ゴブリンキング

泥水すする

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第5章 最終決戦ゴブリン

終末歴1820年 12月17日

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 古城マルテンブルクでの生活は、特になに不自由なく過ぎていきます。
 この城に着いて数日、バカルディとクロウの心と体は幾分か回復していました。
 夜、四階の大食堂にて、バカルディとクロウが静かに夕食をとっている時でした。
「よく似合ってるじゃないか」
 現れたエルトマは、ドレス姿の二人を眺め優しく笑いました。
 そのドレスもまた、かつて城で暮らしていた貴族の女性たちが纏っていただろうドレス。
 当時程の煌びやかさはないものの、見劣りはしないくらいの華やかさは今も尚健在です。
 バカルディは自身の着ている真っ赤なドレスへと目線を落とし、苦い顔を作りました。
「あたしは湿気臭くて嫌なんだけど」
 クロウはすかさず口を挟みます。
「前の臭いよりはマシだよ」
「どういう意味よ」
「バカルディ、汗っかきだから」
「……はぁ!? なによあんた! あたしの体臭がきついって言いたいわけ!?」
「そうは言ってないけど、バカルディがそう言うならそうなのかも」
 バカルディは顔を真っ赤にして、金切り声を上げます。
「きぃいい! あたしはね、前衛として動くから仕方ないの。後ろの隅で魔法を唱えてるだけのあんたとは運動量がまるで違うのよ」
「むっ、クロウだってちゃんと動いてる。それにクロウはバカルディと違ってちゃんと匂いには気を付けてるもん」
 二人は険しい顔付きを浮かべ、睨み合いました。
 そんな二人の姿を見て、エルトマは堪らず朗らかな笑い声を出していました。
「変わらないな、お前たちは」
 エルトマはテーブルの一席に座って、対面する二人の顔をまじまじと眺めます。
「だが、本当に、見違える程綺麗になった」
「今更なに言ってんのよ。あれから三年よ、成長くらいするわ」
「ああ。でも、俺からすれば三年とは実に早いものだ。年老いた者にとって、時間とはあっという間に過ぎていくのさ」
「あーやだやだ、爺臭い話なんて聞きたくない。行きましょ、クロウ」
 席を立ち上がったバカルディに対して、クロウはジッとエルトマを見つめたまま、席を離れとはしませんでした。
 口だけを動かし、言います。
「バカルディ、先に部屋に戻ってて」
「なんでよ」
「エルトマと、二人きりで話したい」
 クロウの真摯な声を受けて、バカルディは素直に驚いていました。
 何故なら、クロウとはずっとエルトマを避けてきたからです。
 それもクロウの過去を考えれば仕方のないことだと割り切っていたこと。
 それがまさか、自分から二人で話したいと言い出すなんて……一体どういう風の吹き回しか。
「ほんとにいいの、クロウ」
「うん。いいんだ」
 バカルディは揺るぎないクロウの意思を感じ取り、これ以上の言及は無意味だと悟りました。
 次に、エルトマへと目配せます。
「エルトマ、あんたはどうなの」
「……構わない」
「そう。ただね、余計なこと言ってクロウを傷付けたら、マジで殺すから」
「ああ、気をつけるとしよう」
 ほんとかよ。
 未だエルトマに対し半信半疑な思いを抱くバカルディにとって、二人だけを残すのは些か不安なことでした。
 ですが、結局はどうすることも出来ずその場を後にします。
 バカルディが去って、クロウとエルトマは見つめ合ったまましばらく固まっていました。
 意を決して、クロウが口を開きます。
「こうして二人になるのは久しぶりだね」
 エルトマは頷きました。
「ああ、そうだな」
「聞いていい、エルトマ」
「なんだ」
「クロウのこと、今でも好き?」
「……もちろん、お前は俺の一番弟子だ。目に入れても痛くはないさ」
 その声、瞳を受けて、クロウの心に暖かいものが蘇っていました。
 それはまるで、三年前のあの日に戻ったかのように。
 クロウは満たされた気分となって、ニコニコと笑みを零します。
「良かった。やっぱり、エルトマはエルトマなんだ」
 最早、クロウに迷いはありませんでした。
 決意は固まっていたのです。
 故に、言うのです。
「じゃあお願い、エルトマ。クロウの大好きなキングの為に、死んで」
 それこそ、クロウが切に願う思いでした。
 続けて言います。
「エルトマが裏切ったと聞いたとき、絶対にあり得ないと思った。だって、エルトマはいつもみんなのことを考えている凄い人だって、クロウ知ってたから。だからね、思ったんだ。エルトマは……グラッドマンに嵌められたんだって」
 エルトマの瞳に動揺が走ります。
「まさかクロウ……お前は初めから、気付いていたのか」
「うん。だってグラッドマン、悪いやつだから。いつも、クロウたちのこと見下してた。みんなは分かってないんだろうけど、クロウには分かる。グラッドマンは、クロウの家族を殺した悪いやつと同じ悪い目をしてるから」
「そう、か……でもなら、どうしてやつの命令になんか従っていたんだ」
「どうしてって、そんなこと決まってる」
 クロウは、エルトマを真っ直ぐと見つめます。
「エルトマを殺して、クロウも死ぬ為だよ」
 その瞬間、エルトマは悟っていました。
 クロウがこれまでどんな思いで生きてきて、そしてこの場にやってきたことを、我がごとのように感じ取っていたのです。
 クロウは力強い口調で、話し続けます。
「エルトマなんの為に姿を消したか、そんなことはどうだって良かった。ただクロウは、エルトマに置いていかれたことが悲しかった。ずっと一緒にいるって約束した。それなのにエルトマは、クロウの約束よりも違うことを選んだ。連れていってもくれなかった。だからクロウは、エルトマを許せなかったんだ」
「……そうか。悪かったな、クロウ。確かにお前の言う通りだ。どんな理由を付けても、俺がクロウを裏切ったことに変わりはない。それに、俺の誤った選択が仲間たちを殺したのも事実だ」
 エルトマは悲しげな瞳を作り、天井を見上げました。
「どこで間違ったのだろう、俺は」
「間違ってないと思う。エルトマは、きっとそういう人だったんだ。自分のことよりもみんなを、みんなのことよりも世界を、そんな優しくて責任感の強い人だったんだよ。別にもう否定したりはしない。クロウはそんなエルトマと一緒にいれたことを、誇りに思うよ。だけど、ごめんね……」
 クロウは涙目を浮かべ、エルトマに頭を下げました。
「キングの為に、死んで欲しい」
 嗚咽(おえつ)を上げて泣くクロウを眺めるエルトマの目にも、光るものが込み上げてきます。
「そんなに、あの男が大事か」
「うん……キングは、クロウの為に命を懸けて闘ってくれたから。キングはクロウのこと、大事にするって言ってくれたから。一生側にいるって、約束してくれたから……だから……」
 その言葉全ては、かつてエルトマがクロウに言ったことと同じセリフばかりでした。
 違いがあるとすれば、エルトマはその約束全てを放棄し、誰が望んでいるかも分からない世界の安寧を選んだのです。
 三年前の、あの日。
 ドラゴンヘッドの隊長であったエルトマは、とある魔物との戦いに挑みました。
 死闘ーー強大な力を持つその魔物に、ドラゴンヘッド一行は何度も窮地に陥っていました。
 その時にも、エルトマは選択を見誤ったのです。
 これ以上は仲間の命が危険だと、戦線を離脱しようとした時でした。
 仲間の一人が、グラッドマンに言ったのです。
『その魔物を、生かして返してはいけない。グラッドマンが言っていたではありませんか……この戦いは、人類を救済する為の戦いだと……だから、闘ってください』
 そのうち、また違う仲間の一人が言いました。
『エルトマ様、私たちの思いを託しました。だから、どうか……』
 また一人。
『心は、ずっとエルトマ様と共にあります』
 そして、
『……こんなもの、なのか……お前は、なんの戦っているのかッ!?』
 そう叫んだのは、対峙する魔物の方でした。
 エルトマの背で倒れた仲間たちは、既に息絶えていました。
 それでもエルトマは、戦う選択を選んだのです。
 それが仲間の望みであり、人類の為であると信じるが故に。
 グラッドマンの言葉を思い返し、
『エルトマ、これは人類を救済する聖戦となる』
 魔物の言葉に耳を塞ぎ、
『お前は間違っているッ! お前たちが今やろうとしていることは、世界に破滅を呼ぶ! その身は……もう二度と元には戻れなくなるぞ!』
 そして、エルトマの下した最後の選択とはーー
『……ああ、そんな……』
 結局、不幸でしなかった。
 魔物を殺して得たもの、それは受け継がれてきた悪魔の力をその身に継承したに過ぎませんでした。
 国堕としーーそれはかつて、幾千の国を滅ぼしたとされる悪魔の軍隊。
 そんな封印の鍵を、エルトマはその魔物より受け継いでしまったのです。
 たったのそれだけ。
 その対価は、あまりにも重いものでした。
『すまない……みんな……』
 どんなに懺悔しても、死んだ者たちが目を覚ますことはありません。
 救えたかもしれない命。
 疑念を抱きつつあったグラッドマンの命令なぞ、聞かなければよかった。
 仲間が負傷した時、すぐに退いておけばよかった。
 最後まで瞬間まで戦いを拒んでいたその魔物の言葉に、少しでも耳を傾けておけばよかった。
 いや、一番は……

 他人の言葉なんて関係ない。
 初めから、自分の気持ちに正直になっておけばよかったのだ。
 俺は仲間たちを死なせたくなかった。
 また仲間たちを救う力が、俺にはあったというのに……

 エルトマは凄惨な記憶を想起しながら、ただ悲しみに暮れることしかできませんでした。
 だからこそクロウとバカルディの選択した道に、恋い焦がれて止まないのでしょう。
「お前たちは、立派だ。あの男が魔物であったことを知っても、それでも尚やつを生かすことを、俺にはできなかった選択を、お前たちは選び抜いたのだからな」
 クロウは涙を手の甲で払いながら、言います。
「ずっと、クロウは魔物のことを恨んでた。だから、キングは自分の正体を知られたくなかったかもしれない。だからずっと、顔を隠していたのかもしれない。でもそんなこと、もうどうだっていい。クロウはただ、クロウの信じるキングを信じることにした。これは、クロウのワガママなんだよ……」
 その言葉を聞いて、エルトマの答えは決しました。
 もはや、再びクロウが自分のことを選んでくれるかもしれないという女々しい期待などを失せ切っていました。
 代わりに芽生えてきたのは、クロウの親として最後に果たすべき義務、その決意。
「了解したクロウ。この命に誓って、冒険者キングを蘇生させてみせる。だからもう、泣くな」
 言ったエルトマとて、その瞳は涙で潤んでいました。



 その世界では、時間の流れが異様に早くーー
 キングがその村に訪れて、実に五年もの月日が流れようとしていました。
「お父ちゃんっ!」
 キングの胸に飛び込んでくる女の子が一人。
 その後ろから覚束ない足取りで歩く男の子とは、続けてキングの腕の中に入ってきました。
「あらあら、あなたたちほんとお父さんが大好きね」
 愛おしい我が子と、一生の愛を誓い合った夫を眺めて、アイルは幸せそうに微笑みます。
「おいお前たち。また母さんを困らせなかっただろうな」
 キングはアイルと結婚し、双子を授かっていました。
 双子はやんちゃな娘と、気弱な息子。
 娘はアイルによく似ており、息子の方はキングと瓜二つの容姿をしています。
 娘はほっぺたをぷくっと膨らませ、キングの胸を叩きました。
「ちゃんとお利口さんにしてたもんっ!」
「ああ、悪かった。そうだな」
 次に、キングは黙ったまま可愛らしい瞳を浮かべる息子の頭を撫でました。
 すると、息子は途端にデレッとハニカミ、キングの胸に顔を埋めました。
 夕飯の準備をしていたアイルは尋ねます。
「今日の狩りはどうだった?」
「大きな収穫があった。今日も大量だ」
 村の働き手として森に食糧調達へと赴いていたキングとは、夕方頃にも自宅へと帰ってきます。
 今日もまたそんな当たり前の一日とは過ぎ、キングは暖かい団欒を囲んでいたのです。
 悪くない。
 キングはここでの生活に、とても満足していました。
 争うこともない、平和な毎日。
 村人たちは、誰一人として死んでいない。
 かつて殺した筈の山賊たちも何故か村の一員として、今ではキングの最良の仲間たちです。
 そこに、不満を抱く余地はありませんでしたが……
「どうしたの、キング」
 夕飯後、子供たちの寝静まった夜。
 アイルは、物憂げな瞳を浮かべて窓向こうの星空を眺めるキングに尋ねました。
「なんか、考えてるでしょ?」
「いや、別に」
「うそ。私には分かるの」
 アイルはキングの背中を抱き締めます。
「森で、なんかあったんでしょ?」
 キングは苦笑いを浮かべました。
「全く、お前はやけに勘が鋭い」
「当たり前でしょ。だって私は、あなたの奥さんなのよ。世界で一番、あなたのことをよく知ってるわ。だから、言ってよ」
 キングは迷いましたが、結局は話すことに決めました。
「森の中で、おかしなやつらと遭遇した」
「おかしなやつら?」
 キングは頷きました。
「武装した者たちだった。この付近じゃまず見掛けない、怪しいやつらだ」
「……それで、どうしたの?」
「いや、なにも。気付かれないよう、その場を離れた」
 その言葉を聞いて、アイルは嬉しそうに微笑みました。
「賢い選択だわ。多分、彼らは冒険者たちよ」
「冒、険者?」
「そう。好き好んで戦いを望む野蛮な存在。彼らの道なりには、常に屍が生まれる。だからキング、彼らと接触してはダメ」
 アイルは、床で健やかな寝息を立てる二人の我が子へと目線を落としました。
「私たちのことを思うなら、絶対にダメよ」
「……ああ、分かっている」
「約束よ?」
「無論だ」
「今度見捨てたら……絶対に許さない」
「なんの話だ」
「……ふふ、冗談よ」
 アイルは笑い、そのまま台所へと引っ込んでいきます。
「お腹空いたでしょ? 夜食でも作るわ」
「ああ、頼む」
 キングは再び、窓の向こうへと瞳を戻しました。
 次に目を閉じて、瞼裏に冒険者と呼ばれる者たちの姿を思い浮かべます。
 その冒険者たちは、二人だった。
 二人とも、まだ若い女たちであった。
 彼女たちは、まるで誰かを探すように森の中をずっと彷徨っていた。
 何故か、彼女たちの行動に目を奪われてしまう自分がいた。
 理由は、分からない。
 分からないが……
「俺は、このままで本当によいのだろうか」
 キングの胸に、チクチクとした痛みは走り過っていたのです。

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