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第2章 ラクスマリア城とラクシャータ王女の剣
10話 努力をしてこなかった俺
しおりを挟む胸糞悪いぜ全く、デスゲーム云々の前に、まさか異世界事情に巻き込まれるなんて…
「グイン!俺は今何をすればいいんだ!?教えてくれ!?」
「…ちょ、たけし声が大きいっ」
「グイン!俺は今猛烈に怒っている!許せないんだよ、マジで…」
「た、たけし…」
いつも人は勝手だ。
俺の知らないとこで勝手には俺の事を判断して、勝手には俺の事を蔑もうとする。確かに俺はどうしようねぇクズ野郎だが、それにしたってあんまりだろこんなの?
まだ異世界転生してあんまし時間も経ってないというのにも関わらず、生前と同じようにまた俺は誰かに虐げられるってのか?
ふざけるな…むかつくむかつく、許せねぇ…
てか、あれ?俺は今何でこんなにも怒ってるんだ?感情が死んだはずじゃーーーーてそんな事は今はどうだったいいか、うん。
「とにかくグイン、俺に今出来ることを教えてくれ。すまんが俺はろくに勉強してこなかったせいか全く何していいか思いつかねぇ…あ、でも今更勉強しろってのはなしだぜ?そもそも俺は勉強なんかする以前に机につけないほどに馬鹿なんだ…全く」
いじめを言い訳にするわけじゃないが、学校で机に向かう時間なんていつ何される警戒するばかりだったからな。家に帰っても机はほぼほぼ物置代わりだったし…
「グイン、お願いだ…俺は…」
俺はこの異世界ベルハイムで変わるって決めたんだ。
こんなとこで躓いてられるか…だから…
俺は懇願した。
懇願して懇願して、いつしか土下座までしていた。
『そこまでする必要があったのか?』
いやあるだろ、そうまでしないと俺は何もできないし、これまで何もしてこなかったわけだからよ。
いままで人生サボッておいて、今更「どうしていいから分かりませんッ!教えて下さいッ!」とかマジダサいにも程があんだろ、なぁ俺!?
俺のは「分からない」んじゃなくて、そもそも「分かろうとする努力」をこれ迄しなかったからこんなにも慌てふためいてるわけだろ!?
時間は山程あった、学べる教材も、環境も、全部持ってた。でも俺は何もしなかった。
不遇なイジメばっかを言い訳にして、それを何かで補おうとすることを何もしなかった。
イジメられてる自分を変えよう、見返そう、だから勉強しよう、他人がどうこうじゃなくて、自分自身がどうあるべかを考えよう、そんな強かな姿勢こそ人間の持てる素晴らしい部分だよなぁっ!なぁ俺!?
確かにいきなり異世界事情に巻き込まれるのは些かハードル高いと思いけどよぉ…
「考える姿勢ぐらい持とうぜ、俺」
「たけし!もういい!君の気持ちはよく分かった!だからこれ以上自分を責めるな!」
「でも、でもなグイン…」
「悪いのは君じゃない。君はよく頑張ってきた。初めてたけしと会った当初もそうだが、ラクシャータ様の護衛任務についてからもそうだった。君は常には高みを目指し、限界を超えようと努力していたではないか?だからこそラクシャータ様は君を認めたんだぞ?あの偏屈で知られるラクシャータ様がだぞ?それに…私だって…」
「ぐ、グイン?」
見ると、グインの顔は紅潮していた。
突然どうした?熱か?
「はっ!?いかんいかん、私としたことが…と・に・か・く、たけし、君は君が思っている以上に凄い奴なんだよ!そんな君に私は力を貸したい、確かに君は結構な馬鹿なようだが…で、でもそんなに自身を恥じるな!分かったな!?」
な、何か…すっげー褒められながら貶されているような…
『ま、いっか』
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