魔王さんのガチペット

メグル

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第7章 その後の二人 / 魔力切れと覚悟の話

前日(6)

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「潮吹きって知らない? 精液出した後にずっと気持ちいいのを続けると出ちゃう、透明な液体」
「……?」

 初体験なだけでなく、知識としてもないか。
 そうだよね。魔王さんの今までの……俺以外とのセックスって、すごく淡白で相手に奉仕する教科書みたいなセックスだったもんね?
 
「んー……ほら。臭いもないし。色、解りにくいけど透明なんだよ」

 結合部から少しだけ漏れた潮を……サラサラだから解りにくいけど、指先を濡らして見せる。

「あ……」
「信じられない?」
「わ、わからない……知らないし、今、冷静に考えられるほど頭も働いていない。き、気持ちが良すぎて……馬鹿になっている」

 えー! かわいい!
 いつもエッチの後は俺の後処理をしてくれるくらい余裕あるのに?
 そんなに良かったんだ?
 俺で、そんなに気持ちよくなれちゃったんだ?

「深く考えなくて大丈夫だよ。魔王さんが馬鹿になるほど気持ちよくなって、俺の中には八回の射精に加えて、更に魔王さんの体液を注げたってだけだから」

 今抜くと漏れてしまいそうなので、魔王さんのペニスを埋めたままアナルにきゅっと力を入れる。中で、たぽんと出されたものが揺れた気がした。

「おなかいっぱい。ありがとう」
「あ……そ、そうか……体液……よかった……いや、これだけ注げたのはライトの技術だな。さすが、ライトだ……尊敬する。よく頑張ってくれた。ありがとう」

 魔王さんが俺の説明に少しは納得できたのか、やっと、ちょっとほっとした表情を浮かべる。
 こんな時まで労ってくれて、優しいなぁ。
 明日から二週間頑張るのは魔王さんの方なのにね。 
 注いでもらってお礼を言うのは俺なのにね。
 今日のセックスは、楽しかったけどちょっと大変だったから、二週間後は魔王さんへのご褒美も兼ねてもっと楽しいだけのイチャイチャセックスにしたいなぁ……そうだ!

「ね、魔王さん! 二週間後、今度は俺が潮吹きしちゃうセックスして」
「え? ライトが? 今の……を?」
「うん。俺が今の魔王さんみたいに乱れちゃって、潮吹きしちゃうところ見て、潮がどんなのか覚えて」
「ライトの、乱れる姿……?」
「そう。挿入される方も、射精後に快感上乗せされたら潮吹けちゃうんだよ」

 戸惑っていたけど……魔王さんも楽しそうな顔になって来た。
 魔王さん、俺が乱れちゃうの好きだもんね?
 
「あ……その……精神的には、今までにライトと心を通わせた幸福すぎる最高のセックスを沢山してきたが……それももちろん、気持ち良かったが……今日の、これは……すごかったぞ? これを、ライトに……俺の手で、できるのか?」
「うん。大好きな魔王さんにしてもらったら、俺、すぐに潮吹きできちゃうかも」
「……!」

 魔王さんが嬉しそうに笑みを深める。
 お。最近で一番楽しそうな顔じゃない?

「この……とてつもない快感を、ライトにも与えることができるのか!」
「ん?」
「ライトに気持ちよくなってもらえるのか……俺が、ライトのことを……気持ちよくしてやれるのか……」
「いつもセックス気持ちいいけど……潮吹きは……うん。できると思うよ」

 俺が頷くと、魔王さんはとても幸せそうな顔のまま、拳をぎゅっと握る。
 ガッツポーズみたいな? え? そんなに……嬉しいの?

「俺は、ライトに比べてまだまだセックスの知識も技術も……下手とは思わないが、できることが少ない。だから……ライトを気持ち良くできるなら、嬉しい。すごく、嬉しい」
「……!」

 え?
 えぇ?
 え、魔王さん、え?
 エッチによがっちゃう俺を観られるのが楽しみなんじゃなくて……そんな……えぇ……?

「魔王さん……」
「ん?」
「二週間も離れる前夜に、もっともっと好きになっちゃうこと言わないでよ……」
「え?」
「こんなに好きになったら……絶対に恋しくなっちゃうから、元気で早く帰って来てね?」

 身体は魔王さんの体液で満たされたのに……。

「あ、そ、そう、か? ライトが、こんな、恋しがってくれるなんて……くっ……!」

 だめだ。「魔王さん好き」って気持ちが溢れすぎて……二週間で枯渇しそう。
 魔王さんも多分、「ライトかわいすぎる大好き!」って気持ちが溢れていて……二週間で枯渇しそう。

 やばい、セックスは上手くいったのに。
 思ったより二週間離れるの……嫌だ。


      ◆


 翌朝、俺も魔王さんも「離れたくない」って顔で城門の前で三回キスして、五回ハグしてから、魔王さんは馬車に乗り込んだ。
 俺も魔王さんも泣きそうな顔だったのに、魔王さんについていくファイさんも騎士団長さんも他の騎士さんも、城に残るローズウェルさんやリリリさんも……とにかくみんな、俺と魔王さんを「微笑ましいなぁ」という笑顔で見つめていた。

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