20 / 112
第一章 おけつの危機を回避したい
二十話
しおりを挟む
――ブルブル……。
「……はひっ!?」
いきなり、おけつが震えて目が覚めた。慌てて、ポケットに手ぇ突っ込んで、スマホのアラームを止める。
目を開けたら、晴海の白Tが間近にあって、「おろ」と思う。おれ、なして晴海に引っ付いて寝とるんやろ……。
あ、そうや。
昨夜は、愛野くんに会って。べえべえ泣きながら帰ったら、晴海が「何や何や」て出迎えてくれて。ほんで、「励ましゲーム会」を開催してくれたんやったっけ。
いつの間にか、寝落ちしてしもたんやな。晴海はSwitch握ったまんま、寝息立てとった。ベッド狭いから、横向いてんのか仰向いてんのか、ようわからん姿勢で寝ころんどる。
「ふふふ。なんか猫みたいやね」
起こさへんように、ベッドの真ん中に移動させる。まだ時間早いから、ゆっくり寝といてな……。足元に丸まっとる布団、かけようとして――おれは目がまん丸になった。
――でっかー!?
晴海、朝立ちしとるが。
いや、それ自体は珍しないのよ。おれもするし。
でも、なんか、めっちゃデッカイねんて。テントどころか、「おたくの山、標高何メートル?」いう感じなんやけど。いやあ、デカブツ言うとったんは、誇張表現やなかったんやね……。
「はっ」
思わず、まじまじと見てしもてから、我に返る。
あかんあかん。共同生活において、朝立ちは素知らぬふりがマナーやろ!
おれは、晴海にそっとお布団をかけて、ベッドを下りた。
「べつに、喫茶店を止めろなんて言わねー。こんだけ盛り上がってて、今さら中止なんてなったら顰蹙買うだけだし」
大橋は、ダルそうに頬杖をついて言う。おれらは、教室の隅で車座になって喋っとった。
学祭まで間がないから、早朝に準備することになってな。愛野くんの元気のええ声が、教室に響いとる。
「まあ、喫茶店のオマケにされんのは気に食わねえけど。それだけで見られるように、どんだけ手間をかけたと思ってんだか」
「そうやんな。みんなですごい時間かけて作ってんもんな……」
うんうんと頷く。
教室いっぱいに展示する予定やったから。まず紙自体おっきいし、絵の具塗るだけでも大変やったもんね。その甲斐あって、ド迫力の出来やから、作品をよく見てもらえへんのは切ない。
桃園も、眉をへにゃって下げる。
「調理スペースとか考えると、どうしても絵の全部は見てもらえないよね。それは、僕もちょっと悲しくて」
「だから、言ったろ。みんな絵なんて興味ないんだよ」
大橋は鼻で笑った。竹っちが、「じゃあさ」と声を上げる。
「展示場所、替えてみるって言うのはどうだろ? 喫茶店は喫茶店でするとしてさ。トリックアートも単独で展示するってのは?」
「お、いいじゃん!」
上杉が、パチンと指を鳴らす。と、鈴木が不安そうに言った。
「でも、今から展示する場所なんて、あるか?」
「被服室で良かったら、空いてんで? あのでかい机も、どかそう思ったらどかせるし」
晴海の提案に、山田が顔を明るくする。
「ホントか? なあ、どうよ大橋――」
「どうもこうも無い」
「ええっ!? なんで?」
大橋は、いやそうにため息を吐いた。
「そんなことしたって、「目立ちたがり」とか「非協力的」とか言われるだけだ。せっかくの絵のイメージまで悪くなって、良いことないだろ。俺はチヤホヤされたくて、文句言ってんじゃねえ」
「大橋……」
みんな、「うーん」と考え込んだ。
何ぞ、ええ案はないものか。
みんな、喫茶店を止めさせたいわけやないのよ。ここまで頑張ってきたトリックアートを、悲しい気分で眺めたくはないだけで。
「――何してるんだ?」
ふいに、怪訝そうな声が頭の上におってくる。
振り返ったら、藤崎やった。後ろに、愛野くんもおる。晴海が顎をあげて、藤崎に答えた。
「トリックアート班と、展示のことで話してんねん」
「え、なにを?」
愛野くんが首を傾げる。
山田が眉根を寄せたんを見て、おれは慌てて口を開く。
「ほら、色々あるやん? 展示の方法とかさ……」
「じゃあ、トリックアート班の人、こっちに来てくれよ。どういう風に展示するか、良太と話してみたんだ!」
愛野くんは、「なっ!」と藤崎と笑い合う。
ギュッと口を引き結んだ大橋を横目で見て、桃園が意を決したように話し出した。
「あのね。僕たち、喫茶店がいやなわけじゃないんだ。それは前提として、聞いてほしいんだけど。いきなり案が変わってしまったから、少し戸惑ってる部分があって……」
「え。何なにっ? 何が?」
「その……喫茶店をしたら、展示のスペースが縮小されるよね。ちゃんと絵が見てもらえないんじゃないかって……」
桃園の言葉に、愛野くんはにっこりした。
「ああ、そういうこと? 大丈夫だよ! ちゃんと、展示ありきの喫茶店だから。ガチのトリックアート飾ってる喫茶店なんてないし、絶対すげえと思うんだ!」
「あ……そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど」
愛野くんは、ぐっと握りこぶしを掲げる。
「やるからには、一番いいのにしたいだろ! それに、ただ絵を飾ってるだけより、喫茶店にした方が人も来るって!」
次の瞬間、大橋がガバッと立ち上がった。人を殺しそうな目で、愛野くんを睨みつける。
「ざけんな。てめえの客寄せの為に、描いた絵じゃねーんだよ!」
鋭く吐き捨てると、大橋は教室を出て行ってしもた。愛野くんは、「え……」と息を飲んで立ち尽くす。
「大橋っ!」
桃園と山田が、弾かれたように追っかけていく。
「や、やばいぞ」
「俺らも追っかけよう!」
慌てて走り出しかけたとき、「天使、大丈夫か?!」と藤崎の声が聞こえてきた。
「良太……俺、なんかマズいこと言ったのかな? 俺なりに、頑張ってんだけど……」
「ああ。天使は、皆の為を考えてるよ」
藤崎は、愛野くんの肩を抱いて慰めとる。おれは、これだけは言うとかなと思って、一歩進み出た。晴海が心配そうにしたのに、笑って見せる。
「愛野くん。トリックアート、美術室に見に来てくれた?」
「それは……まだだけど。でもちゃんと、スマホで見せてもらって」
おれは、首を振る。
「あのトリックアートは……大橋らがリーダーしてくれてな、ええ作品にしようって。みんなで一生懸命作って来てん。愛野くんが、喫茶店頑張ってるんとおんなじくらい、気持ちこもってんねん。そこんとこ、わかってほしい」
「……ッ!」
愛野くんの顔が、かあっと赤くなる。みるみるうちに、大きい目に涙が盛り上がったと思うと――
「天使!」
愛野くんは、教室を飛び出してってしもた。藤崎が、すぐに後を追う。
「……はわ」
泣かした。言い過ぎたんやろか。自分の事、わりかし棚に上げて……
おろおろしとったら、晴海が肩をガシッと抱いてくれた。
「シゲル、よう言うた!」
みんなも、笑顔で背中叩いてくれて。おれは、ホッとして……その場にへたりこんでしもた。
「……はひっ!?」
いきなり、おけつが震えて目が覚めた。慌てて、ポケットに手ぇ突っ込んで、スマホのアラームを止める。
目を開けたら、晴海の白Tが間近にあって、「おろ」と思う。おれ、なして晴海に引っ付いて寝とるんやろ……。
あ、そうや。
昨夜は、愛野くんに会って。べえべえ泣きながら帰ったら、晴海が「何や何や」て出迎えてくれて。ほんで、「励ましゲーム会」を開催してくれたんやったっけ。
いつの間にか、寝落ちしてしもたんやな。晴海はSwitch握ったまんま、寝息立てとった。ベッド狭いから、横向いてんのか仰向いてんのか、ようわからん姿勢で寝ころんどる。
「ふふふ。なんか猫みたいやね」
起こさへんように、ベッドの真ん中に移動させる。まだ時間早いから、ゆっくり寝といてな……。足元に丸まっとる布団、かけようとして――おれは目がまん丸になった。
――でっかー!?
晴海、朝立ちしとるが。
いや、それ自体は珍しないのよ。おれもするし。
でも、なんか、めっちゃデッカイねんて。テントどころか、「おたくの山、標高何メートル?」いう感じなんやけど。いやあ、デカブツ言うとったんは、誇張表現やなかったんやね……。
「はっ」
思わず、まじまじと見てしもてから、我に返る。
あかんあかん。共同生活において、朝立ちは素知らぬふりがマナーやろ!
おれは、晴海にそっとお布団をかけて、ベッドを下りた。
「べつに、喫茶店を止めろなんて言わねー。こんだけ盛り上がってて、今さら中止なんてなったら顰蹙買うだけだし」
大橋は、ダルそうに頬杖をついて言う。おれらは、教室の隅で車座になって喋っとった。
学祭まで間がないから、早朝に準備することになってな。愛野くんの元気のええ声が、教室に響いとる。
「まあ、喫茶店のオマケにされんのは気に食わねえけど。それだけで見られるように、どんだけ手間をかけたと思ってんだか」
「そうやんな。みんなですごい時間かけて作ってんもんな……」
うんうんと頷く。
教室いっぱいに展示する予定やったから。まず紙自体おっきいし、絵の具塗るだけでも大変やったもんね。その甲斐あって、ド迫力の出来やから、作品をよく見てもらえへんのは切ない。
桃園も、眉をへにゃって下げる。
「調理スペースとか考えると、どうしても絵の全部は見てもらえないよね。それは、僕もちょっと悲しくて」
「だから、言ったろ。みんな絵なんて興味ないんだよ」
大橋は鼻で笑った。竹っちが、「じゃあさ」と声を上げる。
「展示場所、替えてみるって言うのはどうだろ? 喫茶店は喫茶店でするとしてさ。トリックアートも単独で展示するってのは?」
「お、いいじゃん!」
上杉が、パチンと指を鳴らす。と、鈴木が不安そうに言った。
「でも、今から展示する場所なんて、あるか?」
「被服室で良かったら、空いてんで? あのでかい机も、どかそう思ったらどかせるし」
晴海の提案に、山田が顔を明るくする。
「ホントか? なあ、どうよ大橋――」
「どうもこうも無い」
「ええっ!? なんで?」
大橋は、いやそうにため息を吐いた。
「そんなことしたって、「目立ちたがり」とか「非協力的」とか言われるだけだ。せっかくの絵のイメージまで悪くなって、良いことないだろ。俺はチヤホヤされたくて、文句言ってんじゃねえ」
「大橋……」
みんな、「うーん」と考え込んだ。
何ぞ、ええ案はないものか。
みんな、喫茶店を止めさせたいわけやないのよ。ここまで頑張ってきたトリックアートを、悲しい気分で眺めたくはないだけで。
「――何してるんだ?」
ふいに、怪訝そうな声が頭の上におってくる。
振り返ったら、藤崎やった。後ろに、愛野くんもおる。晴海が顎をあげて、藤崎に答えた。
「トリックアート班と、展示のことで話してんねん」
「え、なにを?」
愛野くんが首を傾げる。
山田が眉根を寄せたんを見て、おれは慌てて口を開く。
「ほら、色々あるやん? 展示の方法とかさ……」
「じゃあ、トリックアート班の人、こっちに来てくれよ。どういう風に展示するか、良太と話してみたんだ!」
愛野くんは、「なっ!」と藤崎と笑い合う。
ギュッと口を引き結んだ大橋を横目で見て、桃園が意を決したように話し出した。
「あのね。僕たち、喫茶店がいやなわけじゃないんだ。それは前提として、聞いてほしいんだけど。いきなり案が変わってしまったから、少し戸惑ってる部分があって……」
「え。何なにっ? 何が?」
「その……喫茶店をしたら、展示のスペースが縮小されるよね。ちゃんと絵が見てもらえないんじゃないかって……」
桃園の言葉に、愛野くんはにっこりした。
「ああ、そういうこと? 大丈夫だよ! ちゃんと、展示ありきの喫茶店だから。ガチのトリックアート飾ってる喫茶店なんてないし、絶対すげえと思うんだ!」
「あ……そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど」
愛野くんは、ぐっと握りこぶしを掲げる。
「やるからには、一番いいのにしたいだろ! それに、ただ絵を飾ってるだけより、喫茶店にした方が人も来るって!」
次の瞬間、大橋がガバッと立ち上がった。人を殺しそうな目で、愛野くんを睨みつける。
「ざけんな。てめえの客寄せの為に、描いた絵じゃねーんだよ!」
鋭く吐き捨てると、大橋は教室を出て行ってしもた。愛野くんは、「え……」と息を飲んで立ち尽くす。
「大橋っ!」
桃園と山田が、弾かれたように追っかけていく。
「や、やばいぞ」
「俺らも追っかけよう!」
慌てて走り出しかけたとき、「天使、大丈夫か?!」と藤崎の声が聞こえてきた。
「良太……俺、なんかマズいこと言ったのかな? 俺なりに、頑張ってんだけど……」
「ああ。天使は、皆の為を考えてるよ」
藤崎は、愛野くんの肩を抱いて慰めとる。おれは、これだけは言うとかなと思って、一歩進み出た。晴海が心配そうにしたのに、笑って見せる。
「愛野くん。トリックアート、美術室に見に来てくれた?」
「それは……まだだけど。でもちゃんと、スマホで見せてもらって」
おれは、首を振る。
「あのトリックアートは……大橋らがリーダーしてくれてな、ええ作品にしようって。みんなで一生懸命作って来てん。愛野くんが、喫茶店頑張ってるんとおんなじくらい、気持ちこもってんねん。そこんとこ、わかってほしい」
「……ッ!」
愛野くんの顔が、かあっと赤くなる。みるみるうちに、大きい目に涙が盛り上がったと思うと――
「天使!」
愛野くんは、教室を飛び出してってしもた。藤崎が、すぐに後を追う。
「……はわ」
泣かした。言い過ぎたんやろか。自分の事、わりかし棚に上げて……
おろおろしとったら、晴海が肩をガシッと抱いてくれた。
「シゲル、よう言うた!」
みんなも、笑顔で背中叩いてくれて。おれは、ホッとして……その場にへたりこんでしもた。
11
お気に入りに追加
170
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
海の藻屑となり君と
風早 雪
BL
死に救いを求める受けーー雑食闇の腐女子に捧ぐおすすめBL小説
幼馴染三人、朔、修斗、海の三人はお付き合いの後結婚。第一子を身籠り幸せな毎日を送っていたのだが、、、。執着攻め二人×流され受け(馬鹿ではない) *男性妊娠、出産、多重婚、死産、鬱、監禁、自傷表現あり 苦手な方はお読みにならないようご注意ください。お好きな方は安心してお進みください。初めての小説投稿です。至らぬ点などお気軽にお申し付けください。
カクヨム、Pixiv、アルファポリス、ノベルアップ+、エブリスタ、魔法のiらんど、野いちご、ノベマ!、ベリカフェ、ノベルバにも重複投稿予定です。
くんか、くんか Sweet ~甘くて堪らない、君のフェロモン~
天埜鳩愛
BL
爽やかスポーツマンα × 妄想巣作りのキュートΩ☆ お互いのフェロモンをくんかくんかして「甘い❤」ってとろんっとする、可愛い二人のもだきゅんラブコメ王道オメガバースです。
オメガ性を持つ大学生の青葉はアルバイト先のアイスクリームショップの向かいにあるコーヒーショップの店員、小野寺のことが気になっていた。
彼に週末のデートを誘われ浮かれていたが、発情期の予兆で休憩室で眠ってしまう。
目を覚ますと自分にかけられていた小野寺のパーカーから香る彼のフェロモンに我慢できなくなり、発情を促進させてしまった!
他の男に捕まりそうになった時小野寺が駆けつけ、彼の家の保護される。青葉はランドリーバスケットから誘われるように彼の衣服を拾い集めるが……。
ハッピーな気持ちになれる短編Ωバースです
聖也と千尋の深い事情
フロイライン
BL
中学二年の奥田聖也と一条千尋はクラス替えで同じ組になる。
取り柄もなく凡庸な聖也と、イケメンで勉強もスポーツも出来て女子にモテモテの千尋という、まさに対照的な二人だったが、何故か気が合い、あっという間に仲良しになるが…
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
悪役令息の兄には全てが視えている
翡翠飾
BL
「そういえば、この間臣麗くんにお兄さんが居るって聞きました!意外です、てっきり臣麗くんは一人っ子だと思っていたので」
駄目だ、それを言っては。それを言ったら君は───。
大企業の御曹司で跡取りである美少年高校生、神水流皇麗。彼はある日、噂の編入生と自身の弟である神水流臣麗がもめているのを止めてほしいと頼まれ、そちらへ向かう。けれどそこで聞いた編入生の言葉に、酷い頭痛を覚え前世の記憶を思い出す。
そして彼は気付いた、現代学園もののファンタジー乙女ゲームに転生していた事に。そして自身の弟は悪役令息。自殺したり、家が没落したり、殺人鬼として少年院に入れられたり、父に勘当されキャラ全員を皆殺しにしたり───?!?!しかもそんな中、皇麗はことごとく死亡し臣麗の闇堕ちに体よく使われる?!
絶対死んでたまるか、臣麗も死なせないし人も殺させない。臣麗は僕の弟、だから僕の使命として彼を幸せにする。
僕の持っている予知能力で、全てを見透してみせるから───。
けれど見えてくるのは、乙女ゲームの暗い闇で?!
これは人が能力を使う世界での、予知能力を持った秀才美少年のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる