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番外編2 ○○が好きなメイドと、誕生日祝いの話
夢のようなお仕事(1)
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「リリリさ~ん!」
魔王様のお誕生日の翌日。
昼過ぎにライト様のお部屋へ伺うと、いつもはソファに座ってにこにこ出迎えてくれるライト様が、嬉しそうに私に抱き着いた。
かわいいいいいい、けど、魔王様に申し訳ない……けどかわいい!
「魔王さん、すっごく喜んでくれたよ!」
「本当ですか!? やった!」
二人で手を合わせてジャンプまでして喜んでしまった。
……魔王様、絶対に喜ばれるとは思っていたけどね。
「見た目はもちろんだけど、ここのリボンをほどくの、特に楽しそうだった。細かい位置の調整ありがとう、リリリさん」
ライト様がご自身の胸元を指差す。
服で隠れていて見えないけど、魔王様の専属の証である紋が入っている場所だ。
「作っていて楽しかったので、お礼を言うのは私の方です!」
「あ、魔王さん用に作ってもらったのも、すっごく喜んでたよ。着心地が最高だって」
「あれこそ、ライト様の指示通りに作っただけですから。でも、喜ばれたなら私も嬉しいです!」
「うん。それに……すっごく俺好みでかっこよかった」
「ふふっ、ライト様にも気に入って頂けたなら、ますます嬉しいです!」
よかった……。
魔王様用……オーダーメードでお願いされていた魔王様へのプレゼント用の下着のことだ。
こっちはかわいさなんて微塵もない、魔王様の髪色に合わせた黒いパンツだけど……ライト様が「魔王さんが履いていてリラックスできて……俺が見て、かっこよくてドキドキしちゃうパンツにしたいんだよね」と、あまりにかわいすぎて失神しそうなことをおっしゃったので、かわいくはなかったけど、ベビードールと同じくらい真剣に取り組んだものだ。
まぁ、「魔王さんの履き心地が良いように、前をちょっと立体的にして……素材は肌触りが良くて伸縮性があって……見た目がかっこよくなるように黒と、パイピングは濃いグレーで……」と細かく指定をくださったので、全くその通りに作っただけだけど。
正解が作れていたかは不安だったから、喜ばれていたなら何より。
ま、ライト様からのプレゼントを喜ばないわけが無いか。
とにかくこれで肩の荷が下りた。
次は……
「あの、ライト様。一つ相談させて頂きたいことがあるのですが……」
「ん? なに?」
ライト様はしっかり話を聞く体勢だよと言うように、ソファに腰を下ろして首を傾げた。
うぅ、お心遣いも仕草もかっわいい!
「えっと、もうお誕生日が終わったので、ライト様のいた異世界では下着もかわいくするというのをみんなに話しても良いですよね?」
「うん。いいよ」
「それで、あの……自分でも色々作ってみたんです。こんな感じで!」
「えっ!?」
ワンピースの裾をエプロンごとたくし上げて、力作の下着をライト様に見せる。
ピンクの生地で白いレースを淵につけて、生地より濃い目のピンクの糸で刺繍を入れて、リボンを縫い付けて……とにかくかわいくした一番気に入っている下着!
「え? ちょ、あ、え?」
「かわいくないですか? 見えにくいかもしれないですけど、生地と近い色の糸で刺繍も……」
「ま、まって、リリリさん、ちょ、え、す、すかーと! スカートおろして、ね?」
「え?」
なんで慌てるんだろう?
そんなに変だった?
「はい……」
スカートを降ろすと、ライト様は「ふぅ……」と大きな深呼吸をされてから私に向き合う。
「ごめんね。ちょっと、俺のいた世界では……下着姿を見て良いのは恋人や家族くらいだったから……」
「へぇ……?」
何でだろう?
異世界って下着もオシャレって言っていたのに?
私だったらむしろ見てもらいたくて仕方がないと思うけど。
あ!
「そういえば、好きな人のための特別な下着って言っていましたよね? 他の方には内緒ってことですね!?」
「いや、別に好きな人のためだけでなく、自分で楽しむためだけにかわいい下着を身に着ける人も多かったからそういうことでもなくて……下着って……うーん? そういうこともあるのかな? えっと……」
ライト様、以前の仮装パーティーの時も下着が見えるのはお嫌みたいだった。
ベビードールを作る時に異世界のパンツを見せてくれた時も、少しは恥ずかしそうだったし。
異世界って感覚が違うんだ?
しっかり見て欲しかったけど……仕方ないか。
「上手く説明ができないんだけど……あ、でも、チラっと見えた下着はすごくかわいかったよ」
「本当ですか!? やった! 自信作なんです! これ、友だちに見せたり、欲しい子がいたらあげたりしてもいいですか?」
この二ヶ月半で作りすぎちゃったから。
まぁ、こんなにかわいいの、「かわいすぎ」って言われるだけかもしれないけど。
「もちろんいいよ。実は……」
ライト様が少し照れたような笑顔になる。
なんだろう? かわいい。
魔王様のお誕生日の翌日。
昼過ぎにライト様のお部屋へ伺うと、いつもはソファに座ってにこにこ出迎えてくれるライト様が、嬉しそうに私に抱き着いた。
かわいいいいいい、けど、魔王様に申し訳ない……けどかわいい!
「魔王さん、すっごく喜んでくれたよ!」
「本当ですか!? やった!」
二人で手を合わせてジャンプまでして喜んでしまった。
……魔王様、絶対に喜ばれるとは思っていたけどね。
「見た目はもちろんだけど、ここのリボンをほどくの、特に楽しそうだった。細かい位置の調整ありがとう、リリリさん」
ライト様がご自身の胸元を指差す。
服で隠れていて見えないけど、魔王様の専属の証である紋が入っている場所だ。
「作っていて楽しかったので、お礼を言うのは私の方です!」
「あ、魔王さん用に作ってもらったのも、すっごく喜んでたよ。着心地が最高だって」
「あれこそ、ライト様の指示通りに作っただけですから。でも、喜ばれたなら私も嬉しいです!」
「うん。それに……すっごく俺好みでかっこよかった」
「ふふっ、ライト様にも気に入って頂けたなら、ますます嬉しいです!」
よかった……。
魔王様用……オーダーメードでお願いされていた魔王様へのプレゼント用の下着のことだ。
こっちはかわいさなんて微塵もない、魔王様の髪色に合わせた黒いパンツだけど……ライト様が「魔王さんが履いていてリラックスできて……俺が見て、かっこよくてドキドキしちゃうパンツにしたいんだよね」と、あまりにかわいすぎて失神しそうなことをおっしゃったので、かわいくはなかったけど、ベビードールと同じくらい真剣に取り組んだものだ。
まぁ、「魔王さんの履き心地が良いように、前をちょっと立体的にして……素材は肌触りが良くて伸縮性があって……見た目がかっこよくなるように黒と、パイピングは濃いグレーで……」と細かく指定をくださったので、全くその通りに作っただけだけど。
正解が作れていたかは不安だったから、喜ばれていたなら何より。
ま、ライト様からのプレゼントを喜ばないわけが無いか。
とにかくこれで肩の荷が下りた。
次は……
「あの、ライト様。一つ相談させて頂きたいことがあるのですが……」
「ん? なに?」
ライト様はしっかり話を聞く体勢だよと言うように、ソファに腰を下ろして首を傾げた。
うぅ、お心遣いも仕草もかっわいい!
「えっと、もうお誕生日が終わったので、ライト様のいた異世界では下着もかわいくするというのをみんなに話しても良いですよね?」
「うん。いいよ」
「それで、あの……自分でも色々作ってみたんです。こんな感じで!」
「えっ!?」
ワンピースの裾をエプロンごとたくし上げて、力作の下着をライト様に見せる。
ピンクの生地で白いレースを淵につけて、生地より濃い目のピンクの糸で刺繍を入れて、リボンを縫い付けて……とにかくかわいくした一番気に入っている下着!
「え? ちょ、あ、え?」
「かわいくないですか? 見えにくいかもしれないですけど、生地と近い色の糸で刺繍も……」
「ま、まって、リリリさん、ちょ、え、す、すかーと! スカートおろして、ね?」
「え?」
なんで慌てるんだろう?
そんなに変だった?
「はい……」
スカートを降ろすと、ライト様は「ふぅ……」と大きな深呼吸をされてから私に向き合う。
「ごめんね。ちょっと、俺のいた世界では……下着姿を見て良いのは恋人や家族くらいだったから……」
「へぇ……?」
何でだろう?
異世界って下着もオシャレって言っていたのに?
私だったらむしろ見てもらいたくて仕方がないと思うけど。
あ!
「そういえば、好きな人のための特別な下着って言っていましたよね? 他の方には内緒ってことですね!?」
「いや、別に好きな人のためだけでなく、自分で楽しむためだけにかわいい下着を身に着ける人も多かったからそういうことでもなくて……下着って……うーん? そういうこともあるのかな? えっと……」
ライト様、以前の仮装パーティーの時も下着が見えるのはお嫌みたいだった。
ベビードールを作る時に異世界のパンツを見せてくれた時も、少しは恥ずかしそうだったし。
異世界って感覚が違うんだ?
しっかり見て欲しかったけど……仕方ないか。
「上手く説明ができないんだけど……あ、でも、チラっと見えた下着はすごくかわいかったよ」
「本当ですか!? やった! 自信作なんです! これ、友だちに見せたり、欲しい子がいたらあげたりしてもいいですか?」
この二ヶ月半で作りすぎちゃったから。
まぁ、こんなにかわいいの、「かわいすぎ」って言われるだけかもしれないけど。
「もちろんいいよ。実は……」
ライト様が少し照れたような笑顔になる。
なんだろう? かわいい。
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