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楽園創造編
敵が攻めてきました
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敵影の知らせを受けて、城内は慌ただしくなっていた。
「おい、敵が責めてきやがったらしいぞッ!」
「どうしてこの場所のことを知ってるんだ!」
「細けぇことはいいから、とっととぶっ潰しに行こうぜ!」
血気盛んな魔族たち。
放っておけば、今にも飛び出していきそうな勢いだ……わたしがしっかりしなくちゃ!
「とにかく、みんな落ち着いて⁉︎ ととと、とりあえず……つ、机の下っ! 机の下に隠れて!」
「ビルマ様、とりあえず落ち着いてください」
ザラトは冷静にそう言って、次に魔物たちを一瞥した。
「静まりなさい、ビルマ様がお困りではありませんか」
「「「申し訳ありません、ビルマ様!」」」
魔物たちが一斉に頭を下げてくる。また「よし野郎ども、ビルマ様の命令通り机の下で待機だッ!」と、全力で机の下に潜りはじめた。
ザラトはやれやれといった様子で、肩を竦めた。
「ではビルマ様、我々はお茶の続きに戻りましょうか?」
「あんたは少しくらい動揺しろ!」
とりあえず、わたしはザラトを連れて作戦会議室へと移動する。
「ザラト! 至急、四魔皇は作戦会議室へ呼んで!」
四魔皇──わたしに仕える魔族の中でも、最高戦力の四人をそう呼んでいる。
因みに、ザラトも四魔皇の一人だ。
数分後、かくして四魔皇の面々が作戦会議室へ姿を見せた。各々は円卓の席へと座る。
そして緊迫した雰囲気の中、作戦会議が始まる──
「みんな、緊急事態よ。何者かが、ガレオン船でこの島に進行中とのことよ。そうなんだよね、ザラト?」
「左様でございますビルマ様。偵察の者の話では、冒険者たちのようですね」
「ぼ、冒険者⁉︎ どうして冒険者がこの島のことを……ここのことは、極秘裏に進めてたはずだよね? 誰も島から出てないし、情報が漏れるなんてことはないと思うんだけど……」
「裏切り者がいるのかもしれません」
「裏切り者!」
「はい。ただ確定したわけではありませんから、今はこれら冒険者たちをどう対処するかを考える方が先です」
「そ、そうだよね。でも、対処するって言っても……」
「──ついに俺の出番、か」
と、そう言って立ち上がったのは四魔皇がその一人──ゼペス・ハーゼット。目が隠れるほどの紫色の髪に、褐色の肌。黒の鎧姿で、右目には眼帯を、背中には身の丈以上もある魔剣をさげている。
見た目としては、いかにも頼りになる歴戦の戦士って感じなんだけど──
「血が、疼く……」
と、この通りかなり痛々しい。右眼に封印されし云々と言っているけれど、彼自身が邪本人だったりするのだ。だけど彼は、飽くまでも今の自分は邪竜をその身に宿した呪われた戦士(設定)と言い張るので、そのように扱っている。
まあ、力は本物なんだけどね……。
「ねぇねぇビルマ様ぁ? あれ全部ボクが追い払ったら、なにかご褒美くれる?」
と、そう言った金髪少年は死霊貴シャーロット・シャンティ──死霊を死肉に憑依させて操るネクロマンサーだ。
彼もまた四魔皇の一角。見た目は10歳くらいの金髪王子といった感じだが、普段は使役する死体たちに囲まれているから絵面が最悪。
「じゃあ、ここは二人に任せるってことで。ビルマ、僕は帰らせてもらうよ」
そして最後の四魔皇が彼ベルモット・ハデス──吸血鬼だ。
いかにも引きこもり男子って感じで……てか引きこもり。いつも部屋でコソコソ、意味不明な研究ばっかりやっている。
今日この場に集まってくれたことが奇跡的な、四魔皇の中でも一番の実力を持っているとされる彼だ。だがしかし、とにかくヤル気がない!
(ああ、本当にどうしたらいいの!?)
確かに実力はあるだろう彼らだけど、いざこうなると本当に任せていいのかと心配になってくる。
それに、彼らはわたしの家族みたいなものだし、怪我でもしたら一大事だ。
よし、こうなったら……。
「じゃあ、わたしが行って平和的交渉を──」
「ダメです」「ダメ!」「ダメに決まっているだろう」
ダメだった!
なぜか、そこだけは一致団結する面々。
わたしって、そんなに頼りないのかな……。
「分かりました。では、こうしましょう」
と、ザラトは言った。
「独立起動魔導兵器 武甕雷を起動させるのです」
耳を疑った。まさか、ついにアレの封印を解くっていうの⁉︎
武甕雷──この兵器を島で発見したのは、一年くらい前の話……。
偶然見つけた謎の地下施設に、その武甕雷は眠っていたのだ。
『ザラト、なんかすごいイケメンの人形があるんだけど……』
『えーと、なになに……』
と、ザラトは近くに落ちていた資料をペラペラめくる。
『なるほど……ビルマ様、これはどうも独立起動魔導兵器のようですね』
独立起動魔導兵──それは数百年前に勃発したとされる魔族と人類の総力戦にて、人間側が極秘に開発していたとされる幻の魔導兵器だ。
通常、魔導兵器は魔力の供給源たる魔力供給者が必要とされているけど、この独立起動魔導兵器は大気中の魔素を取り込みエネルギーへと変換させる装置が体内へ組み込まれているので、魔力供給者を必要としないとか。
──と、もちろんそんな都合の良いことばかりは起きるわけではない。伝承によれば、起動実験中に魔力暴走が発生。研究施設ごと爆散したとされている。
『で、どうすんのこれ?』
『とりあえず、持ち帰りましょう』
『いやいや、危ないでしょっ⁉︎ 爆発したらどうするのよ⁉︎』
『安心してください。どうもこれは未完成のようなので、爆発するようなことはないかと。ですので、この武甕雷が爆発しないよう、ビルマ様が創造すればいいのです』
『いや無理でしょ⁉︎』
できました。しかも、これが案外あっさりと。わたしの創造魔法も、かなり進化したものだ。
ただ創造したはいいものの、起動させないといけないような緊急事態なんてなかったし、なにより爆発したら困るからずっと武器庫に眠らせていたんだけど──今がまさに、その緊急事態に直面している。
「良い機会です。起動実験も兼ねて、武甕雷を動かしてみましょう」
「そんな、危なくない⁉︎」
ザラトはわたしの肩をぽんぽんと叩いて、にっこりと笑ってみせる。
「ビルマ様の創造したものに、間違いはありません」
「ザラト……」
「もっと自分の力を信じてください、ビルマ様」
ザラトのその言葉を受けて、なんだか勇気が出てきたかも……。
「仮に爆発したとしても、その時はみんな揃ってあの世逝きなのでなんら問題はありませんよ」
うっ、やっぱり不安だ……。
「も、もう少し様子を見てからでも……」
「ダメです」
こうして、わたしとザラトは武甕雷の眠る武器庫へ。
「ではビルマ様、さっそく起動させましょう。資料によりますと、製作者が頭を撫でると起動するようですよ」
「案外あっさり起動するんだね⁉︎」
「ですよ。さあ、早く起動させないと冒険者たちが上陸してきますよ」
ええい、仕方ない……こうなればヤケクソだ!
わたしは武甕雷の頭を、そっとなでなでして──ウィィィィンッ!
「な、なんか凄い音が鳴ってるんですけど⁉︎」
「やはり爆発するかもしれませんね。ビルマ様、あの世でも仲良くやりましょう」
「勝手に殺すなぁあ!」
と、爆破エンドを覚悟した瞬間だった。
武甕雷から鳴っていた音が、静かに止んでいく。
「システム、オールグリーン。体内冷却終了。 ホイール回転停止、接続を解除。 補助電圧に問題なし。魔蔵庫への接続完了。 コミュニケーション回線、開きます」
理解不能なことを口走る武甕雷の目が、ゆっくりと開かれた。
「おはようございます、我が主、ビルマ・マルクレイド様。武甕雷です。武ちゃんと、気軽にそうお呼びください」
「えっと、じゃあ……武ちゃん?」
「頭をなでなですると、武ちゃんは喜びます」
「は、はぁ……」
「喜びます」
なんだか強要されている気がするので、頭を撫でてあげることに。
なでなで。
「えへへ」
武甕雷は、ニコニコと笑っていた。本当に喜んでるみたい。なんか、可愛いな……。
そんな武甕雷を、ザラトが冷たい表情で見ている。
「おい武甕雷、機械の分際であまりビルマ様に馴れ馴れしく──」
「黙れ雑種。気安く拙者に話しかけるな。虫唾が走る」
ザラトが武甕雷へ本気で殴りかかろうとする──が、武甕雷は身軽にそれを避けてみせた。勝ち誇った顔を見せる。
「ふん、蛮族めが」
なんか太々しいんだけど⁉︎
「召使いとしてこき使ってやろうと考えていたのですが、これでは無理そうですね」
「ザラト、なんか裏があると思ったらそういうことだったのね……」
「仕方ありません。ビルマ様が直接この糞ガキに命令してやってください」
「う、うん……」
わたしは、武甕雷と向かい合いお願いすることにした。
「お願い武ちゃん。あのね、島の緊急事態なの。とりあえず、話をつけてきてくれない?」
「頭、なでなでして欲しいです」
「えっと、いいけど……」
なでなで。
「かしこまりましたビルマ様。この武甕雷、敵を殺さない程度に殲滅して参ります」
「いやいや、だからそういうことじゃなくて──」
「では、行って参ります!」
武甕雷は足から炎を噴射させて、そのまま窓の外へと飛んでいった。
不安だ!
◾️
数十分後。
「ビルマ様、ご報告ですッ!」
伝令役の魔族が、血相を変えて会議室へと入ってきた。
「武甕雷! みごと敵船を沈めてみせましたッ!」
な、なんだってー⁉︎
「おい、敵が責めてきやがったらしいぞッ!」
「どうしてこの場所のことを知ってるんだ!」
「細けぇことはいいから、とっととぶっ潰しに行こうぜ!」
血気盛んな魔族たち。
放っておけば、今にも飛び出していきそうな勢いだ……わたしがしっかりしなくちゃ!
「とにかく、みんな落ち着いて⁉︎ ととと、とりあえず……つ、机の下っ! 机の下に隠れて!」
「ビルマ様、とりあえず落ち着いてください」
ザラトは冷静にそう言って、次に魔物たちを一瞥した。
「静まりなさい、ビルマ様がお困りではありませんか」
「「「申し訳ありません、ビルマ様!」」」
魔物たちが一斉に頭を下げてくる。また「よし野郎ども、ビルマ様の命令通り机の下で待機だッ!」と、全力で机の下に潜りはじめた。
ザラトはやれやれといった様子で、肩を竦めた。
「ではビルマ様、我々はお茶の続きに戻りましょうか?」
「あんたは少しくらい動揺しろ!」
とりあえず、わたしはザラトを連れて作戦会議室へと移動する。
「ザラト! 至急、四魔皇は作戦会議室へ呼んで!」
四魔皇──わたしに仕える魔族の中でも、最高戦力の四人をそう呼んでいる。
因みに、ザラトも四魔皇の一人だ。
数分後、かくして四魔皇の面々が作戦会議室へ姿を見せた。各々は円卓の席へと座る。
そして緊迫した雰囲気の中、作戦会議が始まる──
「みんな、緊急事態よ。何者かが、ガレオン船でこの島に進行中とのことよ。そうなんだよね、ザラト?」
「左様でございますビルマ様。偵察の者の話では、冒険者たちのようですね」
「ぼ、冒険者⁉︎ どうして冒険者がこの島のことを……ここのことは、極秘裏に進めてたはずだよね? 誰も島から出てないし、情報が漏れるなんてことはないと思うんだけど……」
「裏切り者がいるのかもしれません」
「裏切り者!」
「はい。ただ確定したわけではありませんから、今はこれら冒険者たちをどう対処するかを考える方が先です」
「そ、そうだよね。でも、対処するって言っても……」
「──ついに俺の出番、か」
と、そう言って立ち上がったのは四魔皇がその一人──ゼペス・ハーゼット。目が隠れるほどの紫色の髪に、褐色の肌。黒の鎧姿で、右目には眼帯を、背中には身の丈以上もある魔剣をさげている。
見た目としては、いかにも頼りになる歴戦の戦士って感じなんだけど──
「血が、疼く……」
と、この通りかなり痛々しい。右眼に封印されし云々と言っているけれど、彼自身が邪本人だったりするのだ。だけど彼は、飽くまでも今の自分は邪竜をその身に宿した呪われた戦士(設定)と言い張るので、そのように扱っている。
まあ、力は本物なんだけどね……。
「ねぇねぇビルマ様ぁ? あれ全部ボクが追い払ったら、なにかご褒美くれる?」
と、そう言った金髪少年は死霊貴シャーロット・シャンティ──死霊を死肉に憑依させて操るネクロマンサーだ。
彼もまた四魔皇の一角。見た目は10歳くらいの金髪王子といった感じだが、普段は使役する死体たちに囲まれているから絵面が最悪。
「じゃあ、ここは二人に任せるってことで。ビルマ、僕は帰らせてもらうよ」
そして最後の四魔皇が彼ベルモット・ハデス──吸血鬼だ。
いかにも引きこもり男子って感じで……てか引きこもり。いつも部屋でコソコソ、意味不明な研究ばっかりやっている。
今日この場に集まってくれたことが奇跡的な、四魔皇の中でも一番の実力を持っているとされる彼だ。だがしかし、とにかくヤル気がない!
(ああ、本当にどうしたらいいの!?)
確かに実力はあるだろう彼らだけど、いざこうなると本当に任せていいのかと心配になってくる。
それに、彼らはわたしの家族みたいなものだし、怪我でもしたら一大事だ。
よし、こうなったら……。
「じゃあ、わたしが行って平和的交渉を──」
「ダメです」「ダメ!」「ダメに決まっているだろう」
ダメだった!
なぜか、そこだけは一致団結する面々。
わたしって、そんなに頼りないのかな……。
「分かりました。では、こうしましょう」
と、ザラトは言った。
「独立起動魔導兵器 武甕雷を起動させるのです」
耳を疑った。まさか、ついにアレの封印を解くっていうの⁉︎
武甕雷──この兵器を島で発見したのは、一年くらい前の話……。
偶然見つけた謎の地下施設に、その武甕雷は眠っていたのだ。
『ザラト、なんかすごいイケメンの人形があるんだけど……』
『えーと、なになに……』
と、ザラトは近くに落ちていた資料をペラペラめくる。
『なるほど……ビルマ様、これはどうも独立起動魔導兵器のようですね』
独立起動魔導兵──それは数百年前に勃発したとされる魔族と人類の総力戦にて、人間側が極秘に開発していたとされる幻の魔導兵器だ。
通常、魔導兵器は魔力の供給源たる魔力供給者が必要とされているけど、この独立起動魔導兵器は大気中の魔素を取り込みエネルギーへと変換させる装置が体内へ組み込まれているので、魔力供給者を必要としないとか。
──と、もちろんそんな都合の良いことばかりは起きるわけではない。伝承によれば、起動実験中に魔力暴走が発生。研究施設ごと爆散したとされている。
『で、どうすんのこれ?』
『とりあえず、持ち帰りましょう』
『いやいや、危ないでしょっ⁉︎ 爆発したらどうするのよ⁉︎』
『安心してください。どうもこれは未完成のようなので、爆発するようなことはないかと。ですので、この武甕雷が爆発しないよう、ビルマ様が創造すればいいのです』
『いや無理でしょ⁉︎』
できました。しかも、これが案外あっさりと。わたしの創造魔法も、かなり進化したものだ。
ただ創造したはいいものの、起動させないといけないような緊急事態なんてなかったし、なにより爆発したら困るからずっと武器庫に眠らせていたんだけど──今がまさに、その緊急事態に直面している。
「良い機会です。起動実験も兼ねて、武甕雷を動かしてみましょう」
「そんな、危なくない⁉︎」
ザラトはわたしの肩をぽんぽんと叩いて、にっこりと笑ってみせる。
「ビルマ様の創造したものに、間違いはありません」
「ザラト……」
「もっと自分の力を信じてください、ビルマ様」
ザラトのその言葉を受けて、なんだか勇気が出てきたかも……。
「仮に爆発したとしても、その時はみんな揃ってあの世逝きなのでなんら問題はありませんよ」
うっ、やっぱり不安だ……。
「も、もう少し様子を見てからでも……」
「ダメです」
こうして、わたしとザラトは武甕雷の眠る武器庫へ。
「ではビルマ様、さっそく起動させましょう。資料によりますと、製作者が頭を撫でると起動するようですよ」
「案外あっさり起動するんだね⁉︎」
「ですよ。さあ、早く起動させないと冒険者たちが上陸してきますよ」
ええい、仕方ない……こうなればヤケクソだ!
わたしは武甕雷の頭を、そっとなでなでして──ウィィィィンッ!
「な、なんか凄い音が鳴ってるんですけど⁉︎」
「やはり爆発するかもしれませんね。ビルマ様、あの世でも仲良くやりましょう」
「勝手に殺すなぁあ!」
と、爆破エンドを覚悟した瞬間だった。
武甕雷から鳴っていた音が、静かに止んでいく。
「システム、オールグリーン。体内冷却終了。 ホイール回転停止、接続を解除。 補助電圧に問題なし。魔蔵庫への接続完了。 コミュニケーション回線、開きます」
理解不能なことを口走る武甕雷の目が、ゆっくりと開かれた。
「おはようございます、我が主、ビルマ・マルクレイド様。武甕雷です。武ちゃんと、気軽にそうお呼びください」
「えっと、じゃあ……武ちゃん?」
「頭をなでなですると、武ちゃんは喜びます」
「は、はぁ……」
「喜びます」
なんだか強要されている気がするので、頭を撫でてあげることに。
なでなで。
「えへへ」
武甕雷は、ニコニコと笑っていた。本当に喜んでるみたい。なんか、可愛いな……。
そんな武甕雷を、ザラトが冷たい表情で見ている。
「おい武甕雷、機械の分際であまりビルマ様に馴れ馴れしく──」
「黙れ雑種。気安く拙者に話しかけるな。虫唾が走る」
ザラトが武甕雷へ本気で殴りかかろうとする──が、武甕雷は身軽にそれを避けてみせた。勝ち誇った顔を見せる。
「ふん、蛮族めが」
なんか太々しいんだけど⁉︎
「召使いとしてこき使ってやろうと考えていたのですが、これでは無理そうですね」
「ザラト、なんか裏があると思ったらそういうことだったのね……」
「仕方ありません。ビルマ様が直接この糞ガキに命令してやってください」
「う、うん……」
わたしは、武甕雷と向かい合いお願いすることにした。
「お願い武ちゃん。あのね、島の緊急事態なの。とりあえず、話をつけてきてくれない?」
「頭、なでなでして欲しいです」
「えっと、いいけど……」
なでなで。
「かしこまりましたビルマ様。この武甕雷、敵を殺さない程度に殲滅して参ります」
「いやいや、だからそういうことじゃなくて──」
「では、行って参ります!」
武甕雷は足から炎を噴射させて、そのまま窓の外へと飛んでいった。
不安だ!
◾️
数十分後。
「ビルマ様、ご報告ですッ!」
伝令役の魔族が、血相を変えて会議室へと入ってきた。
「武甕雷! みごと敵船を沈めてみせましたッ!」
な、なんだってー⁉︎
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