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しおりを挟む不可思議な出会い、未知との邂逅。
視界先のベルウルフ見ては、つくづくそう思うです。
「ところで、お前は何故この場所に?」
「狩りです」
「狩り?」
「そうです。村の食事事情を脅かすモンスターを狩りに来たのです」
と言っても?
「どうやら、貴方が倒してくれたみたいですけどね?」
私は駆逐されたグリーズの群れを眺めてそうは言います。
「このグリーズ達がニジマスを悉く食らっていたみたいなのですよ」
「ああ、そういうことか」
ベルウルフは拳を打って頷きました。
「別に頼んでわけじゃありませんが、結果として助かりました。有難う御座います」
「どうもどうも。俺としてはいきなりこいつらが襲ってきたもんだから、ただ無我夢中でやっつけたに過ぎない」
ですか。
「では、私はこれで」
と、私は立ち上がります。
流石の寝坊助ピコもそろそろ起きている頃合いでしょう。
当初の目的も達成されましたし、これ以上長居は無用です。
「いや、ちょっと待てよ!」
帰ろうとして、切羽詰まった口振りのベルウルフに呼び止められました。
「えっと、何ですか?」
「いやいやいや……もう、行ってしまうのか?」
「え?そのつもりですが?」
見たらわかるでしょう?そうは言って上げるのです。
「日が暮れてはいけません。日の落ちた山とは、それはそれは恐ろしい場所なのです」
と、これはお爺さんの受け売りですが。
「ベルウルフ、貴方もいくらそのアサルトライフルがあると言って油断してはいけませんよ?夜はモンスターの行動が活発となる魔の時間帯です」
それに、なんと言っても恐れるべきは魔物の存在、ですね。
「忠告はしておきましたよ?では」
「待て!」
腕を掴まれました。
「???」
「あ、いやこれはその……あれだ、つまり、俺はこう言いたい」
出来れば、明日も会えたりしないか?
とのことを、ベルウルフは必死な形相で提案してきました。
正直に、私はこう尋ねてあげるのです。
「何故?」
と。
するとベルウルフは、
「……とある、事情がある」
ブツブツと呟きます。
「そうは言われましても、私も暇ではないのです」
「ぐ、具体的には?」
守秘義務です、って程ではないので教えてあげましょう。
私は村のハンターです、とは前置きに、
「最近、この付近一帯には大量のモンスター達が集まって来ているようなのです。私はハンターとして、それらモンスターを掃討しなければなりません。それと、モンスターが大量発生している理由の調査を少しばかり」
「モンスターの大量発生、か……」
おや?
「ベルウルフ、貴方もしや何か心当たりが?」
「いや、全く」
「そうですか。ではさようなら」
「だから待てっての!」
またまた腕を掴まれました。物凄い力で、です。
「乱暴な男は嫌われますよ?」
「あ、すまん。でも、俺だって引けない理由があるんだ。分かってくれ」
「それは、その守秘義務とやらの事ですか?」
ベルウルフは頷きます。
また、こうは言うのです。
「分かった。では、こうしようじゃないか。俺はお前のその仕事とやらを全面的にバックアップする」
ベルウルフはアサルトライフルを構え見せます。
「遅れは取らない」
そんな自信満々には言われても……
「……そうして頂けたらすごく助かりはしますがね、貴方がそうする理由が理解できません」
どうせ守秘義務が~とは、そうは言うのでしょう?
「貴方の事は口外しないと約束しますので、貴方は貴方で単独行動した方が動きやすいのでは?」
「いや、それはそうなんだがな……実を言うと、この地域についてを詳しく知りたかったりする」
「……あれ、守秘義務はいいのですか?」
「ああ、この際そうも言ってられんからな」
えぇ……守秘義務の義務性とは。
「兎に角、明日、この辺りで待ってるから」
ベルウルフは私の肩に手を置いて、「よろしくぅ!」とは親指を立てました。
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