やアメリカの本土で多少残っている真っ当な保守派の会社などであった。
だが、この頃になるとそれら保守的な考えを持つ真っ当な企業も、いわゆる反社会的勢力や左翼過激派団体から度々狙われるようになっていて、中には家族に対して危害を加えるぞという恐喝をされたり、税務署による突然の税務調査が入ったりと、あらゆるタイプの嫌がらせを受けるようになっていた。
嫌がらせは脅しだけでなく、実際に多額の損害賠償で訴えられるスラップ訴訟だったり、放火や暴力を伴うものも度々起こるようになった。
それらは日本本土のメディアではほぼ報道されないのであった。
嫌がらせを受けた企業や人の中には南海新都市に移転するものなどもいたが、大半は保守的な支援を控えるようになっていたのだった。
龍国の対外的な情報工作活動の母体は統一戦線工作部と言って、中国共産党時代の組織をほぼそのまま継承したものだったのだが、龍国の成立に合わせ、各国の統一戦線工作部(統戦部と略す)のトップを粛清、自らの親派をトップにすげ替え、それまでの数倍にもおよぶ活動費を支給し、各国への浸透工作を強化させていった。
このやり方は非常に汚く、全体会議と称して統戦部のトップを一箇所に集めさせ、新たな政府に忠誠を誓わなければその場で射殺されたのだ。
日本でも、川北を中心とした企業連合が龍国や周辺諸国と取引のある商社の社員や現地人を買収し、情報収集を行なっていたが、それらを統合的に扱う「情報部」も明石大佐の元で行うと決定された。
この組織には公安出身者や警察組織経験者などが多数参加し、この手のスパイ工作の経験のない明石をサポートした。
このように日本政府関連の者は表立ってトップに立つことはなく、あくまでも裏方として参加する例がほとんどであった。
理由は日海軍と日本国政府は表向き無関係を貫かねばならないという事情があったからだ。
今後、龍国の動き次第では、日海軍も国際法や国内法などを一切無視した行動を取らざるを得ないのだが、その時に南海新都市や日本国に迷惑をかけることは出来ないからだ。
だから場合によっては、日海軍というものはトカゲの尻尾切りで切られる運命にある。
これは日海軍へ参加しているメンバーは全て理解していることなのだ。
このような「運命共同体」の性格が強い日海軍の新たな将官連中は、皆がそれぞれ部門を超えて仲が良かった。
仲の良いことが強い組織になるのか、と言われればそうとも限らないかもしれないが、少なくとも旧軍の伝統を引き摺って、海軍と陸軍の幹部同士、極めて仲が悪いと言った悪弊はここでは存在していなかった。
皆がそれぞれ現場のたたき上げで、変なエリート意識や自分のグループの利益のみで動くような弊害はここでは存在していない。
日海軍の大きな特徴の一つに、部門を又越した勉強会や情報交換会があったことだ。
これは川北重工の伝統でもあったものを川北耕三が日海軍でも導入したのだ。
情報史学の勉強会も週一回のペースで行われ、情報部門だけでなく、戦闘部門や開発部門、兵站部門や企業側のメンバーなども幅広く参加していた。
コチラを主催していたのは、日本情報史研究所というシンクタンクであったが、南海企業連合が資金援助を行うシンクタンクはこれ以外にも複数存在していて、日本政府や南海企業連合、日海軍などに対してそれぞれがレポートを提出していた。
ただ、このような動きは2030年頃まで、日本国政府にはほぼ無視されていた。
当時、既に岸内閣という自由済民党の政権から代々連立政権を組んでいた某宗教系政党がきわめて龍国寄りだったことや、自由済民党そのものが多数の親龍派に占められていた状態では、政府としてはまともな国政は出来なかったのだ。
川北は、この様な政府の、というより国会議員全ての「レベルの低さ」を非常に憂慮していた。
そこで彼らはこの情報史学の勉強会に南海企業連合が後押しする政治家やその後援会のスタッフなどを多数呼んで講義を受けさせた。
この様に少しずつだが、過去の歴史、特に日本がいかにして没落し今の状況を招いたのかを学ぶ人を増やしていったのであった。
日本では中西輝政先生や江崎道朗(みちお)先生が有名だが、興味があれば著書も多数あるし、YOUTUBEなどで検索して彼らの議論を見てみれば良い。
情報史学は「インテリジェンス ヒストリー」という言葉で置き換えることが出来るのだが、インテリジェンスというと何やらスパイだとか、胡散臭いものを想像してしまいがちだが、実際はもっと身近なものだ。
よく「日本はスパイ防止法もないので情報は盗まれ放題だ!だからスパイ防止法を作るべきだ!」という議論があったりするのだが、今の日本で最も大きな害を及ぼしているのは「情報を盗まれている」だけではなく、「政府やマスコミ、司法や教育界などに大量のスパイが紛れ込んで影響力工作をされ続けていること」なのだ。
つまり、日本で本当に他国からのスパイを防ごうとするのであれば、スパイ防止法だけでは不可能。
実際、戦前の日本ではスパイ防止法に相当するものがあったが、朝日新聞の尾崎秀実(ほつみ)やロシアスパイのリヒャルト・ゾルゲらが当時の内閣に対して行った“影響力工作”は防ぐことが出来なかった。
実際、この小説も妨害工作に邪魔され、世に出ることはほぼないだろうと思うが(笑)。
中国にとって都合の悪い情報はほぼ報道されないし、日本を貶め、中国に利益を及ぼすような工作活動を日本内部で行う勢力が大量に既に存在しているのが残念ながら日本の現実なのだ。
戦前、日本を戦争に追い込んだのはソ連のコミンテルンによるこのような情報工作がひとつの要因になっているということは最早疑いようのない事実なのだが、彼らによる「敗戦革命」という日本を敗戦に追い込み、その混乱に乗じて国を乗っとるという工作活動は事実上「失敗」した。
危機的だったことには違いないが、当時はまだそれらスパイの動きに対して敏感に動いていた日本人も多くいて動きを封じ込めることに成功したのだが、彼らの残党は日本内部に深く食い込み、日本の国体そのものを破壊する時期を虎視眈々と狙い続けていた。
その動きが一気に活発になったのが、70年代の日中国交正常化。
中国国内での利権を餌に日本の与党に食い込んだ中国共産党は少しずつ影響力工作の手を伸ばしていった。
日本のバブル崩壊を経て低迷を続ける日本経済に対して爆発的な経済成長を続ける中国共産党の時代、ソ連のコミンテルンの流れをくんだ中国共産党の影響力工作が日本に対して大々的に行われた。
これは何も日本だけでなく、西側諸国、アフリカ諸国、東南アジア諸国、中東など世界の隅々に及び、2012年の民主化革命により中国共産党が倒れ、龍国が誕生した後も、それまでより更に強力に他国への浸透工作を繰り広げていった。
日本でも遅ればせながらだが、欧米に倣いこのような他国からの影響力工作に対抗するための正式情報史学というものが2020年を過ぎたあたりから少しずつ脚光を浴びるようになっていった。
もちろん左派にほぼ占領されてしまっている日本の学会、教育界、報道業界などからは完全に無視されていたので多くの人の目に触れることも少ないものだったのだが。
この情報史学に関する情報は龍国政府が特に警戒していて、日本の国内で広まることを恐れていた。
実際、Mytubeなどの動画サイトなどでこの手の動画がアップされても広告が剥がされてる例が多発し、Mytubeの広告収入で飯を食べている人にとっては龍国関連の動画作成のモチベーションを保つことが困難であった。
また、広告収入とは無関係に趣味で動画をアップさせる者も多く存在していたが、これは龍国の情報部隊である「五毛党(ごもうとう)」の通報や、Mytube内部に潜り込ませていた工作員により徹底的に削除、もしくはアカウントごとBANされる事態が続発した。
結果、日本での情報史学は地下に潜り、細々と研究されていたのであるが、ここで現れたのが軍事組織の一員として活躍し始めた明石元史大佐率いる「日海軍 情報部」であった。
彼らは新たに「Consava-Tube(コンサバチューブ)」を立ち上げ、その拡散に努め始めた。
(コンサバティブconservative は保守という意味)
これは既にアメリカの保守派で起こっていた動きに同調した形になったのである。
この動画サイトへ左派や活動家と見られる通報は無視、もしくは削除された。
また彼らのアクセスも絶っていくことで、日本とアメリカの国内でまず「保守の健全な討論の場と情報交換の場を整備する」というものであった。
実際、アメリカでは「ウィキペディアは左派に侵されている」とのことで保守派によって「コンサバぺディア(保守百科)」なるものが存在していて、その執筆陣はアメリカの保守派やキリスト今日保守派などが中心となっている。
Mytubeでの言論活動に制限を加えられていた日本やアメリカの保守層はこちらを活動の母体としていったのだ。
ちなみにConsaba-Tubeの広告の大半は南海新都市の企業連合や日本やアメリカの本土で多少残っている真っ当な保守派の会社などであった。
だが、この頃になるとそれら保守的な考えを持つ真っ当な企業も、いわゆる反社会的勢力や左翼過激派団体から度々狙われるようになっていて、中には家族に対して危害を加えるぞという恐喝をされたり、税務署による突然の税務調査が入ったりと、あらゆるタイプの嫌がらせを受けるようになっていた。
嫌がらせは脅しだけでなく、実際に多額の損害賠償で訴えられるスラップ訴訟だったり、放火や暴力を伴うものも度々起こるようになった。
それらは日本本土のメディアではほぼ報道されないのであった。
嫌がらせを受けた企業や人の中には南海新都市に移転するものなどもいたが、大半は保守的な支援を控えるようになっていたのだった。
龍国の対外的な情報工作活動の母体は統一戦線工作部と言って、中国共産党時代の組織をほぼそのまま継承したものだったのだが、龍国の成立に合わせ、各国の統一戦線工作部(統戦部と略す)のトップを粛清、自らの親派をトップにすげ替え、それまでの数倍にもおよぶ活動費を支給し、各国への浸透工作を強化させていった。
このやり方は非常に汚く、全体会議と称して統戦部のトップを一箇所に集めさせ、新たな政府に忠誠を誓わなければその場で射殺されたのだ。
日本でも、川北を中心とした企業連合が龍国や周辺諸国と取引のある商社の社員や現地人を買収し、情報収集を行なっていたが、それらを統合的に扱う「情報部」も明石大佐の元で行うと決定された。
この組織には公安出身者や警察組織経験者などが多数参加し、この手のスパイ工作の経験のない明石をサポートした。
このように日本政府関連の者は表立ってトップに立つことはなく、あくまでも裏方として参加する例がほとんどであった。
理由は日海軍と日本国政府は表向き無関係を貫かねばならないという事情があったからだ。
今後、龍国の動き次第では、日海軍も国際法や国内法などを一切無視した行動を取らざるを得ないのだが、その時に南海新都市や日本国に迷惑をかけることは出来ないからだ。
だから場合によっては、日海軍というものはトカゲの尻尾切りで切られる運命にある。
これは日海軍へ参加しているメンバーは全て理解していることなのだ。
このような「運命共同体」の性格が強い日海軍の新たな将官連中は、皆がそれぞれ部門を超えて仲が良かった。
仲の良いことが強い組織になるのか、と言われればそうとも限らないかもしれないが、少なくとも旧軍の伝統を引き摺って、海軍と陸軍の幹部同士、極めて仲が悪いと言った悪弊はここでは存在していなかった。
皆がそれぞれ現場のたたき上げで、変なエリート意識や自分のグループの利益のみで動くような弊害はここでは存在していない。
日海軍の大きな特徴の一つに、部門を又越した勉強会や情報交換会があったことだ。
これは川北重工の伝統でもあったものを川北耕三が日海軍でも導入したのだ。
情報史学の勉強会も週一回のペースで行われ、情報部門だけでなく、戦闘部門や開発部門、兵站部門や企業側のメンバーなども幅広く参加していた。
コチラを主催していたのは、日本情報史研究所というシンクタンクであったが、南海企業連合が資金援助を行うシンクタンクはこれ以外にも複数存在していて、日本政府や南海企業連合、日海軍などに対してそれぞれがレポートを提出していた。
ただ、このような動きは2030年頃まで、日本国政府にはほぼ無視されていた。
当時、既に岸内閣という自由済民党の政権から代々連立政権を組んでいた某宗教系政党がきわめて龍国寄りだったことや、自由済民党そのものが多数の親龍派に占められていた状態では、政府としてはまともな国政は出来なかったのだ。
川北は、この様な政府の、というより国会議員全ての「レベルの低さ」を非常に憂慮していた。
そこで彼らはこの情報史学の勉強会に南海企業連合が後押しする政治家やその後援会のスタッフなどを多数呼んで講義を受けさせた。
この様に少しずつだが、過去の歴史、特に日本がいかにして没落し今の状況を招いたのかを学ぶ人を増やしていったのであった。
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