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第8章 その後の二人 / 嫉妬と未来の話
パーティー(5)
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「魔王様、それにライト様も。パーティーを盛り上げてくださりありがとうございます」
「ありがとうございます」
東の王様、そして隣に座っていたペットちゃんも立ち上がって俺たちに頭を下げてくれたあと、四人でグラスを合わせた。
東の王様、厳つい顔だけど魔王さんには友好的と言うか、ちょっと怖いくらいに笑顔だな……あ、この赤ワイン美味しい。
「こちらこそ、楽しませてもらっている。この国はやはり珍しい物や質の良い物が集まりやすいんだな。料理も美味いし、このワインも飲み慣れない味だが美味いな」
そうそう。お昼にクラーケンなんて食べたからもう何も珍しくないけど、このパーティーの料理、海の幸も山の幸も種類が豊富で……豪華なのかは解らないけど、食材の豊富さで言うと魔王さんのお城以上だと思った。
「喜んで頂けて何よりです。このワインはペットが気に入っていて……」
「魔王様、よろしければお注ぎします」
「あぁ……では」
魔王さんのグラスはまだ半分しか空いていないけど、儚い感じのペットちゃんが椅子の横に置かれたミニテーブルからワインのボトルを持ち上げるので、魔王さんも素直にグラスを差し出した。
お酌の文化って異世界にもあるのかな~……なんて思っていたんだけど……。
「あ!」
「っ……」
既視感。
「も、申し訳ございません!」
ペットちゃんの手元が狂ったのか、ワインが魔王さんの黒い上着の袖を濡らす。
黒だからわかりにくいけど……あぁ、金の糸で装飾が入った場所は目立つか。
それにしても、前回のパーティーでは俺、今回は魔王さん。
俺たちワインかけられすぎじゃない?
「あぁ! ペットが大変、大変失礼いたしました! すぐに魔法での洗浄を行いますので別室へご案内いたします!」
「いや、これくらいあとで自分で……」
「いけません! シミになります!」
東の王様は立ち上がって近くのウエーターさん? 執事さん? を手招きする。
「うちのメイドは優秀だ、シミ抜きの魔法も……」
「こちらに非があるのに汚れたまま帰すなど国の恥です!」
「あ、あぁ……では」
何だろう。違和感あるな……。
「大丈夫、魔王さん? 心配だから俺も一緒に行くね?」
「ライト……」
「ライト様にまで退席させるなんて申し訳ないことできません! ライト様はどうぞ引き続きパーティーをお楽しみください!」
「そうです。ライト様、どうか人間同士でお話したいこともございます!」
東の王様、優しそうに見えて必死だし、ペットちゃんもなんかなぁ……。
嫌な予感がする。
仕方ない。
「でも、俺……魔王さんが心配で心配で……あ!」
項垂れながら、まるでショックで手の力が抜けたように……ワインが残っていたグラスを床に落とす。
――パシャ
毛足の長い絨毯だからグラスは割れなくて良かった。
でも、俺の計算通り、俺の靴とズボンの裾にワインがかかる。
「あ……ごめんなさい」
絨毯にもワインがかかってしまったから、掃除する人には本当にごめん。
わざとやったものの、心から申し訳なく思いつつ、頑張って目に涙をためて東の王様を見る。
「俺、動揺しちゃって……ごめんなさい」
「あ……い、いえ」
「ライト! 大丈夫か? 怪我はないか?」
「大丈夫。でも、汚しちゃった」
「東の王、すまない。ライトも共に頼めるか?」
魔王さんは多分俺の計算には気づいていなくて、本気で心配してくれている。
ごめんね。
でも、多分これで正解。
だって……
「え、えぇ、構いませんよ……お二人を、お連れして」
東の王様は、顔を引きつらせながら頷いたから。
「ありがとうございます」
東の王様、そして隣に座っていたペットちゃんも立ち上がって俺たちに頭を下げてくれたあと、四人でグラスを合わせた。
東の王様、厳つい顔だけど魔王さんには友好的と言うか、ちょっと怖いくらいに笑顔だな……あ、この赤ワイン美味しい。
「こちらこそ、楽しませてもらっている。この国はやはり珍しい物や質の良い物が集まりやすいんだな。料理も美味いし、このワインも飲み慣れない味だが美味いな」
そうそう。お昼にクラーケンなんて食べたからもう何も珍しくないけど、このパーティーの料理、海の幸も山の幸も種類が豊富で……豪華なのかは解らないけど、食材の豊富さで言うと魔王さんのお城以上だと思った。
「喜んで頂けて何よりです。このワインはペットが気に入っていて……」
「魔王様、よろしければお注ぎします」
「あぁ……では」
魔王さんのグラスはまだ半分しか空いていないけど、儚い感じのペットちゃんが椅子の横に置かれたミニテーブルからワインのボトルを持ち上げるので、魔王さんも素直にグラスを差し出した。
お酌の文化って異世界にもあるのかな~……なんて思っていたんだけど……。
「あ!」
「っ……」
既視感。
「も、申し訳ございません!」
ペットちゃんの手元が狂ったのか、ワインが魔王さんの黒い上着の袖を濡らす。
黒だからわかりにくいけど……あぁ、金の糸で装飾が入った場所は目立つか。
それにしても、前回のパーティーでは俺、今回は魔王さん。
俺たちワインかけられすぎじゃない?
「あぁ! ペットが大変、大変失礼いたしました! すぐに魔法での洗浄を行いますので別室へご案内いたします!」
「いや、これくらいあとで自分で……」
「いけません! シミになります!」
東の王様は立ち上がって近くのウエーターさん? 執事さん? を手招きする。
「うちのメイドは優秀だ、シミ抜きの魔法も……」
「こちらに非があるのに汚れたまま帰すなど国の恥です!」
「あ、あぁ……では」
何だろう。違和感あるな……。
「大丈夫、魔王さん? 心配だから俺も一緒に行くね?」
「ライト……」
「ライト様にまで退席させるなんて申し訳ないことできません! ライト様はどうぞ引き続きパーティーをお楽しみください!」
「そうです。ライト様、どうか人間同士でお話したいこともございます!」
東の王様、優しそうに見えて必死だし、ペットちゃんもなんかなぁ……。
嫌な予感がする。
仕方ない。
「でも、俺……魔王さんが心配で心配で……あ!」
項垂れながら、まるでショックで手の力が抜けたように……ワインが残っていたグラスを床に落とす。
――パシャ
毛足の長い絨毯だからグラスは割れなくて良かった。
でも、俺の計算通り、俺の靴とズボンの裾にワインがかかる。
「あ……ごめんなさい」
絨毯にもワインがかかってしまったから、掃除する人には本当にごめん。
わざとやったものの、心から申し訳なく思いつつ、頑張って目に涙をためて東の王様を見る。
「俺、動揺しちゃって……ごめんなさい」
「あ……い、いえ」
「ライト! 大丈夫か? 怪我はないか?」
「大丈夫。でも、汚しちゃった」
「東の王、すまない。ライトも共に頼めるか?」
魔王さんは多分俺の計算には気づいていなくて、本気で心配してくれている。
ごめんね。
でも、多分これで正解。
だって……
「え、えぇ、構いませんよ……お二人を、お連れして」
東の王様は、顔を引きつらせながら頷いたから。
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