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第1章
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しおりを挟む絶対絶命。
冒険者である少女は、刀身の折れた剣を握りしめて居た。
足元に転がる屍の数々とは、少女の同業者だった冒者達である。
そして、少女を取り囲む形でぐるぐる旋回しているそれらは、魔物と呼ばれる冒険者達の敵であった。
少女は、ただただ恐怖に怯え、震え上がる。
そして、飛びかかってきた一体の魔物を視界先に死を覚悟した、
その時だった。
「!!?」
魔物の悲鳴が、空間に木霊した。
『どうして魔物の悲鳴が?』
少女はそう思った次の瞬間にも、かの者の姿を視界に捉える。
かの者ーー漆黒のローブを身に纏い、身の丈以上もある大剣を突き出しては、魔物を一突きには串刺しにする。
そして驚くべきは、その素顔である。
かの者の素顔とは、人間や亜族の者とは似ても似つかない獰猛な獣顔をしているではないか。
少女の理解は追い付かない。
ただそんな少女の戸惑いを置き去りに、かの者は次々と魔物を駆逐していく。
まるでダンスを踊っているかのようには軽やかに、また鬼神の如し戦況の果て、次々と魔物を肉塊へと変えていく。
それは、ものの数秒の出来事。
冒険者が手も足も出なかった魔物達とは、突如として現れた獣顔によって、一瞬には駆逐されていった。
『これは、夢か?』
少女は、夢のような現実に頭を悩ませる。
そして、
とある伝承が、少女の脳裏に過ぎり走っていた。
『地下ダンジョンには、冒険者にも魔物にも似つかない”ウルフマン(魔獣の男)と呼ばれる者が存在する』
それはかつて、少女が迷宮ダンジョンに入る事を決めた際の、地上にある冒険者ギルドで聞いたとある噂話。もとい、伝承に過ぎない……筈だった。
かの者を、見るまでは。
「無事か、冒険者よ?」
獣顔のーーウルフマン(魔獣の男)を目の前にして、少女はこれが夢ではないと、自覚する。
それが獣顔と、とある冒険者である少女の、初めての邂逅であった。
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