魔王さんのガチペット

メグル

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第7章 その後の二人 / 魔力切れと覚悟の話

12日目(1)

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 魔王さんが遠征にでかけて一二日目。
 寝たのか気を失ったのか解らないけど、真夜中から意識は無くて……気が付いたら午前九時くらいだった。
 まだ医務室のベッドの上で、体の上には魔法陣が書かれた布が乗っているようだ。
 そして……

「ん……」

 少し疲れた顔のリリリさんはまだ俺の左手を握ってくれていて、俺が目を開くと少しほっとした表情になった。

「ライト様……! お加減、いかがですか?」

 俺が沢山寝たからって回復するものではないんだけど……。

「ちょっと……結構マシな気がする……?」
「顔色は良さそうですね。えっと……」

 リリリさんが後ろを向くと、赤いローブ姿で羊角のついた赤い癖のある髪の若い男性魔族さんが近づいてきた。
 元々細長い体形の魔族さんだったと思うんだけど、今日は目元にクマができてやつれて見える。
 俺のせいだよね。ごめん。

「失礼します」

 リリリさんが手を離したあと、赤髪の魔族さんが俺の体の上の魔法石を取り除き、頭……魔族で言うと角があるあたりの位置に触れる。

「……かなり、回復していらっしゃると思います」

 赤髪の魔族さんはほっと息を吐いて、リリリさんも隣で胸をなでおろす。
 俺もほっとした。

「「「よかったー……」」」
 
 魔王さんも魔力が回復したってことだよね?
 でも……まだ体はしんどいし、なんだろう? 違和感がある。

「しかし、あの状態から一晩でここまで回復するとは……?」
「魔法薬とか、魔力付与でしょうか? でも、魔力の系統が黒の魔王様に飲んで頂ける薬も付与できる魔族も限られていますよね?」

 二人が首をかしげて、俺もちょっとスッキリしないまま上半身を起こすと……

「失礼します……あ!」

 小声で部屋に入ってきたローズウェルさんが、俺の顔を見て一瞬でほっとしたのが解った。

「ライト様、少し、回復されましたか?」
「うん。しんどさはかなりマシ。でも、ちょっと違和感はあるというか……これ、言葉にできないんだけど……」

 俺が人間で魔力とか解らないから?
 なんか……痛いとか苦しいとかしんどいとかではない、なんだろう……「違うなぁ」と思う何かがある。

「なるほど……大丈夫です。それは少しすれば落ち着くと思います」

 ローズウェルさんは何か思い当たった顔で頷く。
 これ、もしかして……。

「魔王さんから、連絡あった?」
「はい、先ほどやっと。それをお伝えしようと思ったのですが……ライト様のご様子でも、もうご無事は伝わっていますね」
「うん。魔王さんもこの元気さなら、一安心かな?」

 俺も、リリリさんも医務室にいた他の魔族さんも、ほっと体の力が抜けたのが解った。

「はい。ご安心ください。ただ、もう少し本調子は出ないと思いますし、常に疲労していた分、体も疲れてしまっていると思います。しばらくはここでお休みください」
「わかった。それで、その……魔王さんは?」

 安心と言われても、一度あんな状態になったのに心の底から安心できないと思って尋ねると、ローズウェルさんは俺を安心させるためか笑みを深めて頷いた。

「とても安全なところで回復に努めておられます。詳しくは……ライト様もお食事をとって落ち着かれてからにしましょう」
「うん……」

 心配ではあるけど、ローズウェルさんが大丈夫と言うなら大丈夫だ……よね?
 
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