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第1章 家族
状況
しおりを挟む「ミーナが直ぐに私の元へ運んできてくれたので、できる限りの処置はしたのですが…不甲斐ないことに少しの毒が体を回ってしまいまして、これから熱が出ると思います。
……でも何故記憶が…後遺症?それにしては重すぎる…倒れた時に頭を打った?いや……」
毒…か。
だから、こんなにも喉が痛いのかな。
久しぶりに声を出すけれど上手く出せない。
その時だ、フラッと目眩がして後ろに倒れこんだ。
「シルフィオーネ様!?」
「待って、目眩を起こされたのね。…熱があるわ。薬を打たないと…」
チクッと腕に何かが刺さった気がしたが、それよりも先に意識が引っ張られてしまった。
ーーーーー
それは、真夜中で部屋は真っ暗だった。
サイドテーブルにある明かりをつける。
ぼおっと光るその明かりに照らされ部屋を見渡す。
頭がまだ混乱しているのか、関係の無いことがふつふつと蘇る。
【シルフィオーネ様、お可哀想に…まさか産まれてすぐにソフィア様と死別だなんて…】
【陛下も、シルフィオーネ様を初めてご覧になってから一度も会いにいらっしゃらないし……
ドレスだってラベンナ様のものだけよ…シルフィオーネ様のためのドレスなんて用意されたことがないわ…】
【側室のドミニカ様と第一王女のラベンナ様は好き放題で我儘ばかり…】
【ねぇ、見た?ラベンナ様。またシルフィオーネ様に嫌がらせですって。髪の毛を引っ張ってズタズタに切ったそうよ…】
【いいこと?シルフィオーネ。
貴方は私たちに生かされているのよ。
だから、貴方はその恩に報いなければならないわ。ラベンナと私の言いつけは守らなくてはいけませんよ?】
【シルフィオーネ!部屋から出るなと言ったでしょう?血は一滴も繋がって居ないけれど私は貴方のお義母様なのよ?もちろん、言うことは聞けるわよねぇ?】
【シルフィオーネ!!わたくしの方が美しいのだから敬いなさいっ】
【シルフィオーネ、本当に気持ち悪い声ね。喋らないでちょうだいっ耳が痛いわ!】
ここはカスティリア王宮。
わたしはシルフィオーネ・クラン・カスティリア第二王女。
この国には妃が3人いる。いや、いた。
そして、王子が1人、王女が2人。
レオン第一王子を産んだ正室のアリナ様は王子が5歳の頃に病死。
シルフィオーネ第二王女を産んだ側室ソフィア様は産んだ直後になくなった。
結果、残ったのは側室のドミニカ様。未だに正室には公式になっていないもの、女王様気取りである。
そして、その娘 ラベンナ第一王女を目に入れても痛くない程に可愛がりとんでもない娘へと育てて言った。
ずきりと痛む肌。
ペロンとネグリジェをめくれば見えるのは痛々しい紫色。
一つ一つ、ドミニカ様方の機嫌の悪い日に会ってしまった結果である。
私はいつまで…ここで虐められ続けるのだろうか。
もう…やめよう。誰も助けてくれない。誰も助けられない。私が出来ることはこれ以上被害者を出さないこと。
使用人もメイドも傷つかないように。
ひとまず、今日はこのまま眠ってしまおう。疲れてしまった…
そうして、ベッドに体を沈めた。ベットからはフカフカの手触りと清潔な感じから使用人の優しさを感じる。
どれほど、部屋を汚されてもいつも綺麗にしてくれるのだ。
そうして心地よいシーツの上で私は眠った。
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