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第一部 決闘大会編
百八十五話
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須々木先輩を見送って、しみじみと感慨にふける。
つくづく、話せて良かった。先輩が、今までどんな気持ちで支えてくれたか知れて、胸が熱くなる。
「先輩の気持ちに恥じねえように、気合いいれてくぞっ」
決意新たに拳を握って、顔をあげる。と、窓からイケメンが生えていた。
「のわぁあ!?」
「トキちゃん、おはよ」
どっどっど、と高鳴る心臓を押さえて、俺は後じさる。
イノリは「よいしょっ」と、かけ声も軽やかに部屋に入ってきた。
――び、びっくりしたあ!
「何で窓から入ってくんの、お前?!」
「えーと、先輩とすれ違ったら気まずいかと思ってー」
「新入部員かっ!」
つっこむ俺をよそに、イノリはいつもの席に座った。マイペースにメシを広げはじめたので、俺も対面に腰を掛ける。
「……どうした?」
すると、イノリが俺の顔を見つめて、ニコニコしていた。
「トキちゃん、いろいろうまくいったー?」
「へ? なんで?」
「ほっぺがゆるゆるだからー」
出し抜けに聞かれて面食らってると、頬をぷにっとつつかれる。
どうやら、めっちゃ顔に出てたらしい。自分の顔をぺたぺた触っていると、イノリのニコニコ具合が増していく。
「よかったね、トキちゃん。おつかれさまー」
「おう! サンキュ、イノリ」
イノリとメシ食いながら、午前の顛末を報告した。
姫岡先輩に教科書を返すとき、白井さんの様子がおかしかったって話をしたら、イノリは首を捻っていた。
「姫岡と白井さんて、知り合いだったんだー? なんか意外な組み合わせだねえ」
「ほうほう。てか、イノリって白井さんと知り合いなん?」
「んー。警備の関連で、ちょこちょこ話すくらいだよー。あ、でもねぇ、副会長は仲いいみたい?」
「へええ」
イノリが言うには、小等部から一緒なんだそうだ。そういわれると、「おどるクマちゃん」の話を聞いたときも、親しげな雰囲気だったような。
「ふむふむ」と頷いていると、イノリがじっと一点を見つめてるのに、気づく。
「ん?」
首を傾げると、長い指でブレスレットをちょんとつつかれる。
「トキちゃん、これ。須々木先輩から? すげー似合ってるねぇ」
「へへへー。サンキュ。俺も、すげー気に入ってんだ!」
「ん。俺も、前のやつよりすきー」
イノリはニコニコして、俺の手首をじっと見ている。
その眩しいような目に、俺は「あっ」と閃いた。勢いで、イノリの顔の横に手首をかざしてみる。――レモン色の石が、日差しを浴びて透明にキラキラ光った。
「やっぱりっ。これ、お前の目の色そっくりじゃん! ほら、魔法使うときの!」
「……ぇっ」
「はー。どうりで、キレイなはずだわ」
これ、貰ったときに「なんか見覚えあるな」って思ったんだよなあ。謎が解けて、スッキリだぜ。
――と、イノリの顔が、桃が熟れるみたいに真っ赤に染まった。
「うおお! どうした?!」
「ご、ごめ……でも、トキちゃんてホントさぁ……!」
「?」
イノリは、でっかい手で顔を覆って、暫く黙ってた。俺は、不思議に思いつつ、イノリの背中をぽんぽん叩いてやった。
イノリのやつ、たまにこういうのあるんだよな。大丈夫かいな。
つくづく、話せて良かった。先輩が、今までどんな気持ちで支えてくれたか知れて、胸が熱くなる。
「先輩の気持ちに恥じねえように、気合いいれてくぞっ」
決意新たに拳を握って、顔をあげる。と、窓からイケメンが生えていた。
「のわぁあ!?」
「トキちゃん、おはよ」
どっどっど、と高鳴る心臓を押さえて、俺は後じさる。
イノリは「よいしょっ」と、かけ声も軽やかに部屋に入ってきた。
――び、びっくりしたあ!
「何で窓から入ってくんの、お前?!」
「えーと、先輩とすれ違ったら気まずいかと思ってー」
「新入部員かっ!」
つっこむ俺をよそに、イノリはいつもの席に座った。マイペースにメシを広げはじめたので、俺も対面に腰を掛ける。
「……どうした?」
すると、イノリが俺の顔を見つめて、ニコニコしていた。
「トキちゃん、いろいろうまくいったー?」
「へ? なんで?」
「ほっぺがゆるゆるだからー」
出し抜けに聞かれて面食らってると、頬をぷにっとつつかれる。
どうやら、めっちゃ顔に出てたらしい。自分の顔をぺたぺた触っていると、イノリのニコニコ具合が増していく。
「よかったね、トキちゃん。おつかれさまー」
「おう! サンキュ、イノリ」
イノリとメシ食いながら、午前の顛末を報告した。
姫岡先輩に教科書を返すとき、白井さんの様子がおかしかったって話をしたら、イノリは首を捻っていた。
「姫岡と白井さんて、知り合いだったんだー? なんか意外な組み合わせだねえ」
「ほうほう。てか、イノリって白井さんと知り合いなん?」
「んー。警備の関連で、ちょこちょこ話すくらいだよー。あ、でもねぇ、副会長は仲いいみたい?」
「へええ」
イノリが言うには、小等部から一緒なんだそうだ。そういわれると、「おどるクマちゃん」の話を聞いたときも、親しげな雰囲気だったような。
「ふむふむ」と頷いていると、イノリがじっと一点を見つめてるのに、気づく。
「ん?」
首を傾げると、長い指でブレスレットをちょんとつつかれる。
「トキちゃん、これ。須々木先輩から? すげー似合ってるねぇ」
「へへへー。サンキュ。俺も、すげー気に入ってんだ!」
「ん。俺も、前のやつよりすきー」
イノリはニコニコして、俺の手首をじっと見ている。
その眩しいような目に、俺は「あっ」と閃いた。勢いで、イノリの顔の横に手首をかざしてみる。――レモン色の石が、日差しを浴びて透明にキラキラ光った。
「やっぱりっ。これ、お前の目の色そっくりじゃん! ほら、魔法使うときの!」
「……ぇっ」
「はー。どうりで、キレイなはずだわ」
これ、貰ったときに「なんか見覚えあるな」って思ったんだよなあ。謎が解けて、スッキリだぜ。
――と、イノリの顔が、桃が熟れるみたいに真っ赤に染まった。
「うおお! どうした?!」
「ご、ごめ……でも、トキちゃんてホントさぁ……!」
「?」
イノリは、でっかい手で顔を覆って、暫く黙ってた。俺は、不思議に思いつつ、イノリの背中をぽんぽん叩いてやった。
イノリのやつ、たまにこういうのあるんだよな。大丈夫かいな。
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