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第2章 生活
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しおりを挟む何故ベットから降りる時にアランさんを頼らなかったかと聞かれ、読書中だったなんて言えるわけもなく頼みづらかったと嘘ではないことを伝えた。
それに、あんな怪我をするとは毛頭思っていなかったのだ。
正直に言って今回は自分の失敗だ。
なのに、アランさんはご飯が無しになってしまった。
それなのに、自分はご飯が食べられる。
肩を痛めたためか、アルフレッドさんは私を離してくれず、ずっと膝に乗せたままだ。
「ほら、エレナ。あーん」
フォークに料理を突き刺して私の口に運んでくれる。だが、私はそれを口に含めない。
「どうした?」
アルフレッドさんが心配そうに顔を覗き込んでくる。
「あ、の…ベットから落ちたのは私が悪いんです。だからアランさんを許してください…」
「うーん、でもアランがもっとエレナを気にしてれば良かった話なんだ。だから、少なからず責任はあるんだよ。マフィアってのは責任は自分で取るもんだ。仕方がないんだよ」
な?とアルフレッドは私に問いただしてくる。
「だったら、私も責任取ります。今回は私が自分で失敗したことだから自分で責任取ります。ご飯なしでいいです」
「エレナはマフィアじゃないだろ?」
マフィアじゃない。間違いではないその言葉に少し心が痛くなる。まるで、家族ではないと言われているようだ。
「もぉーアンタ達!いい加減にしなさいよぉ!」
クラウスさんに怒られる。
「あ、そういえばエレナちゃんの左肩がしばらく不調じゃあ面倒みないとねっ」
「面倒…?」
アルフレッドさんとイヴァンさんが反応する。
「だって片手使えないんでしょお?
まず着替えは私がやるとして食事、お風呂…あとはベットとか?」
ベット??
「いや、寝る時は逆に添い寝されたら邪魔でしょう?」
イヴァンさんによって私の疑問が代弁される。
「いや、添い寝じゃなくてベットから下ろす係のことよ。今回からベットから降りるのも危険ってわかったでしょお?」
「いえ、アズーロのベットは落ちないで…」
「あぁ、たしかに危ねぇな。誰かが降ろさねぇとまた肩を打つかもな!」
アルフレッドさんがなんかノリ気だ…
「エレナは俺を起こす係だし、俺が一緒に寝て起こされてベットから降ろすってことでいいいよな!」
「いや、だから一緒に寝るのはかえって良くないんじゃ…」
「エレナー今夜は俺と寝るよな?」
笑顔で聞いてくる。
「………や、です」
「ん?」
「いやです」
はっきりアルフレッドさんの目を見て言った。アルフレッドさんはしばし目を瞬いて固まっている。
「ちょ、アルフレッドがショックで動けないんだけど…エレナちゃん?どーしちゃったの?」
「今夜は私、寝ないしご飯も食べません。アランさんはなにも悪くないです。私が悪いのに……アランさんにもご飯をあげてください。そうじゃないと…私、ご飯も食べませんしアルフレッドさんと一緒に寝ません。
廊下で寝ます」
言葉にしながら手が震えてくる。ぎゅっと服を掴み声が震えないように意識する。
自分の意思を伝えるのってこれほどまでに怖いものなんだ。
「……おい、リック。アラン連れてこい」
部屋の隅にいたリックさんによってアランさんが連れてこられる。
「はい、お呼びですか…?」
アランさんもなぜ呼ばれたのか疑問で不思議そうな顔をしている。
「アラン、ちょっとこっちこい。」
アルフレッドさんは座っている自分に少しずつアランさんを近づけさせる。
そして、割と近くなった瞬間。ガッとアランさんの顎を掴み口に野菜を突っ込んだ。
アランさんは何が何だか分からず混乱しながら咀嚼する。
「よし、これでアランは飯を食った!ほら、エレナしっかり食え!!」
アルフレッドさんは大きい声を出して新しいフォークにお肉を突き刺し私の口に運んだ。
それをパクッと食べる。
「美味しい…」
しっかりと食べた私を見てアルフレッドさんがにかっと笑った。
「アラン、今回の罰は無しだ。エレナがお前が食わねぇなら私も食べないと聞かねぇ。
だから、今回は不問にする。ただし、今度エレナが近くにいて怪我をさせてみろ。腕一本は貰うからな。」
「いや、でも…」
「いいから、はいって言え。エレナがご飯を食べないだろ!!」
イヴァンさんが何やらアランさんに耳打ちする。
「はい!」
良かった…安心出来たので心地よく食事を始める。
「ところで、エレナ?」
「はい?」
「俺と、一緒に寝るよな?
アランに飯も食わせるし、いいよな?」
そわそわしながら聞いてくる。
「はい、さっきはごめんなさい。
一緒に寝てくれますか?」
「あぁ、当たり前だろ」
そう言うと頭を撫でてくれる。
なんだか、撫でられたり抱っこされるのが少しずつ癖になって来た気がする…
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